大阪、長野、栃木・・・三者三様で基点となる朝日小川ダム奥の小川温泉に集合。平野さんの到着が若干遅れるとの事なので、河田さんと車1台を相又
谷の林道にデポしに行く。この林道ゲートは無いが、発電施設から先は道は荒れ、通常の2WD車では割と困難・・・ここから500mほど先に駐車スペー
ス3台ほどの場所を見つけたので、ここに車を1台デポする。これで、1時間弱の時間短縮か・・・
小川温泉に戻ると打込谷ですれ違って以来の平野さんが到着。駐車スペースはホテルから枝沢挟んだ横にだだっ広い場所があるのでここに駐車する。
softbank携帯もここは繋がる。ちなみに小川温泉ホテル周辺は意外とアブは少ない。
さて、『予約しておいたタクシーで出発!』と言いたいところだが、2014年に林道崩落があったため、役場からタクシー運行が許可されていないとの事。林
道歩きで2泊3日はムリなんじゃない?という事でしっかり予備食も用意して、気が重い&荷の重い出発となる・・・ そんな事前情報を知ってか知らないか、
ハイシーズンなのに自分たち以外この日の遡行者は居なかった。。。
林道を歩き出すとアブも出てくるが、虫が苦手な自分が気が狂うほどでも無い。。。林道に陽が射すとかなり暑く途中水を得られるところが数か所あった
ので、水の補給を欠かさず登って行く。。。
「いったい何処が、どんな崩落をしているのか?」と思いながら歩いているうちに越道峠に到着!
「なんだよ!タクシーは入れるじゃん!」とボヤキながらも、3時間見ていたところを1時間40分で到着したので良しとしよう。
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基点の小川温泉(カーソルあてて)
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まさか林道崩壊ってこれじゃないよな!
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1時間40分で越道峠到着!
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ここから石碑裏の踏跡を北又谷への下降点となる1035m鞍部向けて再び歩き出す
(概念図参照)。明瞭な道だが1084mピーク手前の崩壊により道を見失う。
ガレた方を進んで尾根目指して上がってしまったが道は無く、どうも道が伸びていた方向に真っ直ぐ進めば正解だったようだ。一旦尾根に上がり、1084m
ピークを目指して進むと、1084mピークと尾根の鞍部に道が通っていた。ここから先は道は明瞭。踏跡がを北又谷側に跨いだ先で鞍部になり、目印の赤
テープもあったので、
「ココだろ!」という事で、北又谷に降りて行く。ちなみに道はこの先も伸びていたが、どこまで通じているのかは不明。。。
下降する沢は懸垂下降は要らないが、倒木やガレていたりとチョイト面倒。それでも、出発から3時間45分で
北又谷の河原に到着出来た。
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越道峠からの道
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枝沢で下降する(カーソルあてて)
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北又谷に到着!
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WEBの記録によると、ここからすぐに魚止滝と言うが、その手前の淵で早速胸までドップリ浸かり、一気に荷物が重くなる
(涙) 魚止滝は年によって埋まったり、掘られたりで高さがどの記録を見てもバラバラ。水の力だけでここまで高さを変えるとはなかなか信じられない。今年はしっかり2m位ありそう。それに
しても、数日雨が降っていないはずなのに、どうも水が白濁している様なのだが、こんなものだろうか。ここは皆右壁トラバースだが、左壁はどうなの?って
視線をやると、鋭いリッジにさえぎられる格好になっていた・・・。ここは定石通り右壁づたいで、河田さんがリードフローティングロープを引っ張るが途中に
支点をとれない(?)で終了してしまったので緊張感が減らない。落ち口横にはしっかりした残置支点がある様だ。いざ2ndで行ってみると、ホールドが非常に
少なく、スタンスも良いのが無いので、落ち口4m程手前の外傾岩にフリクション勝負で足を乗せるのは怖かった。ラストの平野さんはフェルトソール、突破
してくれたが、さぞかし怖かった事だろう。。。ちなみに、沢全体に言えたことだが、濡れているとかなり岩は滑っている。
大釜滝を突破すると、恵振谷出合はすぐそこ。タクシーが利用できなかったため、当初の計画で、ここに14時までに到着しなかったら恵振谷出合で幕営
する予定だったが、12時ジャストに到着♪ これで2泊3日で抜ける兆しが見えてきた! 焚火休憩して、ここに掛かる又右衛門滝の突破工作に掛かる。
WEB記録では取りつきは右壁の手前側、奥側の2か所という事だが、今日の状態では我々の泳力では奥側はムリ。手前側に河田さんが取りつき、カムと
スカイフックセッティング。次に私がアブミ持ってスカイフックに掛け、立ち上り、岩壁にあがったのだが、ここからが全く何もない。壁に張り付くのが精いっ
