2015年8月22、23日 南アルプス 大武川本流

メンバー:Shunrinさん、ひろた
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.5、0.4 靴:アクアステルス
地形図:鳳凰山
遡行図、概念図はこちら

関西に転勤されていたShunrinさんが、こちらに戻ってこられた様で連絡をいただき、4年ぶりくらいにご一緒させていただく事に。天気の都合ろ、車が2台あるので、
車が2台無いとかなり面倒・・・と言う理由で大武川(おおむかわ)本流に決定する。WEBの記録も散見され、”癒し系”との事で、気負いも無く実行に移すことになった。。。


17:25自宅発(一般道)→18:55久喜IC通過→20:15川越IC通過→20:33入間IC⇒21:35境川PA、4:22同発→4:30甲府昭和→4:45道の駅しらね→5:20芦安温泉(車デポ)
5:40同発→6:25大武川左岸林道ゲート着
初日
6:40ゲート発→7:25赤薙沢出合手前林道末端(入渓)→7:38大薙沢出合→8:50川滝沢(滝ノ沢)出合→10:30カラ沢出合→14:25前栗沢出合
→15:15中栗沢出合→15:20赤石沢出合→15:50奥栗沢出合→16:00行動終了。

2日目
6:05出発→6:25摩利支天前沢出合→7:00六町ノ滝入口(15mナメ)→7:25 15mナメ滝上から高巻き開始→9:10高巻き終了、9:40同発
→10:15仙水峠に繋がる右岸大ガレ→10:50仙水峠、11:25下山開始→12:05長衛小屋→12:15北沢峠バス停


Shunrinさんと「道の駅しらね」で待ち合わせ。車をデポするため芦安温泉に向かう。5時半前で既にバス停から遠く離れた第6駐車場に案内された。ここか
ら大武川林道ゲートまでは車で45分。ゲート前の様子は、4年前に1ノ沢に来た時と変わらなず駐車スペースは4,5台。softbank携帯は繋がらない。ここで
3人の釣師が準備を整えていた。ヒョングリ滝まで行くと言って、原付バイクでゲートを突破していった。。。 林道は赤薙沢出合まで続いており45分で末端
に到着。最奥では、まだ堰堤を作るようで、2011年の遡行記録で紹介されていた本流の10m滝は完全に破壊・消失。。。ヘタをすると赤薙ノ滝が堰堤で埋
まってしまうかもしれない・・・。ここから5分掛からず大薙沢出合。折角なので赤薙ノ滝を見てくる。10mのトイ状滝でどちらからも巻いて上がれそうだ。
大武川ゲート前駐車スペース
沢筋へ下降して行き林道末端に(カーソルあてて)
大薙沢出合と大薙ノ滝(カーソルあてて)

本流に戻り遡行を開始する。平凡な様相から大岩の2条3m滝を超えると、花崗岩の見事な4mトイ状滝、登山体系で下一条の滝というのはこれだろう。
水流右のバンド状から上がる。岩は全体的に滑っているのでタワシは必須だ。すぐ上の5m逆「く」字滝も水流右から取りついて上がり、さらに2条5m
真ん中から登って行く。登山体系には上一条の滝というのがあるらしいが、それらしい滝は無かったので形が変わってしまったのか・・・?
下一条の滝(カーソルあてて)
5m逆「く」字滝(カーソルあてて)
2条5mは真ん中から

ここを超えると少し平凡な様相に変化。小滝をを超えると、一瞬広河原状になり右岸から川滝沢(滝ノ沢)が入る。ここで、先行していた釣師と合流。バイク
で先行していった割には、まだここでしか竿を出していないとの事。ここでは終了という事で、沢通しに行かせてもらう。彼らは左岸を高巻いていった。この
先、3m滝はshunnrinさんの肩を借りてショルダーで水流左から。2段4m上トイ状は上部を右から経つってツッパリで直上した。
右岸から川滝沢が入る
3m滝はショルダーで水流左から
2段4m上トイ状(カーソルあてて)

