2014年10月11,12日 会越 只見川流域 霧来沢 大鍋又沢 左俣右沢 & 中俣左沢

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×40m、カム#0.4、#0.5 靴:アクアステルス
地形図:御神楽岳、貉ヶ森山   
遡行図、概念図はこちら

当初の天気予報だと、東北北部のみ週末の天気が良い予報だったが、台風のスピードが遅れ、東北南部も土日の天気が良くなったため、高速代のかからない、会越に的を絞る。
計画を練る時間もなかったので、今年夏行った”霧来沢もうがけ沢”のもう一つの支流。大鍋又沢を選択。この沢には左俣、中俣、右俣の3本の支流にそれぞれ左俣・右俣を持つが、
変則三俣にベースを設け、土曜日に人気の高い左俣・右沢。日曜日にほとんど遡行記録を見ない中俣・左沢を遡行することにした。

19:20石橋駅→22:22道の駅かねやま、5:30同発→6:08大鍋又沢左岸林道終点

初日(左俣・)右沢
6:30基点P発→6:40大鍋又沢入渓→8:00変則三俣(荷物デポ)、8:15左俣遡行開始→8:40左沢/右沢分岐→10:05 50m大滝下→10:30大滝上
→11:55左俣/中俣中間尾根1015m付近着→14:30変則三俣着
二日目
6:55変則三俣発→7:25左沢・右沢分岐→9:05 70mスラブ滝下→9:30スラブ滝上→11:10左俣/中俣中間尾根,主稜線分岐着
→11:15 左俣/中俣中間尾根下山開始→12:45変則三俣→13:55基点P着

前回、もうがけ沢の遡行の時にも使った道の駅「かねやま」で仮眠。駐車場も広く、静かでお勧め。 翌日、R252本名ダムからまっすぐ伸びる林道に
入るとすぐにフラットダートになる。2WDのフィットでも問題ないが、大鍋又沢左岸林道に入ると、急に道が悪くなり、車にやさしくない・・・。いささか強引に
行けるところまで行く。駐車スペースは1台程度しか止められない様なスペースが2か所ほどしかなく、広いほうに駐車。通常の乗用車の場合、精々30分
弱歩く距離が延びるだけなので、大鍋又沢左岸林道には入らない方が良いだろう。ちなみに大鍋又沢を横断する橋から見る沢の様相は平凡。まぁ時間に余裕が
あるなら、ここから入渓もありでしょう。ここから、歩いて10分足らずで、林道跡も消え、踏跡に導かれるように大鍋又沢に入渓する。
大鍋又沢を横断する橋から沢を覗く
大鍋又沢左岸林道を奥まで入る
450m付近左岸枝沢出合から入渓

流れがゆったりしているせいか水は非常にきれい。ここから変則三俣までは、や、大釜を持った小滝など出てきて、渓相はなかなか良い。泳ぎもなく
特に問題なく快適に突破できる。キノコもありそうな雰囲気だが、先週の虎毛沢と違って、こちらは全くと言って収穫が無い。。。
入渓付近の様相
こういった淵もなかなかイイ!
大釜を持った小滝

大岩帯を抜け、沢床が明るく開け、河原状になると、右俣、中俣/左俣、と別れる変則三俣になる。出合の水量は左俣3に対し中俣0.5、右俣1と中俣が
一番貧弱だが、中俣に入ると、一応、水はちゃんと流れていた。この辺りは砂地の平らな場所もある広河原で、増水の心配がなければ極上のテン場が
散見。仮に増水の心配がある場合には、中俣左岸、左俣左岸に台地があるので、ここで幕営すれば余程の事が無い限り大丈夫だろう。先行者は無く、
荷物をデポして今日は左俣に入る。
大岩帯を抜け、広河原状へ(カーソルあてて)
変則三俣手前の様相と、右俣出合(カーソルあてて)
出合はとても貧弱な中俣

一番、水量の多い左俣だが、他の遡行対象沢と比べると、まだ高度を上げていないのに水量は少ない印象。時折魚影が走るのが見える。沢床は平凡。
ただでさえ水が少ないのに、555mに位置する左沢/右沢を分ける二俣は水量比(3:1)で、我々が行く右俣の方が水量が少ないではないか!
ただのルンゼ登攀だったら嫌だなぁー・・・と右沢にはいると、少し水量が増え若干安堵。小滝が現れ、その先に渋そうな4mCSが現れる。どっぷり水に
浸かれば容易そうだが、この時期それはあり得ない。経つって滝に近づき、CS部はSACHさんが踏台になって私が乗り越えるという手法で超えた。
通常逆だろー!
左俣に入る
左俣555m 左沢/右沢出合
4mCS滝(カーソルあてて)

