2015年9月19~21日 川内山塊 早出川 今早出沢ガンガラシバナ→ドゾウ平沢 割岩沢下降

メンバー:ひろた、他2名
装備、ザイル8mm×30m 2本、 靴:アクアステルス
地形図:室谷
参考遡行図:関東周辺の沢 概念図はこちら 紹介ビデオはこちら

先月、北又谷でご一緒させていただいた、河田さん、平野さんが早出川のガンガラシバナ登攀の計画を立てているという事で、混ぜていただく事に。。。
ガンガラシバナと言えば『関東周辺の沢』も掲載されている超メジャースポット。ただ、夏は”アブの巣窟”と言われる流域にあり。。。遡行適期は意外と
短い流域でもある。アプローチとしては一本東に位置する室谷川倉谷沢 一ノ俣橋(概念図参照)を基点として、一ノ俣乗越から今早出川に入渓するのが
一般的となっており、2泊3日で割岩沢(わりわさわ)を下るオーソドックスルートで楽しむことにする。


17:03自宅発→18:08矢板IC通過(一般道)→20:30 R49→20:48会津板下IC通過→21:33津川IC手前PA、4:55同発→5:30津川集合→6:30一ノ俣橋
初日
7:20一ノ俣橋発→10:00一ノ俣乗越(赤ッパ沢下降)→10:50今早出沢入渓(途中竿だし)→15:10魚止の沢出合
→15:20横滝下→15:35横滝上左岸行動終了

2日目
6:45出発→7:35ガンガラシバナ手前(1:1)二俣→8:00ガンガラシバナ下→10:55ガンガラシバナ上→12:25稜線
→12:50ドゾウ平沢下降開始→16:15割岩沢出合(ジッピで遊ぶ)→17:05 510m付近行動終了


3日目
7:20出発→10:10今出→11:40赤ッパ沢出合(踏跡利用)→12:45一ノ俣乗越→15:30基点着

基点となる一ノ俣橋は磐越自動車道 津川ICからが一番近い。ここまで、自分はオール一般道で4時間半・・・。コンビニで大阪在住の河田さん、長野在住
平野さんと合流。遠路本当にご苦労様です。

県道227号線に入って少し行くと、もうsoftbank携帯は圏外・・・。。。道は室谷川と倉沢谷の合流点付近まで完全舗装。その先はフラットダートで通常2WD
車で問題なく入って行ける。一ノ俣橋は最初の顕著な橋で、橋にも名前が記されているので迷うことは無いだろう。ただ、この先林道工事中で車が入れる
のはここまで。駐車スペースは100m程引き返したところに5~6台。一ノ俣橋手前にも3台ほど道路脇に駐車可能。パッとしない天気にもかかわらず、すでに3台ほど車が停まっており、先行者が居る様だ。
橋を渡って右岸からすぐに一ノ俣沢に降りたが、右岸の踏跡はかなり先まで伸びており、これを利用する方が早い様だ。一ノ俣沢は何にも無い沢かと
思っていたら、快適なナメ滝10m程度の滝が2つほど出てくる。釣師も入るので、すべてに高巻き道があるが、そうとは知らず直登したり、灌木を
掴んでの高巻きをしたりしての通常遡行であがっていく。 途中、4人組と7人組の釣師パーティーに追いつく。どちらも今出をベースに釣る予定で来た
そうだが、ラップするので4人組の方は我々と同じ方に進もうか検討中との事・・・。挨拶をして先に行かせていただく。
一ノ俣橋先にゲート代わりのショベルカー
一ノ俣沢のナメ滝
二つの10m滝(カーソルあてて)

さて、一ノ俣乗越への登りだが、600m付近位から注意していれば本流筋に赤テープが付けられているので、それにしたがって進めば良い。これを無視して
地形図読みで615m付近で出合う右岸沢型で上がったが、やっぱり若干ではあるがズレていた様だ。正解の場所は明瞭な踏跡があり、そのまま踏跡を
利用して今早出沢に降りれるようになっている。 我々は、赤ッパ沢の沢通しで下降。懸垂は無く今早出沢に降り立った。基点を出発して3時間半・・・
膝を痛めている平野さんは、今回サポーターを巻いて臨んでいるが、やはり”大分違う” との事・・・。 昨日のまとまった雨の影響か、今も時折降っている
せいか、水は黄土色に染まっており、綺麗とは言い難い。

