2012年10月6〜8日 和賀山塊 生保内川→シトナイ沢下降

メンバー:やますきーおさん、SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30、カム 靴:アクアステルス
地形図:羽後朝日岳
遡行図はこちら

10月の3連休。メンバーが3人集まったのと、東北方面の天気がまずまずという事もあり、和賀山隗、生保内川(おぼないかわ)に的を絞る。
一般的には生保内川から部名垂沢(へなたれさわ)に下降して夏瀬ダムに出る1泊2日コースなのだが車2台必要となるし、関東まで戻ることを考えると
かなり厳しいので、2泊3日としてシトナイ沢(志度内沢)を下降して基点に戻る計画とした。

アプローチ:フィット
18:30自宅発→19:55やますきーおさん宅→20:30那須塩原駅→20:55黒磯板室IC→0:30前沢SA、6:20同発→7:13盛岡IC→8:15大平トンネル
初日: 8:45基点発→15:15 580m付近行動終了
二日目: 7:15出発→7:30魚止滝→10:30 795m本流屈曲点→13:30 1170m付近本流遡行打ち切り左岸窪に入る→13:55部名垂沢分岐尾根着
     →14:10シトナイ沢下降開始→17:30 615m二俣(行動終了)
三日目: 7:12出発→10:40生保内川合流点→11:50基点P


メンバーの居住地をから集合を那須塩原駅とし、前沢SAまで車を走らせる。計画では30mザイル2本を用意するつもりだったが、"忘れた!"
いうことで、私の30m(正確には28mしかない)ザイル1本で行くことになる。。。

翌朝、盛岡ICからR46に入り、長い仙岩トンネルを抜け、次の大平トンネルを抜けた直後、左側に公衆電話のあるNTT施設が基点となる。駐車スペース
3台分。Docomo携帯が使えるが、Softbankは使えない。 遡行して解った事だが、生保内川右岸の林道もシトナイ沢出合まで車が入れる。

このNTT施設裏から薄い踏跡が伸びており、上手くたどると大平沢と生保内川の合流点に出る事が出来る。まぁ道を外しても大平沢の下降に特に問題は
無い。
大平トンネルを抜けた公衆電話のあるNTT施設が基点
大平沢の堰堤を降ります
生保内川に出ました。

生保内川は”沢”というよりは”川”といった感じ。特に岩盤が発達した・・・という様相もなく平凡な様相が続く。キノコモードのノンビリ遡行だ。
秋田新幹線
大ゴ沢出合
河原が続きます。

"600m付近に幕営" との記録が多かった為、我々もそこを目指すが、なにしろ平坦な地形なので、高度計だけだと今一つどこを歩いているのか
解りづらい。SACHさんの高度計が620m、私の高度計が585mを指したところで、『ここにしますか!?』と行動終了。結局翌日15分歩いて"魚止滝"
という所だった。遡行して解ったが、魚止滝を過ぎて、標高880mまでテン場は散見されるので、翌日の行動を早めに切り上げる場合は奥まで進んで
おいた方が良く、車をデポした部名垂沢下降であれば、関東からでも1泊2日で遡行可能だろう。
この右岸枝沢辺りで幕営。
ブナハリの炒め物
薪はふんだんにあります


二日目
テン場を出発し、少し進むと両岸が立ってきて、初めての滝が現れる。これが魚止滝らしい。精々4m程度だが釜も深く嫌らしい。右壁にルートを見出す
が、
左壁落ち口横に残置シュリンゲを発見。A0した方が手取り早そうなのでザイルを出して左壁に取り付く。途中にも残置ハーケンあり。落ち口に乗り上がる
1歩が嫌らしく、残置シュリンゲにかなり体重を預ける感じになる。
次の8mは、やますきーおさんが取り付くも”一歩が降りれない”という事で、ここも私がザイルを出してリード。アクアステルスなら何の問題も無い。V-

両岸が立ってきます
はじめての滝となる4m魚止滝(カーソルあてて)
8m滝(カーソルあてて)

この先、ゴルジュはまだ続くが問題になる箇所は無い。沢はT字路状にぶつかり、右直角に曲がると河原状になる幕営可能。しばらく進むと大釜を持った
2m滝。小さい滝だが登るのはチョイト渋め。なんとか突破して後続にザイルを投げる。この先、増水には耐えられないがテン場適地有り。部名垂沢下降の
場合でも、ここまで来ておくと多少翌日が楽になるはずだ。持っ見るとて行ったトポを見るとこの辺りが600m幕営地らしい。。。
ゴルジュが続くが問題なし
2m滝(カーソルあてて)
標高600m(?) テン場適地

