2015年7月11、12日 会越 只見川 北の湖沢中俣→左俣下降&右俣

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×40m、カム#0.5、#0.4 靴:アクアステルス
地形図:安座、沼沢沼
遡行図、概念図はこちら

昨年、会越只見川流域のもうがけ沢、叶津川赤崩沢を遡行したので、その辺りの地形図を見ていると、“北の湖沢”なる沢を発見! 昭和世代の私は 『きたのうみさわ』!!??と
あの大横綱にちなんで付けられた沢なのか? と思わずウィキで検索してしまったが、最近になって福島登高会の記録から「きたのこさわ」と読むことを知る。。。
西に位置する風来沢、霧来沢はWEBでも記録が散見されるが “きたのkoさわ“ は記録を見ない。。。この、“北の湖沢”は3本の支流があるが、福島登高会の記録によると、
「登るなら中俣」とあるので、初日に中俣→左俣下降、二日目に右俣というルートで計画してみた。


18:00自宅発→19:15片岡→21:20道の駅「かなやま」、4:45発→4:56上田ダム着
5:15基点発→5:20入渓→5:53右俣出合→6:15中俣/左俣出合(荷物デポ)、6:25中俣に入る→8:35 545m(1:1)二俣
→11:12 755m(1:1)→11:50稜線→12:10 981mピーク→12:15左俣下降開始→15:50中俣/左俣出合着(幕営)


二日目
6:55左俣/中俣出合発→7:15右俣出合→9:40 515m(1:1)二俣→10:43稜線 沼越峠着(831mピーク往復)、11:25下山開始→12:45基点P着

“北の湖沢”の基点は上田ダムになる。ダムを横断した先に10台ほどの駐車スペースがあり、ここに車を停める。携帯は繋がるが、トイレは無いので、
前夜泊はすぐ近くにある道の駅「かなやま」が良いだろう。

地形図の通りに送電線巡視路があり、容易に北の湖沢に入渓。平凡な様相が続くが、すぐに雪渓が見えたので不安を覚える。

上田ダム横の駐車スペース
北の湖沢入渓点(カーソルあてて)
入渓してすぐに雪渓が(カーソルあてて)

さすがに、アプローチが便利なだけあって、この辺りでは魚影は見ない。この先、深い淵を右からへつって超えると早くも右俣出合になる。出合付近には
極上のテン場は見つからない。右俣は明日遡行する予定なので、左の本流筋に進む。。。この先も平凡な様相。両岸が立っている場所もあるが、通過に
問題はない。右俣出合から20分チョイで、中俣/左俣の分岐になる。水量比は(1:1)。二俣の右岸には絶好のテン場があり、今日はここで幕営する事に
決定。今日中に中俣→左俣下降で戻って来る計画なので、余計な荷物をデポし中俣に入る。

淵は右からへつる
右俣出合
中俣/左俣出合にある絶好のテン場


中俣に入るとすぐに深い釜を持った3m小滝。ドップリ浸かれば問題ないが、左からへつり気味に上がって突破。この上のミニゴルジュを抜けると、なにや
ら冷気が・・・。スッゴイ嫌な予感。。。 案の定、早くも崩壊したばかりの雪渓が出現する。稜線まで900m以上あるのに350m過ぎでこんなに出てくるとは
泣けてくる。この先は幸い雪渓を全く見ずに出てくる小滝を快適に超えて行けた。

中俣最初の3m滝
冷気漂う沢筋(カーソルあてて)
その後は小滝を快適に

・・・が、釜に目をやると水が若干濁り気味。。。やはり雪渓が左右に残っていたりした。すると、また前方に冷気が漂う・・・。沢はゴルジュになり、ここで
変な雪渓が出てくるとヤバイのだが不安は的中。ブリッジ雪渓が出現! しかも出口が見えない。ここは幸い右から雪渓上に上がれた。雪渓は想像以上
に長くこのまま雪渓上50m程進むと、早くも次のブリッジ雪渓が現れる。”これはもう敗退か?”と一瞬頭をよぎる。雪渓の高さは5m程だが、すぐ下に3mトイ
状滝が見えており、これも一緒に巻きたいところ。ただ、両岸草付壁で、雪渓からから降りるのも一苦労。ピンソール持ってくるのを忘れた事を悔やむ。
ギリギリのフリクションと幸い灌木が生えていたので、木につかまって最後は1m程ずり落ちて沢床に降りた。 なんか退路を断ってしまった感じ・・・と言う
のは大げさか。。。(笑)

