2016年7月3日 丹沢 中川川流域 大滝沢 地獄棚沢

メンバー:スメラギさん、ひろた
装備、ザイル8mm×40m、カム#0.4、0.5 靴:イドログリップ
地形図:中川
遡行図、概念図はこちら

2009年に大滝沢本流を遡行した帰りに地獄棚沢を下降したのだが、中川川流域にある大滝で取りついていないのは地獄棚沢だけだったので。ずっと心残りになっていた。ハイライトの
地獄棚はその昔、人工登攀で登られていた様だが、今となっては残置も朽落ち、改めてボルト連打しないかぎり登れない滝となっているようだ。ただ、灌木帯を利用して小さく巻けるような
記録もあり、下降した記憶も大分薄れたこともあって、7年ぶりに行ってみることにした。今回、ありがたいことに地元栃木からスメラギさんが初ジョイントしていただく。

16:55自宅発→19:40入間IC→20:35大井松田→21:15西沢自然公園手前P、5:00同発→5:10畦ヶ丸登山口P
5:35登山口P発→5:50大滝沢本流/マスキ嵐沢出合→6:27-7:15地獄棚沢下(雨棚往復)→8:45地獄棚上→9:45-10:45二俣
→11:45稜線登山道11:50下山開始→12:50登山口P着


県道76号線沿いの箒杉公園のパーキングで仮眠。綺麗なトイレもあり。西沢自然公園のパーキングのように混雑しないので、ある意味穴場かも。何度も
通った西丹沢だが、沢登りを始めて1~2年のスメラギさんは丹沢に来るのは始めてということで興奮は収まらない感じ。
大滝沢沿いの林道は概ねフラットダートで、フィットでも走行可能なのは7年前と変わらない。畦ヶ丸登山口駐車スペース(5台ほど)に車を停める。
softbank携帯もここまで辛うじて圏内。ここで、スメラギさんから”ハイパーV”なる靴を見せてもらう。価格が4000円弱くらいで、あのTV番組「Sasuke」では
皆これを履いてスパイダーウォークをしているそうだ。岩とのグリップは良さそうだが、スニーカー形状の為ジャリが入りやすいのと靴先端上部が布製で穴
が開きやすいのが難らしい。。。価格が魅力的なので、一考の価値はあるだろう・・・。

畦ヶ丸への登山道をマスキ嵐沢を横断する手前まで歩き、マスキ嵐沢をちょっと下降して大滝沢本流に降り立つ。沢床は平凡な様相。少し進むと堰堤が
現れ、右から小さく巻く。堰堤上も平凡な様相が続くが魚影があるのには驚いた。

これが”ハイパーV”ソール靴(カーソルあてて)
登山道がマスキ嵐沢を横切る所で入渓
大滝沢本流を進む(カーソルあてて)

沖箱根沢出合いを過ぎ、ナメ床を上がると、ハイライトの地獄棚が現れる。スメラギさんも実物を眼にして感動している。。。それにしても、これだけの悪い
大滝を目にして登攀ルートを追うのは“西丹沢特有“といって良いだろう。スメラギさんは初丹沢という事もあり、一旦大滝沢本流に入り、雨棚を見に行く。
ゴルジュ内4m滝を越えると、雨棚。。。相変わらず見事なトイ状滝 前回来た時は右壁は乾いていたが、今日は黒光りしている。もちろんボルト連打しな
い限り、この滝の直登はありえない。。。

ナメ床を過ぎると地獄棚(カーソルあてて)
大滝沢本流に入り雨棚を見に行く
雨棚50m 再訪

地獄棚沢に戻って地獄棚を見上げる。2段45mといった大きさで、最初から高巻くなら本流の滝を上がった先で潅木帯に入る感じ。ただ、思ったよりも下
段は寝ていたので、ザイルを出して水流右に取り付く。草付の中央コブ岩を目指して上がるが濡れてる岩は非常に滑るのでタワシはMUST。1ポイント
ハーケンを打って中央コブ岩の上に上がる。ココにもリスはありハーケンが打てる。ここからは3級レベルになり1段目を終了。終了点の壁には割りと新し
いボルトが連打されており、ここでピッチを切る。。

