2012年9月1日 焼石 尿前沢本沢→ハタシロ沢下降

メンバー:やますきーおさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:焼石岳、三界山
遡行図、概念図はこちら   紹介ビデオはこちら

やますきーおさんから"東北復興観光支援パス"というETC割引情報を聞いた。金曜夜発、土日白河ICから北が3500円乗り放題との事。
1000円高速以来の、"ならば今のうちに・・・"という事で、北東北の沢に的を絞り、皆一押しの尿前沢に決定。この沢、日帰り可能らしいので、
フロ沢出合にベースを置き、ハタシロ沢を下降して、二日目にフロ沢をサクッと遡行して栃木に戻る1泊2日の計画を立てた。

アプローチ
17:20自宅発→18:50やますきーおさん宅→19:07黒磯板室IC→22:23前沢SA、5:11同発→6:02中沼登山口
6:30中沼登山口発→7:00尿前沢入渓→7:27フロ沢出合(荷物デポ)→8:10三ツ折り滝下(左岸高巻&左岸壁へつり)
→9:00 40m滝下(右岸高巻き)→11:25二俣(夫婦滝下)→14:25 1390m稜線着→16:00上沼/中沼中間地点からハタシロ沢下降開始
→16:57尿前沢出合→17:02フロ沢出合着

2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震で中沼登山口への林道が寸断されていたようだが、2012年5月に復旧。未舗装ではあるが、2WD車で
中沼登山口まで入れるようになった。登山口は40台程の駐車スペース。綺麗なトイレもある。携帯はdocomoでも繋がらない。

ここから歩く事30分で尿前沢本流に出る。この沢は温泉成分が混じっており、水は若干白濁。。。魚は居ないと聞いていたが、いきなり魚影を見る。
ただ、それ以降は全く見なかったので、誰かが撒いたものであろうか・・・?

地震の影響なのかは知らないが、右岸がガレた荒れた感じの沢筋を進むと2段6m滝。右から全体を巻けば簡単だが、両手両足ツッパリで滝に近づき、
最後は水流右を登る。
中沼登山口
尿前沢入渓点
最初の2段6m滝(カーソルあてて)

暫く平凡な様相を進むと顕著な二俣となり水量比(1:4)で右岸から、今日下降予定のハタシロ沢が入る。そこから5分足らずで、右岸からフロ沢が入る。
フロ沢出合右岸には多少の増水にも耐えられるテン場があるが、この先本流を40mほど進むともう1か所絶好のテン場があり、増水の心配が
ないならここの方がイイかも。。。ここにベースを張り宿泊キット等の荷物をデポする。
ハタシロ沢出合
フロ沢出合

ベース先の二俣にかかる6m滝は水流右から。ここからミニゴルジュになり、釜を持った小滝がいくつか続く。増水してスクラム組んで遡行している記録も
後日見たが、今日は平水(?)で癒し系といった感じだ。ゴルジュを抜けると左岸がスラブ状の壁に変化し、一つ目のハイライトである20m三ツ折り滝
現れる。これは直登不可能・・・。。。  
6m滝(カーソルあてて)
ミニゴルジュ。水量が少なく癒し系です(カーソルあてて)
左岸スラブが見えてくると・・・(カーソルあてて)


今回、中沼登山口までのアプローチは念入りに下調べをして来たのだが、沢自体の記録はWEBで写真をパッと見たのと、遡行タイムをチェックした
くらいなので、「さて、この滝はどうしましょうかね?」と言った感じ。。。パッと見、左岸壁に延びるリッジを使って左岸巻きを選択。 実際リッジ途中に残置
ボルトが打ってあった。 問題はここから・・・  滝の高さ+5mまで上がったところから、草付きをトラバースして水平トラバースを試みるが、安心できる
ホールド/スタンスが、リスも無く、見た目以上に厳しい。今回はお互いアクアステルスを履いているが、やますきーおさんに「ここは辞めた方が良い」
指示。しかし、自分は、引き返すこともままならず、ここまで来たら行くしかない。スラブ上の砂利や小石を微妙なバランスで払いのけ、何とか滝上まで
トラバースして草付きにたどり着いたが、ここまでトラバースしても降りる事が出来ず、三ツ折り滝上の4m滝上まで草を掴みながらトラバースし続け、
やっと沢床に降りれた。実際かかった時間は10分に満たないが、3人トラバースすれば一人は落ちるんじゃないかって感じの恐怖感だった。。。
すぐに やますきーおさんに目をやると、途中でトラバース出来ずに尾根まで巻き上げられていた・・・。。。下から見ると草付き利用で、もう少しショートカット
出来そうに見えたが難しいのか・・・?
後日、他の記録を見ると左岸ではなく右岸を手前から高巻いて30mザイル2本繋いで懸垂しているのがほとんどだった。
三ツ折り滝突破ライン(カーソルあてて)
トラバースライン(カーソルあてて)
トラバース中から三ツ折り滝