滝上は、大釜を持つナメ滝。ここで鈴の音を聞くと、先ほどの釣師が、「釜に尺イワナが見えたんで竿出しても良いですか!?」と降りてきた。ここは、腕前拝見!
と思ったが、自分の経験上、”大釜に見える大イワナは釣れない”という法則が当てはまってしまい、すぐには釣れない。ここは右岸を高巻いて先に行か
せてもらう。
少し進むと両岸が立ってきて、大岩に隠れる4m滝が行く手を阻む。大岩の反対側も悪く登れない。大高巻きか?・・・と思ったら、shunrinさんが左岸に
唯一上がれそうなバンドを見つけてくれて這いつくばって上がり小さく巻くことが出来た。ここから少し行くと大滝出現。登山体系で”ヒョングリ滝”と書かれ
ている滝だ。12m程あり、全くヒョングっていないが、まぁ良しとしましょう。ここは下段を水流右からフリクション勝負で登って、上段は空身で水流右を一段上がって荷物を受け取り直上する。shunrinさんにはザイルを投げ上がって来てもらった。
大岩に隠れる4m滝(カーソルあてて)
這いつくばって左岸を小さく巻く
ヒョングリ滝(カーソルあてて)

滝上は綺麗なナメ床。大岩5m滝を右岸から巻くとカラ沢出合。ここには絶好のテン場がある。この辺りで、竿をだすと結構大きいヤマメがヒット。この先も
結構釣れるのかと思ったが、チビッコ1匹で後は、餌を無視される始末で、全く釣れなかった。。。
この先、鵜ノ首滝と名付けられた4m滝はshunrinさんが空身で釜に飛び込んで左岸に渡る。荷物を渡して自分は飛び込まず、左から経つって、水流を横断
して左岸に渡り越えた。ここは左岸に渡らなくても水流左から突破できるかもしれない・・・?

大岩5m滝は右岸巻き
カラ沢出合にあるテンバ(カーソルあてて)
鵜ノ滝4m(カーソルあてて)
ここから、4mナメ滝を2,3超えると、2段10m滝。ザイルを出して水流右から取りつく。水流際に行ったところで、カムを決め支点を取ったが、ここからが、
ホールドも乏しくスタンスも甘いため、草付に若干入り滝上に出た。この滝のすぐ上に4m滝は登れず左岸巻きに入るが、滝上は明るいゴルジュ状に
なっており、両岸ツルツルの岩なので、ムリして入らない方が良いかもしれない。大高巻きになるのかと思いきや、見事にトラバースバンドが伸びている。
近づいてみると、出だしの1ポイントが嫌らしいので、ザイルを出してバンドトラバースに入る。最初の1ポイントも足が決まり突破。後は、四つん這いで5m
程進めば普通に歩けるバンドになる。それにしてもこんなトラバースバンド、どの記録にも無かった様だけど右岸でも巻いたのかな???
2段10m滝(カーソルあてて)
4m滝から明るいゴルジュ(クリックして)
奇跡のトラバースバンド(クリックして)
トラバースをクリヤーすると、癒し系の小ナメ滝から平凡な様相に変化。しばらく進むと両岸が立ってくる。小ナメ滝をフリクション勝負で頑張って超えたが、
左に隠れる横手ノ滝と呼ばれる10m滝に行く手を阻まれる。直登は難しく、巻くなら、折角登って来た所を100m以上戻って右岸大高巻きするしか無さ
そう。なんか、弱点は無いかと左壁に目をやると、唯一上がれそうな感じのするポイントを滝手前15m付近に発見。 草付泥斜面を5m這い上がり、空身で
2m上がり、ザレた脆いバンドから1段上がると、木の根を利用して上がれそう。ここで、ピッチを切り、荷揚げしてShunrinさんにも上がって来てもらったが、
モロザレバンドが崩れ滑落、幸い、灌木で中間支点をガッチリ取っていたので、ゴボウでラインに復帰してもらい上がって来てもらった。ここまでくれば、
木の根を掴んでよじ登り左壁の上に上がれ、横手ノ滝の上に出れた。
両岸が切り立ってくる
横手ノ滝
右岸から小さく巻く

