2016年9月16~18日 八幡平 大深沢 東ノ又沢下降→関東沢→ヤセノ沢下降→北ノ又沢

メンバー:RURUさん、ひろた
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、 靴:イドログリップ
地形図:曲先山
遡行図、概念図はこちら   紹介ムービーはこちら

何年も前から、ここには行っておこうと思っていたものの、さすがに栃木からでは距離が遠いので、なかなかチャンスが無かった。今回は当初朝日の沢を考えていたが
天気が今一つなので、少しでも天気が良いところで・・・という事で大深沢が急遽浮上。 さて、この大深沢、葛根田沢から関東沢経由で入渓されている記録が多いが
すでに葛根田沢を遡行している自分にとっては2泊3日の日程でどうやって遡行するのが一番良いのかが悩んだ点。。。東北の沢ではいつも参考にさせていただいてる
酔いどれさんのHPを参考に八幡平側の県道から入るアプローチで、表記のルート取りで計画してみた。


17:13矢板IC発→21:00筑浪SA、5:07同発→5:35西根SA→6:22基点着
初日
6:55基点発→7:40大深山荘→8:15大深岳→8:40 1420m東ノ又沢下降開始→12:30-13:55北ノ又沢出合→14:35関東沢出合(幕営P)
二日目
6:15幕営P発(関東沢遡行)→9:05八瀬森山荘→9:30 1157mヤセノ沢下降開始→13:35 大深沢本流合流(竿だし遡行)→16:30関東沢出合着
三日目
6:45幕営地発→8:00北ノ又沢/東ノ又沢分岐(北ノ又沢遡行)→12:00-12:15大深山荘→12:50基点P


今回、大深沢のアプローチは、東北自動車西根ICを降りて樹海ラインに入り、大深橋を過ぎた次の沢筋が基点となる。 道路脇に車2台程度が駐車できる
スペースがあり、ここに車を停めた。仮にここに車を停められなくても、樹海ライン沿い近くに駐車スペースがある。ただし、携帯は圏外、トイレも無い。ここ
から45分程沢筋を上がっていけば綺麗な大深山荘(無人非難小屋)横の登山道に出る。大深岳を超え、地形図に1420mと記載された湿原から東ノ又沢を
下降に入る(概念図参照)

樹海ライン脇の駐車スペースが基点
沢を50分登って大深山荘へ(カーソルあてて)
大深岳稜線を進み1420m湿原へ(カーソルてて)

平坦な笹薮帯で、沢形を探すのに苦労、沢形に入ってからもクネクネで、どっちが上流か迷うくらいだ(笑) 沢床に傾斜が付き、しばらく下降するとようやく
しっかりと水が流れるようになる。

この先、沢の下降に難所は無く懸垂も無い。幕営適地も散見され困ることは無いだろう。途中竿を出してみるとすぐに上手い事一匹掛かったが、下降中だ
けに、その後はそう上手くはいかなかった。ナメ床が続くようになると北ノ又沢出合いも近い。

東ノ又沢源頭付近
ノーザイルで降りれます(カーソルあてて)
東ノ又沢終盤の大ナメ


北ノ又沢出合はさらに仮戸沢も合流し三俣の様相を呈している。幕営適地は北ノ又沢にかかる4m滝を上がった左岸に整地済みの場所があるが、薪は
少ない印象。ここで竿だし休憩をした後、大深沢本流を下る。ここから関東沢出合までの区間は大ナメ、10m滝、7m滝と見所が多いため、歩いておきたい
区間だ。いずれも懸垂下降の必要は無いが、7m滝は残置ロープがぶら下がっていたのでこれを利用して降りた。

北ノ又沢(右)と仮戸沢(奥)出合に到着!
大深沢本流の大ナメと10m滝(カーソルあてて)
7m滝は残置ロープを利用して下降


40分の下降で関東沢出合到着。ここは広河原状で、出合から30mほど下流左岸台地に絶好のテンバ適地がある。薪もこちらの方が集めやすいので、
北ノ又沢出合で幕営するよりはココの方がお勧め。今日の行動を終了する。

関東沢出合
広々河原で行動終了
おまけ


二日目
今日は関東沢を遡行してヤセノ沢を下降する周遊ルート。宿泊関連装備を残し出発する。関東沢序盤はひたすらゴーロ状。幕営適地も点在する。2条
3m滝
が一つ出てきただけで1006mに位置する(1:2)二俣。ここを右に入ると、ここからナメ床が現れるようになる。出てくる滝は最大でも2m程度。魚影も
あるが、ここは竿を出さず八瀬森山荘へ伸びる沢筋を追い、詰め上げていく。

関東沢に入る(カーソルあてて)
2条3m滝は左から
1006m二俣を右に入る(カーソルあてて)


ラストは開けた草地(湿原)に出るが、登山道が判り難く、通り過ぎてしまう。。。ここはRURUさんのGPSが役に立った。登山道はこの湿原の真ん中付近を
横断しており、進行方向右側に八瀬森山荘がある。草地と樹林帯の境に登山道には赤布がぶら下がっているので、草地は左岸寄りを歩いたほうが良い
だろう。八瀬森山荘も割りと綺麗で宿泊可能。