時間は11時前。普通に歩けば、ガンガラシバナ下まで今日中に行けるが、明日の午前中まではスッキリしない天気予報なので、翌日早い時間にガンガラシバナに到着すると、ガスっていて全貌が見えないんじゃないか・・・? という懸念があり、ノンビリ竿を出しながら行ける所まで行こう! という事にした。

水量は多いのだろうが、さすがに先月行った北又谷に比べれば完全癒し系。地形図にある標高468m付近まではテン場も至る所にある。2時間半程竿だし
遡行して釣りタイムは終了。先に気付かれて隠れてしまうのか、山越えして入った沢にしては魚影は偶にしか見ず。2時間半粘らなければいけないほど
釣果は薄かった。。。

赤ッパ沢の下降
赤ッパ沢出合と今早出沢
竿だし遡行(カーソルあてて)

ほとんど高度が変わらないため、どこ辺りを歩いているのか今一つよく解らないが、468mから先は淵っぽくなってくる。渡渉の深さは精々腰上まで微妙な
経つり
もあり、ラバーソールであればなんとか行けたが、フェルトソールの平野さんはフローティングロープのお助けで淵を泳いで突破するところもあった。

雨が降ったりやんだりする中進んでいく・・・。468mから魚止の沢出合(530m)までの区間はテン場はないと思った方が良いだろう。
特に問題無し
微妙な経つりを要求される淵(カーソルあてて)
テン場も無いが滝も無い(カーソルあてて)

魚止の沢は、割としっかりした水量があるので解りやすい。この先少し進むと、横滝と名付けられた2段8m滝が現れる。他のweb記録と比べると、やはり
水量は多い様だ。直登は左壁だが、今日はとっとと焚火にあたりたい気分なので右岸巻き。踏跡チックになっておりサクッと巻ける。横滝を超えて100m進
むと左岸に幕営適地が広がり今日の行動を終了した。薪は豊富だが、さすがに湿っている・・・ が、時折雨がパラツク中でも河田さんのトーチバーナーで
無敵の一発着火!!!さらに平野さんが割と型の良いイワナを上げてきてくれ刺身でいただく。 暗くなって雨もやみ、タープの下、おかげさまで快適に
寝ることが出来た。

魚止の沢出合(カーソルあてて)
横滝2段8m
横滝すぐ上の左岸で終了♪


2日目
今日も天気予報は裏切らず曇天。ただ、昨日より水量は大分減っているようだ。出発してすぐ、横滝に似た”ミニ横滝”3mが現れ右岸を小さく巻く。この
ミニ横滝上の左岸にも我々が幕営したような地形が広がり、良いテン場になっている。この先もテン場は散見されるが、早い時期だと雪渓も残っている
ので注意。すると正面に”魚返りの大滝”と名付けられた50m級?の滝が見えてくる。こっちもドスラブかと思っていたがそうでもない。さらに少し進むとガン
ガラシバナの最上部が顔を出す。ガスが掛かって無くてよかった ここまで難所も、雪渓も皆無で、歩く事1時間弱でガンガラシバナ手前の(1:1)二俣に
到着。ガンガラシバナというのはここを右に入った右方ルンゼという所にある。ちなみに魚影はこの二俣くらいまでと言った所か・・・
ミニ横滝3mとその上のテン場(カーソルあてて)
荷物背負ったまま修行している!
魚返りの大滝とガンガラシバナ(クリックして)

さて、ガンガラシバナの登攀に入る。連休中は数パーティが取りついている事もあると聞くが、そんな情報が流れて嫌われたか、天気が悪いからか、今日は貸切状態! 何処をどー登ってもOKならば一番面白そうなルートを探し、水流横断斜上ルートを選択。。。フリーで上がって行くと、残念ながら水流
付近はバンドが切れており、ザイルを出して、支点をバッチリ決めないとムリそうなので、水流横断ルートを潔く断念・・・。
(1:1)二俣からお約束の1枚
ガンガラシバナ登攀ルート(クリックして)
水流横断斜上ルートは断念(カーソルあてて)

