2015年11月21,22日 虎毛 江合川流域 鎌内沢&保呂内沢西ノ股沢→本流下降

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×25m、カム#0.4、 靴:アクアステルス
地形図:軍沢、桂沢
遡行図、概念図はこちら

11月も終盤だが、今年は雪の降り始めが遅く暖冬気味。天気の兼ね合いで仙台周辺が良いようなので、単独でも問題なさそうな保呂内沢西ノ股沢に標準を定めた。
西ノ股沢は周辺に登山道が無く、西ノ股沢を遡行して保呂内沢本流を下る周遊コースが一般的。陽が長ければ日帰り遡行も可能だが1泊2日でのんびり計画。ただ、
通常の周遊コースだと、ノンビリと言っても時間が余りそうなので、隣の鎌内沢を遡行して、上流部から保呂内沢に移動、西ノ股沢出合でベースを張り、二日目西ノ股沢
の周遊をやる事にした。


17:25会社発→18:15矢板IC→20:40鶴巣PA、5:05同発→5:15古川IC→6:30ゲート着
6:45ゲート発→7:15鎌内沢入渓→9:55段々滝上→10:35 675m鎌内沢終了右岸ルンゼに入る→10]50鎌内沢/保呂内沢中間尾根
→11:30保呂内沢→12:00西ノ股沢出合(行動終了)

二日目
6:25出発(西ノ股沢遡行)→9:15 770m二俣→10:08西ノ股沢/保呂内沢本流中間尾根→10:45保呂内沢760mテン場適地
→12:30西ノ股沢出合、13:20同発→14:15 465m登山道末端→14:35通常の基点P→15:00ゲート着

国道108号線から県道208に入り、鎌内沢ぞいの舗装路を入っていくと、なんと、舗装路が終了するところでゲートが閉じられているではないか!どうも
冬季閉鎖という事らしい。後日web調べると11月27日からじゃん!1週間早いって! 早速地形図を取り出して調べてみると、本来の基点までは30分歩く程度
で到着できそうなのでホッとする。仕方なくゲート手前の路側帯に駐車して出発した。本来の基点までは25分で到着。ここには道標があり間違う事は
無いはずだ。車は2,3台駐車できるスペースがある。通常、保呂内沢の遡行では鎌内沢を横断して尾根を跨いで入渓するが、今回は計画通り鎌内沢
遡行する。
まさかのゲート閉鎖
25分歩いて本来の基点に到着
鎌内沢に入渓

盗人滝まではゴーロ状で至って平凡。20分足らずで突如、盗人滝(ぬすびとたき)が現れる。20m程の見事な滝だ。名前の由来が知りたいところ・・・まさか
”盗人をこの滝から落とした・・・”なんて感じだったら怨念が渦巻いていそうで怖い。水流左端に取りついてみるものの、やはり単独フリーではこの滝の
直登はあり得ず。右岸から緊張感のある高巻きで小さく巻いた。もっと安全に巻くルートもあるだろう。
盗人滝20m(カーソルあてて)
水流左端に取りつくも挫けた
やっぱムリでしょ!って感じ・・・

盗人滝上はナメ床。左岸から7mトイ状滝で出会う枝沢をみる。本流はこの先でまた平凡にもどる。この辺り魚影がありテン場適地も至る所にある。
暫く進むと今度は段々滝15mが現れる。この滝は傾斜も緩く水流左端からフリーで登っていけた。滝上はナメ床で左岸から同じナメ床で出合う枝沢が
入る。本流も50mほど滑床が続き、ナメとゴーロ状が交互に現れる。地形図では鎌内沢にある滝記号はこれだけであるが、暫く進むと4m、2m、5mとナメ
の連瀑
が現れ楽しませてくれた。
盗人滝上はナメ床
段々滝15m(カーソルあてて)
ナメの連瀑