また前方に冷気が・・・
ついにブリッジ出現
敗退色強いが沢床に降りる(カーソルあてて)


幸い次の雪渓は長さが10m程度なので潜って突破。この先はゴルジュ。。。まだ冷気が漂っていておどろおどろしい。高巻きが出来ないので、ここで雪渓が出てくるとヤバイのだが、容赦無く3つ目の雪渓。突破の選択肢は一つしかなく潜るのみ。潜った先に3mトイ状。これをフリーで登ると、またブリッジ
雪渓・・・出口も見えず中が真っ暗なのでヘッデンを出して突破する。幸い滝や深い釜は無く、出口の明かりが見えて、それに向かって急いで抜ける。。。 
次のブリッジは崩れそうだが、中が真っ暗ではないので気分的にまだ良いほうだ。

冷気が漂うゴルジュ
雪渓を抜けると3mトイ状(カーソルあてて)
崩れそうだが明るいほうが気分は良い???

本来なら癒し系かもしれない核心部分を抜けてゴルジュが終了。この先、小滝がいくつか出てくるが問題ない。再びミニゴルジュになった所で、またブリッ
ジ雪渓。これを潜ると、顕著な二俣になる。水量比は(1:1)。地形図で確認すると545mに位置する二俣の様だ。右沢には2段9m滝。左沢には3m、6mとほぼ同じ高さで滝を掛けている。今回は左俣を下降するので左を選択。3m滝を超え、次の6m滝は水流右を直登した。
快適な小滝が散見されます(カーソルあてて)
545m(1:1)二俣と右俣に掛かる2段9m(カーソルあてて)
左俣に掛かる6m滝(カーソルあてて)

左沢に入ると3m、,4m滝等、小滝が現れ、すべて直登していく。この先で、また巨大ブリッジ雪渓が現れる。幸い右岸側から上に上がれたので雪渓上を
歩いていくと、正面に見えていたのはルンゼで、本流は右から3m滝を落としていた。雪渓末端にも3m程度の滝があり懸垂でもしない限り沢床には降り
れないが、右岸の草付がバンドになっていたので正面ルンゼを経由して3m滝上に上がる事が出来た。

3m、& 4m滝(カーソルあてて)
雪渓末端から3m滝を見る(カーソルあてて)
正面ルンゼから3m滝を見る

この上もゴルジュが続く。小さなブリッジ雪渓を潜ると、3m滝にの先に大き目の滝が見える。近づいて見ると8m滝。かなり立っていてフリーソロでは手が
出ない。高巻きルートは右岸側に1か所、それらしいのがあるが、こちらもⅣ+の濡れた急傾斜の岩登りで、高巻きらしからぬ様相。仕方なく3m滝をクライ
ムダウン、1度潜った雪渓を再び潜り、雪渓末端から右岸草付にルートを求めるが滑りやすい。ピンソールを持ってこなかったのを悔やむ。それでも
ハンマーを刺して7m以上頑張って登ったが、2手程足らず断念引き返した。さらに少し戻って左岸から高巻くが、こちらも灌木帯に入るまで、ハンマー刺
しての厳しいフリクション登攀。灌木に手が届いてからは腕力勝負となる。中俣の核心はこの8m滝の突破だろう。

ゴルジュ地形が続く
核心の8m滝
右岸草付で巻こうとしたがダメだった

8m滝上には2m程度の小滝が二つあり、これも一緒に高巻いたが巻き終えた後で、クライムダウンして登れる事を確認。その先には3段10m滝。これは
下段がノッペリしており、ザイルがあっても絶望的だが、水流右の段付きリッジにに取りつき、灌木を伝って1段目を突破。2段目、3段目を直登して超える
ことが出来た。

