2015年10月17、18日 会越 蒲生川 井戸の沢左俣→室谷川本流→大白沢下降

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×30m、カム#04、 靴:アクアステルス
地形図:駒形山
遡行図、概念図はこちら

蒲生川から福島/新潟県境を跨いで室谷川本流を周遊するコースは、トマの風がWEBで2泊3日の日程で記録をアップしていたが、これを1泊2日コースとするため
井戸の沢右俣→東岐沢下降で室谷川本流にアプローチするのではなく、井戸の沢右俣に入り、県境尾根に上がった所からダイレクトに室谷川に降りて行くショート
カットコースで行ってみることにした。


17:22自宅発→18:30矢板市内→19:40田島→20:30只見駅、4:50同発→5:30基点P
6:05基点発→6:10蒲生川入渓→6:17井戸ノ沢出合→7:17持場沢出合→7:35左俣/右俣分岐→9:35県境尾根→10:50室谷川本流
→13:40西の沢出合→14:05名無沢出合(行動終了)

二日目
6:45出発→9:25 590mスラブ下→11:15県境尾根、11:30大白沢下降→15:45基点P


今回のコースの基点となる蒲生川本流と大白沢の出合まで車で入って行く。林道はフラットダートで奥に行くと草が車のアンダーカバーを擦るが、大白沢
の出合の先まで問題なく入れる。ナビが無いので正確な場所は分からず簡易ゲートまで進むと、井戸の沢と蒲生川の分岐を見過ごす場合があるので、
少し戻って440m 付近にある作業小屋裏の広場に車を停めた。

林道を少し歩き、雨量観測所(?)建物の裏手から強引に蒲生川へ下降したが、5m程度の崖になっており、潅木を掴んで最後は滑り落ちる格好で入渓。
平凡な様相を少し進むと井戸の沢と蒲生川の分岐となる。

作業小屋裏広場に駐車(カーソルあてて)
雨量観測施設裏から沢に降りる(ここも駐車可能)
蒲生川本流と井戸の沢出合

堰堤を一つ越えるとゴルジュになる。出口の5m滝が嫌らしく、高巻きするならゴルジュ入口付近まで50m程戻る必要がある。ここは水流左壁4m程上がっ
た所ハーケン1枚打って微妙なバランスで突破。ハーケンの回収も微妙なバランスで行うなど結構緊張を強いられた。この滝を超えると持場沢との分岐
急にゴルジュになる
ゴルジュ出口5m滝は左壁を経つる(カーソルあてて)
持場沢/井戸の沢出合

井戸の沢は若干貧弱な印象。少し行くと左俣/右俣の分岐。東岐沢を下降して室谷川本流に入るならここは右。今回はショートカットルートの為、左俣
を選択。この先ナメの小滝が現れる程度で、難所は無い。高度計読みで525m付近の右岸に良いテン場がある。魚影はもう少し先まで見た。
ここからは基本的に水量の多い沢筋を選んで進む。磁石も北を指しているので計画通り896mピークの西側に出たつもりだが、高度計は778mを指してい
た・・・。。。最低鞍部の高度が794mなので、いくらなんでも・・・という感じだが、基本、室谷川へ下降する分には大差は無い。
井戸の沢左俣/右俣分岐
左俣の小ナメと525m付近テン場(カーソルあてて)
基本水量の多い沢筋で詰める。

県境尾根には踏跡は無く稜線伝いを歩くことを許さないような藪尾根なので、そのまま強引に室谷川に向かって尾根を乗越す。少し下ると草付きに変化し
急なスラブとなる。傾斜がきついので右岸側の藪を伝って降りると傾斜が緩くなるのでスラブを下降。暫く進むとスラブ基部は15m滝になっているので、
ここも右岸側から巻いた。ザイルは使わなかったが、巻きは右岸を選択しないと、最後はカナリ長い懸垂を強いられる地形となっている。スラブが終了す
ると平凡な様相。最後は5mのノッペリした小滝となって室谷川本流に合流する。降りてきた沢筋は本流遡行の場合は気をとめない様な小さなものだった。

県境尾根を跨いで室谷川に下降(カーソルあてて)
スラブ基部にある15m滝は右岸尾根で巻き降りる
左の黒い壁が降りてきた枝沢(実にショボイ)

時間は11時前。この辺りは絶好のテン場が広がるが、さすがにもっと進んでおかないと翌日が辛いので先に進む。魚影は見るには見たが、この沢の規模
にしては非常に薄い。しばらくは河原状が続くが、左岸から6m滝で入る枝沢から右岸の見事なスラブが顔を出し、高度計読みで367m付近で入る左岸
枝沢から両岸岩盤が発達してくる。
最初は河原状の癒し系
左岸6m滝の枝沢を見るとスラブ・・・(カーソルあてて)
367m左岸枝沢から先で岩盤が発達(カーソルあてて)