この先は、ナメ床も散見されるようになる。しばらく進むと、635mに位置する(3:2)二俣。またしても我々が進む右の方が水量が少ない。しかも左の沢は、
8mのナメ滝を掛けていた。まぁ右に入っても、ナメっぽい様相は続くので良しとしよう! 特徴的な3m大岩滝を超えるといったん伏流になってしまったが、
すぐに水が現れホッとする。
ナメ床が現れます
(3:2)二俣と左の沢に掛かる8mナメ(カーソルあてて)
特徴的な3m大岩滝

沢が開けると、右奥に岩壁の高いところから水を落とす枝沢が見える。。。と思ったら、これが、この沢のハイライトである50m滝であった。。。結構立って
いるので一見本当にこちらが本流かなぁーと疑うが、やっぱりこれが左俣・右沢本流らしい。水流沿いは下部が立っていて取りつけないが、左のスラブは
簡単に登れそう。ここを登って直登って言えるのか解らないが、これしか考えられない・・・。 と、SACHさんが、すでにフリーソロで登り始めている!
岩も安定しているようで彼女が中段くらいまで登ったところで、自分も取りつく。スタンス、ホールドは充分で、ラバーソールのグリップが良く利く。高度感は
あるがVといった所か。
50m滝(クリックするとルートが出ます)
既に登り始めているSACHさん
SACHさんの後を追う自分

中段に上がると水流に近づくことも可能で、よりリスキーな登攀も可能だが、そこまで頑張る必要もないので、簡単なラインを見つけて、久々のリポD登攀
で上がっていく。最後、自分は落ち口に向けて、SACHさんはスラブを最後まで詰めて大滝を終了する。青空の下、最後までVレベルで登れて快適だった。
中段から(カーソルあてて)
リポD登攀です
落ち口付近から下を見る。

大滝の落ち口すぐ上に2m滝があって、その先はまた平凡な感じに戻る。少し進むと杉が作り出すオベリスクが正面に見える。2段6m滝を超え、高度計が
805mを指した所で(1:1)二俣。左は10mスラブ滝で直登は難しそうだったので、右(正面と言った方が良いかも)を選択したが、後で中間尾根からみたらここは
左に入った方がスッキリしているかも・・・?
杉のオベリスク
2段6m滝
805m(1:1)二俣を右に入った。

進んだ沢筋にはトイ状のナメ滝が現れる。上部はナメ滝につながっており、全部で20m滝位の大きさあった。この先7mナメが現れるが登れず右岸高巻き
で超える。もう一つ小滝を右岸巻きで超えると草付スラブになる。振り返ると御神楽岳の稜線が美しい! これを詰め上げると僅かな登りで高度計が
1015mを指す左俣/中俣の中間尾根に出た。
20m下部トイ状滝(カーソルあてて)
7mナメは右岸巻き
最後のスラブ

ほぼすべての記録で変則三俣への下山は、この左俣/中俣の中間尾根を下っているのだが、獣道すらない藪尾根だ。尾根の幅は狭いので忠実にたど
れば迷うことは無いと思う。少し下ると明日遡行する中俣のスラブ滝が見える。この辺りから中俣側は垂直に切れ落ちる岩尾根になるが、下降には全く
問題ない。この岩尾根部を通過して鞍部まで下り、再び藪尾根に入るところで、左俣に下降する。中間尾根より歩きやすく。途中沢型に入って懸垂なしで
中間尾根から僅か15分で540m付近の左俣に降りれた。あとは河原状をテクテク歩いて、ベースとする変則三俣に到着した。
午後から入渓し、変則三俣で幕営、翌日1本遡行するパーティも居るようだが、今回は我々のほかに入渓者は居なかった・・・
中間尾根は藪尾根
岩尾根に出る(カーソルあてて)
この鞍部で左俣に下降。(カーソルあてて)


二日目(中俣・左俣)
昨日は快晴だったが、朝起きると、ガスが立ち込めていた。今日は中俣・左沢の予定。宿泊キットをデポして出発。中俣の出合は非常に貧弱だが歩き
始めると左俣同レベルの水量となる。両岸は左俣より立った感じで淵も続き、左俣より難し
い雰囲気が漂う。最狭部は1m程度のゴルジュ。ラバーソール
のグリップ力のおかげで
幸い腰を濡らすことなく突破できた。まぁ水流の強さは無いので平水
なら夏場は水に使って楽しく突破できるだろう。
ガスの中出発です
中俣序盤の様相
最狭部の様相(カーソルあてて)

