2014年9月27,28日 楢俣川 ヘイズル沢 左俣 右沢

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、0.5 靴:アクアステルス
地形図:藤原、至仏山   参考ガイド:沢の風と空 2012年の記録
遡行図・概念図はこちら

久しぶりに、東日本が週末土日ともに安定した天気予報となった。東北の沢も考えたが、意外と夏場夕立が多くて企画倒れになっていた楢俣川流域のヘイズル沢に的を絞る。
この沢、右俣、左俣にそれぞれ、右沢・左沢を持っているが、中でも左俣右沢が一番充実しているとのことで、今回はこのルートで遡行してみることにした。

19:14小金井駅発→19:44栃木IC→20:50赤城高原SA、4:12同発→4:33水上IC→5:25楢俣ダム基点P
初日: 5:45基点P発→8:05ヘイズル沢入渓→13:45 1180m二俣(左俣/右俣分岐)→15:35 1365m行動終了
二日目: 6:15出発→7:02第1堰堤→7:55第2堰堤→8:32第3堰堤→9:00 1790m(1:1)二俣→10:00稜線登山道、10:10下山開始
    →10:17鳩待峠への分岐→11:15笠ヶ岳下→14:00基点P着


ヘイズル沢を含め楢俣川流域遡行の場合、楢俣ダムを過ぎてオートキャンプ場跡地手前の駐車スペースが基点になる。我々が到着した時には既に2台
の車が駐車してあった。ここはdocomo携帯も圏外。一部崩壊した車道から、かつてのゲートを跨ぎ、ひたすら林道を歩く事2時間20分。ようやくヘイズル沢
出合に到着。出合を間違うことは無いが、ここには水位計を置く監視小屋が建てられているのが目印。以前、前深沢を遡行した時に、ここを通っている
はずだが、この出合の様相は全く記憶にない・・・。ちなみに、狩小屋沢を下降して林道を戻る場合、チャリンコなら最初のゲート先で15m程押して運ぶと
ころもあるが、林道の状態は良いし、ほぼ平坦なので、大幅時間短縮になるはずだ。
基点Pと林道の様子(カーソルあてて)
ヘイズル沢出合にある水位計小屋
奥がヘイズル沢

ヘイズル沢に入ると、すぐにミニゴルジュ。へつって突破するところが多いから”ヘイズル沢”と呼ばれるらしいが、道具が進化した現在、そんな際どい
へつりは無く、平水なら快適に進める。最初の3m2条滝、2m滝は水流右、左と登れるが、釣り師用残置ロープあり。ここを超えたところで、クマが木の
実を食い散らかした跡を発見・・・。熊に襲われてからホイッスルをチョクチョク吹いているため、ここ最近、遭遇は無い。 この先、少し行くと、岩盤が発達
し、ナメ床出現。早くもハイライトの様相になる。
最初のゴルジュ(カーソルあてて)
最初の3m滝と2m滝(カーソルあてて)
早くもナメ床出現♪

ゴーロ状と、ナメ床を交互に見ると変形10m滝”右からどうぞ”と言わんばかりのバンドが伸び、簡単に超えることが出来る。滝上で、魚影を発見し、
早速、竿を出してみた。。。右岸枝沢を見た先で、3段12m大ナメ。さらに、この先で3段15mナメが現れ遡行感度は急上昇。どちらも快適に登れる。
変形10m滝(カーソルあてて)
3段12m大ナメ
3段15mナメ(カーソルあてて)

滝上に上がると、4人組後続パーティを発見!すぐに追いつかれ、挨拶をすると、"銀座山の会"の方々。。。先日の福島滑谷沢でも同じ山の会の方と
お会いしたばかり。しかも、SACHさんはリーダーの方と知人だそうで・・・。。。彼らも、左俣・右沢を遡行するらしい。WEBで情報共有化されると、"良い"とさ
れるルートには人が集まるのは自然の流れ・・・。我々は超スローペースなので、先に行っていただく。

この先、厄介そうな7m滝を見たが、滝に近づくと、水流左は傾斜が緩く。竿を片手に登る事が出来た。少し進むとミニ箱淵。出口に3m滝が掛かっている。
SACHさんは潔く左岸から小さく巻いたが、小生は竿をしまって、右壁をへつってそのまま水流右から上がった。
銀座山の会の方々に先に行っていただく
水流左が簡単な7m滝(カーソルあてて)
ミニ箱淵(カーソルあてて)

