2016年6月3、4日 奥鬼怒 黒沢 トウガン沢→実川 硫黄沢下降→赤倉沢左俣→門石沢下降

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×30m、 靴:アクアステルス
地形図:燧ケ岳、帝釈山、川俣温泉、三平峠
遡行図、概念図はこちら

2006年にmoto.p氏と赤岩沢→魚沢下降を遡行して以来、同じ黒沢流域のトウガン沢と門石沢が気になっていた。。。登山大系にも簡単な紹介が記されているにもかかわらず
WEB上ではつい最近まで全く記録が上がっていなかったのだが、山登魂の治田さんが2015年に入渓された記録をアップしていただいた。彼らの記録は桧枝岐側に流れる舟岐川
火打石沢から入渓、門石沢→トウガン沢→赤倉沢右俣下降→同支流→曲沢を2泊3日で回る、想像さえ出来ない見事な周遊コース。。。
小生は、昨年、火打石沢と赤倉沢右俣を遡行してるとのと、日程は1泊2日で・・・さらにアプローチも短く・・・と言う条件を考慮して、基点を女夫淵温泉とし、まだ遡行していない
実川支流 硫黄沢を下降→赤倉沢左俣を上がって門石沢を下降する計画で実行してみることにした。

19:00自宅発→19:55日光有料道路→20:10今市IC→21:20女夫淵着

4:55女夫淵基点発→5:50赤岩沢出合→6:27トウガン沢/門石沢→8:27 1525m二俣(右に入る)→10:40県境尾根→11:00花沼湿原
→11:26硫黄沢(左俣)下降開始→14:10赤倉沢出合(幕営)

二日目
6:10幕営地発→6:25赤倉沢左俣/右俣分岐→9:30県境尾根→10:45門石沢下降開始→13:50トウガン沢出合→15:10女夫淵基点着


有休消化と天気の都合で金・土での日程。。。ここ女夫淵に来るのは4年半ぶり。なんと女夫淵温泉ホテルが廃業してしまった様だ。ゲート手前の無料駐
車場はそのままで30台ほどほど駐車可能、softbank携帯も繋がる。。。
黒沢沿いの林道に入ろうとするとすぐに厳重なゲート。車両だけでは無く歩行者も通行止めとの事。自転車がギリギリ通せるゲート横を抜け歩いていく。
林道は荒れ気味で徒歩は全く問題ないが自転車では厳しく時間短縮にはならないだろう。赤岩沢出合手前にある大堰堤が見えたところで林道がS字状に
カーブするのでそれを利用すると水量が少ないせいもあるが、藪漕ぎ無でスンナリ赤岩沢出合に降りれた。赤岩沢出合いは思った以上に貧弱だった。。。
女夫淵温泉が起点(カーソルあてて)
林道から魚沢出合が見える
大堰堤と貧弱な赤岩沢出合(カーソルあてて)

バックウォーター跡の広河原状が終わり、ゴーロ状を進む。沢の水に温泉成分が混じっているのか若干白く濁っており、岩も白く染まっている。そのせい
もあってか、魚影は全く見ない。少し進むと左岸から顕著な枝沢が入り、この水と本流の水が混ざると化学変化を起こして水が白く濁る様だ。さらにゴー
ロ状を進み、入渓点から30分強でトウガン沢/門石沢の分岐になる。水量比はほぼ(1:1)。
入渓点付近の様子(カーソルあてて)
左岸枝沢の水が混じると変色
トウガン沢/門石沢出合

トウガン沢/門石沢出合にはテンバは無いが、トウガン沢に入るとすぐに見つかる。沢は癒し系で渓相は良い。しばらくすると淵を持ったミニゴルジュ。経
つりで進んでいくがそんなに難しくはない。ゴルジュ内には4m滝があり水流右を登るが簡単に右岸を巻く事も出来る。。。ミニゴルジュを抜けると再び癒し
系。この様相で魚影を観ないのが残念だ。
しばらく進むと3段6m滝。水流左を登る。
トウガン沢入ってすぐの物件と序盤様相(カーソルあてて)
ミニゴルジュに入って行く(カーソルあてて)
3段6m滝

この先、癒し系様相を堪能していくと、1525mに位置する二俣。水量比は(2:3)。ここを左に入ると黒岩山山頂付近に出るが、硫黄沢を下降する場合、そ
こまで高度を上げる必要が無い事もあり、水量の多い右俣を選択する。水は若干白く濁っている印象。右俣に入ると7mナメ。グリップはよく利き、水流沿
いを登って行ける。この先、断続的にナメ床を見ると1600mに位置する(1:1)二俣。ここは左を選択。
すると早くも笹が沢を覆うようになってくる。
1525m(2:3)二俣
7mナメ
1600m(1:1)二俣