出発から30分程度で、左沢/右沢を分ける二俣。水量比は(1:1)。ここを左に入ると再び狭いゴルジュになる。先ほどより悪相だ。微妙なヘツリとツッパリで
小滝を突破していく。濡れないで突破しようとするとテクニカルで面白い。3mトイ状を右壁をへつって流芯に取り付き直登ると残置シュリンゲ発見。ココを
下ったパーティも居るのだろうか、狭いゴルジュ地形はここで落ち着きを見せる。
中俣・左沢/右沢を分ける(1:1)二俣
左沢に入ると悪相に(カーソルあてて)
3mトイ状を超えると悪相から抜ける

ここから先の沢床は概ね平凡。しばらく進むと、3m、4m程度の小滝が現れてくる。難しいものは無い。7mナメは水線通しで直登可能。小滝を超えて
5mナメは水流右の1枚岩を細かいスタンスとホールドを拾ってフリーで登り、SACHさんにはザイルを投げて上がってきてもらった。
3m、4m程度の小滝が散見(カーソルあてて)
7mナメ
5mナメは水流右を直登(カーソルあてて)

すると、中俣・左沢のハイライトの70mスラブ滝下に出る。一見40m程度にみえるが、登ってみると結構でかい。実は、ここの滝も変則三俣になっており、
スラブ滝下で右岸から細い枝沢が入っており、10mくらい登ったところで再び右岸から枝沢が分岐する様になっている。左俣/中俣中間尾根から最上部に
見えるスラブに取りつくには、この10m上がったところで分岐する右岸枝沢に入ると良い様だ。本流筋になる70mスラブ滝を最後まで登ると、最上部スラブ
の裏側に回り込んで、左俣/中俣中間尾根が主稜線にぶつかる所に出る様になっている。。。 もちろん中俣を遡行している時はそんな事は解らず、
快適に70mスラブ滝をリポD登攀で詰めあげた。ガスもあがり振り返ると、左俣/中俣中間尾根とその後ろに控える御神楽岳に続く主稜線とのコントラスト
が素晴らしかった。
70mスラブ滝
中段付近から振り返る(クリックして)
スラブ滝上から

スラブ上の7m滝は水流左の草付とのコンタクトラインを直登。次の8mトイ状滝は水線通しで登れる。間髪入れずに滝は続き、6mナメは下部を倒木利用
で上がって上部は水流沿いで直登。さらに6m滝を超え、3mトイ状は若干渋いので、SACHさんにはお助け紐をだす。
7m滝
8mトイ状
6mナメ(カーソルあてて)

このまま、小滝で終了かと思ったら、10m滝8mナメ滝が出てきて飽きさせない。どちらもフリーで登れ快適だ。この後、幅狭の3m、3mの2連続滝。後者
をツッパリで超えると滝は終了。一部ナメ床も見受けられるが、ほぼ源頭の様相といっていいだろう。
10m滝(カーソルあてて)
8mナメ(カーソルあてて)
3m、3mの2連続(カーソルあてて)

本流筋を忠実に進んでいくと二俣が2箇所出てくるがいづれも左に進路を取ると、ほぼ藪漕ぎ無しで左俣/中俣中間尾根と主稜線がぶつかる所に丁度
出た。展望はあまり無く、木々の間から笠倉山が見える。主稜線の尾根は幅が広く、踏跡が通っているかは確認せずに昨日も利用した左俣/中俣中間
尾根を下っていく。昨日歩いた事もあり、悩むことなく1時間半で変則三俣に戻る事ができた。デポした荷物をザックに詰め込み基点駐車スペースに戻る。
最後の詰めと笠倉山(カーソルあてて)
中間尾根から見る中俣左俣(カーソルあてて)
変則三俣を後にします

P.S:大鍋又沢は快適なスラブ登攀が出来るお勧めの沢。左俣・右沢より、中俣・左沢の方がテクニカルで内容が濃いです。足のそろったパーティであれば、
   変則三俣にベースを張らなくても、霧来沢左岸林道を起点にしても日帰りで遡行可能でしょう。ザイルは大滝で出すことを考慮すると40mは欲しいところ。
   カムはあまり出番はありませんでした。テン場は変則三俣以外には良い所は無いと思ってよいでしょう。お盆時期はアブが大量発生するのでご注意を。

大鍋又沢遡行図(クリックして)
大鍋又沢概念図(クリックして)


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