2012年8月19日 釜川 右俣 ヤド沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、ザイル8mm×50m、カム 靴:アクアステルス
地形図:赤沢 苗場山
遡行図、概念図はこちら

不安定な天気に翻弄された夏休み。日帰り可能な釜川ヤド沢を選択。8年前に釜川右俣を遡行したが、当時まだ防水デジカメを持っておらず、
相方も含め遡行途中でデジカメが作動しなくなり、写真も撮れずじまいだったのを思い出す。
ヤド沢は三つ釜から分岐する支流で、三つ釜から先に滝が集中しており、ここの通過がポイントになる模様。WEBの記録を見ると1泊2日、日帰りで抜ける記録が
半々の様です。

6:15林道ゲート基点発→6:25取水口→7:30左俣/右俣分岐→9:45-10:35三つ釜→14:35連瀑帯終了→15:40林道横断点→17:00ゲート着

釜川のアプローチだが、相変わらず解りにくく、ナビを持っていない私にとっては一苦労。基点周辺の詳細地図は別途用意しておいた方が良い。
道は最終の”大場集落”を超えるとダートになるが通常の2WDで問題なく走れる。
ゲート手前に3台程、ゲートから釜川方向に直角に伸びる道の先に10台ほどの駐車スペースがあり、ここに車を止めた。車は他に1台も無く、
昨日からの入渓者はゼロか?・・・

この時期、問題のアブだが、車の排気ガス(二酸化炭素)が大好きなので、少し様子をみてから車を出る。さすがに数匹飛んでくるが、越後に
比べれば、まだましでしょう。その後、アブに関しては遡行中は全く気になりませんでした。

駐車スペース末端に取水口へ降りる明瞭な踏跡があり、10分の下りで釜川に降り立つ。ここから、左俣/右俣を別ける二俣までは、滝は無いが、
巨岩帯が長く、割と疲れる。
基点駐車スペース
取水堰堤下から入渓!
最初の淵と巨岩帯(カーソルあてて)

これを突破すると左俣/右俣を分ける顕著な二俣。ここにはテン場は無いが、取水口から二俣までは巨岩帯を覗いて、テン場は散見される。

右俣に入るとすぐに淵を持った3m滝。右壁沿いに数m程度泳ぎ、水流右のノッペリした岩を上がって落ち口に移動。この移動ちょっと嫌らしいが、
残置ハーケンがあり、これもシュリンゲ通してA0すれば問題ない。私はジャンプで落ち口側に移動する。次の釜を持った2段5mは釜を右から
回り込んで上がる。この滝のすぐ上に平らな場所があり、あるWEB記録ではここに幕営したと書かれてあった。増水には耐えられないが一段上にテラスあり。
左俣/右俣分岐
右俣最初の3m。いきなり深みに入る(カーソルあてて)
2段5m滝

このすぐ先にある4mCS「これどーやって突破したんだっけなぁ・・・???」と一応30mザイルを引っ張って泳いで取りついてみたが、取りついた先の右壁に
スタンス/ホールドが無く、ザイルも30mでは上まで届かないので、引返し左岸を小さく巻き、6mの懸垂下降で下に降りる。真新しいシュリンゲ
が2つあったので、一つ頂く。ゴルジュ内5m滝は水流左にルートを見いだせ。難無く超えられる。この先少し行くと少し川幅が広くなり、増水には耐えられ
ないが、二俣〜三ツ釜間で一番条件の良いテン場がある。
4mCS突破を試みる(カーソルあてて)
ゴルジュ内5m滝
二俣〜三ツ釜間唯一のテン場?(カーソルあてて)

この先、またゴルジュになり3m2条滝の右壁沿いを泳ぎ突破すると、泳ぎは無くなる。屈曲した狭いゴルジュにかかる2m滝を右壁から経って超えると
左岸がスラブ状の壁になりハイライトの三ツ釜に到着する

三ツ釜は下段を右リッジから。2段目は左に移動し水流左を直登する。2段目はSACHさんにはザイルを出した。三ツ釜上で大休止。ここで右俣本流の
千倉沢とヤド沢に分かれる。
3m2条滝最後の泳ぎ
極狭ゴルジュ(カーソルあてて)
三つ釜(カーソルあてて)

ヤド沢最初の5m滝は水流左。滝上はナメの様相で4mナメを超えると連瀑帯に入る。最初の8mナメ滝は水流左を直登。最後の2mが立っているが、
SACHさんにザックを下から押してもらって上に上がる。この先のナメ床を進むと、遠くに10m級の滝が見えて来たが、その手前に2段12m滝が控えていた。
下段はナメ状で寝ており容易。上段はザイルを出して水流右壁に取り付いてみるが、外傾スタンス&ホールドが少なく敗退。クライムダウンで降り、
そのままザイルを引っ張って左岸から小さく巻いた。
ヤド沢最初の5m滝(カーソルあてて)
8mナメ滝(カーソルあてて)
2段12m滝(カーソルあてて)

