2014年9月6,7日 栗子山 烏川 滑谷沢右俣

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.5 靴:アクアステルス
地形図:栗子山
遡行図・概念図はこちら

9月初頭。すでに太平洋高気圧は離れ、北からの移動性高気圧が東北にかかり、今回は福島/山形県境に位置する栗子山南東面の烏川 滑谷沢(からすがわ なめやさわ)を
狙う。この沢、数年前雑誌に掲載されメジャーになったらしい。自分は偶々ネット見つけたのだが、WEBに多く記録が掲載されている。癒し系の沢でイワナ焼いてる写真があった
ので釣りメインで行ってみることに。

18:40石橋駅発→19:45矢板IC→20:55安達太良IC、5:00同発→5:25福島飯坂IC→5:45東栗子トンネル基点P
初日: 6:15基点発→7:15烏川本流入渓→10:00滑谷沢出合→13:27二俣→15:50奥ノ二俣(行動終了)
二日目: 6:45出発→9:35栗子山山頂→9:55鞍部から下降開始→11:35滑谷沢左俣出合(725m)→12:45林道→14:00東栗子トンネル基点P着


滑谷沢の基点は、福島飯坂ICを降り、R13の東栗子トンネル入口脇にある駐車スペースになる。駐車スペースは十分広いが携帯は繋がらずトイレも
ない。トラックもバンバン走っているので、ここでの仮眠はきついだろう。ここから道標のない二ツ小屋隧道に入る。明治時代に作られた道らしいが、
滑谷沢の存在を知らなければ気付きもしない所だ。現在は栗子トンネルの工事が行われているが通行は可能。二ツ小屋トンネルはいかにも出そうで、
”それ系の紹介” もされているトンネルだ。入口から出口が見えるのが幸い。トンネル内で、SACHさんに「写真撮って!」というが、はっきり「イヤです!」
断られた。トンネルを抜けて100mくらい進んだところから烏川本流に下りる。9月に入ったからかアブは皆無だ。
基点の東栗子トンネル福島県側(カーソルあてて)
出口が見えてホッとする二ツ小屋トンネル
トンネル抜けてすぐ本流に降ります

烏川本流は概ね河原状で下降になんら問題はない。魚影もあるが先に見つかってしまい、釣れる雰囲気は全く無い。滑谷沢まで2時間45分も掛かって
しまったが、サクサク歩けば2時間もあれば到着するだろう。沢幅も十分でもちろん間違うはずもない。
烏川本流を下る-1
烏川本流を下る-2
滑谷沢出合

滑谷沢に入り早速竿を出してみると、後続パーティが追いついてくる。茨城から来たとの事、気を使って「少し休憩して、後から行きます」と言ってくれる。
ありがたい。滑谷沢に入って650mの二俣までは概ね平凡。出てくる滝も小滝ばかり。滑床も混じり結構気持ちいい。
ナメ床も点在
4m滝
竿だし遡行

二俣近くまで来ると、再び後続パーティが現れる。先ほどの方かと思ったが、違ったようで”銀座山の会”の方々との事。彼らは左俣を遡行するらしい。
先に行ってもらった。

ここから少し進むと、二俣のチョット手前右岸に整地済み、薪集め済みの極上のテン場を発見する。7〜8人くらいまでは泊まれそうな広さでブルーシート
まで置いてある。もはや”沢の帝国ホテル”状態だ!。650m二俣で休憩していた銀座山の会の方々に挨拶し、右俣に入る。時間は13時半。
650m二俣手前右岸の極上物件
650m二俣
右俣に入る。

すぐに淵状になり、小滝ながら滝も増えてくる。難しい滝は全く無いが、岩が滑りやすいので注意。滑床も点在し、楽しく遡行できるだろう。幕営適地は随所
にあるが、整地する手間は掛かりそう。
右俣様相-1 まぁ無理に突っ込む必要もない
右俣様相-2 6m滝
右俣様相-3 幅広ナメ

地形図で十字峡っぽく見える760m地点は左岸、右岸の順に枝沢が入る。ここには極上のテン場は無かった。この先でナメ床とナメ小滝が連続する区間と
なり、遡行感度がMAXになる。おそらくこの辺りが右俣のハイライトだろう。
760m付近左岸枝沢と右岸の枝沢(カーソルあてて)
滑谷沢では割と大きな7m滝
滑谷沢のハイライトになります(カーソルあてて)

