2014年8月2,3日 蔵王 澄川本流

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×40m 、カム 靴:アクアステルス
地形図:蔵王山、遠刈田
遡行図・概念図はこちら

8月に入りアブが気になるところ。。。天気予報をにらみ、いつかは・・・と思っていた蔵王東面、澄川本流を計画。澄川流域では三階滝沢の記録はWEBでかなり見かけるが、
なぜか本流遡行の記録が見つからない。登山大系に、『核心は不動滝に始まり三滝上流で終わる・・・。不動滝は左岸から高巻くが、続く深い淵とゴルジュの突破には
渇水期でも苦労させられる』とあるのが、遡行者を遠ざけているのか・・・?
左岸にはエコーラインが通じており、上流部にはショートカットできる左岸支流がいくつかあるが、今回は最後まで本流通しで行ってみることにした。

19:23石橋駅発→2025矢板IC→22:05国見SA、5:15同発→5:27白石IC→6:35杉ヶ峰登山口(チャリデポ)→7:05不動滝観瀑台駐車場
初日: 7:23出発→7:55澄川入渓→8:25不動滝下→10:45新滝沢出合→15:45 1000m付近行動終了
二日目: 6:15出発→7:25三滝下→8:30井戸沢出合→(澄川本流遡行)12:40稜線登山道→13:00杉ヶ峰→13:36エコーライン着(登山口)

蔵王エコーラインと平行に伸びている澄川の遡行は車1台でのアプローチの場合、自転車を杉ヶ峰登山口にデポしておくと便利。入渓地点は三階ノ滝の
観瀑台から伸びる遊歩道で澄川に降りるのが楽だが、三階滝沢もいつかは遡行するため、今回は少し上流に位置する不動滝観瀑台から澄川に降りて
いく事にした。不動滝観瀑台の駐車スペースはエコーラインを挟んだ反対側にありトイレもある。

残念ながら不動滝観瀑台から澄川に降りる遊歩道が無いため、観瀑台脇から崖の10m空中懸垂でスタートとなる。懸垂はこの1箇所だけで、今回の
遡行でザイルを出したのはこの1回だけだった。澄川本流に下り、早速竿を出してみるが、魚影も無く当たりも無い。
不動滝観瀑台(カーソルあてて)
空中懸垂でスタート
すぐに竿を出してみる(カーソルあてて)

竿を持ったまま進むと不動滝。観瀑台の看板には落差54mとあった。"豪快"という言葉がぴったりなこの滝は直登は絶望的で左岸から高幕く。
ショートカットしすぎた嫌いもあり、踏跡は見つけられなかったが、不動滝落ち口ジャストに出れた。
不動滝(クリックして)
左岸を巻きます
落ち口ジャストに出ました(カーソルあてて)

不動滝上はゴルジュ風で、すぐに大釜を持った9m滝。これは水流右から簡単に越えられる。その次も大釜を持った2段3mで左壁を経つって突破。岩は
とても滑り易いので注意。この上の2条4mを超えると、1ポイント泳ぎで突破する淵になる。登山大系に『不動滝は左岸から高巻くが、続く深い淵とゴルジュの
突破には渇水期でも苦労させられる』とある部分は、今では、釜も埋まったのか、さらに道具の進歩で増水さえしなければ容易に突破できる様になった・・・
不動滝上の9m滝(カーソルあてて)
2段3mは左から(カーソルあてて)
この先一瞬だけ泳ぎ。

ここで、ゴルジュ風の様相が終わり、視界が開け平凡な様相となる。再び竿を出しながら進むとイワナが1匹かかったので気を良くして進む。平凡な
様相のまま水量比(2:1)で新滝沢出合に到着。左の本流を進むと巨岩帯になる。
視界が開ける
新滝沢出合
この先巨岩帯へ(カーソルあてて)

この先、左岸は見事な大側壁が望める。沢床からは離れているので威圧感は無く、澄川のひとつのハイライトとして楽しめるはずだ。巨岩帯で構成される
滝を超えるのは難しくは無いが結構面倒。さらに、濡れた岩はツルツルに滑るが、乾いた岩もアクアのグリップが効かず滑る所が多々あるので、
かなり歩きにくい。苦労しながら進むと、今度は右岸に大側壁が飛び込んでくる。こちらもなかなか凄い光景!
左岸の大側壁
巨岩4m滝
今度は右岸の大側壁

左岸の大側壁が終わると、いったん巨岩帯が終了。河原状になる。良いテン場になる場所で、本流通しで最後まで詰めず、左岸支流の井戸沢、金吹沢を
詰めてショートカットするなら、ここで幕営しても翌日の行動も支障をきたさないはずだ。ここまで、超スローペースで来たが時間は14時半を少し超えた
程度。さらに先に進むことにした。
岩は滑りやすいです
振り返って左岸大側壁を見る
テン場にお勧めの広河原状。

