2014年5月24,25日 南ア 雨畑川 遠沢→西河内右俣下降
メンバー:SACHさん、ひろた
装備、ザイル8mm×40m 靴:アクアステルス
地形図:七面山、梅ケ島、上河内岳、畑薙湖
遡行図・概念図はこちら
自宅からアプローチが遠い雨畑川流域。登山大系ではいくつか遡行対象の沢が紹介されているが、井川雨畑林道は寸断された状態がここ数年続いており、山梨県側からだと
長畑の先にある遠沢ゲートまで車が入れる様で、ここを基点に、一番取り付きやすい遠沢(えんさわ)→西河内沢(にしごうちさわ)下降を計画してみた。
雨畑地区といえば2014年2月の記録的大雪で町が孤立してしまった場所だが、WEB上にアップされた七面山から撮影した1枚の写真で雪が沢筋に見られなかったので問題なし・・・
と実行に移したが・・・
アプローチ:フィット
17:03自宅発→18:40久喜IC→19:53新狭山駅→20:10入間IC→21:21甲府南→22:05道の駅富士川クラフトパーク、5:45道の駅発→6:35遠沢ゲート
初日
7:01遠沢ゲート発→7:04遠沢橋→10:07二俣→14:45 1640m幕営P 二日目
6:28幕営地発→6:59 1740m(3:1)二俣→8:23稜線→8:40青笹山→9:45 2042m西河内沢下降開始→13:22最終堰堤→13:46西河内沢橋 →14:32遠沢ゲート着
県道37号から雨畑側沿いを走る井川雨畑林道は前面舗装。Softbank携帯だと老平までしか電波は届かないが、docomoだと稲又谷くらいまで通じる。
随所に小さな落石があるが、2WDフィットで特に問題なく最奥の遠沢ゲートに着く。駐車スペースは3台程度あり、落石の心配もない。このゲートから100m
も進めばすぐ遠沢橋に到着。橋には”猿沢”と書いてあり、のちに”遠沢”になったものと思われる。。。橋下はゴルジュになっており、左岸側からちょっと
あがってトラバース。橋から見える一つ目の滝上にシュリンゲを繋いで降りて入渓。
この先には淵を持った6m滝があったが、腰上まで浸かって&シャワーで突破する。これを超えると橋から見えたゴルジュは終了。まぁ濡れたくなければ、
橋から高巻いてここで入渓するのも可能だ。ここからは4m程度の小滝がいくつか出てくるが問題ない。魚が居そうな様相ではあるが、魚影は走らない。
大釜を持つ3m滝を左から小さく巻き、その先の2段8m滝も水流右から簡単に越える。その先には顕著な10m滝が現れるが、水流左から落ち口に向
かってバンドがうまい具合に伸びており、フリーで登れる。この先は小滝を交える概ね平凡な様相が続く。
4m滝を越えると早くも大きな雪渓が現れ、顕著な左岸枝沢が入る。最初、ここが二俣かと思ったが地形図で確認すると1090mで出合う左岸枝沢と確認。
ここに横たわる雪渓は潜るが、この先にも断続的に雪渓が続き、上を歩いて進んでいく。倒木も多く、さらに今年の大雪で折れた木が行く手を塞ぎ、
かなりうるさい。すると、1135m二俣に到着。水量比は(3:1)で左の方が多い。この二俣には良いテン場はない。左俣に入り竿を出してみると、ちびっこ
アマゴが1匹掛かったのみでその後アタリなし。倒木もうるさく竿を出しながらの遡行は難儀・・・おとなしく竿をしまった。
大岩4m滝の下で食べれそうなキノコを発見!GETする。この滝上で分厚い雪渓が現れ右岸巻き・・・。この先、2段6m滝で始まる連瀑帯。楽しいところだ
が、最後の4条7m滝は登れず、小さく左岸を巻いて7m懸垂で沢床に降りる。
少し平凡な様相を進んでいくと、何やら悪い雰囲気を醸し出す5m滝・・・。取りつけず右岸の窪から小尾根に上がり超えると、見事な10m滝が現れる。
残念ながらこの滝も直登は不可能で、右岸枝沢からまた、小尾根に上がって滝上に出た。滝上はゴルジュになっており、4m滝は水流右から超え、その先
に5m、10mと連瀑になっていたが、幸い左岸がバンドになっており、滝を見ながら小さく巻くことができた。
ここで、平凡な様相になるので、再び竿を出すが、アタリどころか魚影すら見ないので断念。。。久々に表れる滝らしい5m滝を超えると8m幅広滝となって、
1450mで左岸枝沢が入る。この先、沢は荒れた様相になる。テン場もなかなか見つからないまま高度を上げていく。
6m岩潜り滝(登れなかったが)、4m幅広滝を超えると、またまた雪渓が広がる。時間は14時を回った所なので、焦る必要はないが、周辺の様相を見る限り
あまり期待はできない感じ。雪渓を超えたところで、概ね平な大岩を見つけたので、「最悪ここにしよう」と荷物をおいて、上流に偵察に出向くが、本流は
1640m地点で、門のようなゴルジュになっており、さらにその下には大雪渓。。。とてもじゃないけど近づけない。ここから右岸に伸びる枝沢に期待をよせ、
上がっていくが、良いところは見つからず。20分以上は探しただろうか・・・、心配したSACHさんが、1640m地点まで上がってきてくれ、丁度その二俣の所で
「ここを整地すれば何とかなりそう」と言っている。大岩が一つ鎮座しており、邪魔だったが、二人ががりで退かすことに成功。さらに20分くらい整地作業を
進め、二人分のスペースが出来上がった!。薪は集める必要が無いくらい豊富。東の空を見れば、富士山も顔を出しており、まずまずのロケーションだ!
