2014年9月20,21日 飯豊 胎内川流域 楢ノ木沢 鴨沢

メンバー:ひろた、他2名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、0.5 靴:アクアステルス
地形図:二王子岳、木八差岳
概念図はこちら  概要ムービーはこちら

有休二日くっつけて、当初は4連休にするつもりだったが、パートナーの負傷で計画が中止。SACHさんが昨年ご一緒させていただいたひらっぺさんと土日で
飯豊 胎内川流域楢ノ木沢鴨沢を計画しているので混ぜてもらう事になった。小生、この流域は始めて・・・。
いくつかのWEB記録を見ると楢ノ木沢には堂沢と鴨沢と二つの沢があり、北側が鴨沢、南側が堂沢らしい。地形図には沢名の記載が無く、エアリアマップを見て、
場所が判明する始末。さらに"アゲマイノカッチ"という単語が散見されるが、何処それ???という所で遡行当日に向かう・・・

19:35石橋駅→20:08宇都宮IC→21:40磐梯山SA、4:03同発→4:46三川IC→4:52三川駅→5:35二王子神社(車デポ)→6:40奥胎内ヒュッテ
初日: 7:00基点発→7:12頼母木川出合→7:35奥胎内ダム手前→8:45工事用橋下から再入渓→10:05楢ノ木沢出合→13:25堂沢/鴨沢出合
   →14:05 530m付近幕営適地→15:35 590m付近行動終了
二日目: 5:52出発→8:50稜線廃道着→10:00二王子岳、10:25下山開始→12:15二王子神社P着
    12:43二王子神社発→13:30奥胎内ヒュッテ、13:35同発→14:55三川駅→15:18津川IC→17:18矢板IC→18:15石橋駅


地形図には、二王子岳から基点となる奥胎内ヒュッテに繋がる登山道が記されているが、現在は廃道となっているため、楢ノ木沢を遡行する場合は
通常、二王子神社にクルマを1台デポする必要がある。 朝、5時前に三川駅でひらっぺさんと合流。小生のクルマを二王子神社にデポし奥胎内ヒュッテ
に移動。奥胎内ヒュッテ手前の無料Pを出発する時は既に7時になっていた。

奥胎内ヒュッテは山小屋程度のものかと、思っていたが、完全にホテルみたいだったのでビックリだ。あっけに取られながら、『河原降り口』なる立て看板に
導かれ、胎内川本流に降り立つ。水量は大したことなく、深い場所でも腰を濡らす程度で横断可能といった感じだ。

さて、事前にWEBで見た楢ノ木沢の記録を見ると、”アゲマイノカッチ”という667mピークを登ってから沢に入渓している物ばかりだが、なんでわざわざ山に
登ってから入渓しなければいけないのか地形図を見る限り解らなかった。そもそも、事前調査で"アゲマイノカッチ"が667mピークを指す事を調べるのも結構時間が
掛かったし・・・

まぁ、どのパーティーも明瞭な踏跡を利用して登っているようなので、河原に下りれば、取り付き点が解ると思っていたのだが、本流左岸を見る限り、取り
付き点みたいな場所は見つからない。
ヒュッテに向かうと河原への案内板(カーソルあてて)
河原に降りた所が黒石沢出合
ヒュッテ裏側に回るが取りつき点は見つからず・・・

そのまま上流に歩いて行き、「どこだ?どこだ??」と進んでいくと頼母木川出合に到着、ココを右の胎内川本流に入る。河原状で渡渉は何回かするものの
せいぜい膝上程度で何ら問題ない。沢が淵状になってきて、「おっ!ようやく胎内川の見せ場か!?」と思ったら、

     「ゲッ・・・!」

前方に導水用トンネルが視界に入り、その先で建設中の巨大ダムが視界に入る。ここで、ようやく、”アゲマイノカッチ”に登ってから入渓する理由が解った
次第・・・ 「そーいえば、ダム建設中で、沢が埋まるとか、埋まらないとか・・・ここでやってんだ。。。」
頼母木川を横断して胎内川本流へ
河原状を進む(カーソルあてて)
なんだこれは!・・・