沢床が平凡になると、奥の二俣も近い。16時前に830m奥の二俣到着。水量比は(2:1)で左の方が多い。ここにも薪付の極上のテン場がある。7,8人
くらいは余裕のスペースだ。もしここに先行パーティーが居ても。100m戻れば整地は若干必要かもしれないがテン場適地が広がっているので、ここを
目指してあわてる必要は無い。。。今日は一番乗りだったようで、ここで行動終了とした。滑谷沢出合いで会った茨城パーティーは、ここまで来なかったが、
どこで幕営したのだろう・・・?
平凡な様相に(ここも幕営可能)
奥の二俣
極上のテン場


二日目
夜中から降り始めた雨が朝方になっても止まない。釣りも焚き火も出来ずテントの中で朝食をとるこんなこと何年振りだろう・・・。奥の二俣を左に進み、
雨が止んだのは出発して間も無くのことだった。

概ね平凡な様相が続く。テン場適地はまだあるが極上の整地済みのところは無い。しばらく進むと890mに位置する(1:1)二俣。右俣は4mの滝で出合って
いる。ここは左に入る。少し先で3m魚止め滝。水流右に取り付いて見るもザレザレで不可能。小さく左岸を巻いた。
ナメの様相は続きます
890mに位置する(1:1)
魚止めの3m滝(登れない)

滝上は滑床もあるが、両岸の草もせり出し、もはや源頭の様相。さらに進むとまた二俣になり本流筋の右沢には細いながらも源頭にしては珍しいナメ滝が
掛かっていた。下から見ると7、8mかと思ったが、さらに上に伸び、15mナメ滝くらいの大きさだった。ナメ滝の傾斜はそれほどでもなく、水線を直登。
朝まで雨だった事も在るだろうが水流が消えるとすぐに沢形も消失。笹薮ではなく潅木交じりの藪といった感じ。蜜ではないので、進むのにそれほど苦労
は無い。磁石をにらみ、上に登っていくと、薄い踏跡を発見。これを進むと僅かながらの開けたところに出、ここで栗子山三角点を発見する。山名を示す
看板は何一つ無かった。
15mナメを快適に登る
こんな感じの藪漕ぎです
栗子山山頂

水飲み休憩程度で下山開始。そのルートだが、滑谷沢左俣に725m付近で出合う支流を利用した。(概念図参照の事)。山頂から伸びる笹が覆う薄い踏み跡
をたどる。ところどころ赤テープがあり、一瞬だけ視界が開けると鞍部が見え、大体の下降ポイントが解る。少し進んで緑色のテープがぶら下がっている
ところから下降開始。
視界が開けるのは一瞬だけの稜線
ここから半ば強引に加工する
沢形に出る

この沢筋は全体的に平凡で滝も3,4m程度でノーザイルで降りれるものばかり。周辺のブナ林はきれいだが下降専用の沢筋と言っていいだろう。
750mで左から顕著な沢筋(3:2で下降した沢の方が多かった)が合流すると、渓相は大きく変化し、見事な滑床が滑谷沢左俣合流地点まで続いていた。
下降した沢の様相(カーソルあてて)
750mの(3:2)二俣。左から降りてくる
最後はナメ床が続きます(カーソルあてて)

滑谷沢左俣合流地点の左俣本流は4m滝を落としており、偶々その滝を超えた先行パーティーの姿が視界に入る。4m滝は水流左を登るが若干渋い。
登った後トラロープの存在に気がついたが、このトラロープも短いもので、おそらく水流左壁が一部崩れ登りにくくなったものと思われる。

左俣本流も全体的に平凡な河原状。右岸にまた絶好のテン場があった。40分ほど進むと、先行3人パーティーに追いつき(この方々も茨城から来たらしい)
ちょうどここが、右岸林道再接近ポイントということで、林道に上がろうとしていたので、我々も沢床を離れ後ろから付いていくと、すぐに林道に出れた。
ここからは1時間15分ほどで基点駐車スペースに戻ることが出来た。なんとこの3人パーティーは、ジープで二ツ小屋トンネルを超えていた。スゴッ!
滑谷沢左俣に出る。(カーソルあてて)
滑谷沢左俣の様相と絶好のテン場(カーソルあてて)
林道に出る(カーソルあてて)

P.S:滑谷沢は完全癒し系の沢でした。宴会遡行に来る方も多く、週末は複数のパーティーが入渓している事と思います。テン場は650m二俣と830m奥ノ二俣に
   極上の場所がありますが、10分程度整地すれば、滑谷沢に入ってから奥ノ二俣までは至る所で見つけられるでしょう。ザイルの必要性は全く感じませんので
   10m程度の補助ロープでよいかも。

滑谷沢右俣遡行図(クリックして)
滑谷沢概念図(クリックして)


inserted by FC2 system