時間は11時を過ぎて、ようやく青空が広がってくる。8m、7m滝と出てくるが快適に超えられる。途中、右岸に焚き火の跡と、整地されたテン場を発見。
キノコも見るが、ひたすらツキヨ・ツキヨ・ツキヨ・・・   「おら、おら!食ってみろよ!」 と言われているようである。

1枚くらい食っても大丈夫なのかな?と思い、後日WEBで検索したら・・・ありました・ありました! うーん、やはり"毒"っていうのはコワイねぇ・・・

小ナメ滝を堪能していくと、両岸が切り立ってきて奥には悪そうな10m滝。高巻きならゴルジュ手前から巻く感じか・・・?
8m滝
ツキヨタケのオンパレード
悪そうな10m滝

近づいて偵察してみると、右壁に2本のルンゼが水流から離れる方向に延びており、ここならV+くらいで上がれそう。もうひとつ、水流に向かって伸びて
いく細いバンドがあり、このルートだと"直登"という感じなので、ザイルを出してTRYしてみる。SACHさんに「ハーケン持ってる?」と聞くと、

「持ってないよ!ハンマーも1個でいいって言うから置いてきたし・・・」

そうだった・・・  まぁ自分が4枚持ってるからいいか・・・と取り付く。。。5mほど上がると、幸い#0.4カムがバッチリ決まるところがあり、中間支点は結局
これ一箇所。さらに1m程上がると、落ち口横に50cmくらいの岩があり、アンダーで取って落ち口に向かってトラバース。そこから、この岩を上から手を
かけて這い上がろうとしたら岩が動いた・・・怖すぎ。幸い、隣の岩盤にホールドがあったので、それを掴んでさらに水流側に一歩移動して、この岩を使わず
上に上がった。W SACHさんはザイル掴んでフォロー。
右からへつると簡単ルンゼを発見(カーソルあてて)
10m滝を水流右ラインで登る(クリックして)
SACHさんフォロー

滝上はナメ床が続く癒し系。すると、顕著な二俣。水量比は(1:1)で左は8mナメ、右は3m滝で出合っている。自分の高度計が1130m付近を指しており、
地形図で確認すると左岸枝沢が入っている所だったので、ココかな?と思ったが、SACHさんの高度計は1220mを指しているという。結局、ここが右俣/
左俣を分ける二俣と確認、左に入る。魚影はこの辺りまで。 少し進むと、左沢/右沢を分ける二俣。左沢には12mの見事な滝が掛かっており、右沢は
ただのゴーロ状。ここを右に入る。
後日WEBで左俣・左沢の記録を見ると、この左沢の見所はこの12m滝だけで、後はひたすら平凡な様相が源頭まで続くとの事だ・・・
また見事なナメ床が続きます(カーソルあてて)
1180m左俣/右俣出合
1195m左俣 左沢/右沢出合に掛かる12m滝

右沢はしばらく平凡な様相だが、突如2段12mが出現。一見高巻きか?と思わせるが水流左にSACHさんが取り付くとそのままフリーで突破していった。
自分も取りつくと、スタンス・ホールドとも十分で快適に直登。V  滝上は廊下状になっているが、水線通しで進めるのがうれしい。
左俣 右沢入口付近の様相(カーソルあてて)
2段12m(クリックして)
滝上の廊下状

この先、またナメ滝が現れてくる。7m2条滝を右から直登すると河原状が続く。高度は1300mを超えた辺り。多くの記録では1400mを超えた辺りで幕営
しているが、先行パーティーも居るので良い所があれば行動終了するつもりで進む。メジャーな沢なので極上物件がいくらでもありそうなのだが、なかなか
見つからず。1365m付近で沢幅が広くなったところで、整地すれば二人なら何とかなりそうな場所を見つけて行動を終了した。10分ほどの整地で、まず
まずの物件に・・・。薪は豊富で久しぶり熱い程の焚火となった。
また岩盤が発達します
7m2条滝は右の水流から(カーソルあてて)
1365m付近左岸に幕営。


