2015年5月3日 台高 本沢川 白倉又谷 馬ノ鞍谷

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、#0.5 靴:アクアステルス
地形図:大台ケ原山
遡行図、概念図はこちら
“関西沢ツアー” も3日目。当初から案として用意しておいた中から本沢川  白倉又谷をチョイス。昨日遡行した東ノ川と大台ケ原ドライブウェイを挟んで反対側に位置する。
WEBでいくつか記録を見たが、白倉又谷/馬ノ鞍谷分岐二俣から白倉又谷に入り、すぐ上にある滝を見て引き返す記録が多かった。昨日から合流した河田さんの体調が
今一で、今日は1日休んで、白倉又谷の終了点となる大台ケ原ドライブウェイに車を回しておいてくれるとの事で、上まで詰めあげる計画。、白倉又谷は途中から右の白倉又谷
と左の馬ノ鞍谷に二分するが、今回は馬ノ鞍谷を選択した。


17:10大台ケ原ビジターセンター→17:35国道→18:05本沢川林道げート着
6:30ゲート発→7:05白倉又谷左岸林道終点(入渓)→7:45白倉又谷/馬ノ鞍谷分岐→(竿だし)9:45 845m左岸12m滝枝沢出合
→12:35 995m二俣→14:15大台ケ原ドライブウェイ着


東ノ川の遡行を終え、車で白倉又谷基点の林道ゲートを目指す。R169から県道224に入り入之波温泉を通過、本沢川左岸林道を入って行く。この林道
はほぼ舗装路。人も常駐しているようなので、暫くは通行止めになることは無いだろう。ゲートは白倉又谷出合すぐ手前にありここに6台分くらいの駐車
スペースがある。ここは水もあり。1日“600円“と書かれた看板が立っていたが、こんな山奥に一体誰が料金を徴収
しに来るのか・・・?  と思って焚き火をやっていると、18時半過ぎに、ふと音も無く一人のご老人がやってきた。。。
どうも、この方がここの駐車上の管理人の方らしい。電動アシスト自転車でやってきたようだ。駐車場脇にあった薪を使っていたら、「勝手に使ったらだめ
じゃないか!」
と怒っている様だが、相当お歳をめされているので迫力が無い。「まぁええわ!、ここに置いてあったら普通使うわな!」と言って一緒に焚き火に
あたる(笑)。お話を聞くと御歳87歳との事、ここで50年近く暮らしていて、枝打ちや猟をやっていたとの事、耳は悪いがレスポンスは87歳とは思えない程
よく、普通に
「猟銃は当時50万したけどドイツ製がいい、音は1万mまで届く

「熊は平成4年から撃てなくなった・・・」
「こんなへんぴな所だけど、日用品は売りに来るから結構便利なんだよ」
とかいろいろお話してくれた。。。辺りは真っ暗になってしまい、大丈夫なんですか?と言うと自転車にライト付いてるから大丈夫との事。
19時半過ぎに一人帰っていった・・・
翌朝、出発準備をしていると、またお爺さんが登場。「きいつけてな」と送っていただく。お爺さんの相手は河田さんにまかせて、Σさんと歩き出す。林道は
白倉又谷へ伸び、黒倉又谷の方には登山道となって伸びている。林道を終点まで、歩いた所から入渓。このさきも作業道らしいものが伸びており、
白倉又谷/馬ノ鞍谷出合まで歩いて、この作業道を利用して戻ってくる様だ。
駐車場管理人のお爺ちゃん
林道ゲートと黒倉又谷への登山道
入渓点の白倉又谷左岸林道終点(カーソルあてて)

