2014年11月8,9日 栗子山塊 烏川手沢→中津川日陰沢右俣下降

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.5、 靴:アクアステルス
地形図:栗子山、稲子
遡行図、概念図はこちら

2014年9月に栗子山塊 烏川滑谷沢を遡行した際、烏川流域に枯松沢、手沢の二つの沢がある事を発見。11月で日が短くなった事もあり、摺上川ダムからアプローチしやすそうな
手沢を選択。福島県の沢については、数多くの沢を福島登高会で記録をアップしてくれているが、1980年代初頭のもので現在は相当変化していると予想。今回調査遡行してみる。

19:25石橋駅発→20:20矢板IC→21:23安達太良SA、5:17同発→5:45福島飯坂IC→6:11基点P
6:40ゲート発→7:42烏川白金橋→7:50烏川入渓→9:10手沢出合→13:50 490m赤倉沢出合(テン場適地)→14:50 580m付近行動終了

二日目: 7:10出発→8:20 660m(1:1)二俣→11:45稜線到着→12:05七ツ森山頂→12:35日陰沢右俣下降開始→15:55中津川林道→17:10基点P



東北自動車道、福島飯坂ICからR399に入り摺上川ダムを目指す。ダムを過ぎてダム湖を横断する細い橋に入るところに簡易ゲートがあるが、ここは
外せて中に入れる。さらに中津川を横断する橋を渡ると中津川林道入り口にゲートあり。ダム湖側には50mほど進むとこちらにもゲートがあるが、ゲート
横に駐車スペースが2台ほどある。携帯は摺上川ダムを過ぎると圏外。

チャリなら通行可能なダム湖沿いの舗装路を、歩く事1時間で烏川にかかる白金橋に到着。烏川沿いの林道は未舗装になるが、自動車も通行可能で、
作業車が通っていくのを確認。白金橋から1分ほど林道を歩き、沢に下りれる踏跡を発見し、沢に下りるが、入渓後すぐに横断可能なつり橋を見たので、
ココから入渓しても良いだろう。もちろん烏川林道を手沢まで歩いても構わないが・・・。
茂庭林道ゲート出発(カーソルあてて)
1時間で白金橋到着
烏川林道に入ってすぐに沢に下降(カーソルあてて)

滑谷沢を遡行した際には烏川の上流部から入渓したため、完全癒し系の烏川であったが、下流から入ると沢幅いっぱいに水が流れ完全に"川"といった
感じだ。幸い沢を横断することなく左岸側を歩いていけた。

しばらくすすむと、正面に8m程度の滝が見えてくる。近づいてみると2本の滝で出合う沢が左岸から入っており、手前が黒滝ノ沢、奥がリョウケン沢と言う
らしい。本流はココから先がゴルジュとなっており、入り口と奥は深い淵になっており、全身濡らさないと突破できそうにない。ここは黒滝ノ沢ノ滝を登って
リョウケン沢を横断。さらに30mほどトラバースする。SACHさんはここで断念し、林道利用で手沢出合まで行くことに。自分はこのゴルジュの様相を調べ
たかったので、6m程度の懸垂でゴルジュ内に降りた。
烏川本流の様相
黒滝ノ沢とリョウケン沢が左岸から入る(カーソルあてて)
黒滝ノ沢から高巻いて本流ゴルジュに(カーソルあてて)

ゴルジュ内には2m程度の滝が2つ程。嫌な深みはなく難なく抜けれた。ゴルジュ初級といったところだが、11月に事前情報の無いゴルジュを進む緊張感と
してはなかなか楽しかった。最後に3m滝を左岸側からヘつって突破すると沢は開けすぐに手沢出合となりSACHさんと合流。このゴルジュを林道で割愛し
てしまうのは勿体無いので、本流からの入渓をお勧めする。夏場はオール水線通しが楽しいかもしれない。
ゴルジュ内の様相
左直角に曲がっての様相
ゴルジュ出口の3mはへつってから右に上がる