三ツ折り滝上は両岸切り立ったゴルジュ。お互いホイッスルを鳴らしながら位置を確認し合い進む。すると、ゴルジュ内に10m滝が行く手を阻む、
一瞬焦るが、前衛の2m小滝を右岸壁を登って、小滝上の左岸リッジに取り付くと踏跡に導かれながら上手い具合に10m滝を巻くことが出来た。
メジャーな沢はこれだからある意味安心だ! 滝上に上がると、ちょうどやますきーおさんが懸垂で沢床に降りて来て合流。ホッとする。。。
三ツ折り滝上の様相
恐る恐る進む・・・
10m滝(カーソルあてると滝上からになります)
やますきーおさんと合流

狭いゴルジュが終了すると今度は正面に見える右岸がスラブ状に変化。この辺りは地震の影響で崩れたとの記録を後日見る。ここを右に曲がると
実に見事な40m大滝が現れる。一見直登不可能そうだが、右の垂直壁を3m強、登れば草付きから水流右落ち口に直登可能に見える。
「誰か、ここ直登してるんじゃないかなぁー」と残置類を探すが見当たらず。。。やますきーおさんが「俺ムリかなぁー・・・」ともおっしゃっているので、潔く諦める。

今度は右岸に目を移し、落ち口の高さ辺りで水平トラバース出来そうと判断。右岸草付きからガレを上がって草藪を漕ぐと落ち口7〜8m上の位置に出た。
ここで、ザイルを出してトラバースを開始。灌木で支点を取りながら進むが、チョットしか進んでいないのに後ろから「ザイル残り5m!」って聞こえるので、
慌てて支点を取る。50m位無いと、ここは一回でトラバース出来ないかも。まぁ沢慣れした人ならノーザイルで横断出来るでしょう。
トラバースし終えると40m滝直ぐ上に10m滝が見えるが一緒に巻いてしまうのは勿体なので、40m滝落ち口ジャストに向かって降りていく。(懸垂不要)
滝上から見ると落ち口左岸側の白い岩は安定しており、大滝左岸直登をより可能にさせる期待を持った。。。
40m大滝
左岸直登ラインを探る(カーソルあてて)
結局右岸巻き(カーソルあてて)

大滝上の10m滝は左右どちらでも快適に登れるので、お互い左右に分かれて直登。また、ゴルジュ風になるが、ゴルジュ内に5,5,8,6mの滝は若干
渋めの所もあったがノーザイルで直登した。
10m滝を快適に直登
チョイト渋かった5m滝
快適そのもの・・・♪

するとゴルジュが終了し、大ナメが始まる。3段ナメの左岸にテン場に絶好の草付き台地を見つけたが、誰か利用したことあるのかは確認せず。
ナメ、ナメ滝を堪能していくが、1か所8m滝が現れ、左壁の2mを登って滝下まで出る所が若干渋い。支点を取れる所が無いので、初級者が居ると
ショルダー&引っ張り上げになる所だろう。
大ナメ-1
大滑-2
チョット渋かった8mナメ(カーソルあてて)

さらにナメ床を進むと二俣になり、ここに夫婦滝が掛かる。左俣に15m滝が掛かり、こちらが主に遡行されているようだ。これも直登は難儀。かなり手前
から右岸巻きするのが常套手段に見えるが、敢えて、奥まで突っ込んで他にルートが無いかを確認する。右壁をフリクションで上がり夫婦滝15m水流右を
偵察。ザイルを出して取り付いてみるが、リスは無く、草で支点を取るものの、あと一歩が出ずクライムダウンで引き返す。どうも6月の事故以来、ビビリ
モードになりやすくなってしまった様で悲しい・・・。ただ、ここで諦めず右俣の最初の3m滝をの右壁を登ってしまえば、あとの高巻きは楽そうなので、
右俣からの高巻きにルートを見出すことにした。右俣右壁をフリクションで3m上がり、これまた超微妙なフリクショントラバースで3m滝上に出る。
このトラバースはやますきーおさんに強いるのは酷なので、そのままザイルを引っ張って、灌木まで上がって右俣/左俣の中央ルンゼの草付きをザイルを
引っ張りながら強引に上がってもらうことにした。