二日目
1640mから始まるゴルジュの高巻きでスタートする。このゴルジュは入り口の7m、次の4m滝まではテン場から見えるのだが、その先は雪渓で埋まって
おり、どうなっているのかは解らない。ゴルジュ入り口にも雪渓があり、最初の7m滝は近づくことすら出来ないが、直登は難しく見える。ゴルジュ全長は
200m程度だが、雪渓と滝に不安を覚え、残念ながらゴルジュ全体を右岸巻きで越えることにした。
沢床におり、小滝を2つほど越えれば、1740m二俣になる水量比は(3:1)で左の方が多い。左に進路をとると、簡単な小滝が2、3出てきて、雪渓が沢を埋
めるようになる。雪渓上を歩き、最後の二俣は左を選択して、詰めていく。水は結構上まで涸れない。
沢型がなくなれば、稜線までは割りとすぐ。出発から2時間掛からず稜線に到着。時間があったので、荷物をデポして青笹山を往復してくる。道は不明瞭な
ところも多いが赤テープは散見され特に問題はない。青笹山は看板だけで展望はなかった。
さて、西河内沢右俣への下降であるが、地形図に記載のある2042m鞍部からの本流筋からの下降で計画。帰宅後、1385mで出合う左岸枝沢を利用して
下降すると、あっという間・・・という情報を知ったが、本流下降の方が圧倒的に充実するので、時間が押してなければ、本流下降をお勧めする。
遠沢遡行終了点からダラダラな下りで、2042m鞍部に到着。ここから登りが始まるので、間違うことはないだろう。藪漕ぎ無しで、下っていくとすぐに水流が
出てくるが、すぐに雪渓も出てくる。アイゼンは無いが、雪渓に十分な厚みさえあれば雪自体はやわらかいので、下降はむしろ容易といって良い。何箇所
か雪渓に切れ目がある度にビビルが、幸い上手く繋いで下降することが出来た。
この雪渓が終了すると、左岸は大崩壊地となる。地形図に開催されても良いくらいの大規模なものであるが、地図に記載は無く、最近崩壊したと思われ
る。この崩壊地を見送ると3m滝が出てきて右岸から懸垂。さらにこの下で、悪い雪渓が出てきたが、上手い具合に右岸から小さく巻けてホッとする。
さらに6m滝を懸垂。ちなみに残置類は一切無かったし、我々もザイルは潅木に直接掛けたので残置はゼロだ。この辺りから両岸が立ってくるが、
7m程度の滝上に立つと、いつ崩壊してもおかしくない様な雪渓が100m以上続いていた。ここは残念ながら左岸の高巻きを選択する。見た感じ大高巻き
になるのは必至で、水も汲んでおく。ただ、この高巻きも悪く、すぐにザレ窪に進路を阻まれ、そこを微妙なヘツリで下降して、ザレ窪を四つん這いで上が
って、沢床から70m以上の高度でトラバースを掛ける。。。SACHさんが、「尾根まで上がっちゃった方が良いのでは」というが、確かにそういう気持ちも解るが、
ここは調査遡行の兼ね合いもあるため、トラバース可能なギリギリの高沢をキープしながら移動。沢への下降点を探り、ザレと小尾根のミックスで、20m
懸垂も途中1回交え、約45分の大高巻きで5m滝下で沢床に降りる。
この先も滝は続く。小滝をクライムダウンした後、6m滝を懸垂すると、また悪い雪渓が口を開けていた。右岸は急壁で2本の枝沢を落とし絶望的だが、
左岸は雪渓から1〜2mの高さでトラバースすることが出来たので一安心。だがすぐ先に15m強の滝が落ちている様だ。ここは巻いたほうが早いと考え
左岸を巻くと、見事な18m滝だった。
18m滝の先にも雪渓が残っていたが、ここは突破可能。小滝を降りていくと、6mCS、7m滝と二つの滝が連続。ここも小さく左岸を巻いて降りる。すると
左岸から1385mで出合う枝沢が合流。顕著な沢筋であるが、水量は少なくここを下降すれば右俣本流下降よりも圧倒的に楽そうだ。
ここから、ゴルジュっぽくなるが、幸い滝は無く抜けると広河原。完全に安全圏に入ったといえる。少し進むと今度は1300mで出合う左岸枝沢。こちらも
顕著な枝沢であるが、水量は少ない。ここで右岸に赤テープが現れるが、この先少し行けば最終堰堤が出現。割と奥まで堰堤工事が進んだようだ。
ここからは重機が通った工事用道路が沢を縫うように付けられており、その途中で左俣と合流。左俣も面白そうだ。。。井川雨畑林道に出るところにゲート
あり。仮に井川雨畑林道が前線通行可能になっても、ここで車を停める事になる。井川雨畑林道は路面は問題ないが随所で壁が崩壊しており、落石で
山積みになっているところもある。この状況で、このご時勢・・・全線開通はもうならないかもしれない。。。遠沢橋手前、歩いて12分くらいの位置で携帯
通話可能ポイントが1か所ある(看板有)、Docomoだけだろうが、緊急時に利用できるので覚えておくとよいだろう
P.S:遠沢は倒木の多い荒れた感じの沢だが、それなりに楽しめた。雪渓が無ければもっと充実した遡行ができるだろう。今年の大雪の影響があったが、
通常5月下旬になれば遡行に影響を与えないかも。テン場は少ないので、平らな場所を見つけての整地作業が必要でしょう。
一方、西河内沢右俣は序盤は堰堤だらけだが滝も多く若干難度が上がり、こちらを遡行するのも面白いかもしれない。ただ、こちらもテン場は少ないので注意。
ザイル30mでも足りると思いますが、40m持っていくと安心です。ちなみに雨畑川流域の沢はヒルは少ないと聞いていて、今回は被害ゼロだった。
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