滝上に出ると、先ほど遠望した10m滝下に出る。これも見た目悪いが、水流右から8m程上がって小テラスでカムでピッチを切る。ここから1段上がれれば
落ち口に向かって直登出来るが、A0しようとして、押し込んだカムの決まり具合に不安があり、この1段が上がれず、小テラスから灌木帯に入り高巻いた。
10m滝上は続けて2条滝になっているが通常の巻きだと、この2条滝の上に出るだろう。 

ここから幅広ナメの様相になるが、すぐ先に15m滝が落ちていた。これも難しそうに見えるが、水流右壁に取り付くと意外にホールド/スタンスがある、
7m位上がったところ1ポイントがちょっと嫌らしいが、ここに残置ハーケンあり。ここを突破すれば上に行くほど簡単になり、V+レベルで登れた。
事故後初めての登攀らしい滝登りだったので、結構緊張した。。。
10m滝(カーソルあてて)
15m滝遠望
15m滝登攀(カーソルあてて)

滝上はゴルジュチックな平凡な様相。奥に30m級の滝が掛かっているのが目に入る。すると、ここで、激しい夕立が襲ってきた。前方の30m滝の写真を
撮るのが精いっぱい。この滝は水流左のカンテを直登出来る事を後日知ったが、いつ鉄砲水が襲ってくるかわからないので、この場を脱出するのを急ぐ。
高巻は左岸。高巻途中から見たが右岸はやめておいた方が良い感じだった。
”このまま林道出ちゃおうかなぁー”と言う様な雨だったが、途中草付き帯を横断して極力小さく巻き、30m滝上に出た。ここも右岸の平らな岩に幕営が可能か。
この先直ぐにゴルジュになり9mトイ状。とても登れる状況ではないので滝右横のドロルンゼを上がって巻く。すると、9mトイ状上に3段15mが控えており、
これも直登不可能と判断し、一緒に左岸巻きする。
30m滝遠望。ここで大雨(カーソルあてて)
9mトイ状
高巻途中から3段15m滝。一緒に巻く

高巻き途中からヤド沢最大の60m大滝が見える、精神的にグッタリしそうだ。60m大滝下の沢幅は広く、確認できなかったが、ここにも幕営可能ポイントが
あるかも・・・
60m大滝は水流右の灌木帯に入る。小さく巻くと大滝途中に出れて、上部を快適登ることが出来る。この滝を超えると4段20m滝。空は明るくなってきた
が、
なぜか雨は上がらない。まぁ水は若干濁ったものの鉄砲水はこなかったので良かった。
4段滝最下段は水流右の岩壁を上がる、2段目3段目は容易。4段目4mはホールドはしっかりしているが滑りやすいので注意。SACHさんにはザイルを
出して上がってきてもらう。
60m大滝(カーソルあてて)
大滝上部は登れます
4段20m滝(カーソルあてて)

ここで、連瀑帯が終了。沢の様相が一変し癒し系に変化する。絶好のテン場は見つけられなかったが、多少整地すれば、いたるところで幕営可能なはず。
ナメ床、ナメ滝も現れ、魚影も濃い。ここで当初釣りでもしようかと計画していたのだが、14時半を過ぎ断念。途中、岩陰に隠れた岩魚を手で掴むが
あと一歩の所で取り逃がしてしまう。

暫く進むと1285mに位置する(1:1)二俣。ここを右に入る。ここまで来れば、左岸に上がればすぐ林道になる。”一応、橋まで遡行しよう” と、進む事20分で
林道横断点に到着した。

林道はゲートさえ開けば何の問題も無く車が走れる。林道を歩く事1時間15分。ゲートに"御帰りの際は必ずゲートを閉めてください"と書かれてあったので、
自己責任で入っても良いという事なのだろう。
癒し系のナメ
5mトイ状(カーソルあてて)
1285m(1:1)二俣と終了点(カーソルあてて)


P.S:泳ぎ、滝の登攀、高巻き、釣り・・・と沢の醍醐味が纏まったお勧めの1本です。人数が多い場合は1泊2日でのんびり行った方が良いでしょう。
   ザイルは30mで足りますが、40m以上を持って行った方が安心かも。幕営適地は連瀑帯上ですが、連瀑帯にも若干使えそうなところがあります。
   日帰りで抜ける場合は釜川右俣よりワンランクグレードが上がります。夏向きの沢ですね。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


沢登りトップへ     その空の下で。。。トップへ



inserted by FC2 system