2013年9月28、29日 越後 佐梨川 大チョウナ沢

メンバー:Σさん、SACHさん、ひろた
装備、ザイル8mm×40m、カム、靴:アクアステルス
地形図:八海山
遡行図、概念図はこちら

2010年秋に滝ハナ沢をΣさんと遡行した時、”次は大チョウナ沢もやらないとなぁ・・・”と思って早3年。。。Σさんとの調整が取れ&天気にも恵まれ、正に”今でしょ!”
という事で行き先は早々決定。癒し系好きなSACHさんも”頑張ります!”との事で、3人で行くことになった。既にWEBでの記録も多く、高巻きの多い沢と言う事前情報で、
結構後回しになったのも事実だが、『行ったことがある』というのと『行ったことが無い』と言うのは大きな差で有る事は確か・・・、では体感してみましょう♪

18:52小金井駅→19:22栃木IC→20:12駒形IC→20:37高崎IC→21:29塩沢石打IC、5:15同発→5:33小出IC→6:00駒の湯山荘
初日: 6:20駒の湯山荘基点発→6:50大チョウナ沢出合→9:35新吾沢出合(竿だし)→13:20小倉沢出合→15:10二俣→16:50 10m滝上幕営地
二日目: 6:40出発→9:53 40m大滝下→11:55 1820m付近稜線登山道、12:23下山開始→13:10小倉山山頂→14:25駒の湯山荘基点着

小金井駅でSACHさんを拾い、道の駅「ゆのたに」 でΣさんと集合。車2台で基点となる駒の湯山荘に向かう。駒の湯山荘の入り口から佐梨川左岸林道
に入ってすぐ簡易ゲートがあり、登山者用駐車スペース(10台程)がある。トイレは無く、携帯もここでは使えない。Σさんが言うには以前来たときは
林道の奥まで車が入れたとの事。荷物をまとめ、林道を進むこと30分程で大チョウナ沢出合に到着。この出合から佐梨川を横断する橋が見えるので
間違う事は無いだろう。大チョウナ沢序盤は平凡な様相。魚影は全く見ない。”小滝&淵”と言う様相もあるがこの辺りは、釣師が付けたお助け紐も
ぶら下がっており、まぁこれを使わずしても体を濡らすことなく突破できる。
駒の湯山荘基点Pから林道へ(カーソルあてて)
大チョウナ沢出合(カーソルあてて)
大チョウナ沢序盤の様相(カーソルあてて)

しばらく進むと、両岸が切り立って来て、3m、5m2条滝が現れる。3m滝は水流右から。5m2条滝は直登不可能だが、右壁から小さく簡単に巻く事が可能。
この先、岩盤が発達して小滝が続く。岩は乾いており、アクアステルスであれば快適以外の何物でもないといった感じだ。この先再び平凡な様相から両岸
が切り立ってくると、4m、7m滝が現れる。7m滝は右から釜にどっぷり浸かって取りつく事も可能だが水流左端から空身で突破した。
3m滝と奥に見える5m2条滝(カーソルあてて)
岩盤が発達した様相に・・・
7m滝(カーソルあてて)

この先の5m滝を左の凹角から超え、ゴルジュ内を進んでいくと、どの記録にもある。2段30m曲り滝。下段の滝は深い釜を持ち人を近づけないので、
全体像を見た人が居るわけでなく、30mあるのかどうかは解らない。ここは定石の右岸ルンゼから取りつく高巻きに入る。このルンゼも登って行くほど
嫌らしくなるので、左に逃げ、途中からザイルを出して灌木帯に上がる。曲がり滝右岸の岩壁を回り込むように上がると、細尾根に出て、懸垂用の
残置シュリンゲを発見。ここから20m降りると2段目の深い釜に降りれるが、2段目の滝が登れないので、定石通り10m程下った所まで懸垂で降り
外傾バンドをトラバースして滝上に出る。この外傾バンドでのスリップに注意。 2回目の懸垂で滝上に出る。この滝はこれ以外の突破方法は無さそう。
2段30m曲り滝 下段全体像(カーソルあてて)
右岸ルンゼの高巻きと、1回目の懸垂(カーソルあてて)
外傾バンドと2回目の懸垂(カーソルあてて)

曲り滝を超えると左岸から新吾沢が入る。この辺りで、イワナが釣れた記録を見たので、餌釣りで狙うが、魚影も見ないし当りも無い・・・。。。そうすると
8m滝が現れ一旦竿をしまう。今回は長時間竿を出していると抜けられないので、致し方ない。 
さて、この8m滝。右壁に取りついて見たら下部に残置シュリンゲを発見。残置シュリンゲを掴んで1段上がった所でザイルを出す。。。このまま、まっすぐ
直登を試みるが、段差が大きく踏ん切りがつかない。Σさんから「水流側に近づいた方がいいんじゃない?」とのアドバイスを貰うが、スタンスが小さいの1個
しかなく厳しい感じ。中間支点は先ほどの残置シュリンゲ以外に無く、覚悟を決めて小さいスタンスに足を決め水流側に近づく。あとは若干甘めのガバを
取って直上した。割と緊張感あり。W-
新吾沢出合で竿を出す(カーソルあてて)
8m滝
8m滝登攀(カーソルあてて)

