2015年6月7日 栗子山塊 烏川 枯松沢

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.5、 靴:フェルト
地形図:栗子山、稲子
遡行図、概念図はこちら

単独での沢登りは危険と言われるが、地方に住んでいたり、職場の勤務体系、または所有装備の兼ね合いで、“単独でないと遡行できない・・・“ そんな沢も結構あ るのだ。
相手が見つからなかったらこの沢・・・と用意しておいた栗子山塊の烏川 枯松沢を狙う。烏川流域では国道13号から二ツ小屋トンネルを通ってアプ ローチする滑谷沢が有名。
また、摺上川ダム湖からアプローチする手沢も昨年遡行した。残るは今回の枯松沢と言うことで、烏川三部作を完結を目指す。


15:15自宅発→16:42那須塩原駅付近R4→17:15白河IC通過→19:05本宮IC通過→19:40福島駅前横通過→20:20摺上川ダム横P着
4:48基点P発→5:05白金橋(烏川林道入口)→6:05自転車デポ地→6:25烏川雨量観測施設→6:35烏川入渓→6:55枯松沢出合
→9:20 685m二俣、10:07右俣遡行開始→11:45右俣/左俣中間尾根(左俣下降開始)→13:15 685m二俣、14:40同発→15:45烏川出合
林道経由→16:05 烏川雨量観測施設→16:20自転車デポ地→17:24基点P着

昨年、手沢の遡行で、烏川左岸の林道に巡視目的と思われる車が走っていたのを確認。「車が通れるんだ・・・」ということで、今回はアプローチに折りたたみ
自転車を使い摺上川ダム湖側からアプローチする。ダム湖末端にR399から対岸に渡る橋にゲートがあるが、ここは取り外し可能な事は昨年の遡行で
確認済み。ただ、本ゲートは対岸に渡ってすぐあるので、今回はR399横にある神社の駐車場に車を止めた(概念図参照)。 タイヤ径の小さいマウンテン
バイクだが、さすがに、歩きより格段に早い。手沢の時は白金橋まで歩いて1時間を要したが、もっと手前からの出発なのに17分で到着。

ここから未舗装路となる烏川林道に入る。車が入るくらいだから。。。と思っていたわけだが、車が入れる道の状態は手沢を越えて1km程行った所まで
だった。。。 チャリなら行けるだろう・・・というか、チャリで行けなきゃ”敗退”なのでロープゲートを跨いで少し行くと崩落箇所がありここを自転車を押して突破。
その先は車道と言うよりは登山道と言った雰囲気の漂う道になっていた。ただ、チャリなら何とか走れるので助かった。 烏川本流を横断する橋を超える
と、さらに道は悪くなるが、それでもチャリなら 辛うじて進める。この調子で、林道末端までチャリでいければ良かったのだが、横川を横断する橋を超えて
900mくらい先で自転車でも通れなくなる。

R399沿いの神社から出発(カーソルあてて)
烏川林道も2km程度で状態悪化(カーソルあてて)
自転車もここまで・・・

仕方なくチャリをデポし歩き始める。崩壊箇所は何箇所かあるが徒歩であれば問題ない。暫く歩くと烏川雨量観測計が現れた。踏跡はここから先にも
伸びているが、現在地の把握が正確に出来ていなかったので、ここから烏川本流に降り立つ。

この辺りの烏川本流は概ね平凡。まだ枯松沢出合は上流だろうと決め込み、上流に向かって歩き出す。なかなか出合いが出てこなかったので焦るが、
暫くすると烏川本流を横断する橋が現れ、現在地を確認することができた。この橋を潜ってすぐ枯松沢が出合う。本流に比べ貧弱で、橋が無かったら
不安は大きかったであろう。

雨量観測計。ここから烏川本流に降りる
烏川本流の様相(カーソルあてて)
本流を横断する橋と枯松沢出合(カーソルあてて)

枯松沢序盤は概ね平凡な様相。ナメ床も点在し、癒し系のイイ感じ。魚影はかなり多い。。。最初の滝らしい滝となる5m滝は水流左に取りつく。久しぶりのフェルトソールだと、さすがにフリクション感覚が判らず慎重に上がった。時折現れる4m弱の小滝は、どれも容易に超えることが出来る。

枯松沢序盤の様相(カーソルあてて)
最初の5m滝
2条4mナメ

高度計が610mを指すとミニ廊下。この先5m「S」字滝を過ぎるとブリッジ雪渓が残る右岸枝沢がはいるが中枯松沢という名前が付けられているらしい。
ミニ廊下
5m「S」字ナメ
右岸から中枯松沢が入る

本流はここからナメ床が続く。。。このナメ床が終わると685mに位置する左俣/右俣分ける二俣に到着。水量比は(1:3)で圧倒的に右俣の方が多い。
ここで焚き火休憩。。。50分ほど休憩して右俣遡行→左俣下降で出発。この先は滝が連続する。
最初の6m滝を超えると2段8m滝。安全に水流右から
直登。滝上は綺麗なナメ床になっていた。
ナメ床がつづきます(カーソルあてて)
685m二俣
2段8m滝

この先は、4m前後の小滝とナメが交互に出てくる。雪渓も美しく、良いアクセントになってた。すると、ついにブリッジ雪渓が行く手を阻む。覗いても出口が
見えないので、上を歩くと60mくらいあった。
雪渓も良いアクセントに
癒し系のナメ
出口の見えない雪渓登場。

