2014年10月4、5日 虎毛山塊 虎毛沢(湯ノ又沢〜赤湯又沢右俣下降)

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×25m、カム#0.4 靴:アクアステルス
地形図:秋ノ宮、桂沢   
概念図はこちら

今週の土日は仙台以北のみ、まずまずの天気予報。ただ、金曜は夕方までまとまった雨が降っているとの事で、増水しても大丈夫そうな虎毛沢に的を絞る。
実は、この沢12年前にパートナーの靴のトラブルでスタート早々敗退という最速敗退記録を作った沢なのです。リベンジに12年かかった原因はアプローチが遠いから・・・
多くの記録では2泊3日で遡行しているが、祝日入れた3連休では混雑が見込まれる。そこで、虎毛沢登山口に自転車デポする1泊2日で抜ける計画とした。

19:30石橋駅→20:15宇都宮IC→22:35鶴巣PA、4:10同発→4:23古川IC→5:55虎毛山登山口(自転車デポ)→6:15湯ノ又温泉基点P
初日: 6:45基点P発→6:58湯ノ又沢入渓点→9:10稜線登山道→9:18赤湯又沢右俣下降開始→11:30 650m付近オンドル→13:40虎毛沢出合
   →15:55 540m付近行動終了
二日目: 6:22出発→6:40左岸極上幕営地→10:35 735m二俣→12:57 1230m付近登山道→13:22虎毛山→13:50登山道分岐点
   →14:40チャリデポ地(虎

毛山登山口)→15:24基点P(車回収)→15:41虎毛山登山口


SACHさんの努力で19:30に石橋駅を出発。虎毛沢は東北自動車道北上の場合、古川ICが一番近いが、ここから長い。鶴巣PAを4時前に起きて、虎毛沢
登山口付近に6時前に到着出来た。地形図では解りにくいが、赤倉橋は赤倉沢の遥か上を通っており、この橋は基点となりえない。
地形図で国道108号線上の高度468mの所から役内川右岸林道に入る(虎毛山登山口の標識有)。現在は赤倉沢沿いの林道分岐の所まで車が入れ、駐車
スペースは6台程度。ここまで舗装路、トイレ無し、softbank携帯は県外。簡易ゲートは動かせ、頑張って赤倉沢沿いの林道を進むが、林道崩壊のため1kmも
進めなかった。一応、車が入れたところまで進んで自転車をデポし、基点となる湯ノ又温泉に向かう。湯ノ又温泉は無くなっているが、道は舗装路のまま。
この舗装路が終了した手前に3台ほどの駐車スペースがあり、ここに車を停める。車はこの先100m程進め、そこにも3台ほどの駐車スペースがある。
赤倉橋は登山口の遥か上空を通過
虎毛山登山口先の赤倉沢林道に自転車デポ
湯ノ又温泉先の駐車スペースが基点

そのまま林道を歩き、二つ目の橋になる"夢と希望の橋"との看板が立てられた橋から湯ノ又沢に入る。平凡な様相で始まるが、すぐに6mトイ状が現れ
ナメ床となる。かつてはココに”カンジャロコース”なる登山道があったようだが廃道となっている模様。ただ、湯ノ又沢は歩きやすく、沢屋にとっては、
登山道同等の歩きやすさで何の問題もない。
"夢と希望の橋"から湯ノ又沢に入渓
6mトイ状
歩きやすい湯ノ又沢

今回、赤湯又沢右俣を下降する予定なので、835m二俣を右。890m二俣を左に進み、多少の笹薮漕ぎはあったものの基点Pから2時間半弱で稜線登山
道に出た。さて、多くの記録では赤湯又沢の下降は左俣を使っているが、なぜ尾根を跨いでそのまま右俣を下降すれば早いものを、登山道を30分ほど歩
いて左俣を降りるのか理由が知りたかった・・・。。。稜線に出てから、30秒ほど高松岳方向に歩いて、適当な所から赤湯又沢右俣へ下降を開始する。
835m二俣を右に入る
稜線登山道到着です
登山道から見た赤湯又沢右俣下降点