早速、林道終点から入渓。付近は奥秩父っぽい様相を呈している。2段4m滝は水流左のリッジで超える。するといきなり2条10m滝がお出迎え。直登は
難しく右岸巻き。滝上は平凡な様相。岩盤が発達してくると、顕著な二俣。地形図を出すと、ここが馬ノ鞍谷/白倉又谷の二俣らしい。入渓して1時間も
経っていないが、この上にある滝を見て引き返す人が多いってどういう事なんだろう・・・? と悩む。
2段4m滝は左のリッジで超える(カーソルあてて)
10m滝は右岸巻き(カーソルあてて)
岩盤が発達すると馬ノ鞍/白倉又谷出合(クリックして)

ちなみに白倉又谷にかかるのは2段20mトイ状で左岸の高巻きか中間尾根からの高巻きになると思う。我々が行く馬ノ鞍谷は6m、7mの2段滝。手前6m滝
を左から登ると、中間尾根へのリッジで左岸高巻きか、このまま右岸の高巻きで行くかの選択となる。右岸巻きを選択したが、すぐ上にも絶望的な10m級
の滝が控えており、このまま巻き上げられる。右岸は失敗かとも思ったが、左岸もかなり巻き上げられる様に見え、どちらも同じ様な感じ。沢に近づくと、
30m程度のトヨ状ナメ滝がゴルジュに落ちて居るのが見える。この上にもう一つ10m滝があり、これも右岸を巻いてようやく沢床に復帰することが出来た。この高巻きは35分程掛かった。

二俣、馬ノ鞍谷の最初の6mを左から
高巻き中から見た10m滝と10mトイ状(カーソルあてて)
さらに10m滝があり、これも一緒に巻く

沢に復帰すると大岩の下に水が流れており、岩潜りで抜ける。ここでいったん落ち着いた様相に戻る。左岸に作業小屋があったのか、石垣が見える。
ここで、魚影を見たので竿出し、昨日は全くシカトされたが、今日は食ってくれた。15cm程度のアマゴでリリース。結局3匹ほど釣って竿をしまう。この先

多条ナメ滝を超えると、右岸から12m滝で入る顕著な枝沢。高度計では840m付近。ほぼ水量(1:1)だがそれに匹敵する左岸枝沢が地形図では見つから
ない。きっと先ほどの右岸湧水の様に大量の湧水を流している枝沢なのだろう。

大岩を潜る(カーソルあてて)
右岸から大量の湧水
多条ナメの先で左岸顕著な枝沢の滝(カーソルあてて)

本流は巾狭の小滝。平凡な様相を歩いていくと、右からまた大滝が見えてくる。枝沢かと思ったら本流の滝で15m程度。傾斜はそれほど立ってないので
水流右からフリーで取りつく。岩は滑るが、タワシを持って行けば大丈夫だろう。タワシを持っていないΣさんは若干苦労したようだが、何とかクリヤー。
ショボク見える本流(カーソルあてて)
枝沢の様に入る15m滝(カーソルあてて)
15m滝は水流右を直登(カーソルあてて)

滝上は平凡だが、すぐに12mトイ状滝が現れる。これは手が出ず厳しく左岸から巻く。小さく巻けば落ち口付近にうまく出れる。小さく巻くと3m「く」字滝を
登って大きく高巻いたΣさんと合流。この上は2段7mの癒し系。少し平凡な様相を進んでいくとまた大きな滝が見えてくる。

12mトイ状滝は左岸高巻き
2段7m滝
前方に大滝が見えてくる

前衛の4mナメ滝を超えるとそれは2段17m滝。水流沿いは登れないが、右から登って落ち口に向かってトラバース出来るんじゃないかと、ザイルを出して
取りついてみる。直上して灌木でビレイ。壁にぶつかった所でトラバースを掛ける。ここの傾斜は緩いので、そう難しくはない。落ち口横で1段上がって滝の
ヌメリをタワシで落として上に上がった。30mザイルでピッタリ。Ⅲ+
2段17m滝ルート(カーソルあてて)
2段17m滝を登る(カーソルあてて)
Σさんが上がってくる