室谷川本流のハイライトの一つはここからの癒し系ゴルジュだろう。明るい様相で釜にドボンの可能性はあるものの、平水ならば、恐怖におびえることは
無いはずだ。水も雪渓が完全消失してしまえば10月とはいえ、そう冷たく感じることはなかった。地形図で397mで出合う右岸枝沢が入ると、ゴルジュの
幅が狭くなってくる。淵は深いところもあるが、泳ぎ一歩手前くらいまで水に浸かった所が1か所くらいで何とか突破できた。ノッペリした岩からギザギザ感
のある岩に変化すると、両岸の切立ちが小さくなってくる。

明るい癒し系ゴルジュ(カーソルあてて)**
397m右岸枝沢から先は幅狭ゴルジュ(クリックして)
岩面が変わってくると徐々に癒し系に(カーソルあてて)
再び河原状になり、テン場に出来そうな場所も見受けられるが、今日は最低でも西の沢出合まで入っておきたいので、先に進む。すると8m滝で出合う
顕著な左岸枝沢が合流。どうもここが西の沢の様だ。本流は5m滝が掛かっているので解りやすい。しかし、残念な事にここには幕営適地が無いので
名無沢出合まで足を延ばしてみる。西の沢出合を過ぎると、また岩盤が発達した様相。通過に問題はないがテン場適地は皆無だ。
また河原状に戻る(テンバ適地もあり)
西の沢出合に掛かる8m滝と本流5m(カーソルあてて)
再び岩盤が発達した様相に

しかし20分も歩くと一瞬広河原チックになり名無沢出合になる。この手前左岸に良い場所を発見。時間は14時過ぎ。一応、ここが本当に名無沢なのかを
確認するため少し進んでみる。チョット行けば顕著な右岸枝沢が入るはず・・・。すると5分も歩かないうちに確かに顕著な右岸枝沢が入っていたのでひと
安心。ここに良いテン場が無く、この先は事前情報によると2時間ほど進まないと良いテンバが見当たらないとの事なので、名無沢出合まで戻って、今日
の行動終了した。
急に広河原になり名無沢出合(カーソルあてて)
少し進むと確かに右岸枝沢が!
名無沢出合で行動終了♪


二日目
7時前に出発。昨日見た右岸枝沢の先に1か所幕営可能地があったが薪が少なかった。ここからはまた両岸が切り立ってくる。腰上を濡らす程度で突破
できる。すると出発してから20分くらいで河原状になり、小さいが右岸に幕営可能地があった。増水の心配が無ければ、チョイト整地すればOKだろう。
ただし薪はココも少ない。
右岸枝沢の先で観た唯一のテン場
すぐにゴルジュ状へ(カーソルあてて)
ここも増水しなければ何とか・・・

この幕営可能地を見送ると、また岩盤が発達した様相になる。時折、河原状も見受けられるがテン場適地とは言い難く、490~495m付近で室谷川本流
最後となるテン場適地になる、これより上流にはいい場所は無い。薪も豊富なのでお勧めの場所だ。魚影もここまでと思っていて良いだろう。
また岩盤が発達した様相に・・・
河原とゴルジュが交互に(カーソルあてて)
490m付近の最後の幕営適地

このテン場適地を過ぎてすぐ釜を持った2m小滝。この滝から狭いゴルジュになる。深い淵を右岸から経つり両手両足ツッパリで泳ぐこと無に抜けると、
500mに位置する(1:1)二俣となる。ここは左に進路を取る。ここから今までほとんど見なかった滝がポツポツ出てくるようになる。
2m小滝から狭いゴルジュ(カーソルあてて)
500mに位置する(1:1)二俣
小滝がポツポツ出てくる

すると、沢は徐々に開けていき、遠くにこれから登るスラブが見えてきた。すると、その手前に12m滝が行く手を阻む。ここ何回か、癒し系の沢ばかりで、
滝を登っていないので、簡単ではなさそうだが荷物を背負ったまま水流右から取りついてみる。序盤は簡単だが、水流にぶつかる所が高さがあるだけに
踏ん切りがつかない。幸い持ってきた#0.4カムがバッチリ決まったので、長めのシュリンゲセルフを取って1ポイントを突破した。
源頭部スラブが見えてくる。
12m滝(カーソルあてて)
12m滝落ち口付近

少し先で本流最上部にあるスラブ下に到着。下部はかなり立っていて難しそう。とりあえず手前の潅木交じりの草付きルンゼから登れそうな事を確認して
ダイレクトに 登れそうなルートを探る。一番傾斜ゆるいのはど真ん中で取り付いてみるも、3m登って辞めた。奥のルンゼも見てみるが、こちらも悪いので、
断念して、草付 きルンゼで下部を上がる。15m強上がるとスラブの岩盤上に出られる。ここからは傾斜が緩み直上可能。スラブ最上部は連瀑になって
いて、最後は10m強ほ どの高さがあるが水流右のリッジでスラブ最上部に達することが出来た。
スラブ下に到着(カーソルあてて)
15m位上がると傾斜が緩む
スラブ最上部にある連瀑(カーソルあてて)