この先、あとは平凡な様相が続くのかと思ったら7m滝。フェルトソールなので、勝負せずに小さく左から巻き気味に上がる。この先で(1:3)で右岸から割と
顕著な枝沢が入る。ここではないだろう・・・と水流の多い右に入って正解・・・。滝はまだ続き、2段6m、さらに8m滝と続く。8m滝は水流右を直登可能だ。
7m滝は水流左を巻き気味に上がる
2段6m滝
8m滝は水流右から(カーソルあてて)

この先で、870mに位置する三俣。左俣下降の場合はココを左に入る。水量も一番左の方が多かった 三俣を左に入ると滑床がすぐに平凡な様相に
変化。この辺りでも幕営が可能な場所がある。暫く行くと巨大雪渓が出現。上を歩く。60mほどの雪渓が終了すると。もはや源頭の様相。詰めは潅木帯の
藪だが、そう密度が高いものではなく進むのに苦労は無い。二俣から1時間半チョイで右俣/左俣中間尾根に到着出来た。
870m三俣(ここを左に入る)
雪渓が続くようになります(カーソルあてて)
中間尾根付近の様相

ここから磁石を取り出し、滑谷沢側に降りないように注意して進む。
左俣の沢型に入ると2~3m程度のナメ小滝が出てきて、潅木を掴みながら、あるいは
フリクションを利かせて最後は飛び降り・・・みたいな感じで下降していった。7m滝も出てくるが右岸を小さく巻いて降りる。まぁザイルを出すほどでも無い
という感じか。。。
登山道の様な左俣の沢型
小滝は度胸と気合で降りる
7m滝は右岸を巻いて降りる

さらに2段8m滝も右岸を巻いて降りると雪渓が現れる。ここは潜って通過・・・。右岸から枝沢が入り小滝を降りて行くと、ナメ床になり、そのままナメ状で滝へと変化。ここも右岸ギリギリを巻いて降りると、30mはある大滝で、烏川流域最大の滝が、なんとこの枯松沢にあった訳だ!!!
2段8m滝
雪渓は潜る
30m大ナメ(カーソルあてて)

大滝すぐ下にトイ状4m滝があり、これを右から降りると、720mで(1:2)となる割と顕著な枝沢が右岸から入る。この先でもう一つ大きな雪渓を超えると、
二俣に到着する。ちなみに、この二俣には左俣に入った所の左岸に絶好なテン場がある。
30m大滝下の4mトイ状
720mで出合う顕著な右岸枝沢
左俣の雪渓と二俣にあるテン場(カーソルあてて)

再び焚火休憩して、そのまま本流を下る。当初の計画では土日で来て、ここで1泊するつもりだったわけだが、時間は14:40。 6月で陽が長いし帰りは
チャリなので問題ない。このまま本流を下って行く。。。懸垂を必要とする箇所は無いが、釣師の踏跡も無く。沢通しでの下降となる。地形図では途中
左岸に林道が通っているのだが、沢床からは確認できない。もう左岸に林道が通っているはずだけど、何処かなぁ・・・?と思っているうちに烏川本流に到着した。
二俣から1時間ちょっとだ。
二俣で焚火の後始末
本流を下降します
烏川本流に到着

帰りは本流を横断する橋に上がり、ここから烏川林道で戻る。橋に上がってみると、枯松沢側に伸びる林道はもはや完全消失と言った感じだった。。。
烏川林道側も踏み跡程度が残る感じ。崩壊箇所も多いが、沢屋な ら問題ないだろう。歩くこと35分で自転車デポ地点に到着。帰りは概ね下りなので楽。
枯松沢左岸林道は完全消失
烏川林道ももはや薄い踏跡のみ
烏川林道は原チャリでも通れないだろう

舗装路に出れば、もはや終了の雰囲気、漫然と走っていると左カーブ先でガードレール沿いに大きい黒い物体を発見! 細かったのと、疲れで、クマと
気づくのにチョイト時間が掛かった。慌てて急ブレーキ! 距離は15m弱。タイヤのスリップ音で向こうもこちらに気がついた様だ。0.5秒ほど目と目が合って
クマが藪に隠れた。。。。と言ってもまだ林道すぐ横に居るので、チャリのベルを一回チーンと鳴らすと、さらに5m程上に上がってくれたので、チャリで通り
過ぎた。。。   12時間半の行動を終え、基点に戻る。。。


P.S:滑谷沢もアプローチは長いが、枯松沢はアプローチが核心といって良い沢だ。二ツ小屋トンネル側からアプローチしても同じくらいにアプローチは長い。
   入渓してしまえば遡行者も皆無で、もはやメジャー化した滑谷沢と異なり、静かな遡行が保障される。魚影も多く癒し系の沢。自転車を持っている人だけが
   入渓できる沢と言って良いかも。林道の修理は見込まれないので、今後は自 転車でのアプローチも困難になるかも。
   テン場は二俣までは多く、困ることは無いでしょう。右俣はさらに上流も幕営可能な場所があります。ザイルは20mで十分です。
   ※自分が写っている写真はすべて自撮りなので半分ヤラセ(?)ですが ご勘弁を(笑)


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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