地獄棚ルート図(カーソルあてて)
1ピッチ目
スメラギさんフォロー

この終了点から右の潅木帯には簡単に入れるので、まずは一安心。。。ただ、下から見ると水流を横断出来れば、さらに7m程上がって再び水流右に移動
してルートを見出せそうな雰囲気にも見えていた。。。まぁ時間もあるので水流横断してみる。滝のしぶきで岩はすべり憎いが安定したスタンスは少ない。
水流中2箇所のホールドを見つけて何とか水流を横断したが水流を超えてから安全圏に入るまでの1.5m区間が悪い。。。ハーケンを1枚打つが、脆い岩に
打っているので信頼感は乏しい・・・。眼前下の40cm四方の外傾岩に足を置ければ良いのだがスケートリ ンクのように滑りそうで踏ん切りがつかない。
ここを突破出来てもその先突破できる保証もないので、悩んだ挙句ここで断念。。。打ったハーケンを抜いて(やはり簡単に抜けるし・・・)戻るが、スタンスが
甘いだけにかなりの困難を伴う。。。ホールドが無くなったところから水流中に見えるスタンスに左足一本で飛び移り、さらに瞬時にもう一歩飛んで1段目
終了点にスライディングで滑り込む。。。幸い打撲も無く成功。。。ボルト、アブミのフル装備で挑む前提でなければ水流横断は考えない方が良いだろう。
この一連は、スメラギさんも緊張の連続だったようで一枚も写真は無かったようだ(残念)
仕方なく潅木帯に入るが、折角なので滝と潅木帯のコンタクトラインで上がれるか観てみる。しかし、ザレの草付で、かなりリスクが高いので、ここも断念せ
ざる得なかった。急傾斜の灌木帯で落ち口高さまで上がり4mほどトラバースして落ち口に出る。この高巻きを“悪い”と記するWEB記録はよく観たが、灌木
はしっかり落ち口まで繋 がっているので問題になる所は無いと思う。

ちなみに、落ち口から観ると滝の右岸から左岸側に渡れると思っていた上部バンドは左岸側でスパッと切れ落ちているようで、滝の右岸側に横断してしま
ったらそのまま直登するか、右岸で高巻くしか無い様だ。

ココを横断する(カーソルあてて)
水流左側を見上げる
結局 灌木帯で巻いた・・・

地獄棚上はゴルジュ状。浅い淵を抜けると3m滝。6m滝と続く。どちらも難しくは無い。すると間髪入れずに2段10m滝。スメラギさんは喜びのあまり、アニ
メキャラのポーズで写真に納まる。若いってイイなぁー♪ ラバーソール+タワシでヌメリを落とせば2段10m滝はノーザイルで登れた。
地獄棚上の様相
6m滝(カーソルあてて)
2段10m(カーソルあてて)

まだ、滝は続き、3m滝を超えるとまたもや10m滝。これも快適に登れるレベル。さらに5m弱の滝を快適に超えると4段15m滝。いろいろルートが取れて
面白い滝だ。これも快適に登って行くと。左俣/右俣を分ける(1:1)の二俣。早出したので時間はまだ9時台。焚火休憩してお茶タイム!

10m滝(快適に登れます!)
4段15m(カーソルあてて)
左俣/右俣を分ける(1:1)二俣

左俣と右俣では右俣の方が滝が多い様なので、右俣に入る。するとすぐに10m滝。これも快適! すぐ上の7mトイから続く一連の小滝もすべて快適に
クリヤー。最後の7mナメ状を上がると滝は終了する。
右俣最初の10m滝
7mトイ状
最後の7m滝

ナメ床からゴーロ状と変化すると赤い岩から水がわき出ている箇所があり。ここの水は美味しかった。この先、沢形が左岸、右岸からと複数入るが、
一番水量のある沢筋をチョイスすると、主稜線から1軒屋避難小屋に繋がる尾根に藪漕ぎ無しで出た。
ひたひたと水が流れます
赤い岩から湧水
最後の詰め

13時前に基点に戻れたこともあり、折角の初丹沢であるスメラギさんと、西沢の下棚と本棚を観に行く。。。スメラギさんは本やWEBでも両滝を観た事は
無かった様で、下棚を観ては驚き、本棚に至っては叫び声をあげていた(笑) 自分にとってもそれぞれ7年ぶり、11年ぶりだったが、どちらも大きくは様相
が変わっていおらず。下棚だったらまだ登れそうな感じではあったが、さすがに”本棚はもう二度と取り付きたくない”と言う思いは変わらず、手を合わせてその
場を後にした。。。
下棚45m
本棚70m

P.S:地獄棚沢は大滝を覗けば快適に登れる滝ばかりで、半日で楽しめるお勧め沢です。大滝を登るのなら、アブミ、ボルトなどの装備が必要で、
   短い沢なので、ボルト打ってTRYしてみるのも良いかと思いますが、今はボルト打つと怒られるのかな??? ザイルは大滝を直登しない
   のであれば30m1本で足ります。靴はラバーソール+(タワシ)が良いでしょう。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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