沢形はすぐに現れ、特に難所も無い。一箇所トラロープもあったので、下降に使った人も居るのだろう。ただ、そうスッキリした感じはない。。。左俣だと、
どうなのだろう・・・。860mで左岸から倍の水量で沢筋が合流。さらに、800m付近で赤湯又沢の由来と思われる赤色の沢が左岸から合流する。鉄を
含んだ温泉成分が混入していると思われる。そんなこともあってか赤湯又沢にはイワナは居ない。この少し下で、ブナハリとナラタケを発見!晩飯の
おかず用にGET。 この先6m滝を降りると、左俣と合流。まぁ右俣下降も悪くない感じだ。。。
赤湯又沢右俣の下降
800mで左岸から赤色の沢が合流
この6m滝を下降すると左俣と合流(カーソルあて)

合流した先で、7m滝となるが、SACHさんは2009年に虎毛沢を遡行した事があるようで"水流左から降りれるよ!"と言われたとおりに簡単に下降できた。
この少し先で多くの遡行者が幕営地とするオンドルが、沢筋左岸10mほど入ったところに広がっていた。高度計は650mを指しているが、地形図に644
と書いてあるところが正解かもしれない。ボコボコお湯が沸きあがり蒸気もスゴイ! つい先週、御嶽山が噴火し、多数の死者を出したばかりなので、
こんな所で幕営して大丈夫なのか?と思うが大丈夫なのだろう・・・。先人が掘ったと思われるお湯溜めも2,3見受けられるが、冷たく冷え切ったものばかり
で使えず。足湯程度なら利用可能。皆が泊まるので薪は少ない。温泉卵は出来るだろうが卵を持ってきてないので、先ほど採ったキノコをお湯に漬け込み
温泉キノコを食する。
7m滝を下降
644m左岸にあるオンドル
いくつか湯桶はあるが、現時点はヌルい。

オンドルからさらに下降を続ける。沢床は概ね平凡。増水の心配がなければテン場適地はいくつかあり困らないだろう。薪も豊富なので、足湯に浸かって
& 温泉卵食べたら、オンドルから少し離れたところで幕営する方が落ち着くかも・・・。。。この先、ブナハリの群生は数か所で見つかり、ザックはますます
重くなっていく。。。

結局、この先、滝らしい滝は無いまま虎毛沢の出合になる。出合はゴルジュ状。T字路上でぶつかり間違うことは無い。
こんなテン場なら割とあります
赤湯又沢の下流部様相(カーソルあてて)
虎毛沢出合(カーソルあてて)

虎毛沢に入ると、すぐに河原状。ここから魚影が現れる。この辺り増水しなければ、横になれる所は散見される。。。右岸・左岸共に1枚岩の壁が点在する
のが虎毛沢下流部の特徴か? スローペースで出合から2時間経過した辺りでツェルトを張って今日の行動を終了。。。ブナハリとベーコンの炒め物
、ナラタケのうどん汁煮で、荷物を少しでも軽減しようとしたが、ちょっと採りすぎで消化しきれず、持ってきたツマミも余る始末・・・
虎毛沢に入るとすぐに河原状に(カーソルあてて)
右岸・左岸に1枚岩が点在するのが虎毛沢の特徴
540m付近で行動終了


二日目
今日中に帰るので、6時半前に出発。10分ほど進むと、右岸枝沢が入る対岸に釣り師が常宿としているような極上幕営地を発見する。高度計で560m付近
か? 木に生活道具を巻きつけたりして、寝具さえ持っていけば足りそうな雰囲気だ。ここまで整地してあると、先に到着しても、後から「ここ俺たちが整地
した場所だから他で幕営してくれる?」なんて言われたら、どかなくてはいけない様な気分になりそうだ・・・。ただ、場所的に2泊3日で抜ける場合には中途半端
な場所にあり、1泊2日で計画すると丁度この場所で行動終了・・・といった位置にある。

この極上テン場を過ぎると両岸が立ってきて、テン場適地はしばらく見られなくなる。
1枚岩壁を見ながら進みます
560m付近左岸極上テン場(カーソルあてて)
この先V字谷状になります

この先小滝も現れるが難所は無い。SACHさんに言わせると水量は前回来た時より少ないそうだ。この先、ナメ床と河原状が交互に現れる中を進んで
いく。途中、イワナが岩に隠れている所を動画撮影成功。その後、岩盤が発達したナメ床を過ぎると亀甲模様のナメ床が現れる。丁度この辺り右岸
(630m付近)に絶好のテン場適地を発見。ここまで歩き始めて2時間半。2泊3日の遡行計画でも、東京周辺まで戻る事を考慮すると2泊目は最低ここまで
進んでおかないと厳しいだろう。
小滝が出てくる
見事な岩壁
ナメ床と河原状が交互に現れる(カーソルあてて)
水の透明感がスゴイ!
完全な1枚岩のナメ
亀甲模様のナメ床

