2012年10月27日 越後 水無川 笹花沢→高倉沢下降

メンバー:RURUさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m×2本、カム 靴:アクアステルス
地形図:八海山
遡行図、概念図はこちら

水無川デトノアイソメまで歩いたことがある人なら、本流左岸にナメが続き、いかにも遡行意欲を掻き立てる沢を目にするはずだ。これが笹花沢。
アプローチしやすい沢だけに多くの遡行者を迎えていると思いきや、終了点から道は無く、下山に難があるという事で熟達者の遡行記録が多い。
その下山だが、車2台あれば八海山側に降りれるが、車1台の場合は隣の高倉沢を下降するしかない。今回は高倉沢を下降で計画した。

アプローチ:フィット
18:00自宅発→栃木IC→20:40石打塩沢PA、5:05発→5:18六日町IC→5:50水無川森林公園P
6:07森林公園基点P発→7:07笹花沢出合→8:55(3:2)二俣→12:05稜線→12:26下降開始→15:15高倉沢本流→17:25林道→17:45基点P

2011年夏の新潟豪雨の影響か、いつも車を停めていた林道沿いの駐車スペースは工事中で、すぐ上の広大な駐車スペースに車を停める。
トイレ有。softbank携帯は繋がらず。
ここから先の水無川右岸林道は大規模な崩壊は無いものの、かなり荒れていたる。10年前は十二平まで車が入れたが、林道が整備されることは、
このご時世、期待薄でしょう。その十二平は草で覆われていた・・・。。。ここで沢に降り、巨大堰堤を抜けるとすぐに左岸から笹花沢が入る。
森林公園駐車スペース(カーソルあてて)
水無川入り口とも言える大堰堤(カーソルあてて)
笹花沢出合

笹花沢に入るとすぐに2段12mナメ。早々に遡行感度がヒートアップ。水流左壁を快適に直登。RURUさんもこの1年ジムでトレーニングされた様で
難無く登ってくる。そのまま岩盤が発達したまま8mトヨ状→2段10mナメ→7mナメと続き笹花沢のハイライトはいきなりやってくる。
笹花沢最初の2段12m(カーソルあてて)
8mトヨ状ナメ(カーソルあてて)
2段10mナメ

この先、一旦ナメ床が埋まるがすぐに2段6mナメから3段15mナメに繋がる。フェルトソールのRURUさんは、滝の大きさに右岸草付を巻くが、アクアを
履いた私は水流右壁を快適に直登。これまでのナメ滝はV−レベルですべて快適に直登可能。滝上はナメ床が続き序盤のナメ床帯は終了する。
インゼルを超えると右岸に、笹花沢で唯一見つけたテン場適地がある。(注意すれば、他にもあるかも・・・)
2段6mナメ
3段15mナメ (カーソルあてて)
ナメ床が終了(カーソルあてて)

ここで、ナメも終わりかと思うと、見事な9m滝が登場。沢に陽が当たり見事に映える。左右どちらからでも登れそうだが、より簡単な左を選択して直登。
この滝上もナメ床が続く。ここを快適に進むと、笹花沢最大の15m滝が現れる。水流右から取りつく。途中から水流横断しようとしたが、滑ってかなり
リスキーだったので、慎重に戻ってそのまま水流右から滝上に上がった。V
9m滝(カーソルあてて)
ナメ床が続きます(カーソルあてて)
笹花沢最大15m(カーソルあてて)

15m滝上でナメ床が終了。しばらく進むと800mに位置する二俣に到着。水量比は(3:2)。ここは左に入る。左俣に入ってもゴーロが続く。水流は少なくなり
時によっては伏流になっているかもしれない。しばらく進むと、960m付近で再び二俣。今まで上部に見えていたスラブの方に進んでいくのかと思いきや、
そのスラブに続く右俣は涸れ沢になっており、水流は左俣のみ。地形図で確認すると、ここはやはり左俣で良いようだ。水量はここから少し増えてくる。
800m二俣(左に入る)
一旦水流は消えかかる
960m付近二俣(ここも左に入る)

左に入ると、4m滝を始めとし、5mクラスの滝が間髪入れずに続く連瀑帯に入る。どれもノーザイルで登れるものばかり。ちょっと嫌らしいと思えば草付きで
小さく巻けば問題ないはず。この長い連瀑帯を丁寧に超えていくと10mのハング滝にぶつかる。この滝、下からでは解りにくいが、6段70mの大滝で、
最下部のハング部を右岸から小さく巻き、残り5段は快適に直登できる。振り返れば、ブナツルネ沢を抱えた越後駒ケ岳が全面紅葉しており美しい。
左に入って最初の4m滝から連瀑帯へ(カーソルあてて)
6段70m滝最下段ハング(カーソルあてると4段目)
6段大滝最上段(カーソルあてて)

