2015年9月5日 北アルプス 高瀬川 七倉沢 左俣 左沢

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、0.5 靴:アクアステルス
地形図:黒部湖、烏帽子岳
遡行図、概念図はこちら

今回は新潟のひらっぺさんとジョイント。しかしながら8月後半から不安定な天気が続き、今週も計画が二転三転・・・北アの乳川谷を1泊2日でを計画していたが、
2日目の天気が急に悪くなったという事で日帰りで遡行可能な七倉沢へ転進となった。WEBでも記録が散見され、沢登りの講習会も開かれている所をみると
地元では結構メジャーな沢なのかもしれない。栃木から日帰りで七倉沢というのもこういう天気の都合でないと来れないので、いい機会かも。。。


17:40自宅発→19:30桐生太田IC→21:22筑北PA、→6:00七倉ダム基点P
6:35七倉ダム基点P発→6:45七倉沢入渓→8:05 1215m二俣→10:15 1540m左沢/右沢出合→11:25 1755m船窪小屋へ続く右岸沢筋
→13:35船窪小屋直下尾根取りつき開始→17:25船窪小屋、17:37下山開始→20:05七倉ダム基点P着


七倉沢遡行の基点は七倉山荘手前の駐車スペース。50台ほど駐車可能で無料。softbank携帯はここでは圏外。トイレもあり。ゲートを超えると3秒で
七倉沢を横断する橋。ただし、ここからすぐに入渓できず。右岸を並走する登山道を少し歩いて入渓。しばらく平凡な様相を進むと最初で最後となる堰堤。
右岸巻きとなるが、L字型の堰堤になっており。すぐに沢床に降りれない。ただ、堰堤が切れた所を沢床に向かって降りて行くと絶好のテン場がある。
「今日は、下山したらここで焚火して帰ろう!」。という話になる。ここまで車から登山道利用で10分程度なので、日帰り×2でベースを張るならここは割と
お勧めだろう。
七倉山荘手前駐車場と七倉沢(カーソルあてて)
入渓付近の様相
唯一の堰堤と絶好のテンバ(カーソルあてて)

ここからも概ね平凡な様相を進む。魚影は全く見ない。最初の滝らしい滝となる3m滝を超えるとナメ床。すると、右岸から7m滝で出合う見事な枝沢!・・・
かと思ったら出水口から流れ出る滝だった・・・。こういう水路は時たま見かけるが、こういったトンネルはどのような工法で作られているのか知りたい
ものだ。後日WEBで調べてみると、高瀬川は大正14年から水力発電所が運転されているようで、このトンネルもやはり水力発電の名残と呼ばれているものなのだろう。ここで本流は3mナメ。なんと左岸の岩壁に真新しいボルトが三連打されていた。おそらく、ここで講習会を主催した者が打ったに違いない。
最初の3m滝
右岸水路トンネルから落ちる滝(カーソルあてて)
左岸ボルト連打された3mナメ

滝上は一瞬平凡な感じになるが、ナメ小滝が続く様になり癒し系の様相。すると、1215mに位置する左俣/右俣の分岐。水量比は(1:1)。左俣は3m滝で
出合っている。平凡な様相の右俣をちょっと覗いてみるが、50m程先で5m滝があり、ここで引き返し左俣に入る。最初の3m滝は左から容易に上がると、
前衛の小滝の上に2条4m滝。左の水流から容易に直登。

癒し系の小滝が続く
1215m左俣/右俣分岐
奥は2条4m滝(カーソルあてて)

2条滝上は一部ナメ床があるものの概ね平凡。少し進むと右岸にテン場あり。この先で主稜線?が顔を出す。平凡な様相から急に表れる6mナメ滝
超えると右岸から見事な40m滝で入る枝沢。ここから本流は小滝が続く

2条滝上のナメと右岸テン場(カーソルあてて)
突如として現れる6mナメ
見事な右岸枝沢40m滝

この先、高度計が1315m指すあたりで右岸に幕営可能場所を発見。この上で3m、4m2条トイ状。簡単そうだったので、ひらっぺさんに4m2条トイ状を先行
してもらうが、上の方で行き詰っていたので私が追い越し、上からお助け紐を出す。 この先の小滝を超えていくと、北アルプスならではの岩壁が見えて
くる。
1315m付近で見つけたテン場
3m、4m2条トイの連瀑(カーソルあてて)
北アルプスならではの岩壁が見えてくる

平凡な箇所を過ぎ右岸枝沢と交わる2条3mをツッパリ交えて超えると8m滝。水流左壁をノーザイルで真っ直ぐ登るⅢ+。ひらっぺさんには上からザイル
を投げた。この滝に連続する形で4mトイ状が続き、ひらっぺさんは右岸の草付とのコンタクトラインを慎重にあがる。ここで滑り落ちるとウォータースライ
ダーとなって8m滝の下まで落ちてしまうので、落ちたら身を挺して停めるしかない。。。無事突破してくれてホッとした。自分は、右岸から左岸へ水流を飛び
越えて右から快適越えた。
2条3m
8m滝は左壁を登る(カーソルあてて)
8m滝に連続する4mトイ状(カーソルあてて)