この先も、平凡な様相とナメ床が交互に続く。幕営地は735m二俣までに点在し困ることは無いだろう。特に高度計読み710m左岸の物件は極上だ。途中
数か所でブナハリの群生を見つけてしまいザックは重くなるばかり・・・(笑)

しばらく進むと735mに位置する(1:1)二俣に到着。ここを右に入った左岸にテン場があり、前回SACHさんはここで幕営したそうだ。
二俣を右に入ると少し暗く平凡な様相になる。ここで、なんとイワナが縄張り争いをしている所を発見!イワナが”縄張り”を持つことは知っていたが、
その争い沙汰を見たのは初めて。
710m左岸テン場
735m(1:1)二俣
右俣に入っての様相

この先、小ナメ滝など出てくるものの倒木が邪魔をしている箇所が多くなってきたと思ったら、大倒木帯が広がっていた。2008年6月の岩手・宮城内陸地震
さらに2011年3月の東日本大震災の2回の地震の影響だろうか。倒木が沢を埋め尽くし、惨憺たる状況がおよそ地形図に記されてる871mのところまで
続いている。この幸い大倒木帯は大高巻きはせずに、倒木の隙間を縫うように進んでいけた。
倒木が多くなってきたと思ったら・・・
大倒木帯に(カーソルあてて)
崩壊地が続く。

871m左岸枝沢が入るところで本流は12m滝。これは取り付けず、左岸の中間尾根から高巻幕く。今回の遡行で唯一の高巻き。この先水流は細くなり直登
可能な小滝が散見され、高度を稼ぐ。1080m付近で水枯れ。高度計で1150m付近まで上がり、沢形を離れ登山道に向かって上がる。薄藪を登る事20分
で登山道に出た。
871mに位置する12m滝(左岸巻き)
この先、小滝が散見(カーソルあてて)
1150m付近。ここで登山道に向けて沢から離れる

稜線上1234mのところに虎毛山登山口に下りる分岐があるが、高度計が微妙な高度を指している。とりあえず荷物をデポして虎毛山を往復する。生憎、
山頂はガスっており、記念撮影と山頂にある綺麗な非難小屋を写真に収めて下山。

荷物をデポした所に戻ってきたのは13時半過ぎ。下山して、自転車でクルマを回収して・・・、と考えると東京にSACHが帰るためにはギリギリだ。キノコ
満載のザックを背負って自分ひとり急いで下りる。
山頂と、避難小屋(カーソルあてて)
1234m虎毛山登山口への分岐点
赤倉沢横断点

1時間ちょっとで自転車デポ地に戻れ、虎毛山登山口に14時45分到着。。。ここで、荷物をデポして、チャリを走らせる。国道の湯ノ又温泉入り口までは
概ね下りなので、9分で行けたが、ココからひたすら登る事23分掛かってやっとクルマに戻れた時には完全シャリバテになっていた。。。
自転車をクルマに積んで虎毛山登山口までSACHさんを迎えに戻る。自転車デポ地から基点に戻り、再び虎毛山登山口に戻るまで丁度1時間だった。。。
ちなみに1234m分岐からは今回1時間50分・・・。 1234m分岐から稜線を歩いて、湯ノ又沢下降ルートでコースタイム4時間50分、急いで4時間を見ておいた方が良いだろう。
自転車で虎毛山登山口から空荷で車を拾いに行く
23分後に湯ノ又温泉基点Pに到着。
自転車を積んで虎毛山登山口に戻る

P.S:虎毛沢はアプローチで使った湯ノ又沢、赤湯又沢も含め”歩く沢”。長大な宴会遡行といった趣が強いです。それだけに上流部の大倒木帯は残念でした。
   1泊2日の計画だと混雑とは無縁で、遡行中は誰とも会いませんでした。自転車のデポ無しでクルマ1台でアプローチする場合は、近県お住まいの方以外は
   沢中2泊で計画した方が良いでしょう。ザイルの必要性は感じませんでしたので、20mあればよろしいかと思います。テン場はオンドル周辺。さらに650m〜
   二俣までは点在しますので、ご安心を。

虎毛沢 概念図(クリックして)
虎毛山 登山口概念図(クリックして)
湯ノ又沢 登山口概念図(クリックして)


inserted by FC2 system