もはや、ここまで歩いて、また何処に取りつき点があるのか解らないアゲマイノカッチに登る選択肢は無く、ダムを高巻くしかない・・・。どこから巻くかだが、
トンネル手前の淵は深いが左岸をへつって、トンネル左についてる階段を上がり、そこから尾根に取り付けそうな雰囲気。私が調査がてら左岸を経つって
トンネル上まで上がってみると、ワイヤー網を利用して尾根に取り付けそうだったので、二人にサインを送ってトンネル上まできてもらう。ここで、ザイルを
出して、ワイヤー網を利用して1ピッチ上がると、ダム工事現場の作業員が何人もダムで作業をしてるのが遠くに見える。なんかマズイなぁーって感じだが、
まぁ仕方が無い。
トンネル上から高巻き開始(カーソルあてて)
トンネル上で1ピッチ上がる
山肌に入れた。

沢床からは100m以上の高さでトラバースを掛ける。古びた資材置き場に出て、鉄骨を跨ぎ、コンクリートで固めたところを登りトラバースを続けると工事
現場の道から上がってくる作業道と思われる道に出た。この道が上に何処まで伸びているかは不明。ダム本体は通り過ぎたが、ココ下ると胎内川を横断
する橋のちょっと手前に出て工事用車道に出るようだが、まぁ頭を下げつつ通らせてもらうしかない・・・と判断、この作業道を降りていく。。。車道に出ると
1名の作業員とすれ違ったが、私は軽く会釈をして、二人は「失礼します」と声を掛け、そそくさと胎内川本流に掛かる橋から本流へ下降して行く。。。
幸いダム湖はまだ出来ておらず、降りた地点から遡行を開始することが出来た。SACHが言うには、強制的に車に乗せられ、連れ出される。というケース
もある。と言っていたが本当だろうか???
資材置場を横断
ダム本体を見下ろす
バックウォーターは無くここから再入渓

河原状を少し進むと両岸が狭まり淵が現れる。ひらっぺさんは躊躇なく水に入っていく・・・水流は強くないので胸まで浸かれば問題無く突破。。。
自分とSACHさんは沢登りをやるくせにあまり濡れるのを好まないため、両岸を歩ける所は歩いていくが、ひらっぺさんは一人水流中央突破を継続・・・
寒くないんかねぇ〜・・・。。。 少し進むと、1m滝。1mといえども手前の淵が深く侮れない。この淵を巨大ヒキガエルが流れに逆らい泳いでいた!
カエルの方が俺より泳ぐの早いし・・・ 
すぐ淵になります(カーソルあてて)
9月下旬なのに寒くないんかね・・・
1m滝に向かう

1m滝を水流左の岩から上がると、この先見事なゴルジュになっていた。そー言えば、ここは有名な胎内川本流のゴルジュだった・・・。ひらっぺさんに聞くと
昨日、まとまった雨が降ったそうだが、幸い水流はそれほど強くなく恐怖感はない。ここからはどっぷり水に浸かるが、さすがに仕方ない・・・。。。
自分と、SACHさんはすでに寒くなりカッパを着込むが、ひらっぺさんは全然寒くないとのこと・・・。自分は寒さには弱いんだなーと自覚。

概ね水流通しで行けるが、1か所、背の高いひらっぺさんは水流通しで突破出来たものの、自分(身長167cm)とSACHさんは足が届かず、流されてしまい
左岸を小さく巻いて通った淵があった。まぁこうして小さく巻けるので、平水ならこのゴルジュもそう難儀はしない。この先、50cmほどの滝が登れず。
全員ここは小さく左岸巻き。高巻いたのはこの2か所だけだ。。。どっぷり水には浸かるが敢えて泳がなくても、ここまでのゴルジュは突破可能だった。
胎内川本流ゴルジュ(クリックして)
スタートから難儀してる二人(カーソルあてて)
難しいところばかりでは無い(カーソルあてて)
泳がず突破可能
この50cmの滝が上がれず左岸巻き(カーソルあてて)
楢ノ木沢出合手前くらいの様相(カーソルあてて)