滝上は大釜。ここで餌とルアーのダブル攻撃を行うも、全くアタリ無し。もう二度と竿を出すことは無かった・・・・。。。ここで、Σさんが
「ひろたさん、越後の沢でイワナ釣れた事あります?」 との問いに
「そういえば、一度も無いかも・・・」  
新潟豪雨の影響か・・・いや、それ以前の三国川流域も魚影は見なかった・・・う〜〜〜〜ん。。。

大釜を超えると深いV字谷に変化。沢が右直角に折れ曲がる所で凄い飛沫を飛ばしているので、恐る恐る進むと9mの豪瀑。直登は不可能で
少し戻って左岸で高巻く。この高巻きは容易で懸垂無しで落ち口上に出れた。V字谷は続き、その先の8m滝は左壁から簡単に滝上に出れる。
ダブル攻撃実らず・・・
9mの豪瀑(カーソルあてて)
V字谷から8m滝へ(カーソルあてて)

滝上はゴルジュが続く。(670m)で出合う左岸枝沢を見、5m滝は左壁から超える。10m2段滝は手前から右岸を高巻きに入る。落ち口を超えた所に
懸垂下降用の残置シュリンゲがあり、8m程度の懸垂を試みるも次の滝が登れない様な雰囲気を醸し出しているので、途中で戻ろうとした時右手を
掛けた50cm強の岩が、いとも簡単に外れ体の横をかすめ落下・・・。3人懸垂すれば、誰かが触れる位置にあっただけに、懸垂を中止して正解だった・・・
この支点からトラバースを続ける事は難しく。Σさんがザイルを伸ばし右岸壁を回り込んでトラバース。10m2段滝上の二つの4m滝上に出る。
670m左岸枝沢と5m滝(カーソルあてて)
10m2段滝は右岸巻き(カーソルあてて)
10m2段滝上の二つの4m滝を一緒に巻いた

この先、少し進むと正面に小倉沢の大滝が見えてくる。2段6m滝を左から難なく超えて小倉沢出合に到着。小倉沢はY字の2段60m滝を落しており、
エスケープルートにはならない。本流は8mの垂瀑。出合は広河原で、整地済みの場所もあったが、飛沫が飛び交っているので、夏以外は寒い思いを
するかも・・・。

本流8m垂瀑は右の草付き小尾根を上がり、壁にぶつかった所から滝に向かって草付きをトラバース。足元が崩れる事が無く滝上に出れたが状況に
よってはザイルを出した方が良いかも・・・?
小倉沢の大滝が見えてくる
小倉沢出合から本流(カーソルあてて)
草付トラバースで本流8m垂瀑を超える(カーソルあてて)

本流は逃げ場のないゴルジュが続く、立て続けに現れる4m滝6m滝を左壁から登ると2段30m滝。水流右壁が取りつけそうだが2段目の垂壁が悪そう。
ここはムリせず左岸を高巻く。落ち口高さまで上がればその高さでほぼトラバースしていける。大滝落ち口横に平らな土地があるが、「さすがに、ここは
無いなぁー」と3人意見が一致。 時間は14:時を回った所・・・。ここまで来ておけば翌日下山できるが、もちろんまだ、先に進む。
小倉沢出合を過ぎて、4m滝と6m滝(カーソルあてて)
2段30m滝と2段目の垂壁アップ(カーソルあてて)
この高さで高巻く(カーソルあてて)

4m、6mと二つのV字滝を超え、7m滝を左から小さく巻いて上がると、エマージェンシーだが幕営可能な場所がここにもある。次の2段6m滝は左右の壁に
取り付いてみるも難しく、右岸草付きの大高巻きになった。すぐには下降点を見いだせず。ルンゼにぶち当たった所を下ると、残置ハーケンがべた打ち
された場所を見つけ、7m程の懸垂で沢床に降りれた。
二つのV字滝を超える(カーソルあてて)
7m滝は小さく巻ける
大高巻きになった2段6m滝(カーソルあてて)

この先で二俣に到着。本流左俣は見事な15m滝が掛かる。ここは左岸を巻くか、右岸を巻くか悩みどこ。水流すぐ横の両側もザイルを出せば何とかなり
そうだが、右岸の少し滝から離れた所にあるルンゼを利用した。しかしこれが悪かった。結局は途中でザイルを出し、渋い泥ルンゼを這い上がり、
ようやく現れた灌木で支点が取れた。滝に向かってのトラバースも出来たが、約1時間の高巻き。こんなに苦労するなら、滝のすぐ近くの草付き壁を
ザイルを出して登った方が、スッキリしてるし、時間も早いかも。。。
二俣が見えてくる(カーソルあてて)
左俣の15m滝推奨ルート???(カーソルあてて)
右岸大高巻きで超える