ぱいで何もできず敗退。河田さんが再トライするも敗退。この時スカイフックが外れてしまい、アブミもろとも釜の奥底に沈んで行ってしまった・・・。時間は
13時・・・。。。実は右岸斜上岩を上がれないか考えていたのだが取りつく時間もなく、河田さんには諦めてもらい仕方なく高巻きを決断。この合間に平野
さんが恵振谷に釣りに出かけたが、一匹バラシたとの事だった・・・。。。
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恵振谷出合
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又右衛門滝にTRY(カーソルあてて)
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左の方が簡単かも?(カーソルあてて)
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さて、
又右衛門滝の高巻きだが、恵振谷との中間リッジから取りつく。50~60m程登ると平らな所に出るので、そこから巻き上がら無い様にトラバースをか
けると幅5m位の崩壊地にあたる。崩壊地の高さは出くわしたポイントから7m位上から崩壊していたので、これより高く巻きあげていると気づかないかも
しれない。この崩壊地を巻かずに手前で、沢床に向かって下降していく。40mザイル1本で1回、さらに30mザイル1本2回で沢床に降りれた。高巻きに要した
時間は1時間20分。WEBに記載されていた空中懸垂も無く。40mザイルでなくても刻めば降りれる。降りた場所は、又右衛門滝落ち口から50~60m程上
流か・・・ここにある、深い釜を持った1mの小滝は右壁からフリーで簡単に超える。
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恵振谷中間リッジから又右衛門滝
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左岸にある崩壊地にぶつかった所から下降
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沢床に降りた次の滝(カーソルあてて)
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この小滝を超えると廊下状。左岸は岩壁が続いており、確かにここから降りるなら場所によっては40m懸垂が必要だろう。。。事前予習に力を入れていた
のはこの辺りまでだったので、後はミズカミ谷まで歩くだけと思っていたのだが、この先で想定外のものが視界に写る。。。。
「雪渓!?」
水が濁っていたので、有るとは思っていたが、あまりに早い段階での登場に不安が募る。近づいて見ると50m以上の長さのブリッジ。幸い上に上がれ、
平野さんが下降ポイントを見つけてくれたが、後数時間しかもちそうにしか見えない雪渓を潜るのはロシアンルーレットの様だ。
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廊下状が続く
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50m以上の雪渓
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まさにぎりぎりセーフ(カーソルあてて)
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さらに、もう一つ雪渓を潜ると、幅2m弱の激流の淵が現れる。後日、ここが
”急流の長淵”と呼ばれる所と知る。淵すべてが洗濯機状態で、深さや渦の巻
き方がさっぱりわからない。また、これも後日わかったことだが、ここでは平水どころか増水している感じだった。ここはフローティングロープを付けて、
河田さんが荷物を背負ったまま飛び込む。対岸にしがみつくことが出来たが、全く足が届かない様で這い上がるポイントがすぐ見つからない。なんとか
這い上がれるポイントを見つけて突破。荷物を渡して、後続は空身で飛び込んで突破した。
この先も急流の淵が続く。もはやこの辺りでは逃げ場が全くない。急な増水があればひとたまりもない。1度右岸経つりで失敗し、流されるもフローティング
ロープで救われる。前方に見える
3mの豪瀑は左岸から小さく巻けて助かった。
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”急流の長淵” (カーソルあてて)
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白濁しなくても水流は重い(クリックして)
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3m滝は右から巻けた(カーソルあてて)
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この先から徐々に沢幅は広くなってくるが、まだまだ気の抜けない状況は続く。左岸から割と顕著な枝沢を見ると、両岸の切立ちはおさまってきた。少し