横手ノ滝上のナメ床から平凡な様相に代わると、テン場適地が点在するが、翌日水晶沢を狙うならもう少し先に進んだ方が良いだろう。時間は13:50・・・。
さらに先に進む。この先少し行くと、眼前に摩利支天が姿を見せる。ナメ床交じりの平凡な様相を進むとようやく前栗沢出合。さらにナメ小滝を2.3超え
ていくと中栗沢出合。どちらも名前が付いた沢にしてはショボイ印象・・・。中栗沢出合左岸にはテン場適地があり、幕営地で釣りを楽しみたいなら、ここで
幕営することを勧める。ここまで来ておけば、仙水峠下山なら北沢峠の最終バスに間に合うだろう。我々も結果的にはここで幕営すればよかったのだが、
水晶沢遡行の希望を残しておきたいため先に進んだ。
横手ノ滝上のナメとテンバ適地(カーソルあてて)
摩利支天が見えてくる
前栗沢出合と、中栗沢出合(カーソルあてて)

この先、平凡な様相から左岸崩壊地を見ると魚影が極端に少なくなる印象。崩壊地出口に2条6m滝が掛かり、水流左を直登。この先で奥栗沢出合
この出合には残念ながら幕営適地は無く、先に進むと、すぐ先の2条3m滝を超えた所の両岸にテン場適地があり(1650m付近)、今日の行動を終了した。
ここからの摩利支天の高さは、まさに圧倒的。。。
左岸崩壊地と2条6m滝(カーソルあてて)
奥栗沢出合
1650m付近で行動終了


2日目
6時過ぎに出発。大岩の4m滝は水流左からフリクション勝負で登る。目立った滝は無いが、良いテンバも無い。20分で摩利支天前沢出合。未確認だが
左岸にテン場になりそうな草付台地が有った。登山体系によると”本流は六町ノ滝の滝となって、20m~30mの滝が数個連続している”とあるが、出合から
みる本流は石積み滝が連続しているようで特に問題はなさそう。定石では摩利支天前沢に入り最初の左から入る沢型に入って高巻くらしく、逍遥渓稜会
井谷氏の記録
でも、”実に良く出来たルート”と紹介されているので、高巻きはこれを利用すれば間違いない・・・.。ただ、この高巻きだと、六町ノ滝は全く
拝めない。ここで、shunrinさんが「本流行ってみませんか!」との事なので、写真でも見た事無い六町ノ滝を見に行くことにした。
出合から見える石積滝を登って行くが特に問題になる所は無い。このまま平凡な様相へと繋がっていき六町ノ滝って本当にあるの? と言う感じだ。

最初の大岩4m(カーソルあてて)
摩利支天前沢と本流の様相(カーソルあてて)
石積滝を登って行く(カーソルあてて)

すると、今までのゴーロ状から突如15mナメ滝が現れる。このナメ滝は傾斜は緩く、威圧感は無いが、フリクション勝負で登れるものでは無く、右岸から
小さく巻く。ただ、最上部で、一旦水流沿いに降りないと、巻き 上げられてしまう様だ。自分は草付きから1mのクライムダウンで滝に復帰したが、ザイルを
持っていないShunrinさんは更に巻いた為。沢床に復帰する するのに苦労。滑り落ちるところを私が受け止める格好でなんとか沢床に復帰する。15mナメ
すぐ上には6mナメ滝、20mナメ滝と続く、6mナメ滝が登れても20mナメ滝は手も足も出ず。更に高巻きすら許さない様相。巻くなら、6mナメ滝下からしか
ない。右岸はほぼ垂直に切り立った様相で、100m以上の大高巻きになることはほぼ確実。一方左岸は30m程上がったとこ ろに岩壁が見えるが、上手く
いけば、そこから20mナメ滝落ち口に向かって潅木伝いにトラバース出来そうにも見えたので、ザイルをだして、左岸高巻きに入 る。出だしの5~6m程に
潅木が少ないが、掴みとフリクションで安全圏まで上がってザイルを30m近くまで伸ばしたところで岩壁にぶつかるので潅木でピッ チを切る。 ここから
さらにザイルを伸ばして、20mナメ滝落ち口に向かってトラバースが可能か見に行くが、残念ながら途中で潅木も薄く、バンドも無く切 れ落ちていたので
断念。幸い1ピッチ目終了点から下流方向にトラバースできたので、岩壁が途切れるところまで数十m程トラバースし、さらに1ピッチザイルを出して、潅木
を掴みながら登る。終了点から上流側へトラバースを掛けるが今度は藪がうるさい。ここで、先ほど見た20mナメ滝の上にもう一つ大滝が隠れている?
のが見えた。全容は潅木に邪魔され見えず。どれほどの高さが有るのかさえ解らない。結局、左岸の子尾根まで巻き上げられ、1970mピークを踏み、
定石高巻きルートの鞍部から沢筋に戻る。