すると、楢ノ木沢出合になる。本流との水量比は(2:1)。ここまで再入渓してから1時間20分。ちなみに、奥胎内ダムの常時満水位が384mなので、渇水時
以外はこの出合付近まで、ダム湖に埋まることになる。今回イレギュラーだったとはいえ、ここまでのゴルジュが遡行できたのはラッキーだった。

楢ノ木沢に入ると扇状に広がる釜を持つ2m滝が現れる。これを超えるとすぐに左岸にトラロープが付けられているのを発見。アゲマイノカッチから降りて
くると丁度ここに出ると推察。こんなトラロープ箇所が2か所ほど見つかる。
楢ノ木沢出合(カーソルあてて)
楢ノ木沢最初の2m滝
すぐ左岸にトラロープ発見!

この先、沢は廊下状になるが埋まっており腰を濡らすことは無い。少し進むと、ようやくゴルジュ地形から抜け、ちょっとした広河原状でで焚火休憩。
ひらっぺさんだけ「別に寒くないです♪」と元気で、自分とSACHさんは、体に震えがはしっていた。。。体も暖まり、この辺りから魚影も見たので、この先の
2段釜を超えた辺りで竿を出したり仕舞ったりながら進む。
廊下状だが深くない(カーソルあてて)
ようやくゴルジュ地形から解放!
2段釜(カーソルあてて)

この辺りはテン場適地が点在しているが、さすがにココだと明日が長丁場になるので先に進む。この先再び廊下状の様相。ただ、滝らしい滝は全く出て
こない。日差しがあるので、廊下状とはいえ、明るい様相で癒し系といっても良いだろう。
テン場適地の例
また廊下状になっていきます(カーソルあてて)
廊下状その2(カーソルあてて)

廊下状が終了し、河原状から三度廊下状になった先で、堂沢/鴨沢の分岐になる水量比は(1:1)。ひらっぺさんによると堂沢の方が難しいらしい。堂沢の
方が、スッキリと二王子岳に詰めあがれるので、堂沢に行きたい気持ちもあったが、ここは計画通りに鴨沢に入る。ちなみに、この二俣には整地済みの
テン場は無い。

鴨沢に入るとまた、廊下状の様相になる。へつりで超えた先に2m、2mトイと滝が続く。この上はS字のミニゴルジュとなって通過が楽しいところだ。
堂沢/鴨沢分岐
鴨沢に入る
2m、2mトイ状滝とS字ミニゴルジュ(カーソルあてて)

一旦明るい様相に変化、その先の廊下状を超えれば、530m〜560mに広がるテン場適地となる。まだ時間は14時半過ぎ・・・。多くの記録では、ここで
幕営地を求めていたが、”ブナの会の記録”によると、ここから稜線まで5時間かかっているので、東京まで帰るSACHさんを考慮し、もうちょっと先に進んで
みることにした。まぁ、”タープ張ってから釣り”という計画なら、この区間で幕営する事を勧める。。。今日は先行パーティは無し。ただ、この広い幕営適地
区間で整地済みテン場を発見できたのは奥に進んだ右岸の1か所だけだった・・・
一旦開けます。
両手・両足ツッパリMAX!(カーソルあてて)
530m〜560mテン場適地(カーソルあてて)

少し進んで、左岸枝沢を見、大岩のある2条滝を超えると、両岸が切り立った様相に変化。そう簡単にテン場は見つかりそうにない不安がよぎる様相だ。
魚影もこの辺りから見なくなる。出てくる滝は相変わらず2m前後で、行き詰るものが無いので助かる。SACHさんが1か所、「滝が登れないので高巻く・・・」
言って一人で左岸を高巻いたが、いったん高巻くと、ザイル無しでは簡単に沢床に戻れなくなるので、沢通しで進んだ方が良い。
2条小滝を超えると切り立った様相に(カーソルあてて)
2段3m滝
特徴的な右岸1枚岩