振り返ると水流左壁から上がれそうだったので私が登ってみると、意外と濡れてて嫌らしい。とりあえずザイルを取り出し上から投げる。今日は30mが2本。
上がり安い場所までバンドをトラバースするとすぐにザイルが足りなくなるので連結。グレード的にはⅣは行かないと思うが、ガバは少なく、事前情報通り、
支点も取れず、しかもここは草も無い。。。タワシでヌメリを磨いて、なんとか幅1m強のバンドまで這い上がる。上がった所は幸いナイフブレードで2か所
支点が取れて、1ピッチ目を切る。

2ピッチ目は水流左の灌木帯を目指して平野さんが引っ張る。グレードはⅢ- と言った感じか。

3ピッチ目は河田さん。灌木帯を水流側に抜けると、「みんなこっちに来て!」と叫んでる。行ってみると、ここが奥行が7m程度あろう中段テラスとなっていた。
ここで、3ピッチ目を河田さんが仕切り直し。灌木を利用しての水流左か、灌木は無いが、明らかにスタンスホールド十分な水流右かを選択できる。
河田さんは平野さんのフェルトソールを考慮してか、水流左を選択。自分は撮影班のごとく水流を横断して右スラブに移動。水流右はⅢ-のグレード浮石も
少なく快適に登れる。河田さんが登った水流左は草で支点が取れるが、そのままザイルを引っ張って行ったようだ。灌木が生えている所でピッチを切る。
1ピッチ目。水流左の壁を気合で登る
2ピッチ目。平野さんリード(カーソルあてて)
中段テラスから3ピッチ目(クリックして)

4ピッチ目は平野さん灌木が茂るリッジに取りつき30m目いっぱい伸ばしてピッチを切る。ここで、水流右ルートと左ルートが横断可能。自分はそのまま
水流右ルートをフリーで上がって行く。
5ピッチ目は河田さん。そのまま灌木リッジを上がって行けるが、敢えて水流すぐ左のノッペリスラブを直上する。遠目から見るとフリクション勝負に見えるが意外とスタンス/ホールドあるそうだ。
6ピッチ目は平野さんが30mザイルを引っ張ってガンガラシバナを終了。私もここで、水流右から左に横断して2人と合流した。
何処までも快適な水流右ライン
4ピッチ目をフォローする河田さん(カーソルあてて)
5ピッチ目(カーソルあてて)

ガンガラシバナ最上部の上に控える7m滝は右から高巻き。ここから小滝が続き楽しい。3mトイ状はチョット難儀。今早出沢最難の滝はこれだろう。左岸
草付を河田さんが高巻こうとしたが難しく、自分が両手両足ツッパリを駆使して突破。後続にはシュリンゲを出した。後は難しいところは無い。
ガンガラシバナ最上部から
小滝が続く
最難3mトイ状をツッパリで超える

ここを抜けると源頭の様相が漂う。水流はかなり上まで続く。沢型が無くなって藪漕ぎもほとんどなく稜線に出た。稜線には道はない。時間も押しているので
迷わずドゾウ平沢を下降ルートに取る。灌木の藪を漕いで一つ目の小ピークを越えて鞍部へ移動。幅狭尾根なので、迷う事は無いだろう。
源頭の様相へ(カーソルあてて)
ラストの詰め
稜線の藪を移動

最初は急だが懸垂は不要。しばらく平凡な様相が続き、快適に降りることが出来るが多くのWEB記録に有るように、標高700m位から、懸垂の連続になる。
6回~7回ほど懸垂しただろうか・・・メジャールートなのですべて残置シュリンゲあり。滝は最大で15m。30m一本では足りないが、40mならギリかも。。。
シャワー懸垂や空中懸垂もあり、初級者には若干厳しめの下降か・・・?
ドゾウ平沢を下降する(カーソルあてて)
懸垂下降が続きます(カーソルあてて)
懸垂さらに泳ぎ(カーソルあてて)

