2015年10月9,10日 尾瀬 中ノ岐沢小淵沢→実川赤安沢下降→赤倉沢右俣→北岐沢下降

メンバー:単独
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4(使用せず)、 靴:フェルト
地形図:三平峠、燧ケ岳、帝釈山、川俣温泉
遡行図、概念図はこちら

尾瀬の大清水を基点とした日帰り遡行で有名な小淵沢。癒し系と聞いているので、単独遡行の時行ってみるつもりだったが、日帰りで行くのも今一つなので、
通常、桧枝岐方面からアプローチする実川流域を1泊で繋げる計画を立てていた。中々天気が安定しないこの山域。実は2泊3日の沢を計画していたが、今週も
天気が今一つという事で、温めておいたこの計画を実行に移すことに・・・実川流域は数本の左岸支流があるが、小淵沢の遡行を前提とするので、表題のルートに。
北岐沢の下降ルートは概念図を参考にしてほしい。


18:15自宅発→20:10金精峠→20:35鎌田交差点→21:00大清水着
5:20大清水口発→6:15小淵沢橋→6:25堰堤上入渓→8:05 1530m林道横断点→11:05稜線登山道→12:00赤安沢下降開始
→13:35トヤマ沢出合→14:55実川本流→15:35 1355m付近行動終了

2日目
6:50出発→8:35赤倉沢/硫黄沢出合→12:00花沼湿原→12:35稜線登山道→13:30 赤安清水(1878m鞍部)→13:45北岐沢へ下降開始
→15:25北岐沢本流合流→16:10 1440mから林道に上がる→17:15大清水着


小淵沢まで林道歩きなので、夜明けと共に大清水口から出発する。7年前にも歩いた中ノ俣沢林道だが、変わらず道の状態は良く、チャリなら問題なく
走れるだろう。小淵沢右岸林道に入り、10m堰堤が見えたので、その上から入渓。しばらくは概ね平凡。左岸岩壁を見ると小滝が現れてくる。
中ノ岐林道から小淵沢林道の分岐
10m堰堤上から入渓
左岸岩壁から4m滝が現れる(カーソルあてて)

ここからナメ床が続くようになる。前半のハイライトと言った感じか。、6mナメ滝と快適に超えると、垂直の滝が見えてくる。前衛の2段4m滝を超え
ると、やはり堰堤だった。堰堤を右岸から巻くと林道を見て、すぐに沢に戻る。堰堤上で左岸から顕著な枝沢。水量比は(3:2)。ここを過ぎると林道横断点
となる。ここから入渓する人も居る様だが勿体ない。。。
奥は6mナメ
2段4m滝を超えると堰堤
堰堤上の左岸枝沢と林道横断点(カーソルあてて)

沢床は橋の下からナメ床が続くようになる。出てくる3m程度の小滝は何ら問題ない。階段状の美しいナメ3mスダレ状が迎えてくれる。青空であれば
なおさら美しいであろう。ナメ床は続き、5mナメ、4m幅広ナメまで続く。様相が平凡になり右岸から細い枝沢が入った先に4人くらい横になれる極上の
テン場がある。
階段状ナメ
3mスダレ条と5mナメ(カーソルあてて)
右岸細枝沢の先で極上のテン場(カーソルあてて)

極上テン場を過ぎると8m滝。水流左をフリーで直登出来る。滝上は概ね平凡な感じ。2段5m、4mトイ状を超えると、左岸から顕著な枝沢が入る。この先4m滝超えると小淵沢で一番大きな10m滝となる。ちなみに魚影はここまで。10m滝は真ん中から直登する。 
8m滝は水流左を直登
左岸の顕著な枝沢
10m滝(カーソルあてて)
10m滝上はナメ床が続く。ノッペリした5mナメが現れるが水流左が登れる。この先で一筋縄では行かなそうな7m滝が出てきて、左岸から小さく巻く。
この滝を超えると源頭の様相が漂う。(1:1)二俣が出てきて、左に進路をとるが、地形図にある小淵沢田代の湿原には出ず。水が涸れて笹の藪漕ぎと
なるが、3分程度で登山道にぶつかる。日帰り遡行なら尾瀬沼経由で下山がやっぱりお勧め。急ぐなら登山道をチョット上がると、小淵沢林道に降りる
ショートカット道も選択出来、こちらも明瞭。
ノッペリ5mと、唯一巻いた7m滝(カーソルあてて)
源頭の様相から(1:1)二俣(カーソルあてて)
登山道に出ました

