2016年5月8日 男鹿山塊 木ノ俣川 ヒツ沢左俣→西俣沢右俣下降
メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、#0.5 靴:アクアステルス
地形図:日留賀岳、板室
4月中旬、逍遥渓稜会の方々が栃木県 木ノ俣川の西俣沢に行かれた模様。いくらなんでも 男鹿山塊の沢を4月に遡行するというのは早いんじゃないの?と思ったのだが、
ある程度 遡行できた様なので、GW明けなら大丈夫なんじゃないかと思い、行ったことのある西俣沢ではなく、もう一本奥のヒツ沢を遡行することにした。 このヒツ沢・・・登山大系にも 記載のある沢だが、遡行距離が中途半端に長く、日帰りだと長いし・・・1泊だと短いし・・・継続遡行も困難ということもあり、自宅から近い沢ながら 足が遠のいていた。5月で陽は長いし、西俣沢取水堰堤まで地形図には無い登山道が伸びている情報は確認済みなので、西俣沢右俣を下降ルートに取り日帰りで計画してみた。。 3:28自宅発→4:56木ノ俣林道終点基点P
5:20基点発→6:40ヒツ沢出合→10:25ヒツ沢大滝下→12:00 1150m二俣→14:05ヒツ沢/西俣沢境界尾根(1675mピーク付近)
→16:15西俣沢左俣出合→17:05基点P 木ノ俣川に行くのは西俣沢左俣遡行以来10年ぶり・・・今時ナビもスマホも無い自分。。。板室温泉に伸びる県道木ノ俣川右岸林道に入る入口は何の目
印も無いのだが、昨今はグーグルMAPでこんなマイナーな林道入り口もストリートビューで事前に確認できるので便利な世の中になった。。。木ノ又川 林道はフラットダートでフィットでも問題なく奥まで入れるがすれ違いポイントが少ないのが難。携帯はダートになったら圏外になる。 自宅から一般道で1時間半で基点駐車スペースに到着。すでに数台の釣り師の車が止められていた。五時半前に基点を出発。木ノ俣川沿いの発電所横 を抜けたところから入渓。堰堤は二つで小さく巻いて上がれる。この先ほぼ沢通しで進んだが、少し行くと右岸に林道跡があり、随所に崩れているがこれ を利用すれば少し早いかもしれない。木ノ俣川は平凡な様相が続く。釣師が多く入るのか、魚影はあまり見ない。5、6台車が停まっていたが、発電所を抜 けると誰一人として会わなかった。。。入渓して40分、両岸が切り立ってくると木ノ俣川最大の木ノ俣大滝が見えてくる。高さは15m位で釜は大きく深い。
両岸は切立ち簡単には高巻きは出来ない感じ。。。長大な木ノ俣川の水を勢いよく飛ばしている滝をよく見ると、滝に左から取りつければ登れそうな感じ。 大釜を経つってトラバースを掛けると、滝芯から4mの区間でスタンス・ホールドが皆無になり深い釜が行く手を遮る。水にドップリ浸からないと滝には取り 付けない。ただ、幸いな事に滝はヒョングリ系なため、釜に入っても滝壺に吸い込まれることはなさそう。まだ5月上旬の朝6時台だが、大高巻きはしたく無 いので釜に飛び込む。足は付かないが、滝芯横の岩にすぐ手が届き這い上がれた。飛沫が掛かる程度で4m程を上がると段になっており、すごい勢いで 水を飛ばしている。この先、水流右側に移らないと上がって行けないのだが、水流を足に食らうとすっ飛ばされるので、左端ギリの箇所をトラバースして いくと段の上に高さ30cm程度の岩がありここは水流が弱いことを発見。ここにしっかり足を乗せられれば飛ばされないだろうと、水芯を跨いで岩に飛び移 る。見事成功して水流右に移動。ここからはラバーソールであればスタンス十分で、滝上に容易に出れた。 滝上はまだゴルジュ。傾斜の緩い4mネジレ滝を水流左から超えるとゴルジュは終了し”ヒツ沢”出合となる。本流との水量比は(1:2)なので見落とすことは
ない。木ノ俣川の長さを考えるとヒツ沢の水量は多い。ヒツ沢に入るとすぐにゴルジュっぽくなり右に曲がった所に6m滝。水流右を簡単に登れる。 この上 には4m滝。釜が深いので左から巻いて上がる。ここからゴーロ状で高度を上げていく。ついつい竿を出してしまうが釣れない。。。すると伏流になってしま った(涙)。竿をしまってしばらく上がって行くと、取水堰堤が現る。高度計は800m。取水堰堤を簡易梯子であがるとしっかり水が流れてる♪ 何とすべての 水を取水してしまっていた訳だ。
この先は小滝を交えた平凡な様相が続く。竿を出したら良い型が釣れる。一方、平凡なのに良いテン場は目にしない。すると、ヒツ沢のハイライトのヒツ沢
大滝が現れる。高さは40m大釜を有し実に見事。形としてはトイ状大滝と言った感じで直登はまず無理だろう。高巻きルートは滝右側のルンゼが順当か。 このルンゼと滝の間にある灌木リッジにも下から取りつけるがコメツガの藪がうるさいので、ルンゼを10m強上がって行くと、灌木リッジに取り付けるポイン トがあったので、滝を見ながら高巻き出来ると楽しいかも・・・と思いそちらに移動。灌木を掴みながら上がって、最後は笹を掴みながらトラバースして、大 滝落ち口ジャストに出た。