滝上に出て、夫婦滝右岸の定石高巻きルートを見ると、落ち口ジャストに狙いを定めで巻かないと、最後沢床に降りれないようだ。
二俣に掛かる夫婦滝(カーソルあてて)
右壁に取りつくがあと一歩が出ず(カーソルあてて)
右俣右壁を気合いで登った結果・・・(カーソルあてて)


今まで、白く濁っていた水だが、この二俣上で透明になる。おそらく左俣の水に温泉成分が混じっているのだろう。水はどうでも良いのだが、急に岩が滑り
やすくなる。 ナメ床を進み平凡な様相になると右岸に良いテン場を発見。5m滝上の平凡な様相のところにさらに良い物件のテン場を発見。1泊2日で
遡行するなら、この辺りに幕営するのがBESTでしょう。
この5m滝上に良いテン場あり。
極上物件です!
メチャクチャ滑ります。

小滝を超えていくと、40mの大ナメ。足元を滑らせながら、楽しく登って行く。この大ナメが終了すると間髪入れずに10m滝。ここは右の乾いた岩を快適に
直登。平凡な様相を進むと、3m滝上で二俣。左に入ると終了点は近いのだが、圧倒的に右の方が水量が多いので右に入る。
20m大ナメ(カーソルあてて)
10m滝(カーソルあてて)
この3m滝上で二俣になる

右に入ってすぐCS小滝は小さく右岸巻き。この先クランク状になった所に9m滝が隠れている。水流通しで登り、最後は右壁を直登。残置シュリンゲが
ぶら下がっていたが、両手でガバをとればA0しなくても登れる。

この先、左岸が土壁となった大ガレの様相を呈す。雪渓が若干残っていただが、後日WEBの記録を見ると2週間前にはここは雪渓で埋め尽くされていた
様だ。
CS小滝は左岸を小さく巻く
9m滝(カーソルあてて)
左岸土壁の大ガレ地帯


大ガレ出口の10m滝を超えると再び二俣。ここも左に入ると終了点は近いのだが、(1:5)で右の方が水量が多いので右に入る。この先、小滝を超えると
源頭の様相になる。藪が覆いかぶさってくるようになったところで左の沢型に逃げると池塘のある湿原に出て、ちょっと歩くと1390m付近の登山道に出た。

大ガレ出口の10m滝
源頭の様相
池塘のある草原に出て終了

時間は14時半。。。下山に使うハタシロ沢は途中まで登山道と平行に流れているため、上沼と中沼のちょうど中間地点まで登山道で下り、そこから
ハタシロ沢に入ることにする。途中立ち寄った銀明水非難小屋はとても立派で近くで焚火が出来るなら、ここで泊まりたいくらいだ。さらに歩いて1分弱の
ところに”銀明水”がいただける。さすがに名水とあってとっても冷たい!途中チタケも見つかりGETしながら下る。
銀明水非難小屋(カーソルあてて)
銀明水
上沼

上沼と中沼のちょうど中間地点には良い下降点が見つからず、登山道から半ば強引に北に向かって突っ込む感じ。地図では沢型になっているが
ただの窪状でハタシロ沢にぶつかった。この沢は事前情報の通り、平凡な様相が延々続き。下降路としては有益だ。登山道からちょうど1時間で
尿前沢本流に出る。
上沼/中沼間から北に向かって突入(カーソルあてて)
ハタシロ沢を下降
尿前沢本流に到着(カーソルあてて)

標高750m付近のテン場はこの時期には蚊が多く、夜中は殆んど眠れなかった・・・翌日天気も悪かったたため、当初予定していたフロ沢遡行を
中止し、朝飯を食ってそのまま中沼登山口へ下山することにした。

P.S:尿前沢本沢はやはりメジャーな沢だけあって、明るく内容も充実しており勧め間違いなし。ただ、滝の高巻きに時間がかかる為、大人数の場合は1泊で
   計画した方が良いでしょう。吾妻大滝沢と雰囲気は似てますが、こちらの方が1ランク上の内容です。ザイルは30m2本、or、45m1本あった方が良いです。
   靴はフェルトよりアクアステルスが高巻に有利です。


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)



inserted by FC2 system