沢は再び開けホッとするが、あとは3~4m程度の小滝が2、3出てくるだけでで源頭の様相に、そして笹薮の中に沢形が消えていく。背丈をこえる笹薮だが
上手く薄い所を繋いで登って行き沢形が無くなって30分強の笹藪漕ぎで県境尾根に出る。
小滝
源頭の様相
最後の詰めから振り返る

尾根には道はないが、福島県側は植生が変わって笹薮は無く歩きやすいので、尾根の移動は福島県側に跨いでから移動するのが良いだろう。ただ、どこ
を歩いているのか解りにくい地形なので、GPSを持っていると便利。自分は持っていないのだが、昨年ここを歩いているので、そう不安はない。目指す花沼
湿原の高度を高度計を見ながらトラバース。尾根に出てから20分程度で花沼湿原に到着。ポカポカ陽気の中カエルが大合唱。くしゃみをしたらピタッと
鳴き声が止まったから面白い!

さて、硫黄沢の下降だが、花沼湿原の西側から下れば何処を降りても良いので、高度を維持しながらトラバースを続けると水が流れる沢形があったので
これを降りたら、本流筋では無かったようで途中で伏流になってしまった。
福島県側に入ると笹薮から解放される
花沼湿原に到着♪
水の流れる沢形で下降開始したが・・・(カーソルあてて)

結局、1780で本流筋に合流したが水量比は(1:3)。本流にはイイ感じの滝が掛かっていて、チョット勿体ない事をした印象。。。 本流はすでに水が白く濁
っていて、”硫黄沢”と言うだけある。少し下ると7m滝が出て来たが、それから先は概ねゴーロ状で崩壊地が多い印象。 この先最大の10m滝もクライム
ダウン降りれた。
1780mで本流筋に合流(カーソルあてて)
7m滝
ザレの先で10m滝(カーソルあてて)

この先、小滝が散見される程度でザレ・ガレを観ながらゴーロ状を下降。高度計が1550くらいになって初めて魚影を見る。ここに魚影があるとするなら、
1540mで右岸から入る枝沢は硫黄分も少なくイワナも多いに違いないと期待を馳せたが、水量が非常に少なく。期待ハズレだった・・・。すると、今日の終了点と計画していた赤倉沢との合流に到着。水量比は(2:1)で降りてきた硫黄沢の方が多い。ここにはテン場に良さそうな草付台地が広がるが、焚火ポイ
ントが意外と少ないので、少人数なら、この出合から100m程下った左岸に、2~3人くらい横になれる台地と薪が豊富な河原が広がっているので、こっちの
方がお勧め。。。
岩盤が発達する箇所も一部あり・・・
草付台地から赤倉沢出合
100mほど下った左岸で幕営


二日目
最近歳をとったせいか、普段から朝に目が覚めてしまう。流れで早出になる。赤倉沢に入り魚留め4mナメを超えるとすぐに左俣/右俣を分ける二俣だ。
水量比(1:1)。昨年は右俣に入った。終了点に花沼湿原があるので、大方の遡行者はこの右俣を選択し、左俣の記録はあまり見ない。。。
ゴーロ状の左俣に入るとすぐに長いナメ床が現れる! 右俣はナメはあまりなかった記憶があるだけに嬉しい発見だ!ナメ床の先には可愛い淵があり
その先にまたナメ床・ナメ小滝と癒し系の様相が続く。すると正面の壁が切り立ち沢は左直角に曲がりゴルジュになる。ただ、悪い様相ではなく、ここでも
癒し系の淵が伸びていた
赤倉沢左俣/右俣を分ける1対1二俣
ナメ床と癒し系の淵(カーソルあてて)
正面に岩壁(カーソルあてて)

ココには滝は無く、淵が点在。さらにまたナメ床が姿を現す。これが終了すると灌木が覆うように生えたゴーロ状の平凡な様相に変化する。しばらく進むと
石積み小滝の先で1700m付近で(1:3)二俣になる。ここを左に入ると孫兵衛山近くに詰め上げる様だ。ここは水量の多い右を選択。
ナメ床はまだ現れます!
灌木が覆うゴーロ
1700m付近(1:3)を右に入る。

さらなるナメ床や、左岸枝沢の15m滝を観ながら進むと5m滝。ここは水流左で登ってみた。この先で地形図では判別できない三俣に出くわす。高度計
は1826mを示しているがあまりあてにはならない。右の沢は水量が少なく。左と真ん中で水量(1:1)となっているイメージ。GPSを持っていればどちらの沢に
進んでも問題ないが、”高度計・磁石だけだと出た尾根が県尾根なのか孫兵衛山へ伸びる尾根なのかの判断が難しそう・・・” そう考えココは右の沢を選択した。
左岸枝沢15m滝(水量少ないけど・・・)
5m滝
三俣