稜線から3時間半で割岩沢に到着。降りた所が丁度”ジッピ”の入口になっている。ここから沢幅が急激に狭くなっており、完全に異空間となっていた。。。
時間も押しているが、せっかくなので、ザックを置いてジッピに突入してみる。初っ端から泳ぎになるが10m程進むと足が届くところも。泳いで上がって行く
ことは我々の泳力ではムリだが、空荷なので、両手両足ツッパリで水流を避け突破出来た。 この先は埋まっており、ジッピ内の2m滝が突破できることを
確認したところで引き返す。ジッピの側壁は思ったほど高くないので、高巻きはそれほど苦労しないのかも・・・

最初は冷たさを感じなかったが、厚手のファイントラックを着ているのに自分だけ寒くて震えだす。しかし泳いで帰らないと帰れないので、半分溺れそうに
なりながら引き返した。横着しないで半袖タッパーを着込んでい居たら大分違ったのだろうか???
割岩沢に出合った所にジッピがある
ジッピに入っていく(カーソルあてて)
水流を避けて突破。2m滝で引き返す

体の震えが止まらないまま、テン場を探して割岩沢下降を開始する。早いところ焚火にあたりたいところだが、なかなか良いところが見つからない。30分
弱歩いて、薪が豊富にあり、かつ整地済みの極上物件が右岸に見つかり、今日の行動を終了する。魚影は今早出沢よりこちらの方が多い様だ。すぐに
人数分のイワナを調達し体を温める。
割岩沢の下降を開始する
絶好の場所を見つけて終了
まったり♪


三日目
三日目にしてようやく朝から晴れ模様。今日は帰るだけという行程。目立った滝は無く、懸垂等も皆無。ただ2,3mの小滝を飛び込んだり、頑張って経つって
も、どうしても何回かの泳ぎが出てくる。テンバは何箇所か出てくるので、困らないはず。ユウ沢は細い沢で今一つの印象。ここから10分弱下った右岸に
4,5人横になれる整地済みの極上物件を発見した。薪が束ねられている所を見るとつい最近利用されていた様だ。
朝一からドップリ浸かる(カーソルあてて)
ユウ沢出合と極上物件
今出に向かって下降を続ける

今日は半袖タッパーを着込んでいたので、そう寒さは感じない。今出には割岩沢側左岸に絶好なテン場があり、単独と思われる釣師のベースが張られて
いた。割岩沢と今早出沢の水量比は(1:1)、休憩して赤ッパ沢出合を目指す。赤ッパ沢出合には赤布が付いており、その付近に踏跡が付けられていること
を後で知ることになるが、沢を少し登った所で平野さんが左岸にこの踏跡を見つけてくれ、そこからこれを利用。2,3解りにくいところもあるが、道は一ノ俣
乗越まで明瞭に続いている。尾根に出ると稜線を15m程太郎山側に進んで一ノ俣沢側に下降して沢型に入る。一ノ俣沢の滝はすべて巻道が付けられて
いるので、滝が出てきたら辺りを見回してみると良いだろう。しばらく下降を続けていくと、初日であった釣師パーティに追いついた。初日は増水していた
ため、今出間で下降せず。赤ッパ沢を降りた付近で幕営したそうだ。。。一ノ俣乗越からのんびり下って2時間45分、一ノ俣橋に到着した。
今出出合手前のテン場
赤ッパ沢出合へ(カーソルあてて)
赤ッパ沢出合到着

P.S:今早出沢は概ね平凡な様相が続く沢で滝は上部のみ。割岩沢もおそらく楽しいところはジッピから上流部なのでしょう。やはり雪渓とアブで
   遡行者の侵入を阻んでいるので、9月がお勧め。泳ぎはどうしても数箇所出てきます。靴はラバーソールがお勧め。ザイルはドゾウ平沢下降
   であれば40m1本でギリギリOK。ガンガラシバナもほぼランナウト状態で上がって行くので30m2本でも問題なし。カムは使えるところが少ないです。


概念図(クリックして)


inserted by FC2 system