進むとようやく河原状に。時間は17時・・・。。。この辺りがミズカミ谷出合手前のテン場適地という所だと推察するが、絶好と言うほどでも無い。それでも3人ほど横になれるスペースが見つかり、薪も豊富で左岸の細枝沢で綺麗な水が汲め、ある意味絶好のテン場だろう。。。長かった1日を終了させた。
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ようやく沢幅が広がり始める
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ゴルジュ帯終了を告げる左岸枝沢
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ミズカミ谷出合手前にて行動終了♪
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2日目
朝、早起きして竿を出すものの釣れず荷物をまとめて出発。。。テン場前の淵を抜けると、広河原状で、まさにここが
ミズカミ谷出合手前のテン場という
場所だが、整地済みという所は無く、ここでも整地は必要だろう。ミズカミ谷出合から先はまたゴルジュになる。昨日ほどの激流と言う感じでは無く、簡単に進んで行けそうだったが、前方に不穏な水蒸気・・・。。。雪渓だ! 潜って通過するしか選択肢は無いので、足早に通過。すぐ先にも短い雪渓ブリッジが
あり、これも下を通過。
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ミズカミ谷出合手前のテン場
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ミズカミ谷出合から先はゴルジュに(カーソルあてて)
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雪渓が出てくる(カーソルあてて)
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ここを抜けると、少し渓相が穏やかになり右岸から
白金沢が入る。ここの出合も若干河原状の場所はあるが石がゴロゴロしておりテン場には適さない。
この先順調に進むと”白金滝”と名付けられた8m滝。水流すぐ右にある
ルンゼから簡単に登れる
Ⅲ。5mほどの懸垂で沢床に復帰すると
漏斗谷出合。
出合にはテン場適地はないが、本流を100m程度進んだ左岸に整地すれば2名程横になれる場所を発見したが、ひとたび増水すると、この辺りの様相は
随時変化しそう。
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右岸から白金沢がはいる
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白金滝は左岸ルンゼを登る
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漏斗谷出合と本流側幕営可能地(カーソルあてて)
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漏斗谷を過ぎると、また両岸が切り立った狭いゴルジュ。ここに雪渓が現れてしまう。結構分厚い雪渓で潜って行くが、途中深い釜で足が届かなくなり、
這い上がろうにも岩がヌメッってなかなか這い上がれないので、かなり焦った。これを何とか這い上がると雪渓出口に5m滝。突破ルートを見定める余裕
が有るわけも無く、左岸ルンゼに出来た雪渓の隙間から脱出。どうもあれが
”三段滝”と呼ばれる所だったようだ。このままルンゼを上がり、40mザイルで
懸垂し、先ほどの三段滝の30m程上流の沢床に復帰した。
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切り立ったゴルジュの奥に雪渓(カーソルあてて)
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潜って進んでいく(カーソルあてて)
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三段滝まで被さる雪渓(カーソルあてて)
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この先のゴルジュに難所は無く、無事突破出来たが、開けた先にまだ巨大雪渓が鎮座していた。出口は全く見えないので、ここは上に上がって右岸を巻く
感じに・・・と思ったが、どうも二人は潜って突破したいらしい。二手に分かれるのはマズイので、ヘッデンを出して雪渓を潜っていく・・・。出口か!と思った
所は単なる右岸や左岸の雪渓の切れ目で、結局200m以上はあったと思う。やっと出口という所で、2m弱の小滝が見事に行く手を阻み。ここも左岸の
雪渓の切れた所から、まずは脱出。しかし、泥壁で厳しい。先頭を行く平野さんにハンマーを渡して、スタンスを三つ四つ作って雪渓上に上がった。雪渓か
ら右岸壁に取りついて沢床に復帰する。15年程沢登りやって来たけど雪渓潜りの最長不倒だった・・・。
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これ潜るの!?