この先右岸大崩壊地を見るとまた、巨岩帯に入る。沢床の傾斜は緩いが、進むのがかったるい。2段8m巨岩滝も全く手が出ず右岸巻き。そろそろ
テン場を見つけようとしたが、すぐには見つからず、1000m付近で左岸にわずかな河原状を見つけそこの草付を整地して。行動終了とした。テントを出すと
急に夕立・・・、20分ほどはかなり強烈な雨で、全身ずぶ濡れになってしまう。幸い45分くらいで雨は止み、薪を集める。濡れたものしかなかったがメタで
一発着火。釣れたイワナも焼けて満足、満足!
右岸大崩壊地
再び巨岩帯突入&、2段8m巨岩滝(カーソルあてて)
この少し先左岸に幕営。(カーソルあてて)


二日目
昨日は予定より進めなかったので早出する。概ね平凡な様相を進む。東面の沢なので、日の差込みが早いので気持ちが良い。しばらく進むと、右岸土壁
から湧水が幾筋も流れ落ちる所があり、その先にようやく滝らしい6m滝が出てくる。これは簡単に右から巻ける。
テン場を出発します(カーソルあてて)
右岸土壁から湧水
6m滝

淵を左からへつり、左岸にガレを見ると2条5m滝が現れる。これも右から巻こうとすると突如25m級の大滝が視界に飛び込んで来た。不動滝に負けず
豪快な滝で、三滝(みたき)と呼ばれるそうだ。ここで、右岸から股窪沢が30mくらいの滝で出合っている。こちらは水量が少ないのがチョット残念。三滝は
登れず2条5m滝を上がった所からそのまま左岸を高巻くのが見た感じ一般的かも・・・。今回は股窪沢より手前から右岸の高巻きでTRYしたが側壁が
意外と伸びており、沢床から50m以上巻き上げられようやく三滝に向かってトラバースが出来た。右岸巻きの良いところは25m滝上にさらに二つの滝が
控えているのが見え、つまり滝が3つあるから"三滝"と呼ばれる事をここで知る事になる。
2条5m滝から三滝へ(クリックして)
三滝最下段25m(カーソルあてて)
右岸から巻くとさらに奥の滝が見える(カーソルあてて)

下から見た三滝の際下段25m滝の落ち口に降り立つと、2段目は5m滝、3段目は15m滝となっていた。2段目は左から容易。3段目15mも水流右から簡単
に直登出来るのがうれしい。

三滝を登り終えるとナメ床になり左岸から井戸沢が入る。本流を選択すると。すぐ先で登山道が横断。早く切り上げたいならここで終了すれば簡単に
エコーラインに出れる。すると、二人の釣師を発見。釣り課を聞くと15cm以下のが2匹との事だった。先に行かせてもらう。
三滝の中段と上段の滝(カーソルあてて)
井戸沢出合
登山道が横断

ここからは平凡な様相が延々続く・・・ただ、相変わらず岩は乾いていても滑るので要注意。高度計がどーもかなり狂っていたようで、なかなか現在地を
把握しずらかったが、ショートカットするなら金吹沢を使ったほうが水流も豊富でよさそう。峠ノ沢はしょぼくて藪沢のイメージ。。。地形図を見ると本流の
最後は湿原に出るようなので、時間は掛かるが調査遡行かねて本流通しで進んでいく。
3条小滝
魚野川で見るような小滝
金吹沢出合

滝は皆無。湿原はどこだ!?と思っていたら根曲り竹の藪に沢が覆われるようになってしまった・・・。。。そのまま湿原には出会えずそのまま藪漕ぎと
なりキッチリ40分格闘して稜線登山道に出た。稜線登山道は明瞭でエコーラインから多くの登山者が入っている模様。杉ヶ峰を経由して休憩無しで55分で
エコーラインに到着。
テン場適地もあり
源頭の様相(カーソルあてて)
癒し系の登山道

デポしたチャリに跨り、エコーラインを下っていくが、ロードレーサーでもないのに自動車を煽れるほどスピードが出る。ピッタリ20分で不動滝観瀑台駐車場に
戻れる。
途中、濁沢観瀑台に立ち寄るが、火山の影響まともに受けた荒沢で、登山大系に記されているものの、ちょっとこちらは遠慮したい様相の沢だった・・・
デポしたチャリでエコーラインを下ります
20分で到着♪
隣の濁川本流を覗く(カーソルあてて)

P.S:澄川本流は変化に乏しい印象はあるが、二つの大滝を擁し、両岸の大側壁の中を流れる様は、蔵王屈指の沢といってよいでしょう。
   全体的に明るい沢で晴れた日の遡行がお勧め、竿を出さず、本流を最後まで詰めなければ日帰り遡行も可能です。幕営適地は少なく、
   巨岩帯間の広河原がBEST。ザイルは30m1本で足りると思います。とにかく岩は滑りやすいのでフェルトソールの方が歩きやすいかな?

澄川遡行図(クリックして)
澄川概念図(クリックして)


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