2015年4月19日 丹沢 中川川 押ン出シ沢
メンバー:ひろた、他2名
装備、ザイル8mm×30m2本 カム#0.5、#0.4 靴:アクアステルス
地形図:中川
遡行図、概念図はこちら
昨年11月、岩遊さんの飲み会に顔を出させてもらった時にhitomaruさんが”押ン出し沢”のお話をされていたのを思い出し、その時、「じゃぁ4月にに行ってみますか!」というお約束遡行。
昨日、隣の湯ノ沢を遡行し、今日は本命の”押ン出し沢”の遡行となる。。。登攀グレード5級の滝があるらしいが、登れるのだろうか・・・? 8:00基点発→8:15最終堰堤上→9:30二俣→11:20 F4 8mCS滝上(焚き火休憩)→12:48三俣(右に入る)→13:15左岸ナイフリッジ尾根
→13:40脆い岩壁で引き返す→14:30三俣に戻る→(左の沢ルンゼに入る)15:05稜線着→15:45 926mピークから下降開始→16:40基点着
湯ノ沢ベースを撤収し、車で押ン出シ沢基点となる箒杉公園の駐車場に移動。10台くらい停められるので問題ない。もちろん携帯もつながる。この駐車
場から中川川に向かって左の切れ込みが押ン出シ沢になる。 なかば強引に中川川本流に下りて、本流沿いを数分歩けば押ン出シ沢の出合だ。 堰堤は4つほどあり、左岸の作業道ですべて簡単に巻ける。
押ン出シ沢に降り立つと右岸から細いナメ滝が右岸から入る。本流は小規模な沢にしては水は豊富。沢型はV字谷状でその中に小滝が散見され楽しめ る。6m多段滝は水流に足を取られないようにツッパリ気味で上がっていけば問題ないだろう。4段6m滝とした滝も小滝が4つ続いた感じで快適。
さらに小滝をクリヤーしていくと右岸から4m滝で入る顕著な枝沢。水量比(2:3)。右岸には山葵田跡がある。ここに本流側にはのっぺりした7m滝。巻きは 右岸だが、水流右にザイルを出して取り付く。下部はハーケンで支点がとれるが、上部はザレで潅木も無く、支点は全く取れない。ザレを慎重に上がり ザレバンドを落ち口に向かってトラバースして滝上に出る。7m滝上は両岸の傾斜が増してくる。小滝を一つ超えると、3m滝、6m堰堤が連続。3m滝は 細かいスタンス・ホールドを拾って自分とnhさんが水流右を直登。Hitomaruさんにはシュリンゲを出す。6m堰堤は巻くことは不可能で、左隅に取り付いた。 滑ってそうだが、タワシを持っていけば問題ないだろう。
6m堰堤上は河原状。少し行くと(3:1)二俣。ここは水量の多い左俣に入る。左俣には2段5m滝が掛かっており、水流右から快適に登る。さらに2mの小滝 を越えると右岸から30mスラブ滝で入る細い枝沢。
本流はトイ状小滝で、これを超えると2段10m滝。下段は左から簡単に上がれるが、右に取り付いてみると結構脆いので素直に左から上がった。上段は nhさんがリードすることに。見た目簡単そうだが、途中岩がすべるのか慎重に上がっている。ビレイヤーの足元には豊富な枯葉があるので、待っている間 、火をつけて暖をとることに。。。登りきったnhさんから暫く音沙汰無いので、フリーで登って確認しに行くと、既に確保状態で待ち構えていた・・・。。。 “ビレイ解除“の御発声を忘れたとの事・・・。。。10m滝上は、“ヒョングリ滝“と幾つかの記録に紹介されている滝だが、高さは2m弱で今日は貧弱だ。
それより、そのすぐ上にある8mCS滝の方に目を奪われる。ヒョングリは水流左から問題なく超えて8mCS滝下に。8m滝周囲を見渡すとから若干離れた 右のノッペリした岩壁に残置を発見。ここから高巻いているのかなぁーと思ったが潅木もかなり上まで登らないと無く、ここから高巻いてもカナリ難しそう。 後日kamogさんの記録を見ると、ここから取り付いてトラバースして滝に取り付くらしい。その記録によるとトラバースが渋くⅤ級レベルとあった。 右岸高巻きは無理なので、この先に進みたいなら、この8mCSは突破するしかない。引き返すならハーケン残置の懸垂で引き返すことになるだろう。 今日は水量が少ないのか、hitomaruさんが“この滝はトラバースが難しい”と言っているが、「これって、真っ直ぐ登るんじゃないの?」