8m滝上の小滝も巻くが登れる事を確認(カーソルあてて)
3段10m滝(カーソルあてて)
10m滝上から振り返る

これで、核心部は終了。この先で755mに位置する(1:1)二俣となり左を選択。ここからは滝は無く、最後は灌木を掻き分けての登りで県境尾根と981m
ピークの間の稜線に飛び出す。時間は12時前。。。なんだかんだ有った割にはまずまずのペースか・・・? 地形図では登山道の記載がないが、獣道程度
の物が通っており比較的稜線上は歩きやすい。981mピークを通り、左俣の下降に入る。

755m(1:1)二俣。ここからは平凡
稜線到着です
981mピークから県境尾根方向

降りた所からは急下降だったが、ザイルを出すほどでも無い。水が流れ始めると右岸からスラブ滝が入る。沢型がゴルジュっぽくなると2連続で滝が出て
くる。倒木にザイルを掛けて懸垂。上側は3mCS。下側は4mCS滝となっていた。今日は40mザイルを持ってきたので一安心・・・。ザイルを回収して歩き
出したらすぐに大き目の滝。滝上からはブリッジ雪渓まで見えているではないか・・・
左俣 スラブ滝
3mCSと、すぐ下の4mCSを一緒に懸垂(カーソルあてて)
8m滝上から見下ろす。

この滝は8m位ありそう。その下に5m程度の滝が見え、そのすぐ下にブリッジ雪渓だ。5m滝上には支点になりそうな灌木が無いので、8m滝落ち口ギリギリ
の位置にある灌木にシュリンゲで支点を取り懸垂。5m滝下までザイルが届いていたので一安心だが、5m滝を降りると、頭上に雪渓が掛かっている。
ヒーヒー言いながらザイルを回収、迷うことなく雪渓下を走り抜ける。振り替えると、あと1時間以内で崩れんじゃないの!と言う感じの雪渓だった。。。
8m滝を懸垂
すぐ下の5m滝もまとめて懸垂
ギリギリセーフ!

ここからはV字ゴルジュ状。崩れた雪渓を超え少し進むと6m滝。滝下にはまたブリッジ雪渓だ! さすがに嫌~な感じなので少し戻って右岸高巻きをもく
ろむが、やはりこのゴルジュは高巻きは不可能・・・。倒木にザイルを掛け懸垂。。。悲しいかな、ここも滝下に降りると頭上に雪渓末端が掛かっている。
急いでザイルを回収して、雪渓を潜る。 この先も ”逃げ場無し” の様相が続く・・・滝が出てこないのがせめてもの救いだ
6m滝下にまたブリッジ雪渓(カーソルあてて)
雪渓下は沢床が平凡で助かる・・・
逃げ場無しの中、絶妙なバランスの雪渓(カーソルあてて)

この先でゴルジュが終了するが、巨大雪渓が鎮座。ここは上を歩けた。雪渓からの下降は灌木にぶら下がって木のしなりを利用してをズリ落ちるという
ラフなスタイル(笑)。この先,両岸切り立った壁のゴルジュに変化。入口の4m滝はクライムダウン。すると右岸から15m滝で水を落とす枝沢が良いアクセン
トとなっている
ゴルジュが終了し左岸から30mスラブ滝
雪渓上を行くが下降が難(カーソルあてて)
ゴルジュ入口の4m滝と右岸枝沢(カーソルあてて)

ゴルジュ内は精々3m程度の小滝しかなかったが、断続的に表れる雪渓はすべて潜るしかなく、雪渓下の釜で泳いだときには、もはや諦めの境地に入って
いた。さらに、崩れた雪渓が沢を塞ぎ、お腹を擦りながら潜る箇所もあった。雪渓も崩れ方によっては完全行き止まりパターンになってしまう物もあるんだ
と考えると、実に恐ろしい。。。 この先ゴルジュの幅は狭まり最狭部で1m位の幅になる。幸い滝は小さい物しかなく無くブジ通過。沢幅が若干広くなった
所で右岸から7m滝で水を落とす枝沢を見る。ブリッジ雪渓はまだ現れ、そのすべてを潜っっていく・・・。