今回は実川赤安沢を下降するため赤安山手前に1878m鞍部(赤安清水と名付けられている)に向かって移動する。あまり歩かれて居ない様だが、不明瞭な所
は無い。小1時間歩いて、赤安清水にたどり着く前に、面倒なので赤安沢に下降していく。ほんの数分の下降で水が出てくる。平凡のな様相のま1710m
で本来下降のスタート地点で計画していた赤安清水鞍部から降りてくる沢筋と合流。水量比は(1:1)だ。さらに右岸から枝沢を交えると。ようやく滝らしい6m
ナメ滝
が出てくる。このすぐ下で左岸から同水量で入る顕著な枝沢が合流。高度計で確認すると1575mで出合う枝沢だ。
後で解ったことだが、この赤安沢、1500mくらいから硫黄分が多く混じるようになる。この1575mポイントから実川本流まで2時間弱かかるので、時間切れに
なりそうだったら、この辺りで行動を終了した方が良いだろう。テン場は整地すれば散見されるだろう。もちろん、この赤安沢にはその硫黄分のため魚影
は無い。。。
赤安沢1710mの(1:1)右から降りてきた
初めての滝となる6mナメ
1575m(1:1)で出合う左岸枝沢

この先チョットだけナメ床が現れると、右岸、左岸と大ガレが続くようになる。そして、左岸から細い枝沢が入ったポイントから一気に水が白濁。硫黄臭は
それほどでも無いが、明らかに硫黄分が混じっている感じ。岩も若干黄色味かかった白い岩が目立ち始める。両岸ガレが終わると右岸からトヤマ沢
合流するが、名前が付いている割には極端に貧弱だ。。。 この先、5m滝が降りれず初めての懸垂となる。
両岸ともガレが目立ち始める(カーソルあてて)
貧弱なトヤマ沢
懸垂下降となった5m滝(カーソルあてて)

この先は平凡な様相が続く。一箇所狭まった場所なるが長さも短く、2mの小滝が出て来るだけで、左岸をギリギリまで経つって1mの飛び降りで腰を濡ら
す程度で水流通しで降りれた。さらに平凡な区間を進むと、岩盤が発達して、トヨ状に小滝が連続する箇所になる。釜も深いので、この長さ15m位の区間
をまとめて左岸で小さく巻くとCS滝上に出る。さらにこの滝の左岸を巻き気味下降して振り返ると、水をクロスで落とす特徴的な6mCS滝だった。
狭まった所は2m滝のみ(カーソルあてて)
岩盤が発達した区間をまとめて巻く(カーソルてて)
水をクロスに落とす6mCS

この下で赤安小沢が右岸から入る水量比は(1:3)、岩盤が再び発達した様相になると実川本流と合流する。本流右岸には幕営地があるが時間は15時。
実川本流を少し進むことにする。この辺りの本流の様相は河原状。少し進んで右岸を見上げると50m程上に林道が通っているのが見えた。テン場は至る
所にあり、魚影も見受けられる。30分ほど進んだ1355m付近の右岸に良い場所を見つけて今日の行動を終了する。
赤安小沢出合
実川本流から赤安沢を見る
実川本流この右岸で幕営(カーソルあてて)


二日目
7時前に出発。10分程進むと右岸からゴキタ沢が入る。ここでムキタケを発見して収穫。この先、右岸崩壊地を見た所から沢に変化が生じてくる。沢幅は
狭まり2mトイ状、2mヒョングリと二つの小滝を左岸で小さく巻く。沢床が左に折れると両岸が切り立ち、となるが通過に問題は問題無し。ここを抜けると
ナメ床が続くようになる
幕営Pから10分でゴキタ沢出合
2mヒョングリ
この淵を抜けるとナメ床に(カーソルあてて)