17m滝上は間髪入れずに小滝と7m滝が続く。7m滝は右からノーザイルで登ったが落ち口下の一歩がちょっと嫌らしかった。Σさんには上からザイルを投
げて、上がってきてもらう。 続く15m多段滝は寝ており快適に上がって行ける。この上で焚火休憩。。。この先は概ねゴーロ状。すると左岸から顕著な
ガレ谷が入る。どうもここが995mに位置する二俣の様だ。顕著な沢筋なのに水が流れていないのは残念。ここの出合右岸には絶好のテン場がある。
遡行して解ったことだが、ここから先、本流はすぐに水が涸れ、長いゴーロ帯となるので、ここで、幕営して、翌日右岸子尾根にある1206ピーク鞍部を乗り
越して黒倉又谷を下降すると充実コースになるかもしれない。。。
7m滝は右から(カーソルあてて)
15m多段滝
右岸ガレ谷と出合にあるテン場(カーソルあてて)

上記した様に、この先少し行くと水が枯れてしまう。伏流かと思ったが相当上まで行かないと水が流れないので、夏場は水を汲んでで置いた方が良い。
長いゴーロを上がって行くと、ミニゴルジュっぽくなり、3m、3m、8mと涸滝が続く、最奥の8mは立っているが、ホールド・スタンスは充分。偶に有る脆い岩に
気を付ければ問題なく上がって行ける。 この先も長いゴーロが続き、右岸から白いガレを見るとナメ床が現れ、チョロチョロではあるが水が流れ出す。
水の無い平凡な様相が長く続く
8m涸滝(カーソルあてて)
右岸から白いガレが入ると水が流れる(カーソルあてて)

すっかり体が完全ゴーロ慣れした状態で4m滝。なんか悪そうなので小さく左を巻く。ナメ床がまたゴーロになり枝沢も入るが真直ぐ北進する。右岸から
茶色い大ガレを見るとゴールも近い。左岸にゴミが散乱しているルンゼが入っていたので、この上に林道が通っているに違いないと詰めてみると予想通り
林道跡に出た。大台ドライブウェイからはガードレールで入れないようにしてある。。。

さて、河田さんに連絡取らないと・・・ここはdocomo携帯が繋がるのかなぁ?・・・と思ったらそこに、白い河田さんの車が停まっていた!ナビを装着している
とはいえ、ここまでジャストに待ち合わせが出来るとは!!! 凄い感動
4m滝は左から巻く
右岸大ガレを見るとゴールは近い
林道跡奥に大台ドライブウェイが!(カーソルあてて)

河田さんの体調だが、どうもイタリア旅行での食べ物が原因かも・・・との事。1日寝てたら大分体調は良くなったそうで良かった。河田さんの車で基点の
駐車場に戻ると、例のお爺さんとすれ違う。「無事戻りました!」というと、「お茶でもどうですか?」とお誘いを受けたが、明日の沢の行先を決めなくてはいけな
かったので丁重にお断りする。 温泉は、近くに入之波温泉というのがあり、湯質は非常に良いそうだが、それが紹介されて今では狭いのに値段も
上がってさらに激混みなんだそうな。。。なので、道の駅「杉の湯川上」に移動。18時までしかやっていない温泉だが、ロビーも使えて、日帰り客にも対応は
凄く良かったので、時間が早ければ、ここがお勧め。。。ロビーで地図と携帯の天気予報を睨み翌日の行先会議を開く。。。

P.S:白倉又谷は関東の沢でいうと奥秩父の沢に15m級の滝をいくつかプラスした印象。途中までは魚影も多く、しめるが、1000m超えると水が枯れてしまい
   ここからが長い。。。文中でも書いたが、釣りをしながら遡行して沢中1泊で黒倉又谷に移動して下降すると、車1台で遡行でき、より充実するかも。
   ザイルは30m1本で足りるが、黒倉又谷下降だともう少し長い物を用意した方が安心。濡れていると滑るのでラバーソールならタワシを用意した方が良い。
   

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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