すぐ先にはミニ十字峡があり、再びゴルジュになる。滝は無いので問題なし。4m滝を快適に超えると、直登不可能な8m滝が現れる。左岸のルンゼで巻く
しかないが岩が脆く嫌らしい、ハーケンを打つも岩が割れる。6月末の滑落を思い出すが、ハーケンを2か所打って、1段上がりルンゼを詰めあがった。
28mのザイルが丁度いっぱいでピッチを切る。ここは懸垂無しで、沢床に降りれる。
ゴルジュを突破します
4m滝
8m滝(カーソルあてて)

この先、またT字状の(1:2)二俣。高度計を見ると740m。左の沢はモッコ岳に詰めあがるらしい。ここを右に入る。またゴルジュになるが、ここも通過に
問題なし。ここを抜けると良いテン場がある。 この先の9mトヨ状は左岸を小さく巻く。この上790m付近にも整地済みのテン場有り。
”なーんだ、ゴルジュ以外は結構幕営可能な場所があるじゃん” と言った感じだ。
こんな物件いかがでしょう?
9mトヨ状(カーソルあてて)
790m付近整地済みのテン場

この先の795mに位置する(1:2)二俣で本流は大きく西に曲がる。時間は10時半。。。さらにすぐ先の(2:3)二俣を右に入ると、今までには無かった大岩が
目立つようになる。また二俣かと思ったら、右に生保内川最大の15m滝が掛かっていた。この滝はノーザイルで水流左を快適に上がって行けるが、
最後の1段が水流を横断すれば簡単だが、ちょっとリスキーなのでハーケン1枚打って長めのシュリンゲでセルフを取ってそのまま水流左突破した。
後続はシュリンゲを繋いで上がってきてもらう。
795m(1:2)二俣。ここで沢は西に屈曲する
15m滝(カーソルあてて)
15m滝最上部、水流横断はリスキーか(カーソルあてて)

ここからは、小滝交じりの癒し系。880m付近に最後のテン場がある。ここから先、このまま終わるのかと思いきや大滝は無いものの、ちょっと嫌らしめの
滝がポツポツ出てくる。ここから先は両岸草付になるので、滝を巻くのも難しいので、滝が登れないとかなり苦戦するはず。
10m滝はショルダーで逆相の最下段を上がるが上部もフリーだと気を使う。SACHさんとやますきーおさんは、苦戦する私を見て左岸を巻くが、その間に
なんとか直登できた。V+
癒し系の小滝が続きます
880m付近最後のテン場
10m滝(カーソルあてて)

この後、両岸草付ゴルジュになり、微妙な6mナメ滝、7m滝、8m滝が出てきて、その都度上からザイルを投げたので予想以上に時間が掛かる。
3級レベルの滝ががフリーで登れない人が多く居るとかなり時間がかかるので、計画を立てる上で注意したいところだ。

6mナメ
7m滝
最後の8m滝(カーソルあてて)

当初13時に朝日岳山頂に立つ予定だったが、既に13時半を回っていた。朝日岳まで詰めると志度内沢の下降点からどんどん離れることになるので、
1180m付近で本流遡行を打ち切り、左岸の窪を詰めて稜線に出る。出たところはほぼ部名垂沢の下降点。この下降点にはご丁寧に赤テープが
付けられている。2か所あり 朝日岳からの踏跡もこの下降点までは伸びている。
1180m付近で本流遡行終了。左岸の窪を詰める
藪漕ぎは有りません(奥は朝日岳)
部名垂沢下降点には赤テープ(カーソルあてて)

部名垂沢の下降点を過ぎると踏跡は消える。志度内沢の下降点をめざし1280mピークまで多少の藪漕ぎ。尾根は狭いので、尾根を外さなければ
ガスが掛かっていても上手く志度内沢に入れると思う。1280mピークは藪で覆われており、、薄い所を見つけて志度内沢に降りる。
笹藪を強引にかき分け沢形に入ると歩きやすくなる。本流筋と思われる沢筋が4m滝となって右岸から入るとナメ床が続き心地よい。
部名垂沢下降点から1280mピークへ移動
志度内沢下降開始(カーソルあてて)
4m滝で本流筋が出合う。