ゴルジュ内3m滝と潜るしかない雪渓(カーソルあてて)
ゴルジュ最狭部(カーソルあてて)
7m滝で出合う右岸枝沢と本流小滝(カーソルあてて)

さらにゴルジュを進むと2mCS。飛び降りようとしたがチョット高くて何度か躊躇後断念。近くに有った岩にザイルをダイレクトに掛けると、まぁ何とかなり
そうだったので、懸垂で降りる。これで長いゴルジュもようやく終了。ブリッジ雪渓も見なくなった。平凡な様相を進むと中俣との出合に到着♪
時間は16時前。出合でタープを張り今日の行動を終了する。
懸垂した2mCS
ゴルジュ終了です
左俣/中俣出合で幕営!


二日目

朝、3時半過ぎに目が覚めたので釣りに出かけた後朝食に・・・今日は右俣を遡行の予定だが、昨日の内容が濃かったのと、さすがに雪渓くぐりはもう遠慮したい気持ちで、このまま下山してしまう考えもあったが、天気も良いので計画通り右俣をちょっと覗いてみる事にした。

本流を20分ほど下って右俣に入る。右俣は暗い印象。こちらも平凡な様相が続く。こちらには昨日の光景が嘘の様に雪渓が無いのは良かったが、滝も無 い。。。それにしても中俣、左俣はあれだけ雪渓が残っていたのに、こうまで違うとは驚きだ。

幕営地を出発
右俣に入る(カーソルあてて)
右俣はテン場は多いです。

退屈しのぎに竿出し遡行。しばらく進むとようやく3段4m滝。釜も深く左から小さく巻けそうなので、勝負せず小さく巻いた。この先も平凡な様相が続く。
ブリッジ雪渓は一つもない。高度計読み470m地点に右岸にテン場発見。この先、滝らしい滝は結局現れず515m(1:1)の顕著な二俣。

3段4m滝は右岸巻き
470m付近右岸絶好のテン場
515m(1:1)二俣を右に入る


沼越峠を目指す為、この二俣を右に進む。結局何も変化無いまま水が涸れ、最後は急登の潅木帯の藪になり腕力勝負で沼越 峠付近に出た。東北電力
管轄の送電線巡視路が明瞭に付けられていた。振り返ると新潟県側 柴倉川西沢源頭の見事なスラブが見える。

もはや源頭の様相*
新潟県側 西沢のスラブが見える
沼越峠から東側を見る


折角なので831mピークを往復してくるが、西沢の様相も見えず収穫なし。沼越峠からは送電線沿いに道が付けられている。途中の巡視小屋は一般開放
されておらず利用不可。するとその先の方からクマ鈴の音が聞こえてくる、こんなマイナーな道で人?とおもっていたら75歳と語る老人で、日帰りで国土山を
往復してきたとの事。「道も無く、迷いそうだった・・・」と言っていたが、75歳にして登山道も無い山に登るなんて、かつては相当凄い人だったに違いない・・・
お先に失礼させ ていただき基点に戻った。

891mピーク(カーソルあてて)
県境尾根にある祠と下山路(カーソルあてて)
上田ダムが見えてくる

P.S:入渓時期が早かったかも。。。雪渓がなければそんなに難しい場所は無く安全に遡行できるが、地形図にゴルジュ記号がなくてもゴルジュに なっている場所が多く注意。
  潅木までの高さが5m程あるため、高巻きも容易ではなく、ピンソールがあると便利かも知れない。中俣/左俣の分岐から上流はあまり良いテン場は少ない。
  一方、右俣は平凡な様相が続き単調。テン場には困らないだろう。ザイルは左俣下降の場合40mあれば安心だが、30mでも何とかなりそう。



遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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