2015年11月1日 奥日光 久蔵川 利根倉沢下降→長平沢

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、0.5 靴:アクアステルス
地形図:中禅寺湖
遡行図、概念図はこちら

栃木県、中禅寺湖の尾根を越えて南側に久蔵川(くぞうがわ)という渡良瀬川支流が流れている。この川は、安蘇沢/久蔵沢に二分されるが、下流部はどちらも昭和40年代から
堰堤工事が進められ沢登りに適していないが、中・上流部に自然が残されていると、1988年に出版された岡田敏夫氏の『足尾山塊の沢』に書かれている。 この本が出版されて
四半世紀・・・。今はどうなっているのだろう。11月だし、栃木県だし・・・たとえハズレ沢でもイイや!と言う気持ちで足を運ぶことに。通常、この流域は足尾側からアプローチするが、
今回は日光側の半月山駐車場を基点に、利根倉沢下降、長平沢を遡行する周遊コースで計画してみた。


4:50自宅発→6:20半月山展望ルートゲート前、7:00同発→7:08半月山駐車場着
7:20半月山駐車場発→7:30利根倉沢入渓→8:10 1180m(1:1)→9:55長手沢出合(林道利用)→10:25長平沢出合(下部ゴルジュから林道へ)
→11:55最終堰堤上→14:25稜線登山道→15:00阿世潟峠→16:10半月山駐車場着


朝日を浴びるいろは坂を見ながら中禅寺湖に向かうと、ここから半月山に伸びる中宮祠足尾線はゲートが閉まっていた・・・。冬季閉鎖されるこの道路、
どうも 開放期間でも7時~17時しかゲートが開いていない事を、現場で知ることになる。。。時間は6時15分。。。仕方なく入渓準備を整えてゲート手前の
駐車スペースで待つことにした。ゲートは6:55に開放。1番乗りでゲートを潜る。半月山駐車場の真下から伸びるのが利根倉沢。普通の観光客が居る中、ヘルメットを付け浮いた格好で駐車場脇から沢に向かって下降していく。

朝日を浴びる日光明智平
基点の半月山駐車場
駐車場から利根倉沢に向かって下降

駐車場から10分も下ると利根倉沢の沢形に到着。ほぼ完全ゴーロ状の沢で下降に適した沢と言える。途中伏流になったりもするが、1180mで右岸から
半月峠から降りてくる顕著な沢筋が入ると水流も安定。テン場適地は至る所にあり困らない。さらにしばらく下降すると利根倉沢唯一の8m滝が現れる。
水流右、灌木を掴みながら降りて行く。すると堰堤が現れ、右岸から巻くと、林道跡に飛び出る。地形図を見ると丁度1000m位のところだ。ここから林道
利用で下って行くと久蔵沢本流筋となる長手沢が合流。これを持って利根倉沢の下降が終了する。
1180mで右岸から枝沢合流
利根倉沢唯一の8m滝(カーソルあてて)
右岸から長手沢が合流(カーソルあてて)

このまま、林道を下って行くと地形図の通りに林道が二手に分かれる。通常はここを右に登って行き、林道が長平沢を横断する箇所から遡行開始すれば良いのだが、『足尾山塊の沢』によると、堰堤が連続する下にちょっとしたゴルジュがあると記されているので、林道を左に入り折角なので下から入渓する
ことにした。ちなみにこの辺りの林道はチャリンコなら走行可能。堰堤を見ると平成24年に完成したようなので、つい最近まで工事車両が行き記していた
事が解る。途中足倉沢を横断するが、この沢も見える限りではゴーロの沢の様だ。。。さて、長平沢は巨大堰堤で作られた広河原に注いでいる。10月の
降水量が少なかったので水量はそんなに多くないが、顕著な谷で流れているので、間違う事は無い。
長平沢最下部から入渓するため左に入る
林道から見る足倉沢
長平沢出合(カーソルあてて)

長平沢最初の小ナメを上がると2条5m。やはり滝が続いているようだ。ここは水流右を上がる。続くノッペリ系5m滝は水流左をⅢ級レベルで上がれた。
ここで沢幅が狭まり、左に隠れた3m滝を上がると残念ながら堰堤が現れる。

長平沢 2条5m滝
この5mは左から
イイ感じのゴルジュになるがすぐ終了(カーソルあてて)