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またしても出口に立ちふさがる滝
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泥壁を上がって雪渓上に(カーソルあてて)
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この先で
黒岩谷出合。意外と貧弱な印象だ。この先、本流右岸に絶好のテン場があり大休止。平野さんは竿の調子が悪いという事で、私が竿を出して
みると尺イワナが釣れたので、お刺身にして昼食のおかずにする。このちょっと先に
サルガ滝。登れる滝では無く、左岸から高巻く。
サルガ滝すぐ上には
大釜を持った小滝が控えているので、極端に小さく巻かない方が良いだろう。釜が下に見えたらもっと上流側に降りる事を勧める。
そうとは知らず、40mザイルで懸垂下降した後、平野さんは右岸壁を登って大釜を持つ小滝を高巻き、河田さんと私は釜を泳いで何とかここを突破した。
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黒岩谷出合とサルガ滝手前のテン場(カーソルあてて)
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サルガ滝
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サルガ滝すぐ上の大釜の小滝(カーソルあてて)
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ここからは癒し系の様相。雪渓も現れるがブリッジにはなっていない。竿を出しながら進むも、すぐに見つかって結果が出ない。そうしているうちに
吹沢谷
出合に到着。時間は14時過ぎ・・・この出合手前にもテン場適地はあるが雪渓の事を考慮すると、もう少し先に進んだ方が良いと進言し、お二人に
「進んだ
としても1035m二俣までという事で、途中に良い場所があったら幕営ポイントとしましょう」と伝え、唯一竿を持つ私が本流側で竿をだす。ここでもなかなか結果が出な
かったが、何とか2匹GET。
2人の後を追いかけ吹沢谷に入ってみると、結構両岸が立っており、ここからも断続的にブリッジ雪渓が現れる。こんなだったら吹沢谷出合手前で行動
終了しておけばよかった。すると、出合から300m程進んだ所で、二人がまずまずのところで、盛大な焚火を繰り広げていてくれた。どうもこの先もヤバイ
ブリッジ雪渓があるとの事。吹沢谷出合まで戻るのも面倒で、多少冷気が来るもののタープとツェルトがあるので、問題ないでしょうという事で、ここで行動
を終了した。ここで、さらにイワナ3匹が釣れ、壮大な焚火とともに宴会に入る。
三日目
吹沢谷にも雪渓が残っているという事で、下降に使う相又谷も一筋縄では行かないかも・・・と推測し早出する。早速、
雪渓潜りから。ロシアンルーレット
も体が慣れてしまい。躊躇なく潜っていく。吹沢谷に入ると完全癒し系と思っていたのだが、両岸は割と立っている所が多い。ここに雪渓が残っている
のだからたまらない・・・その先も間髪入れずに雪渓が続き、上を歩けるものは上を、長い雪渓はヘッデンを出す。吹沢谷と本流出合と1035m二俣との
中間地点にテン場に適していそうな台地が広がるが、雪渓が崩壊したばかりの様でグチャグチャ。この先も断続的に雪渓を潜り、
1035m二俣に到着。
この手前には良いテン場が広がっている。1035m二俣を左に入ると、尾安谷に下降。右に入ると、相又谷の下降になる。ここを右に進む。魚影はこの
ちょっと先までだ。
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雪渓潜りからスタート
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中間地点のテン場適地
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1035m二俣
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この先で、また一つ雪渓を潜ると、沢を雪渓が埋め尽くしていた。雪渓を歩く事500m以上。途中ヤバそうな箇所も横断。あと1週間遅れていたらもっと状態
は悪かっただろう。雪渓が切れると、
1085mで右岸から枝沢。ここを右岸枝沢に入ると、すぐに三又となる。水流の一番少ない真ん中の沢が”北又乗越”
に一番近い所に出る様だ。途中、嫌らしい
5m滝が出てきたが河田さんが水流左の脆い岩壁を直登。ザイルを出してもらって上がらせてもらう。
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沢を埋め尽くす大雪渓(カーソルあてて)
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1085m右岸枝沢を入る
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5m滝は左から
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沢型はかなり上まで続いており、大した藪漕ぎも無く、稜線に飛び出すと割と明瞭な踏跡。ここから20秒も歩くと
北又乗越に到着する。この踏跡が越道峠
まで続いているのかは不明。ここから相又谷に下降開始する。WEBの記録にはザイルの必要性を感じないと有ったが、1,2回懸垂下降を要する滝がでて
くる。また倒木も多く、割とウザい感じだ。
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北又乗越到着
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倒木の下に隠れ滝あり
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8m滝を懸垂で下降
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途中に出てくる
多段滝は落ち口左岸側に残置支点有り。40mザイルと30mザイルを連結して懸垂。さらに5mクライムダウンして、さらに残置支点を利用し
て30mザイルで懸垂して下に降りた。雪渓が出てくるとすると、この辺りからだろうが、ブリッジ雪渓はなく助かる。ただ、雪渓が消えたばかりの印象で泥や
、倒木が多く、荒れた様相が残っていた。。。
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相又谷12滝を懸垂(カーソルあてて)
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さらに10mほど懸垂
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イグアナの頭の様な雪渓
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この先、崩壊した堰堤をいくつか懸垂交えたりしながら下降。絶好のテンバ適地が現れたと思ったら巨大堰堤で、この下は巨大ゴルジュとなっていた。
ここで左岸を見ると林道の基礎が見えたので草付を50mほど上がると丁度林道末端だった。ここから1時間弱の歩きで車デポ地に到着。