2011年10月28,29日 奥鬼怒 湯沢 大岩沢 左俣 右沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム
靴:アクアステルス
地形図:川俣温泉
遡行図、概念図はこちら

木枯らし1号が吹いた10月下旬。温泉が出る湯沢をチョイス。本流遡行も良いが晩秋という事もあり、時間短縮を狙って湯沢の最大支流である大岩沢を計画。
大岩沢自体も支流が数本あるが、渓相が良い方を選択することで進み、結局、左俣→右沢と進むことになった。

アプローチ:フィット
19:23自宅発→19:50石橋駅発→21:55女夫淵温泉着
初日: 6:50女夫淵温泉発→7:06湯沢檀橋→7:13湯沢入渓→9:25湯沢天然温泉(大休止)→11:45噴泉塔→14:30大岩沢出合(行動終了)
二日目: 7:40発→10:15左俣/右俣出合(左俣へ)→10:30左沢/右沢出合(右沢へ)→12:45稜線登山道、13:05下山開始→15:00日光沢温泉
      →16:25女夫淵温泉着


湯沢の基点は女夫淵温泉になる。50台程駐車可能な無料駐車スペース有り。水洗トイレ、携帯はSoftbankでも繋がる。割と有名な観光スポットなので、
木曜夜到着ではあったが、結構車は停まっていた。。。ここから湯沢の取り付き点になる湯沢檀橋(ゆさわまゆみばし)まで15分程林道を歩く。
”湯沢噴泉塔歩道入り口”と書かれた案内板があるので、間違う事は無いでしょう。我々は橋渡ってすぐに湯沢に入渓。
堰堤は4箇所あり、2つ目と4つ目が結構デカい。沢床はここまで平凡で、2つ目と3つ目の堰堤の間に6m滝がある程度。4つ目の堰堤までは遊歩道を
利用すれば時間短縮できる。
もちろん、この区間はキノコ採りモード。ムキタケとホウキタケ(SACHさんが、「これは食べれたはず」と言った)をGETできたのでラッキーだった。
キノコはそれ以降見つけられなかったし・・・
女夫淵温泉無料駐車場(平日なのに車が多い)
湯沢入口となる案内板
序盤唯一の6m滝
ホウキタケ

最終堰堤を超えると岩盤が発達してミニゴルジュ。温泉成分が入っているためか、吾妻松川程ではないが若干シルキーブルーかかった水の色。
右岸側壁がそそり立ち見事な景観を見ると。湯沢の天然温泉浴場に到着する。ブルーシートとプラスチックの配管が整然と置かれており、石で囲った
浴槽にブルーシートを敷いて、プラスチックの配管を繋いでお湯を導く仕掛けだ。お湯の温度はかなり熱く、川の水で多少薄めて温度調整する感じ。
さらにここは幕営適地にもなっており、焚火の跡も点在。ここで幕営できれば最高だが、さすがにそれはムリ。今回は足湯で体を温めて遡行を続ける。
ミニゴルジュ。経って通過
右岸の見事な側壁
天然温泉(カーソルあてて)

ここから先も、いたるところで温泉が湧き出ている。ただ、入浴出来るところは先ほどの一か所のみ。。。沢床は概ね平凡であるが左岸の見事な岩壁や
その先で左岸から入る25mナメ滝の枝沢等、見どころは多く飽きさせない。この先で、ゆで卵でも作れそうな温泉源が現れ、ここが噴泉塔かと思いきや
まだ、”300m先”と書かれた看板が立っていた。
左岸側壁
左岸25mナメで出合う枝沢
ここから噴泉塔は300m先らしい

ここから沢はゴルジュとなり。水の色はシルキーブルー度を高めていく。淵をへつり小滝を超えると、沢は左に曲がった所で噴泉塔に到着
超高圧ガスが噴出してる・・・という感じではないが、鍾乳洞天井の様にとがった岩から温泉が滴れ落ちる、おどろおどろしい様相は一見の価値はある。
そして天然記念物に指定されているその”塔”は意外と小さかった。

さて、ここから沢は悪いゴルジュとなっている。このゴルジュを突破した記録は見ないので、行けるところまで行ってみる事にする。通常高巻きは右岸らしい。
噴泉塔横の2条3m滝は水流間の敢えて水流間の岩を登るが右から簡単に回り込める。
簡単にへつれます。
噴泉塔到着(カーソルあてて)
噴泉塔横の2条3m滝

問題はここから。。。深い釜を持った2m弱の小滝は、ルートは水流右というのはすぐに解るが、釜の右を走るバンドの真上からかなり熱い温泉が
滴り落ち、これをうまく避けないと水流右に取りつけないのだ。釜を泳ぐという手もあるが、釜の水温は冷たいので10月末にその選択肢は無い。
まともに掛からないようにすり抜け、&ジャンプして水流右壁に到着。しかし、温泉が流れる水流右壁は素手でホールドを掴むと暑くて2秒も持たない。
幸い防寒用として手袋を持ってきたため、これをはめ、右壁を突破したSACHさん「熱い熱い!」と言いながら右壁に到着。手袋+お助け紐でここを
突破する。
 このすぐ上の5mトイ状は右にバンドが走っており、これを利用。単独ならノーザイルで突破できそうだが、さっちゃんにはチョイト厳しそうなのでザイルを出す。
リスは多いので支点は自由に取れるので問題ない。次は釜を持つ3m滝。ただ、浅い所を選べば腰までで取り付け、水流右壁を直登。これも、さっちゃんには
厳しかった様だが、落ちずに登ってきた。沢床はここで広くなるが、まだ最後の2段15m滝を超えないとゴルジュからは抜けられない。水流左は、また熱い温泉が
流れており、ホールドを取れないので、左から回り込み温泉上にあがり、そのまま水流左を直登。簡単なので中間支点取らずに滝上に出た。
ここはさっちゃんも楽勝でクリヤー。このゴルジュは登攀レベルの問題ではなく、熱さ対策の手袋があれば突破できる。。。(^^)v
深い釜を持った2m弱の小滝(カーソルあてて)
5mトイ状の突破(カーソルあてて)
3m滝
2段15m滝(カーソルあてて)