すると、突如として大滝が現れた! ここでザイル忘れが響く。30m一本では到底届かない。さらに悪いことに右岸も左岸も切り立っており、”何処まで
巻けばいいんだ・・・?”って感じ。多少なり様相が良い左岸をトラバースするとすぐにルンゼに阻まれる。下を覗いて見ると途中でピッチを切れる灌木は
無さそうだが、ここを降りないとトンデモナイ高巻きになるので、偵察かねて懸垂する。ザイルいっぱいまで降りている間に次の支点は見つからなかったが
ここからは草を掴みながら降りれるかな?とザイルを離し、少し降りてみると、直径3cm弱の灌木を発見。空中懸垂するわけではないので、これで十分。
メンバーにOKサインを出す。。。ザイルを繋ぎ代え、懸垂2回で滝下に降りれた。見上げると25mはある大滝だった。
大滝が現れ茫然・・・
左岸から懸垂で偵察(カーソルあてて)
25m大滝を降りる。

この先は狭いゴルジュ。ノーザイルで小滝を降りていく。すると、またしても大滝が現れる。落ち口に灌木があればまだ救われるが、4m程度戻らないと
灌木が無く、それだけで、30mザイルでは届かないなことが解る。ハーケン打つことも考えたが、落ち口から右岸を巻けそう。。。右岸い取りつくと、
草付きではあったが、ノーザイルで降りれた。この滝は下から見ると3段20m滝くらいかな・・・?
ゴルジュ内小滝
また大滝が現れる(カーソルあてて)
右岸から小さく巻いて降りると3段20m滝だった

狭いゴルジュは右岸の大ガレが現れたところで終了。荒れた様相のすぐ先でナメ床が残っていた。時間は16時半前。そろそろテン場を見つけたいところ
だが、この辺りに適地が無い。すると再びゴルジュになってしまい。7m滝を懸垂。その先でまた30mザイルでは厳しそうな滝を発見。
「途中ピッチ切れるかなぁ?」と左岸側垂直壁を懸垂してみるとザイルが届いていないのが見える。「センターをちゃんとあわせてくれる!」と上に声を掛け、
再度見てみると届いていない距離が1.5m程度くらいなので、最後は飛び降り覚悟で懸垂を続けたら、ロープの伸びでギリギリセーフだった。
滝の大きさは10mと言ったところだろう。
右岸大ガレでゴルジュは終了。(カーソルあてて)
7m滝を懸垂
ザイルが届くか解らないが懸垂(カーソルあてて)

このすぐ下にも7m程度の滝があり懸垂。これでようやく滝場が終わった模様だ。時間は17時ジャスト。概ね平凡な様相で、テン場を探すが絶好という
所が見つからない。そうこうしているうちに伏流になってしまう。薄暗くなっていくなか、水が流れ始めた所で目標としていた615m二俣に到着。
二俣上でまずまずの所を1か所見つけたが、もう少し先に整地済みの場所があるかもと思って下るが見つからず、先ほど見つけた場所に戻った。
時間は17時半。急いで軽く整地して薪を集め終わる頃には真っ暗に。ギリギリセーフと言った感じか・・・
7m滝の懸垂
伏流になってしまう
やっとまずまずの所を見つける(カーソルあてて)


三日目
もう、ここから先には滝という滝は無い。キノコモードで進むと、小グマを発見!右岸の窪に逃げたが、3人で笛を吹いたりして、ハンマー片手にその場を
通過すると、まだ窪にいて、3人とも確認。ようやく逃げてくれたが、親グマが出てこなくて助かった。緊張のあまり写真取る余裕なし。。。

この先、巨大ブナハリの群生を見つけ。宝くじで3億当たったような笑い声が沢に響く!!! 地形図で書かれた左岸林道は、ほぼ消失。堰堤を巻くのに
利用した程度。林道跡が右岸に移ると生保内川もすぐ。浅い河原状の生保内川を少し歩いて、基点に戻った。
615m二俣を出発します
こんなところもありますが・・・(カーソルあてて)
河原状を進んで生保内川へ(カーソルあてて)


P.S:生保内川は下流部は平凡ですが、キノコやイワナをGETしながら進めば、そんなに退屈な遡行にはならないと思います。出てくる滝は大きいものは有りませんが、
   両岸草付きの滝もあるので、初級者のみの遡行だと苦労すると思います。テン場はゴルジュ以外には点在してますので、初日は少なくとも魚止滝は越えておいた方が
   部名垂沢を下降するにしても、志度内沢を下降するにしても翌日の行動が楽になるはず。ザイルは志度内沢下降の場合は30m2本か50m1本を用意してください。

遡行図(クリックして)


沢登りトップへ     その空の下で。。。トップへ


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