烏川本流と手沢の水量比は(4:1)くらい。手沢に入ると迫力は欠けるがミニゴルジュでのスタートとなる。突破は容易で2mの小滝を過ぎると様相は落ち
着いてくる。出てくる滝は4m弱の物ばかりだが渓相は歩くない。11月の沢としてはお手頃な様相が続く。しばらく進むとSACHさんがナメコを発見!これを
前提に今晩は鍋を予定していたので早速GET。
手沢出合(カーソルあてて)
手沢最初のゴルジュ(カーソルあてて)
渓相はだんだん穏やかに(カーソルあてて)

しばらく進むと再びミニゴルジュに突入。入口は1m程度の小滝で1m弱の小滝で右からへつって突破する。幸いゴルジュ内も小滝のみ、ゴルジュ出口は
深い釜を持っていたが、左岸側へつってゴルジュを終了。ただ、すぐ先には直登不可能な4m滝が現れ右岸を小さく巻いた。滝上は平凡な様相。
再びミニゴルジュになる
右岸を高巻いた4m滝
概ね平凡な様相になります

しばらく進むとトヨ上に水を落とす短いゴルジュが現れこれも右岸から高巻いた。高巻くと左岸から6m滝で入る左岸枝沢。その先で本流は淵状となる
が左岸をヘつってクリヤーする。小滝を2、3越えると、両岸の傾斜が緩み460m付近から始まるテン場適地が広がるようになる。すると左岸20m程上に
軌道跡の様なものをSACHさんが発見。上がって確認はしなかったが、結構先まで伸びていた。烏川本流から入渓したので解らなかったが、もしかしたら
烏川林道から延びているのかもしれない。魚影は全体的に滑谷沢より薄い印象はあったが、この軌道跡を利用して釣師が入ってくるからかも・・・。
左岸から顕著と言う沢筋ではないが赤倉沢、上赤倉沢と名づけられた沢が入る長く続いたテン場適地は終了する。ここで行動終了すると、翌日が長い
ので、出来ればもう少し先に進んだ方が良いだろう。ちなみにここでもナメコが採れ、お土産用としてGETする。
トヨ上に水を落とす短いゴルジュ
左岸枝沢6m滝(カーソルあてて)
460m付近から始まる絶好のテン場(カーソルてて)

小滝を越えていくと、右岸から2段7m滝で出合う枝沢が入る。その先で本流は5m滝。簡単に突破可能。するとその先で右岸から565mで出合う枝沢
水量比は(1:4)。当初は650m付近まで進む予定だったが、時間は15時前。まぁ。今日はこんなところでイイか・・・と少し本流を進むとすぐ右岸に枯葉が
堆積する平らな土地があったので今日の行動を終了した。。。薪は豊富。魚影もこの辺りは見かけることが出来る。
5m滝
565mで出合う(1:4)右岸枝沢
565m枝沢すぐ先の右岸に幕営


二日目

出発してすぐに、顕著な枝沢が左岸から入る水量比は(3:1)。左の本流は2m、5mの連瀑で、奥の5m滝が悪く中間尾根から小さく巻いて上がった。滝上も
平凡な様相。少し行くとインゼルになり、ここで両岸から枝沢が入る。この辺りもテン場適地だ。絶好のテン場適地はココまでで、この先は、少人数なら
見つかると思うが、多少の整地が要るようになると思う。昨日見た左岸の軌道跡はこの辺りまで確認できる。ここから先は滝が多くなってくる印象。沢幅は
狭まり、3m、4mと小滝が出てくる。4m滝には釣師が付けたと思われるトラロープが右岸に付けられていた。
出発してすぐ(3:1)で入る左岸枝沢 (カーソルあてて)
テン場が広がるインゼル
沢幅が狭まり4m程度の滝が出てくる(カーソルあてて)