ここからは両岸草付きV字谷形状。進んでいくと、二つのCS滝奥に7m級のトイ状滝が見える。高巻きするなら2つのCS滝手前から巻かないとムリそう。
7mトイ状は行き詰ると判断して右岸で巻く。7m程上がると子尾根に上がれるが反対側は急峻なスラブが広がり、この子尾根はナイフリッジのような感じの
尾根だった。尾根伝いに上がっていくと7mトイ状を超えた辺りでトラバースを掛ける。懸垂じゃないと沢床には降りれないが、まだ草付きV字谷形状は続い
ており、一度沢床に下りた後、また同じような滝が出てくるとかなり難儀しそう。。。悪い滝は出てこない事を祈り、懸垂で沢床に下りた。見える範囲では滝
は見えなかったが、ザイルを回収して少し進むとトイ状4m滝が行く手を阻む。近づいてみると登れそうだったのでホッとした。滝はこれで終了。

CS滝奥に7m級のトイ状
右岸の細根で高巻く
ラストの4m滝(カーソルあてて)

先ほどの高巻きで県境尾根が見えていた事もあり終了点は近い事を知る。沢が右にカーブするところで右岸から沢型が入っていたのでここを入る事に
した。本流側は7m程度のノッペリした涸滝となっており、敢えて突っ込む必要もないだろう・・・。右岸枝沢を詰めると狙ったとおり942mピークの東側に出れ
た。
新潟県側、福島県側共に視界が開けるが、下降する大白沢の長さにうんざり。ここの県境尾根にも踏跡は無く、尾根を跨いで大白沢側に下る。

7mのノッペリした滝手前で右岸沢型に入る
県境尾根に到着
ウンザリする程長い大白沢を見下ろす

草薮を5、6m漕ぐとスラブになるが、ラバーソールであれば難なく下れる。途中から草つきっぽくなるので942mピークから真下に続くスラブ側に移動するが
こちらも広大なスラブという訳ではなかったので、適当に降りていく事にした。最後は15m程度の滝になっていたので、1回懸垂を交えスラブを終了。
ここから両岸草付きのV字谷形状を進んで行くと、10m級の滝が現れる。小さくは巻けない様なので、左岸の細い潅木を支点に懸垂するが2m程ザイルが
届いておらず、片手にザイルを握ったままクライムダウンした。下降にザイルを使用するのはこれ以降無い。
大白沢源頭スラブを下降(カーソルあてて)
スラブ基部から、15m涸滝
30mザイルだと届かない10m滝(カーソルあてて)

この先、590mで右岸から枝沢が入るが、右岸枝沢の方が(3:2)で水量が多かった。魚影は570m付近から。555mで出合う左岸枝沢はナメ床で綺麗。
ここから先は岩盤が発達し、室谷川本流を小さくした様相になる。ここを抜けるとようやく整地すれば幕営できそうな河原を発見。高度計読みで550m付近
だ。
555mで出合う左岸枝沢
ミニ室谷川と言った様相に岩盤が発達
550m付近最上部の幕営可能地

ここからは落ちたくない淵を経つり、偶に現れる小滝をクリヤーしてどんどん下って行くと489m出合う左岸枝沢(ここには矢印が書かれた岩がある)から先で300m程の長いナメ床になる。大白沢のハイライトと言ってよいだろう
落ちたくない淵や小滝(カーソルあてて)
矢印の書かれた岩がある489m枝沢
300mナメにて

このまま、癒し系で下れるかと思ったのだが、ここからまた岩盤が発達した淵が幾度とあらわれ、ついに足を滑らせ全身ずぶ濡れになってしまった。
さらに高巻きが面倒な淵も現れ、1ポイントだが、泳ぎで下る淵も出現。
岩盤が発達
滑り落ちてしまった淵
面倒なので泳いで下った淵

岩盤の発達が無くなり広河原状を進んでいく。河原がやたら広くなってくると、大白沢に掛かる唯一の堰堤が見える。左岸から巻くが、踏跡も無いので、
また沢に戻る。少し行くと蒲生川本流がぶつかった。数年前の記 録を見ると吊橋が掛かっていたそうだが、今はワイヤーが通っているだけで消失して
いる。林道に上がって上流側に歩いていくと基点に戻れた。
河原がどんどん広がってくる(カーソルあてて)
堰堤は左岸巻き
蒲生川に合流

P.S:今回のコースは距離は長いが足の揃ったパーティならば、井戸の沢右俣に入り東岐沢を下降して室谷川本流に入るルートに変更したとしても1泊2日で
   周遊できるでしょう。ザイルは30mで足りたが、東岐沢下降だと4回ほど懸垂するらしいので40mくらい用意した方が安心か・・・。1泊の場合、西の沢出合手前
   名無沢出合、500m二俣手前が幕営に良いでしょう。靴はラバーソールじゃないと厳しいかも。


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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