滝上にはテン場は無く、今回参考にさせてもらったトマの風遡行図によるとこの先の5m滝、10m滝上に有るようだ。時間は16時過ぎ。しかし、残念ながら
その5m滝も登れない。左壁から取り付くもノーザイルでは踏ん切りが付かず一旦降りる。左壁の水流近くには残置カラビナまでぶら下がっている、敗退の
跡だろうか?
5m滝すぐ上に10m滝が控えていて、まとめて高巻くしかないのだが、10m滝落ち口横は切り立った壁が伸びており、ここで追い返されることになるの
のかもしれない。トマの記録では右岸では無く左岸を巻いている。結構遠回りな高巻きに見えるが、時間も押しているため、確実性を選んで、左岸を巻く。
ただ、取り付きの草付きが滑りやすく、こちらも嫌らしい。灌木帯に入ってからはパワー勝負。10m滝落ち口高さでトラバースを掛け、滝上に出れた。

やっとテン場だ!!! と思いきや、ここはV字谷・・・。まだ先に有るのか?と肩を落としているとSACHさんが10m滝上から30m程進んだところで
右岸草付き台地を発見。若干草が生えていたものの、ほぼ平らな土地で落石の心配も無い。焚火をやるスペースが狭いが、ここで、行動を終了する。
5m滝、10m滝
左岸の大高巻き
テン場到着(カーソルあてて)


二日目
0℃用のシュラフを用意したため暖かく寝れた。 テン場から先は大岩のゴーロ帯。右岸枝沢が入る所は開けているが、幕営適地は無かった。
7m滝、5m滝を超えると、厄介な2m滝。水流右を空身ショルダーで乗りこえる。
大岩のゴーロ帯を進む
7m滝
ショルダーで上がった2m滝(カーソルあてて)

ここから沢は大きく右にカーブし、ゴーロ帯が続くようになる。夏場だと雪渓が多く残っているだろう。極上のテン場は見つけられなかったが、整地すれば
いくつか見つけられると思う。暫く進むと4段25m滝が現れる。見た感じ登れそうだが、左岸ルンゼを10m程登ったところでザイルを出し草付をトラバース。
ハーケンを2箇所打って、灌木でピッチを切る。ザイル出すなら、1段目だけでも直登して左岸草付に逃げるのも手かもしれない・・・?
もちろん頑張って直登もありうるのか???
ここまで来るとある程度テン場は有り。
4段25m滝(カーソルあてて)
左岸草付をトラバース(カーソルあてて)

25m滝上からはまた、概ねゴーロ帯が続く。稜線も見え、両岸の切立ちも弱くなり、雪渓さえなければテン場は散見されるようになる。6mCS滝等
小滝は現れるが通過に問題は無い。1320m付近で顕著な二俣となる。ここにはまだ雪渓が残っていた。
再びゴーロ帯が続く(カーソルあてて)
6mCS滝(カーソルあてて)
明るく開け、1320mの二俣へ(カーソルあてて)

ここを本流の左に入ると40m大滝が見えてくる。水量は乏しく切り立った壁と言った感じ。折角なので滝に近づいてみると、右から登れそうだが、
この滝は取りつかない方が無難らしい。滝から50m強戻った右岸に、いかにも”巻きはこちらです”と言わんばかりの沢形が入っており、これを利用して
高巻いたが、確かに大滝上部は切り立っており、直登は難儀しそう・・・。適当な場所で沢形から離れ、本流にトラバースを掛けると懸垂支点用の残置
シュリンゲを発見、ここから懸垂すると20m懸垂だが、もう少し落ち口に向かって下って灌木を支点に取れば10m強の懸垂で済むだろう。
40m大滝(カーソルあてて)
偵察に行く(カーソルあてて)
右岸高巻き途中から見た落ち口

大滝上はゴルジュ。テン場はもう無い。3m程度の小滝がいくつか出てくるが滑って、足を抑えてもらいながら、空荷で上がる滝もあった。
両岸がゴルジュから草付に変わり、1750m付近まで上がって行くと、右岸から登山道に向かって伸びる沢型があり、こちらに入る。最後は薄い草付
の泥壁をよつんばいで這い上がり1820m付近の登山道に出た。

SACHさんは駒ヶ岳にはまだ登った事が無いようだが、ちょっと用事があり、申し訳ないが今回は小屋も見ずにこのまま下山した。
嫌らしかった3m滝(カーソルあてて)
ゴルジュから両岸草付の様相へ(カーソルあてて)
正面三角岩の左がゴール地点(カーソルあてて)
お疲れさまです!
大チョウナ沢を振り返る
終〜了〜です♪

P.S:大チョウナ沢は直登可能な滝が少なく高巻きも悪いです。「上信越の谷105ルート」には中級と書かれていますが、ラバーソール靴の登場で簡単に遡行できる
   ようになったオツルミズ、滝ハナ沢よりある意味難しい沢です。エスケープルートもありません。沢靴に付けるピンソールが売られている様ですが、こんなものが
   あれば、高巻きも多少楽になるかもしれません。テン場は序盤と1200m以上には散見されますが、1泊2日で抜ける場合は金山沢出合(滝の飛沫で寒いかも)
   か、我々が泊まった930m付近くらいしかいい所は有りません。ザイルは30mでもなんとかなりますが、40mあった方が無難です。メンバー厳選し、大人数に
   ならないパーティで遡行した方がベターです。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)





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