さらに進むと、7m滝。傾斜は緩くスリップだけ注意して進む。滝にトラロープが付いていたのはここまで。滝上はチョットしたになる。3mトイ状滝を超える
と左岸から顕著な枝沢。水量比はほぼ(1:1)。地形図を見ると660mで出合う右岸枝沢の様だ。枝沢には見事な10m滝が掛かっている。ちなみにこの枝沢
はエスケープルートとして利用でき、日陰沢左俣を下降すると基点まで早く戻れそうだ。今回はそのまま本流を進む。
7m滝(カーソルあてて)
7m滝上の様相(カーソルあてて)
左岸枝沢の10m滝

沢型はゴルジュとは言わないまでも、両岸の傾斜は強いところが多い。灌木は沢床から5m以上登らないと届か無いところが多く、、高巻きが難しい様相が
続くが、幸い出てくる滝は小滝ばかりで問題となる滝は無い。(1:3)二俣を右に入ると滝が多くなってくるが、この辺りも直登可能な小滝ばかりで助かる。
岩盤も一部で発達しておりイイ感じ・・・。
左岸枝沢出合先の様相
このようなトイ状小滝が多い(カーソルあてて)
5m滝

途中、高度計読みで750m付近で左岸に平らな土地を見つけるがテン場にするには整地に20分ほど時間がかかりそう。ただ、初日ここまで来れれば、
翌日は楽だろう。。。この先3mナメ、3mトイ、4mの小滝を超えると、ミニ廊下状になり、高度計が780m付近を指したところで左岸から細い枝沢が入る。

計画では手沢の最後の詰めは七ツ森ピークの南側と北側二つの沢筋があるが、南側は地形図の等高線がやたら密になっているので、北側の沢筋で
詰める予定だった。その分岐が780m付近に位置するので、ここを右に入れば良かったのだが、なんと、分岐の高度を50m読み間違え”830m”と赤ペンで
記載した地形図を持ってきていたのだ。水量も細かったこともあり、ここがその分岐とは解らず、本流筋(南側の沢筋)に入ってしまった。
750m付近左岸の格安物件。
ミニ廊下に入る
780mで出合う左岸枝沢(北側の沢)

この先も出てくる滝に難しいものは無かった。6mトイ、3mトイ、4m滝をクリヤーすると(1:3)二俣。高度計は860mを指していたが、いつもながらの高度計の
誤差だろうと判断。ここが ”赤ペンで記載した830mの南側と北側の沢筋の分岐” と判断。

「おぉーラッキー進行方向の右側の沢筋の方が水量多いじゃん!」

と、すでに間違っているとも知らず喜んでいる始末・・・。この二俣の右俣は3段9m滝を掛けているが傾斜は緩く快適に直登出来る。
トイ状6m (カーソルあてて)
4m滝
実際は850m付近の(1:3)二俣。(カーソルあてて)

この先、沢は両岸草付のV字谷形状となり、高巻きが難しい状況になる。3m滝は右から細かいホールドを拾って突破。その先の倒木のある4mは倒木を
利用して上に上がる。さらに4mCSも見た目悪そうだったが、右壁に突っ張って這い上がる。すべてSACHさんにはお助け紐を出して上がってもらった。
V字谷形状から3m滝へ(カーソルあてて)
倒木利用で登る4m滝
4mCSも直登(カーソルあてて)

さらにノッペリ気味の3m滝を微妙なスタンスにアクアのグリップ力を信じ気合で登ると、左岸側の壁の傾斜が緩み枝沢が入る。このV字ルンゼで唯一の
エスケープルートと言っていいだろう。と言っても、ここまで来れれば、逃げる必要もないと思うが。。。本流筋はすぐにルンゼ状になり7m滝を掛けていたが、
「登れるでしょう!」と判断。このまま本流筋を詰めることにした。7m滝はスタンスもホールドもあるが、滑りやすいので、1ポイントカムでビレイを取って上に
上がった。SACHさんには上からザイルを投げて上がってきてもらう。
この3mが一番度胸が要るかも・・・
エスケープルートとなる左岸枝沢と本流7m滝
7m滝の直登(カーソルあてて)