大滝上は両岸草付きのV字谷形状に変わる。多段7m滝を超え、進んで行くと、最狭部1m弱のミニゴルジュになる出口の3m滝を飛沫を浴びながら超える
が、RURUさんは苦労していた様だ。
大滝上の様相
7m多段滝
最狭部1m弱のゴルジュ
ゴルジュ出口の3m滝(カーソルあてて)

このゴルジュ上も草付きのV字谷だが、稜線が見え次第に開けてくる。水が涸れ、沢型を忠実に詰めていくと最後はV−の快適スラブの登りとなり
藪漕ぎ無しで笹花沢と高倉沢を別ける尾根に12時過ぎに到着する。
源頭部の様相(カーソルあてて)
最後のスラブ登り(カーソルあてて)
笹花沢/高倉沢分岐尾根(奥は入道岳)

見晴しは良い尾根だが、終了点から高倉沢への下降ポイントは灌木等が邪魔して良く解らない。地形図を見ると、1610m位までこの尾根を上がれば楽に
下降出来そうだが、尾根に道は無く、密藪ではないが若干ウザい。今回30mザイル2本持って来たので、"どこからでも降りれるだろう"と、記録に書きやすい
1565mピークを過ぎて鞍部付近にある白い立枯れた木の所から下降開始する。

少し、藪を漕ぐと草付きから大スラブが見えてくる。ちょっと傾斜が急なので、草付きを南側にトラバースして、灌木のついた小尾根から30mザイル一本で
懸垂。さらに懸垂終了点からザイルを2本繋いで懸垂。ここからノーザイルでスラブを降りていくが、フェルトソールのRURUさんはお尻を付きながら下りて
いく。。。確かにフェルトだと渋い下降になると思う。RURUさんはかなり頑張った!雨が降りそうな状況ではこのスラブ下降は勧められないかも。
白い立ち枯れた木。ここから下降開始
すぐに草付からスラブに(カーソルあてて)
2回目の懸垂下降(カーソルあてて)

スラブから沢型になるが、上手くルートを探せば懸垂ぜずに済む。再び広大なスラブが広がった所で、彼女がたしかアプローチシューズを持参していた
のを思い出し、履き替えてもらったら、「全然違う!」と喜んでいた。

スラブ右岸の沢型近くを下降してくと、また急傾斜。灌木使って懸垂かな?と、辺りを見回すと、何と残置シュリンゲを発見!なんか安物っぽいが、これを
利用して30m懸垂。降り切った所からまだ急傾斜で嫌らしい。幸いナイフブレードがガッチリ打ち込め、さらに30m懸垂する。ここから下降&上流側へ
トラバースで、ようやく1110m付近の高倉沢に降りれた。稜線から2時間50分もかかった。時間は15時15分。。。
3回目の30m懸垂(カーソルあてて)
4回目の30m懸垂(カーソルあてて)
高倉沢にやっと降り立つ(カーソルあてて)

まぁ、ここから後は平凡な様相を歩くだけ・・・と思っていたのだが、確かにザイルは出すことは無かったが、下流部は両岸が切り立ち、大釜を持った小滝
があり、自分は1回。RURUさんは3回泳ぐ羽目に・・・

刻々と時間が過ぎる中、水無川本流まで、1,2分という所でヘッデン装着。真っ暗になる前に水無川本流を横断出来たが、林道へ上がるルートは良く
解らず。そのまま藪の薄い所を草木を掴みながら上がったら、コンクリート壁にぶつかるものの、すぐ脇に林道に上がれる土手を見つけて、林道に上が
れた。後は林道を歩くだけ、18時前には着いたものの、沢中でヘッデンになったのでギリギリセーフというよりはギリギリアウトという感じか・・・。。。
高倉沢。10月末なのにまだ残る雪渓
高倉沢2段5m
釜に浸かることも(カーソルあてて)

P.S:笹花沢は明るく快適な沢です。中流部から上は水が少ないので、雨の次の日なんか良いかも。他のWEB記録も見たところ、高倉沢下降ルートの場合、
   笹花沢終了点から駐車場まで5時間半は見ておいた方が良いでしょう。一方、八海山側新開道ルートの場合、2時間程度で稜線登山道まで出れる様なので、
   計画を立てるときは参考にしてください。高倉沢は雪渓の状態にもよりますが、テン場はいくらでもありますので、1泊するのも良いかも。
   ザイルは遡行中は30m1本で足りますが、高倉沢に降りる事を考えると30m2本は持って行った方が良いでしょう。靴はアクアステルスがお勧め。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)



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