ここから小滝の連瀑を超えると大きく開け今度は左岸から枝沢。ここにもテン場は見つけられるが時期が早いと雪渓が残っているかもしれない。ここに
掛かる2条7m滝を左から容易に登るとブリッジ雪渓。簡単に潜って通過すると今度は7mトイ状。これは左壁をショルダーでワンポイント上がればフリク
ション勝負で登れそうだが、左岸を小さく巻く事にした。脆そうな岩の微妙な経つりになるのでザイルを出しての通過になる。
連瀑帯を超えると大きく開け左岸枝沢(クリックして)
2条7m滝は快適に
高巻いた7mトイ状(カーソルあてて)

7mトイ状上は悪い様相になり1540mに位置する左沢/右沢の分岐になる。どちらも7m滝で出合っている。ここは左沢を選択する。滝の突破ルートは水流
左。最初の1歩がバランスを要求されるが、ひらっぺさんにザックを後ろから押してもらい。壁に張り付く、ここからは細かいスタンスを拾いながらフリーで
登って行ける。安定したところでザイルを上から投げ、ひらっぺさんにも上がって来てもらった。この先は沢は埋もれた感じになり一旦伏流になってしまう。
早い時期だと雪渓が残っているかも・・・。雪渓が残っていたら水は一応汲んでおいた方が良い。しばらく歩くと水流は復活したが、今度は雪渓が沢を埋め
尽くすようになる。
荒れた様相から1540m左沢/右沢出合(カーソルあてて)
沢は埋もれ一旦伏流に
今度は雪渓が埋め尽くす

水汲みをしなかったため、「最悪、雪渓をコンロで溶かすか」という事で進んでいくと右岸から枝沢が入り水を汲むことが出来た。高度計を見ると1750m付近を
指しており、この沢型を詰めていくと船窪小屋に出る様だ。ここから本流筋を見ると滝も無く延々雪渓が伸びており、そこからはガレを延々詰めることは
WEBの記録で見てきた。。。一方、右岸枝沢を見上げると、二本の沢型が伸びており、特に右側のスラブは楽しそう・・・時間は11時半前。稜線はガスって
しまったし、船窪小屋まで2時間見ておけば・・・と右岸枝沢右側のスラブを詰めて。船窪小屋を目指すショートカットコースを取ることにした。

枝沢の水は残念ながらすぐに枯れてしまう。スラブを登ると今度はガレが続く。ガレを上がると、またスラブ状に変化。沢慣れしている人や、クライマーなら
快適といったレベルだが、ひらっぺさんには少々きつかった様だ。お助け紐やザイルを出してフォローする。途中休憩をはさみ約1時間半掛けて、本流か
ら見えた右スラブ最奥の壁に到着した。

1750m付近右岸枝沢と本流の様相(クリックして)
右岸スラブを上がり右の沢型へ(カーソルあてて)
スラブを上がって行く(カーソルあてて)

の高さは6m程度。右端の潅木が生えたルンゼか、中央のこれまた潅木が途中に生えたフェイスくらいしか弱点は見当たらない。ザイルを伸ばして、中
央フェイスに取り付くも、潅木から先がホールドが少なく断念。時間は13時半。あまりここでウダウダしてると時 間切れになるので、そのままザイルを伸ば
して、右岸から巻きに入る。さらに1ピッチ潅木掴みの腕力勝負で中間尾根にあがるが、踏跡もなく、ハイ松や、コメツガ等のやたらウザイ藪が密集。沢型
に戻ること も難儀な感じだ。下から見て簡単そうに見えた左の沢型もここでは急傾斜のスラブになっており、このまま尾根を詰めるしか無さそうな感じ。
ただ、この尾根も 岩壁が行く手を阻み自由にルート取りををさせて貰えないので更に苦労する。自分はまだ良いが、女性の腕力では相当キツク、お助け
紐を出しても上がるのに苦労する。上部は多少傾斜も緩み若干藪の薄いところもあり通常の藪漕ぎになるが、全くペースが上がらず尾根に取りついて
約4時間でジャスト船窪小屋裏に出た。本流沢床からは想定外の6時間・・・。。。

壁。このポイントから右に斜上出来ず(カーソルあてて)
尾根に上がるも岩壁に阻まれ登れるルートは限られる
稜線近くで歩きやすいところに出る(カーソルあてて)


夕食の食器洗いをしていた小屋のスタッフは我々の登場にビックリ。お茶までだしてもらう。時間は17時半・・・。このまま下山しますというと、皆ビックリして
いた。
小屋から少し下った稜線上で、ひらっぺさんの携帯が繋がったので、在京に一報を入れて一安心。ヘッデン付けての林道歩きは経験済みだが、
登山道は初めて。。。まぁそれでも問題なく下山。。。20時にゲートに到着した。

船久保小屋からの眺め
槍ヶ岳見えるんだね!
完全残業で終了・・・

P.S:七倉沢左俣は、今回詰めには苦労した。七倉沢本流から船窪小屋に詰め上がるには足のそろったパーティーでも3時間半は見ておいた方がよく、
   七倉乗越に詰めればもう少し楽だろう。ただ、長い雪渓歩きとザレの詰めになる。雪渓の多い年ではあるが、1700mから雪渓がビッチリあるので、7月、
   8月に遡行する場合は軽アイゼンを用意したほうが良いでしょう。中流部までの滝は特別困難な箇所はありません。ザイルは30m一本で足ります。
   靴はアクアステルス+(タワシmust) がお勧め。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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