この連瀑を超えると、水量も少なくなりそろそろ保呂内沢側に移動しても良いかな・・・と言う雰囲気を漂わせる。鎌内沢本流を最後まで詰めて885mピーク
周辺から保呂内沢側に移動しても良いが、今回は地形図で755mピークの北側暗部から保呂内沢側に移動するつもりで、高度計読み679mで右岸ルンゼ
状の細流
で中間尾根に詰め上げる。10分強で保呂内沢/鎌内沢の中間尾根に上がれたが、どうも755mピークの南側に出てしまった様だ。

中間尾根には踏跡もなく藪を漕いで755mピークを越えるのも面倒なので、このまま南方向に伸びる保呂内沢左岸支流で下っていく事にした。下降序盤
は急傾斜。しかも沢形に入っても急傾斜のナメ床になっているのでスリップに気をつけながらの下降となる。急傾斜のナメが終わると平凡な様相。小滝を
クライムダウンし、終盤に出てきた8mナメは左岸潅木を掴んで降りた。

右岸細ルンゼで鎌内沢を離れる
保呂内沢左岸支流で下降
保呂内沢左岸支流で下降左岸支流最大の8mナメ


中間尾根から40分で保呂内沢本流に出れた。鎌内沢とは比べ物にならないくらい水量は多い。保呂内沢本流は浅い平瀬が伸びる。両岸土壁スラブは
虎毛沢遡行でも見たものと同じで、この山域の特徴なのだろうか、ナメ床も現れ遡行感度は良い。・・・暫く進むと岩盤の発達した淵状に様相が変化する
が、ラバーソールでのフリクションは十分で難なく突破できる。

保呂内沢本流と降りてきた左岸支流
虎毛特有の土壁スラブ(カーソルあてて)
岩盤が発達した淵状に変化

大岩が転がってる先で、ナメ床で合流する西ノ股沢出合に到着した。時間は丁度12時。時間は早いが、翌日、宿泊キットをデポして周遊するのであれば
この辺りで行動を終了するしかないのでテン場を探す。西ノ股沢側には良いテン場はなく、本流側に100m程進むと左岸に絶好の河原&台地を発見し
ここに決定。焚き火の跡もあり、薪も豊富。。。今日の行動を終了する。
西ノ股沢出合
保呂内沢本流側左岸で幕営
のんびり・マッタリ。。。


二日目
やはり夜は冷え、ツエルト+0℃の寝袋+シュラフカバーでも寒くて今一つ寝れなかった。今日は行動時間が長く、陽も短いので暗いうちから起床。荷物
をデポして、7時前にベースを出発する。
西ノ股沢に入るとナメ床状。これがゴーロになると西ノ股沢最大の15m大滝が見えてくる。右からは湧き水から落とす10m滝が入り、なかなか見栄えのす
る所だ。夏場、釜に浸かって水流右に取り付ければ直登可能な気もするが、おとなしく30m程手前右岸で高巻く。大滝上はナメ床。そして、この先で広大な
テン場適地が続くようになる。魚影はまだあり、足の揃ったパーティならば、荷物を背負って周遊する場合ここまで来て置けば十分だろう。
西ノ股沢序盤のナメ
15m大滝(カーソルあてて)
広大なテン場適地が続きま(カーソルあてて)。

数百m続くテン場適地を過ぎると正面に土壁スラブが見え、沢が右直角に曲がると両岸スラブとなる。沢床は平凡で、問題なく進んでいくと2段6m滝
下段・上段とも水流右を潅木の助けを借り越えた。この先も両岸スラブが続くが問題になるところはない。

両岸スラブノ様相に変化
2段6m滝
両岸スラブが続きます

徐々に土壁スラブに草木が生える様相に変化、高度計読みで610mを超えた所で、右岸にエマージェンシーであるが、幕営可能場所がある。薪だまりも
あるので悪くはない。。。 この先で4mナメ水流右に取りつくと見た目以上に簡単だった。次に現れる7m滝は水流右から若干巻き気味に登ったが、トラ
バースが悪く、一番難儀した滝だった。
610m付近のエマージャンシーテン場
4mナメは右から**
一番難儀した7mナメ(カーソルあてて)