癒し系ナメを堪能すると2段7mナメ。アクアソールなら有利だが、フェルトでも水流右が登れる。この上もナメ!癒し系からミニ廊下状へと移行し、さらに
面白くなってくる。長いナメ床をすぎると、一旦河原状に開ける。この先で5m幅広ナメが立ちはだかるように現れ、これは手が出ず。右岸を小さく巻いた。
2段7mナメは水流右を直登
癒し系ナメからミニ廊下へ(カーソルあてて)
河原状になった先で5m幅広ナメが立ちはだかる

まだまだナメ床は続く。すると、急にゴルジュになり2m幅の淵となるがここも腰までの深さで突破可能。6mナメを左壁でなんとか超えると、2段10mナメ。
傾斜は緩くフェルトソールでも快適に左から直登できる。この先、左岸側に巨大杉を見ると実川本流のハイライトは徐々に終わりを告げる。右岸から細い
2本の枝沢を合流させ、平凡になると赤倉沢/硫黄沢の出合となる。ここまで1時間45分。赤安沢出合から沢通しで2時間半見ておけばここまで来れる
計算だ。水量比は(3:4)で微妙に硫黄沢の方が多い。硫黄沢とはいえ赤安沢の様に水が白濁してはいない。ここは左岸に草地が広がり良いテン場と
なっている。
実川本流最狭部
6mナメと、2段10mナメ(カーソルあてて)
赤倉沢/硫黄沢出合

赤倉沢に入って少し進むと3mナメ。この小さなナメ滝が魚留めとなっている。滝上で左俣/右俣を分ける(1:1)二俣。ここは右俣に入る。多くの記録で、
”実川”といえばこの赤倉沢右俣を遡行しているが、先ほどまで遡行してきた実川本流に比べると、倒木も多く荒れた感じで。今一つパッとしない・・・。
硫黄沢の方が水量も多かったし、「硫黄沢の方が内容濃かったらどうしよう・・・」と思うほどだ。この先ミニゴルジュを超え、平凡な様相を進んでいくと
赤倉沢最大の10m滝が現れる。水流右から簡単に登れた。この滝上左岸も草付の良いテン場となっている。
赤倉沢3mナメと左俣/右俣の分岐(カーソルあてて)
赤倉沢序盤は倒木が多い(カーソルあてて)
10m滝

この先、3mヒョングリ滝を左から超えると、ナメ床が続くが、そう長い物では無かった。また平凡な様相に戻ってしばらく進むと1686mに位置する(1:2)
二俣
となる。今ではGPSを持った遡行者が多いが、私みたいに高度計しか持っていない人は、ここで高度計を合わせておくことを勧める。
3mヒョングリ
ナメ床になります
1686m(1:2)二俣を右に入る

この先にも幕営可能な場所は点在。この先はアクセントとなる様相は少なく。出てくる小滝を超え、水流の多い方を選択。途中二俣を思わせるインゼル
もあるが、GPSを持っているなら、それを見て進めばよいだけ。1900mを超えると、インゼルか二俣か解らない様な地形になり、水量の多い左側に進路を
取ったら、急に水枯れと共に沢形も消えてしまった。高度計は1920付近を指している。湿原らしいものは視界に入らず。忠実に花沼湿原のある1942mまで高度をあげ、しばらく樹林帯の中を磁石を見ながら歩いて行くと、花沼湿原に出ることが出来た。
この先小滝くらいしか出てきません(カーソルあてて)
インゼルか二俣よく解らないが水流の多い方に入る
花沼湿原に到着

ここから高度をキープしながら南西方向に移動。途中硫黄沢を横断したが、しっかり水を流していた。”やっぱこっちの方が楽しかったかな???”
稜線が降りてきた所で、少し登って稜線登山道に到着。時間は12時半を回った所・・・。ここから尾根を跨いで北岐沢に降りても良いのだが、北岐沢は
2007年に遡行しているし、陽も長くないので、予定通り1878mの赤安清水まで登山道を進んで、そこから北岐沢に降りることにする。