六町ノ滝最初の15mナメ(カーソルあてて)
6m滝と20m滝。登れず左岸高巻き(カーソルあてて)
トラバースできず大高巻き(カーソルあてて)

沢に戻った所には絶好のテン場がある。休憩がてら、六町ノ滝最上段の落ち口まで行ってみる。巻き終わった場所から4mCS滝を左から巻いて降りる
と六町ノ滝最上段の落ち口に立てる。足元には10m滝。さらに5m程度の滝が見え、その下に、高巻き中に一瞬見えた滝と思われる滝がある様だ。最後の
10m滝は左岸を簡単に巻けそうな様相。とは言え、結局、六町ノ滝全貌が解らないまま終わってしまった・・・。。。
高巻き終了点にあるテン場(カーソルあてて)
六町ノ滝最上段落ち口から
高巻き終了点下にある4mCS

時間は9時半過ぎ・・・。北沢峠発の最終バスは16時。水晶沢を詰めて、なんとか最終バスには間に合いそうだが、ガスってきて展望も利かないので、おと
なしく仙水峠に詰めて1本前のバスで帰る事にする。高巻き終了点からは概ね平凡。水温は非常に冷たい。テン場は左岸に点在するが、摩利支天沢
超えると良いところが無い。高度計読みで2060m付近で現れる顕著な右岸ガレのある所の上方に仙水峠がある。
高巻き終了点からの様相と左岸テンバ(カーソルあてて)
摩利支天沢出合
仙水峠に繋がる右岸ガレ(カーソルあてて)

ガレを登ってガレの右側から樹林帯に入る。下草も無く歩きやすい。沢床から30分でジャスト仙水峠に上がれた。ここから45分くらいで長衛小屋。沢登りで
はお目に掛かれない一般登山者が多く、縦走やってた時はこんな感じだったなぁーと懐かしさすら感じる。北沢峠のバスは臨時で12半過ぎのバスに乗れ
乗合タクシー(1200円)で、芦安に戻る。タクシーの運転手が行っていたが、芦安から奈良田に向けてトンネル工事中で、これが完成すると、広河原へは
芦安から奈良田経由でバスやタクシーが入り、夜叉人峠から広河原へのルートは工事関係車両しか通れない道にしてしまうとの事。。。シレイ沢、赤抜沢
へのアプローチが心配だ。。。
ガレを上がって樹林帯を詰める(カーソルあてて)
仙水峠に到着
長衛小屋とテン場(カーソルあてて)

P.S:癒し系の沢という事前情報を持って入渓したが、水流通しで進むと、結構緊張するところもあった。高巻きルートに固定ロープも見受けられたので、巻きは容易なのだろう
   テン場適地は多いので、軽い整地をする前提なら困ることはない。、靴はフェルトの方が良いとの記載も見受けられるが、フリクション勝負のナメ滝を登るなら、ラバー
   ソール+タワシに勝るものは無い。ザイルは30m1本で十分。六町ノ滝は全貌を見るのも大変。高巻きはかなり大変なので沢慣れしていないメンバーが居るなら定石通り
   摩利支天前沢から延びる枝沢で高巻いた方が良いだろう。


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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