この先4m3条ナメを過ぎ、少し進むと高度計読みで665mに、またエマージェンシーなテン場がある。先ほどの所より良さそうだ。この先5mナメは水流左
を登れたが続く3mナメは断念して右から小さく巻く。
4m3条ナメ
665mエマージェンシー テン場
5m、3mナメ

この先、6mナメを左から直登すると見事な10m魚留滝が現れる。傾斜は緩く快適に直登可能。この先、高度計読みで735mで割と良いテン場が現れる。
ここまで、大滝上の広大なテン場から休憩無しで1時間50分だ。。。  ここから平凡な様相を進むと2段8mナメ。これも快適に直登できる

10m魚留め滝
735mテン場適地
2段8mナメ

すると顕著な二俣に到着。高度計で確認すると、ここが770mの二俣の様だ。水量比は(3:2)。保呂内沢本流を下る場合はここを右に入る。この先急傾斜
の滑床が続く。途中2回ほど沢筋が分岐するが、水流の多い右を選択して登っていくと、沢型がなくなり笹薮を5m程進めば尾根に出る。時間はまだ10時
過ぎ・・・この時間でこ こまで来れれば、陽は短いとしても残業の不安はない。。。他の記録を見ると開けた空間になっている写真を見たが、どうも最後の
最後で詰めを間違えたのか、辺りは笹薮だらけだった。。。

770m(3:2)二俣を右に入る
水量の多いナメ床を選択
ここ上がればすぐに中間尾根


まぁ、そんなに密でもないので、そのまま尾根を跨いで本流側に下降していくが、なかなか沢型が出てこない。ようやく沢型を見つけたと思ったら、途中で
消えてし まう始末。。。100m以上下って、ようやくザレた沢型に入った。ここを少し下ると左から水流のある沢筋に出れた。3m程度の小滝を小さく巻いて
降りると、760mに位置する広いテン場適地に到着。ただ、3m滝下で、伏流が続くようになる。

沢型がなかなか現れない
本流3m滝下で760mテン場適地になる(カーソルあてて)
時折水が流れるも随所に伏流(カーソルあてて)


水が流れ出すのは高度計読みで660m付近から。一気に水が現れ、直後に魚影も現れる。この先から延々テン場適地が続くので、時間があれば760m
テン場で幕営するより、ここまで下山した方がイワナ釣りも楽しめるだろう。この先、偶にナメ床も現れるが、概ね平凡。565mで入る左岸枝沢の先で3m滝
6m滝と続くが、3m滝は右岸壁で降り、6m滝は左からノーザイルで簡単に降りれる。 この先10分も掛からずベースに到着する。時間は12時半。14時に
到着目標だったので焚き火休憩。。。13時半前にベース出発した。。。

660m付近で一気に水が流れ出す
625mの(3:2)二俣
本流唯一の3m、6m滝(カーソルあてて)


途中、いたる所に熊の足跡を発見。鈴程度だと沢の音にかき消されるので、ホイッスル吹きまくった方が無難だろう。さて、あとは465m付近に位置する
登山道を見つけられるかだが、赤テープなどはなく、木に黄色い短冊形の小さいプレートが張ってるところに、唐突に幅1.5mの道が沢床まで伸びていた。
左岸に針葉樹林の植林帯が現れたら ちゃんと左岸を見ながら下った方が良い。見落とす場合も考えられるので注意。この道は元々車道のようで、15分
で通常の基点に戻れた。ここからゲートまで歩いて終了となる。

ベースで焚火休憩
本流下部の様相
左岸針葉樹林が現れると唐突に林道(カーソルあてて)

P.S:保呂内沢は魚影もあり、絶好のテン場も多いので、日帰り遡行で駆け抜けるよりは沢中1泊で楽しむ方が良いだろう。今回の様に鎌内沢を加えて遡行しても良いし、
   秋田県側の春川側に足を伸ばすのも良いかも。ベースを張っての遡行になると、どちらか1日は長時間行動になるので、荷物を担いで周遊し均等に二日間歩くか。。。
   の選択がこの沢の遡行のキーポイントになる。今回のコースではザイルは30m1本で十分。靴はラバーソールの方がへつりで威力を発揮します。クマが多いので注意!


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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