この先は苔むしたゴーロを上がると傾斜が緩み源頭に。すると右岸に赤布を2か所発見!昔は登山道だったのだろうか?沢形はまだ伸びているが、笹が
覆うようになるので、進行方向右手に位置する県境尾根に登って行く。もう二つ程、赤布は見たがその先は不明。獣道を使って県境尾根に立つ。あまり栃
木県側に近づくと笹藪が濃くなるので、福島県側から孫兵衛山南の2060mピークを目指した。
苔むしたゴーロを上がって行く
赤布を発見したところで沢形を離れる(カーソルあてて)
県境尾根

2060mピークから門石沢の下降点(地形図で”1915”の記載のある場所)への移動は尾根が広いので注意。偶に赤布を観るが気休め程度。GPS持っていないの
で、磁石と高度計を頻繁に見ながら幅広尾根を移動していく。笹薮はあっても薄く。獣道の様のものが多数いきわたって居る為、移動自体に苦は無い。
高度計が1920mを切った所で門石沢へ下降する。笹を掻き分けていくと思ったより早く沢形に出れた。しばらく水の無い沢形を下るが。右岸から水が流れ
る枝沢が合流。この最上流から既に水に温泉成分が溶け込んでいるようだ。岩が一部白く変色している。。。また1800m付近から地形図でガレマークにな
っている箇所は両岸はガレているものの、沢床は平凡で、下降に問題は無い。
早い段階で沢形に入れる
岩が白っぽく染まってます
地形図でガレマークになっている辺りの様相

この先、下降を続けると、伏流になってしまう・・・、倒木のある5m枯滝をクライムダウンすると左岸から水流のある枝沢・・・いや本流と言った方が良いのか・・・
が出合う。高度計から推測すると1675mの二俣か。。。この先概ね平凡な様相を降りて行く。左岸から2本枝沢が合流するが、どちらも水量は非常に少な
い。すると割と大きい滝が出現。クライムダウンでクリヤーすると3段10m滝だった。この少し先でヤバイ感じの右岸大崩壊地が現れ、そそくさと通過。
5m涸滝を降りると左岸から本流筋に(カーソルあてて)
3段10m滝
右岸大崩壊地

この先は偶にナメ床を見るくらいで概ね平凡な様相が続く。。。こんな感じで終わるのかなー・・・と思ったが門石沢の核心部はこの先に有った。。。1540m付近、
河原状の様相から急に10m級の滝が現れる。幸い左から小さく巻いて降りれたが振り返って見てみると近くでは気づかない位の壁かと思う位大きな巨岩
CSの10m滝
だった! 山登魂の治田さんの記録によると”途方もなく巨大な石が門のように存在し、睨みというか威厳を放っている・・・”との記載があったが、この滝の
事だろう。この巨岩が門の様に立ちはだかっている様相から門石沢と名付けられたのだろう・・・と治田さんが書いたのもうなづける。。。
この先、石積み小滝、5m滝をクリヤーすると左岸大ガレ。。。こここら両岸が切り立ってくる様になる。
門石沢由来の10m。水流左壁・・・では無く(カーソルあてて)
左岸大ガレ
両岸が立ってきます

この様相で大滝が出てくるとかなり苦戦するが、幸い小滝ばかりでノーザイルで降りて行けた。6mトイ状を降りると左岸の側壁はいったん切れるが、右岸側壁は続き、トイ状で流れ落ちる様相はまだお楽しみが続く感じ・・・
ゴルジ内の様相1(カーソルあてて)
6mトイ状
まだお楽しみは続く感じ・・・

するとまた10m級の滝が現れる。ここも右岸側をクライムダウンできるかな・・・?とチョット降りてみたが、下部はムリそうだったので左岸巻きで降りると
8m滝。どう見てもクライムダウンできないでしょ!って感じでムリしなくてヨカッタ。。。このすぐ下にある3m滝を降り、最後となる4m滝を降りると、ようやく
トウガン沢出合となる。
ここからは来た道を戻るだけ。。。トウガン沢/門石沢出合から1時間20分程で基点の女夫淵に到着した。
降りようとした8m滝(カーソルあてて)
8m滝すぐ下の3m
最後の4m滝

P.S:黒沢流域には赤岩沢、魚沢という人気の沢があるだけにトウガン沢、門石沢まで足を延ばす人は少ないかもしれないが、”滝の赤岩沢”、”ナメの魚沢”
   というなら”癒しのトウガン沢”、”ゴルジュの門石沢”と言った所か・・・。黒沢流域には魚影が無いので、福島県側の実川、舟岐川流域を継続遡行して
   周遊すると釣りも楽しめる。。。そう考えると桧枝岐側から入渓するより女夫淵から入渓し、福島県側で幕営する方が良いでしょう。ザイルは一度も使わ
   なかったが、懸垂交えたとしても30m1本で足ります。トウガン沢は癒し系なので、門石沢遡行→トウガン沢下降の方が面白いと思います。

トウガン沢・門石沢遡行図(クリックして)
硫黄沢・赤倉沢遡行図(クリックして) 
概念図(クリックして)


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