と言う様な感じに見える。 という事で、迷うことなくザイルを出して右の凹角に取り付く。最初の一歩のガバがあったのだが、岩が割れてしまい、ショルダーで最初の一歩を上がる。 ここで#0.5カムを決め、このまま凹角を上がっていく。問題はここから・・・。更に直上出来ればよいのだが、スタンスはあるが良いホールドは無い、水流を まともに受けCS下に入り水流左から上がれば簡単そうだが、やはりこの水流を横断するのはリスクが高い。ここで、ハーケンを2枚打って支点を取りA0で 体を引き上げ、一番上のスタンスに右足を置く。このスタンスも若干脆そうなので、いつ崩れるかは微妙かも・・・。。。 さて、立ち込めたは良いが、ここから50cm程の段差が上がるのが核心。横に走るクラックもあるが、口が広がっているのでカムが決まらない。両手を大きく広げた先に指先がちょっとだけ 掛かる甘いホールドがあり、これを利用してなんとか段を上がる事が出きた。ここまで来れば後は簡単。V級と呼ばれるトラバースルートもこの段の上に 向かってトラバースを掛けるようだ。 ここで、1枚ハーケンを打って、奥に上がる。2段目のCSは右端から簡単に上がれるので問題ないだろう。 滝上には木の根があり、最近のと思われる残置シュリンゲがあったのでこれを利用(その後回収)。Hitomaruさん、そしてnhさんが全部回収してくれて核心 滝を終了した。Ⅳ+A0
この先の2段4m滝を快適に超えると、水が急に枯れてしまう。伏流ではなく水枯れ・・・水はここで汲んでおくように。。。両岸切り立っているが、結構濡れた ので焚火休憩。。。 ここから両岸切り立った様相の中歩いていく。途中深い切れ込みを持つ左岸ルンゼを見送ると、三俣なら”五俣”に出くわす。下山は中俣を下降しようと 考えていたので、一番右に入ろ。急峻なザレ・・・、さらにはザレリッジから灌木掴みと、運とお助け紐の連結を駆使して小尾根に上がると、先ほど見た深い 切れ込みを持った左岸ルンゼの幅狭中間尾根となっていた。。。
まぁ灌木もあるし、後はこれを伝って上がるだけ・・・と思っていたら、急に灌木が無くなり、前方にすぐにでも崩れ落ちそうな脆い岩峰が立ちはだかる。。。 ザイルを出して、恐る恐る岩峰基部まで行ってみたが、、やっぱり岩を手に取ると剥がれ落ちる。右も左も巻けず、あと一歩の所でここから先に進むのを 断念。。。仕方なく、幅狭尾根を戻って、懸垂で、”五俣”まで戻るることに。。。 さて、どの沢筋も悪そうで、どれを詰めたら稜線に出れるのか??? ”五俣”と数えると左から二つ目、三俣と数えると一番左のルンゼを覗いてみると 稜線の鞍部にうまく出れそうに見えてので、ここを詰めることにした。
素直に出れると思ったが、最後は急なザレで、灌木も無い。途中クサリがぶら下がっている所があるので、それでもやはりここが正解だったのだろう。。。 ラストは右に回り込むとトラロープを発見するが、ここまでたどり着くのが核心で、トラロープのありがたみはほとんど感じられない。何とか灌木の根が走る 小尾根までたどり着き、後続にはザイルを垂らして上がってきてもらう。。。稜線に出た後鞍部からこのルートを見たが最後はあり得ないほどの急なザレを 登っていた事に全員唖然とする。。。 時間は15時過ぎ。もう中俣下降は考えられず926mピークを目指してそこから尾根伝いに降りることにした。稜線には薄い踏跡しかないが、迷う事は無い。
926mピークから西北西に伸びる尾根にも赤テープ等があり、問題なく降りれる 。800mで尾根が二つに分かれるので注意。最後は右の小沢に降りたが 30mザイル2本つないでの懸垂になったので、極力押ン出シ沢側に降りた方が良いだろう。本流を横断して、基点に戻った。 P.S:押ン出シ沢はごくごく短い沢だが、小滝が多く、8mCS滝までなら手軽に楽しめる。核心の8mCS滝と最後の詰めを含めると、急に悪くなるので注意。
上手く詰めて、上手く降りればザイルは30m一本で足りるが、詰めを一歩間違えると、引き返すのに大変なので30m2本か40m以上を1本用意した方が 良いでしょう。靴はラバーソールの方が良いでしょう。 |