大滝上は小滝が二つ。これを超えると8m滝。左から巻き気味に上がるが落ち口のヌケにスタンスが無く、両手のガバを取って滝上に出る。この先ミニゴ ルジュ風になりイイ感じの様相がチョットだけ続く。そしてまたゴーロ状に変化。 この先2段5m滝を上がると顕著な二俣。地形図で確認すると、1150mの左俣/右俣を分ける二俣で水量比は(2:3)で右俣の方が多い。ここを右に入る
と大佐飛山に出るのだが、それだと日帰りではムリ。焚火休憩2回と釣りをしてしまった事もあり、時間は丁度12時だ。予定通り左俣に入る。ちなみにこの 二俣にも良いテンバは無い。左俣に入ってもゴーロ状の様相が続く。少し進むとインゼルかと思わせる感じで1218mで出合う左岸枝沢が入る
この先、4mヒョングリ等の小滝が散見されるゴーロを上がって行くと、10m滝が行く手を阻む。結構立っている滝だが幸い水流左のルンゼからⅢーくらい の登りで滝上に出れた。このあたりから雪渓が目立ち始める。7m滝は左から上がったがもう1、2週間早かったら雪渓にルートを塞がれ苦労したかもしれ ない。7m滝上は巨岩がひしめき合った構造になっており、その間を縫うように上がって行くのだが、雪渓が中途半端に沢を埋めており、踏み抜いたりしな いか結構気を遣う。この雪渓を踏み抜かない様に右岸に上がり笹を掴んでの巻きで巨岩帯を抜けることが出来た。
後は目だった滝は出てこない。1560m位置する二俣に到着♪と思ったら三俣になっていた。ここを左に進路を取ると雪渓が沢を埋め尽くす。1650mまで詰 め上げ、ヒツ沢/西俣沢の境界尾根がグッと近づいてくる箇所で沢型から離れる。動物も利用するのか、ここだけ上手い具合に獣道が境界尾根まで伸び ており藪漕ぎせずに済んだ。境界尾根にも獣道が主稜線に向かって伸びていたが、1675m、1505mピーク方向には道は無くコメツガの藪に覆われていた。 時間は14時過ぎ・・・。西俣沢の830m付近の取水堰堤から先は明瞭な道があるのは知っているので、そう不安はないが、”残業かなぁー”という感じ・・・。
時間も無いので尾根をそのまま横断。西俣沢右俣の下降に移る。南東面に位置するせいか、西俣沢側は密笹薮。急傾斜をいいことに強引に降りて行くと 1520m位でようやく沢形に入れた。しばらくは水も流れず急傾斜のゴーロ状。地形図の等高線が物語る様、やはり滝が出てくる。6m、4mそして15m涸滝と イイ感じで降りて行けたのだが、高さ10m以上の”どーにもこーにも”と言う感じの滝が出てきてしまう。持参したザイルは30m。左岸をチョット巻き上がってリッ ジを降りて行き、灌木にザイルを掛け懸垂。安全圏までザイルが届かなかったが、1.5mをクライムダウンして安全圏に降りれた。見上げると2段15m滝。 左岸から10m滝で出合う枝沢の滝もあり、なかなか見事!高度計は1200mを指している。
この先も、7m~8mクラスの滝を2,3交えようやく1060m付近で右から合流する(1:1)二俣まで降りてくる。ここまで降りれば一安心かと思いきや、出合 すぐ下に大滝を掛けているではないか・・・。。。。左岸を巻いて降りたら2段18m巨大CS滝だった。
このすぐ下でイイ感じの5mナメを見ると、また大滝が出現。右岸を大きく巻いて降りると、7mCS、2段10mと続く連瀑帯になっていた。。。これで西俣沢 右俣の核心部は終了。4mナメを降りるとゴーロ状になり10年前遡行した左俣と合流。時間は16時15分過ぎ。
少し下ると、左岸に護岸工事跡が見えてくるので沢を離れ左岸上がると取水堰堤と関連施設の建物を抜けると綺麗な吊橋が掛かる。ここからは明瞭な 道が伸びている。10年前は常に右岸を歩いた記憶があったが、震災で一部崩壊したのだろう、一部、左岸に道が移されていた。この道が小屋ノ沢を横断 して回り込んだ所で車道に切り替わる。九十九折部はすべてショートカットしながら降りて行くと取水堰堤から40分で基点に到着してしまった! P.S:長い沢だという事を知りつつも竿を出してしまい、焚火休憩も2回もしてしまったため、12時間近い行動となってしまった。単独で遡行してこの時間なので
足の揃ったパーティー以外は1泊2日で計画したほうが無難でしょう。ただ、総じて良いテン場は無く、せいぜい二人くらいまでなら・・・というところしか遡行中 見つけられなかった。ザイルは30mで何とかなったが、西俣沢右俣も15m級の滝が複数出てくるので、40m以上を持っていった方が安心でしょう。 西俣沢右俣の内容も良く、滝も多いので、逆回りor右俣のみを遡行してみるのも面白いかもしれません。 |