特徴的な右岸1枚岩のある小滝を超えた先も、両岸切り立った様相は続き、テン場は期待できない様相が続いたが、一か所、右岸側が開けたポイントが
見つかり、3人ならが横になれる場所を発見。高度計は595mを指している。この先もちょっと覗いてみるが、開けた場所はここだけの様だ。時間も15時半
過ぎなので、今日の行動を終了した。この場所はおそらく雪渓が遅くまで残っていそうな場所なので、早い時期にはテン場としては使えないかもしれない。
雪渓さえなければ薪も豊富。10分ほどの整地をして、快適なビバークポイントとなる。
テン場探しには絶望的な様相が続く・・・
右岸が開けた所(595m)で行動終了(カーソルあてて)
結構燃やしたなぁー


二日目
帰りの事を考慮し早出する。この先も変わず両岸切り立った様相だが、大滝が出てこないので助かる。。釜の深さも腰までで、この先泳ぎが入ることは
無い。小滝を超えた先、2段6mは水流通しで直登。ここで両岸の切り立った様相は終わりを告げる。
切り立った様相が続きます
直登は簡単です
2段6m滝を超えると様相が穏やかに(カーソルあてて)

少し進むと685mに位置する(2:1)二俣。この周辺も平らな草地が広がり、整地すれば幕営可能となりそうだ。この二俣を水量の多い右に入る。この先は
インゼルを交えた平凡な様相が続いていく。この先も右岸に整地すれば二人くらいまでなら幕営可能な場所を見つけた。。。 この後、800mで出合う左岸
枝沢を見てさらに進むと、5mナメから始まる僅かながらの連瀑帯。最後の5mナメCSのみ上がれず左岸を小さく巻いた。
685m(2:1)二俣
連瀑帯最初の5mナメ(カーソルあてて)
5mナメCSで頑張るひらっぺさん

少し、平凡な区間をすぎて、CSの小滝が現れ左岸を巻いたが、灌木が皆無で、草を掴みながらの悪い巻きになる。ここから先は藪が沢を覆ってくるように
なり、詰めていくと1215m位で急に沢形が無くなる。灌木交じりの藪から細いルンゼに入り、15分程度で幅広い稜線に出て終了・・・。
巻が嫌らしいCS小滝
草が覆うようになります
最後の詰め(カーソルあてて)

ここから二王子岳まではまだ距離がある。すでに廃道と聞いている道を探す。割と廃道には笹が茂っているので、笹が道のように続いているところを
探すと、ありました!ありました!道は完全消失してますが、笹を分けながら進むと足元には道が残っているので、これを利用した方が断然早い!10回くらい
「どこだ?どこだ?」となったが、8割方、廃道を利用。ただ最後二王子岳直下で完全に解らなくなり、まぁ最後ということで、強引に山頂目指してまっすぐ
進み、稜線に出てから1時間10分で二王子岳山頂に到着。 時間はまだ10時で、予想より大幅に早く到着することが出来た。

一息入れて下山開始。山頂付近にある避難小屋は10人ほど泊まれる利用可能な小屋になっている。2時間かからず下山出来てデポした車に到着。。。
笹が続くところが登山道跡(カーソルあてて)
ここからが解りにくい
二王子岳山頂と避難小屋内部(カーソルあてて)

P.S:胎内川本流ゴルジュを通過したので、割と充実した遡行になりました。将来的にはアゲマイノカッチ経由でしか入渓できませんが、その場合は
   遅い時間出発しても、十分1泊2日で抜けられます。今回、ザイルは単なる”重り”でしかありませんでしたが、30mあれば十分だと思います。
   幕営地は530m付近に求めた方が良いでしょう。夏は暑すぎる様なので、秋がお勧めです。

楢ノ木沢鴨沢遡行図(クリックして)
楢ノ木沢鴨沢概念図(クリックして)


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