二日目
今日は朝から快晴。少し進むと、やはり1400m付近の右岸で銀座山の会の方々が出発準備をされていた。ここなら4人寝られるらしい。彼らは鳩待峠で
タクシーを予約しているらしい。鳩待峠〜楢俣ダム基点Pまで11000円。4人ならこの選択肢もアリだろう。ちなみに小至仏山から鳩待峠まで1時間半。
鳩待峠からタクシーで楢俣ダム基点Pまで1時間。。。歩いて戻れば4時間の道のりだ。タクシーは事前予約していないと混雑に見舞われ、"歩いて戻った
方が良かったね"という事になるので要注意。

このまま河原状を進むと、見事な2段20m滝が現れる。水流左から簡単に直登出来るのがうれしい。V- 
この上で右岸にテン場あり。
2段20m滝が見えてくる
2段20m滝は快適に直登可能♪(カーソルあてて)

ここからら先は概ねゴーロ状で、大岩による小滝が散見される様になる。しばらく進むと第1堰堤。大きく景観を害する物ではなく左から上がる。第1堰堤
上に整地済みテン場は見当たらない。この先もゴーロ状が続く。高度計1530付近右岸で、増水には耐えられないが整地すれば3人まで横になれそうな
場所を発見出来た。この先で小滝が続く連瀑帯に突入、難しいものは無く、思い思いのラインで登っていける。この上。高度計表示で1630m付近に
第2堰堤があり、この上左岸に整地済みの極上テン場を見つける、広さも4,5人なら余裕だろう。。。。出発してから1時間45分。初日ココまで来れれば、
二日目に鳩待峠側にタクシー予約無しで下山しても混雑を避けられるかも・・・?
20m滝上の様相と1530m幕営可能地(カーソルあてて)
連瀑帯に突入です(カーソルあてて)
1630m付近 第2堰堤上左岸極上のテン場

この先も、同じような小滝の連瀑帯が続く。陽も差してくるが完全逆光なところが残念といえば残念。第3堰堤を越えるとゴーロ状。1700mで出合う左岸
枝沢を過ぎ、1790mで(1:1)二俣となる。詰めのルートを間違うとハイマツの藪漕ぎになるので注意。荷物を置いて右俣のゴーロを7,8m上がると右俣の
全貌を確認。明るく開放的な様相が広がるが、詰めは左俣の方が藪漕ぎが少なそうなので、左に入る。
第3堰堤上の様相(カーソルあてて)
1790mで(1:1)二俣と右俣の様相(カーソルあてて)
1790m二俣を左に入ります

少し上がると左岸からガレ沢筋が入る。水流は流れていないが、こちらの方が藪漕ぎがなさそうなのでこのガレ沢筋で詰める。下山時にこの沢筋が
見えたが、藪漕ぎを避けるならやはりこのルートが正解のようだ。最後までまっすぐ詰め上げても良いが、右手に稜線登山道が視界に入ってきたところで
右にトラバース。この辺りはハイ松もひざ下程度で、ほぼ藪漕ぎナシで小至仏山直下の稜線に出た。
左岸ガレ沢筋で詰めあげる(カーソルあてて)
途中のテラスで。後ろは笠ヶ岳
登山道に向けトラバースを掛ける

紅葉時期の稜線は大賑わいで、SACHさんはこういった賑わいが大の苦手らしい。小至仏山に登らずそのまま起点に向けて下山する。鳩待峠への分岐
を過ぎれば、今までの賑わいがウソのように人気が少なくなった。笠ヶ岳から先は全く人に会わないが道は明瞭。この下山道は林道跡に出たところ
迷いやすいが、尾根に上がらずこの林道跡を300mほど歩いて左に屈曲するところから再び尾根沿いに登山道が続くようになっている。

SACHさんが足を痛めて本来のペースではなかったが、計画通り下山開始から4時間で基点に戻ることが出来た。
終了点から燧ケ岳と大賑わいの登山道(カーソルあてて)
林道跡に出たら尾根に上がらない事
旧ゲートに降りてきました

P.S:ヘイズル沢 左俣・右沢は変化も多く楽し沢でした。ザイル一箇所出しましたが、敢えて突っ込んだだけなので、初心者でも経験者が居れば問題なく楽しめると
   思います。ザイルは30m1本で十分でしょう。この辺りは夏場は天気が不安定な時が多く、泳ぎも無いので、虫も居ない秋がなんといってもお勧め。
   下山は、鳩待峠に下りる場合は必ず事前にタクシー予約しておいた方が良いでしょう。


遡行図(クリックして)
楢俣川基点概念図(クリックして)
ヘイズル沢概念図(クリックして)


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