噴泉塔ゴルジュを抜けるとナメ床。その先右岸にまだ温泉が湧き出しておりたき火跡も発見。ここから沢床は平凡になるが左岸の切り立った岩壁が見事。
すると右岸から100mの区間に6,7本連続して20m程度滝で枝沢が入り、実にすばらしい景観。
本流を進むと7m滝。右岸から小さく高巻くとナメ床が現れるようになる。ここを抜けるとゴーロ状に変化。左岸から大岩が突出し、赤い巨岩を見ると広河原になる。
絶好のテン場適地であり、ここが大岩沢出合だ。今日の行動はここで終了。薪は豊富で、寒い夜も暖かく過ごせた。
右岸から落ちる枝沢の滝
ナメ床が現れます
左岸から突き出した大岩
湯沢本流/大岩沢出合


二日目
朝、気温を図ってみると1.7℃。。。ここから上はベルグラが現れそう。。。大岩沢と湯沢本流の水量比は(1:4)で湯沢本流の方が多い。大岩沢に入ると
一旦伏流に変化。沢幅が狭くなってくると3m滝が現れ、その先でゴルジュになる。
入口の4m滝を水流右壁で超えると10m滝。高巻きは考えにくく直登するしかない。水流左だと飛沫は掛からないが、取り付き4mが立っていて取り付けそうにない。
仕方なく水流右をザイルを出してリード。夏なら何の問題もないのだろうが、飛沫を受けながら滑った岩に慎重に足を置き進んでいく。ハーケンで中間支点を
1ポイント取り滝上に出た時には手は完全に悴んで、体も結構冷えてしまった。SACHさんは寒いなか、ハーケンも回収し上がってきてくれ感謝。
大岩沢最初の3m滝
4m滝
10m滝(カーソルあてて)

早く日の当たるところへ行きたいが、その手前に4mCS滝。両足ツッパリから左壁に取り付くが、落ち口への最後一歩が嫌らしい。ホールドは皆無だが、
幸い水流中に安定したスタンスがあり、滝上に上がれた。SACHさんにはお助け紐を出して最後の1歩を突破してもらう。

3条8m滝は真ん中の水流沿いを登れる可能性を秘めていたが、寒いのでルーファイする事も無く。日の当たる左岸ガレで高巻く。滝上へは3m程度の懸垂。
この高巻きで体は温まったが6m滝が行く手を阻む。直登はかなり困難。右岸の大高巻きを覚悟するが、思ったより小さく巻けた。
高巻途中から見る本流左岸の垂壁が素晴らしい。灌木帯に入ってから、うまく弱点を見出せば、懸垂せずに床へ降りられるルートが1ポイントだけある。
先ほどの6m滝上は8m階段状の滝があり、この滝上に出た。
4mCS滝
3条8m滝(左岸高巻き、)
絶望的な6m滝が行く手を阻む
高巻きルートから(カーソルあてて)

ゴルジュは続き、左から入る倒木のある5m滝は左壁から取り付いて突破。すると右俣/左俣の出合う(1:1)二俣となる。ここも整地できれば幕営可能
本流筋は右俣なのだが、左俣は3段50mの大ナメ滝が伸びており、これに吸い込まれる様に左俣に入る。大ナメ滝は快適に直登可能だけど、
今日は一部凍っているので、慎重に上がる。
倒木のある5m滝
左俣/右俣の(1:1)二俣
左俣に掛かる3段50mナメ

3段大ナメ滝上の6m滝を超え、2m、5m、15m滝と連瀑を超えると左沢/右沢を分ける(1:1)二俣。左は20m滝、右は15m滝となっている。ここは右沢に
入るがルートは左沢の20m滝水流右。草付を交えて直上。右沢に移動した。
6m滝
2m、5m、15mと滝が続く
左沢/右沢出合の(1:1)二俣(カーソルあてて)

右沢に入ると50m大ナメ滝。凍った箇所を避けながらあがって行く。晩秋のため周辺の草が涸れているが、夏場はこの辺りも綺麗だろう。
滝はまだまだ続き、6m、12m滝を直登。ナメ床もまだ続き、10m滝を右から小さく巻くと、ようやく源頭の様相になる。ガレた沢筋を詰めると水も涸れ、
左岸灌木帯に入った。藪漕ぎは無いが、稜線までは結構距離があり、右俣の源頭を横断し、結局50分かかって登山道に出た。
右沢50m大ナメ滝
12m滝
右から小さく巻いた10m滝
ガレを詰めます
右俣を横断して稜線へ

稜線は森林限界を超えておらず針葉樹林。登山道は明瞭。根名草山を経由して日光沢温泉へ下る。(手白沢温泉経由より日光沢温泉経由の方が近い)
今日は土曜日。秘湯を求めて来る一般観光客と数多くすれ違いながら女夫淵温泉に戻った。
稜線登山道から日光白根山
根名草山山頂
日光沢温泉経由で下山


P.S:下流部の温泉・・・中流部の両岸の様相・・・大岩沢に入ってからは数多くの滝・・・と、なかなかの内容。奥鬼怒一押し!と言っても良いかも。。。
   テン場は大岩沢に入ってからもありますが、今回我々が泊まった広河原がBESTでしょう。季節的には新緑の頃もおすすめです。
   滝の登攀グレードはV+を超えません。ザイルは30m1本で足ります。


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)




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