この滝を超えると、1か所ツッパリ気味に這い上がる小滝程度でルンゼ内の滝も終了で、あとは詰め上げるだけ、藪漕ぎは少なく、なんとか12時前に稜線
に立つことが出来た。稜線には獣道すらない。。。七ツ森ピークを目指して南側に5分ほど歩いてみると、どうもこちら側ではなく、稜線に出たところから
北側にあるピークに三角点を発見した。ここでようやく南側の沢筋をつめていた事に気付いた次第。。。(笑)
7m滝上の様相
最後の詰め
七ツ森ピークの三角点

さて、下降ルートであるが、尾根を渡った反対側に降りれば大沢に入り中津川林道に出るが、福島登高会の記録によると、懸垂下降も出てくるそう
なので、時間も押しており、おそらく簡単だろうと予想した日陰沢右俣に入る事にした。七ツ森から北東に伸びる尾根を300mほど進むと日陰沢に降り
れる。今日視界が利くので安心。尾根から谷筋が地形図の方向に伸びているのを確認して、日陰沢右俣の下降を開始。沢型はすぐには現れず、お椀状
地形を10分程度下って沢形に吸い込まれた。ただ、沢筋は狭く両岸も草付で傾斜が強い。
日陰沢右俣を下降します。
たとえ時間が押しててもナメコはGETする!
小滝をクライムダウン

少し降りると、早くも懸垂を要する6m滝が現れてしまった。灌木がないので、倒木にザイルを掛ける。さらに降りて右岸側から8m滝で出合う枝沢を見ると、
4m滝、5mCSと2連続で懸垂。4m滝は倒木にザイルを直接掛けられたが、5mCSは捨て縄を倒木に巻きつける。今回、自分が捨て縄は2本、SACHさんは
持ってきていないので、足りるのか不安がよぎったが、幸い懸垂をしたのはこの3回のみだった・・・
6m滝の懸垂
両岸の傾斜は強く灌木が無い・・・
5mCS滝を懸垂

6m滝、8m滝と続く箇所があったが、右岸子尾根を利用して下降。 630mで(1:2)で出合う日陰沢左俣を見た先で5m、5mと連続する滝が現れたが、ここも
右岸に上がって小さく巻いて降りることが出来た。それにしても、沢床は狭いままで、最後まで両岸の傾斜は強く、岩は滑りやすいし、淵なんかも現れる
始末で、下降に適した沢とは言い難い。
写真左から巻いて降りた6m,8mの連瀑
5m、5mの連瀑も右岸を小さく巻いて下降
下降に適した沢とは言い難い様相(カーソルあてて)

高度計を見て、そろそろ林道か? と思った所で7m滝が現れてゲッソリしてしまったが、これも右岸側を小さく巻いて降りることが出来た。この7m滝を下降
すると、ようやく中津川林道の橋が視界に入る。時間は16時前。林道はほぼ藪に覆われ、人が独り歩けるほどの踏跡が残っているのみ。ただ、バイクの
通った跡があったり、乗り捨てられたバイクを3台ほど確認。中津川本流自体の遡行も面白そうだが、水量が多くなかなかハードかも? 基点Pまでは結構
距離があり陽も短く、ヘッデンを取り出し15分ほどの残業でようやく終了となった。
とどめの7m滝は右岸から降りれる
やっと中津川林道に到着
林道と言っても今はこんな感じ・・・

P.S:手沢は大滝はないものの、中盤までの癒し系の様相と、上流部でルンゼ登攀を強要される二面性を持つ沢でした。滑谷沢と同じ感覚で行くと痛い目に遭います。
   日陰沢の下降も割と時間が掛かるので、3人以上の場合は初日に奥まで進むか、二日目を早出したほうが良いでしょう。下降は大沢を利用する記録もありますが、
   こちらも懸垂要らしいです。ザイルは30mで足りました。テン場は奥に行けばいくほど少なくなってきますが、750mくらいまでなら整地すれば何とか見つかるかと
   思います。

手沢遡行図(クリックして)
手沢概念図(クリックして)




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