右から巻いて上がると、いわゆる堰堤上の河原状・・・。二つ目の堰堤が前方に見えた所で、左岸を見上げると例の林道が見えたので、林道に上がること
にした。
すると堰堤が連なっているのが見える。なんとその数下から数えてトータル13個! 林道が左岸から右岸に横断する所から沢に降りたが、ここか
ら6つの堰堤を超えた。まぁそう労力の要る巻きではないので助かる。これだけ堰堤が多いと、もう遡行する箇所が無いんじゃないかと思った多ったが、
最終堰堤の先に、大き目の滝が掛かっているのが見えた。近づいて見ると、その一つ手前に前衛の3m滝が現れる。まぁ左から巻いてしまえば簡単だが
それでは芸がない。。。水流右で何とか上がった。
林道から見える堰堤群(カーソルあてて)
最終堰堤上から。大きい滝が見える
前衛の3m滝は水流右で登る

すると先ほど見えてた10m滝が姿を現す。高巻くなら左だろう。直登も出来なくはなさそうだが、今日はハンマーを忘れてしまったので、ハーケンが打て
ないのが辛い所。単独なので濡れている所は極力避け、一番確実性の高い右隅に取りつく。Ⅲ級程度だが、さすがに7m近く登ると緊張感が増してくる。
ホールドの甘いところもあったが、ラバーソールのグリップもり無事クリヤー。
滝上はゴーロ状が続くが、しばらく進むと7m滝。下部が立っていて、ショルダーとかA0すれば上がれそうだが、ハンマー忘れがここでも響き、下部は左か
ら小さく巻いて上がった。
10m滝(カーソルあてて)
滝上はゴーロ状が続く
7m滝は左から

7m滝上すぐに4m滝、この滝も下部が立っており、頑張ろうとすると顔から飛沫を浴びるので心くじけて左から小さく巻いて上がった。続く5mトイ状はノッペ
リした水流右をフリクション利かせて突破。この辺りで、時間は13時過ぎ。。。そういえば17時にゲートが閉まってしまうので、そうノンビリはしていられない。
次に出てくる3m滝は釜も深く面倒なので右から小さく巻いた。ここでまたもやゴーロ状となるがその先に出てきた3mトイ状はツッパリでクリヤー。。。
5mトイ状は水流右を直登
3mナメは右を小さく巻く
3mトイ状は水流を跨いで超える

すると、平凡な様相の中、沢が開けてくる。滝はこれで終わりかと思いきや2段6m滝、さらに長平沢最大となる12m滝が現れる。12m滝は幸い階段状で、
快適に直登できる。
沢が開けてくる
2段6m
12m滝

この先4m滝を超えると、一旦伏流になるが、さらにその先に水を滴り落とす8m滝。これを快適に直登すると滝は終了。この先で沢型が二つに分かれる
ので右を選択。時間は14時・・・高度計を見ると1580m。ゴール地点となる社山の標高を見ると1827mもあるではないか! ヤバイんじゃない???って
事で急ぐ。ここで、背丈を超える笹藪とかが出てくるとマズイが、幸い沢型が消えても膝くらいの高さの笹薮のみで社山山頂付近の登山道に14時半前に
出た!
最後の8m滝
1580m二俣チックを右に入る
沢型が消えると笹の原っぱ(カーソルあてて)

”稜線に15時がリミットだなー”と思ってたので一安心したが、ここから基点の駐車場が凄ーく遠くに見えたのと、途中の阿世潟峠から半月山までの高低差
が尋常じゃないのを見て愕然とする。地形図斜め読みで、帰りの事などあまり考えてなかったんだな・・・これが。。。
社山山頂はすぐそこの様だが、まぁいづれまたここに来ることもあるだろうという事で、ピークハントはせず。休憩ゼロで基点駐車場を目指す。
ほぼ快晴の空の下。中禅寺湖と男体山をはじめとする日光の山々は紅葉が終わっていても綺麗だった。阿世潟峠で、赤沼から黒檜岳経由で縦走して
きたという登山者が居て、地形図には社山から西側に登山道の記載がないが、道が伸びている事を教えてもらう。ここから先、半月峠からの登りがきつ
かった。さらに道を間違え半月山ピークを踏んでしまったが、16時チョイ過ぎに基点に戻ることが出来た。

P.S:久蔵川流域は堰堤が多いが、長平沢の中・上流部には今も自然が残されていた。おそらく首都圏の人が丹沢のマイナーな沢に入渓する感覚での遡行だっ たが、
   それでも丹沢のマイナーな沢よりは渓相は良い。今回は渇水時の遡行なので通常はもう少し水が多いと思う。アプローチは半月山からだとゲート開放時間が7時-17時
   なのでのんびり遡行したい人は足尾側からアプローチを勧める。ザイルは30mでOK。


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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