登山道は明瞭。急ぎ足で1時間弱で赤安清水に到着。ここはチョット広くなった場所で案内板も有るので悩むことはないだろう。ここから真南に進む。
50m長ほどの密笹薮帯を気合で抜けると、下草が一気になくなりすぐに沢型に入れる。
1942mの高度でしっかり水が流れる硫黄沢
赤安清水(1878m鞍部)に到着(カーソルあてて)
密笹薮を抜けるとすぐに沢型(カーソルあてて)

赤安清水から真南に伸びる枝沢は殆ど平凡な様相で、出てくる滝も5m弱。そんなに滑らないし、唯一巻いた2段5m滝も小さく巻いただけ。
・・・そろそろ本流にぶつかるかなぁーと思ったら 最後の最後で大ゴルジュに落ち込む大滝が出現。。。

 ここは!!!

7年前、moto.pさんと遡行した北岐沢で唯一記憶に残っている本流15m滝を巻いたポイントだった。。。この場所だけは避けるつもりだったのに結構下流側
に有ったのねー・・・。と今さら気づいても後の祭り。手持ちは30m1本で届くわけもないが、7m程度降りた所に細い灌木が1本だけあるので2回の懸垂で
降りれるかだ。。。あと、本流出合に掛かる5m滝周辺に灌木が全くないので、そこを降りれるかも悩みどころ。まぁ話題作りがてら、懸垂で降りてみる。
1回目の懸垂で、7m程度降りて細灌木をチェックするとしっかりしていたので、ここにロープ掛けて投げる。下まで届いているのかビミョーな感じ。まぁ体重
掛ければロープ伸びるし最悪登り返しも可能なので降りてみると。ピッタリだった♪ するってーとこの滝、アバウト22m滝って事ですね。この下の5m滝が
降りれないと面倒なので、ロープを残して偵察に行くと、懸垂じゃないと降りれないが、右岸にしっかりした木の根を発見!ロープを回収して5m滝を懸垂。
本流に降り立つ事が出来た。(青シュリンゲ残置、早い者勝ちでどうぞ!)
北岐沢右岸支流の小滝(カーソルあてて)
あれ!?(クリックして)
22m滝と本流15m滝(カーソルあてて)

時間は15時半前。この先どうなっているか、しっかり記録を残しているのに、本人が見て来ないので、完全に記憶が無い。
”もう、この先平凡だったんだっけ?”
と安易に考えていたが、8m滝とか7m滝とか時折出てくる。幸い懸垂無しで全部降りれた。黙々と下降して、”林道の橋はまだ先なのかなぁー”と地形図を広
げてみると、”左岸に林道通って居るじゃん!”、危ない危ない(^^)ゞ。1440m付近で左岸に小さな沢筋が入っていたのでそれを利用すると、20m位上がった所で
林道に出れた。時間は16時過ぎ。。。この辺りの林道の状態もまずまずで、チャリなら走れるレベル。。。
”さて、今日は残業かなぁー” と思ったが、ダイエットついでにサクサク歩いて行ったら明るいうちに大清水に到着することが出来た。
北岐沢本流の8m滝と7m3段滝(カーソルあてて)
1440mポイントから左岸林道に上がる
残業なしで大清水に到着♪

P.S:今回のコースは、今やメジャーとなった尾瀬 小淵沢を拡張した沢旅という感じ。焚火休憩は初日・二日目共に1回ほどして若干遅れ気味でしたがロング
   コースなので健脚向きと言えるでしょう。北岐沢の下降で想定外の22m大滝に出くわしたが、3人くらいまでなら、ザイルは30m1本で足ります。4人以上だと、
   40m以上を用意した方が良いかも。靴は今回フェルトでしたが、ラバーソールの方が実川本流のナメには向いていると思います。テン場は文中以外にも
   至る所にあり、困ることは無いでしょう。

小淵沢、北岐沢遡行図(クリックして)
実川赤安沢、赤倉沢遡行図(クリックして) 
概念図(クリックして)


inserted by FC2 system