ここから八瀬森を超えて1157m小ピーク手前の鞍部からヤセノ沢の下降に入る。 ここは割るとすぐに沢形に入れた。少し進むとナメの小滝が連続し、一
つは懸垂下降で降りる。セヤノ沢下降で懸垂したのはこの一箇所のみ。
最後は湿原に出るが登山道は不明瞭(カーソルあてて)
八瀬森山荘と八瀬森(カーソルあてて)
4m滝を懸垂

この先、平凡な様相の中、右岸・左岸から枝沢の水を集め魚影も現れ始める。1020m辺りでナメ床も出始めた。沢の規模は関東沢より明らかに大きい。
この下で大釜を持つ2段小滝の釜を右岸を経つって降りると4m滝。ここは左岸側の壁をクライムダウンで降りれる。地形図に書かれた滝マークにある滝
2段7m滝の様だ。この滝もザイルを出さずに降りる事が出来る。

イイ感じのナメ床が現れます(カーソルあてて)
4m滝を下降
2段7m滝の下降

この先は2条小滝が出てくる程度だが、両岸の側壁など関東沢よりも内容は濃い。地形図に沢名がある滝ノ沢で竿を出そうと予定していたのだが、沢名
が付けられている割には非常に貧相な沢筋で釣りにならなかったのは想定外だった。。。ここから先は徐々に沢が大きくなり沢では無く ”川” と言う様相
になると、大深沢本流に合流する。出合は広河原状で何処でも幕営出来そうな様相。
ごく細沢筋の滝ノ沢が入る
沢のスケールが大きくなる(カーソルあてて)
大深沢本流(左)と合流

大深沢本流に入ると突如雨が降り出す。それもかなりのな降り方・・・。。。右岸にキノコのような形をした大岩があったので、カメラのレンズを拭いて写真
に収める。ここからは右岸・左岸の側壁が見事。さすが本流は違う!!!って感じか。。。 4m滝を右から越えると白濁した水を流す2m滝。釜は北又谷
の”大釜滝”の様な反転流を有しており、釜に落ちるとヤバイ雰囲気・・・右の外傾バンドを四つん這いになりながら超えていく。
キノコ岩
側壁が見事♪
反転流の釜を持つ2m滝(カーソルあてて)

この先、右岸から滝で入る2本の枝沢を見ると8m滝。RURUさんは左壁を経つって滝に取り付きそのまま水流左をフリーで登り(こちらが定石ルートでしょう)、
自分は水流右から水線と岩壁のコンタクトラインで滝上に出た。すぐ上には4m滝があるがここは難なく上がれる。滝上はゴーロ状。少し進むと5m滝が現
れ水流左から登った。

左岸柱状節理の壁と右岸枝沢の滝(カーソルあてて)
8m滝は右から上がる
5m滝は水流左から

滝上の河原状で断続的に雨が降る中、竿を出しながら進むが、右岸に長く続く崩壊壁がある区間は魚影も無く全く当たりが無かった・・・。崩壊壁が終了
すると、右岸から障子倉沢が入る。当初の作戦ではここで、竿を出すつもりで居たが、割と急峻な沢筋となっており、さらに5~6mの滝に阻まれ、あまり竿
を出せる様相ではなくこれまた想定外。。。「ダメだ!、テン場に戻ってから改めて竿を出そう!」と遡行を続けると、割とすぐに関東沢出合いに到着♪ 
時間は16:30・・・。雨も止んだので、ホッとしながら釣りに繰り出す。 釣りの最中に再び激しい雨に降られ、刺身で食べるしかないかなぁー・・・と思ったが、
焚き火をやってる最中は雨も止んでくれてくれ助かった。
左岸12mナメ滝と、右岸の崩壊壁(カーソルあてて)
障子倉沢出合
関東沢出合に戻ってきました♪


三日目
今日は北ノ又沢を詰めて基点に戻る予定。関東沢出合から北ノ又沢/東ノ又沢分岐までは初日に下った区間。。。左岸に残置ロープがあった7m滝
右岸からも簡単に負けるが、思い残すことが無いように水流直上にTRY。フリーで登っていったが落ち口の抜けがドシャワーで悪いため、一旦仕切り直し
ててザイルを出し、落ち口手前でカムを決めて気合で頭から水を被りながら落ち口を抜ける。RURUさんも見事フォロー。本流ハイライトと思しき10m滝
倒木がある真ん中からフリーで超える。RURUさんは右岸側から小さく巻いて上がってきた。ここから続く大滑を堪能すると北ノ又沢/東ノ又沢分岐の到着。

7m滝を直登(カーソルあてて)
10m滝は中央突破(カーソルあてて)
大ナメを進むと北ノ又沢/東ノ又沢出合

北ノ又沢にかかる4mナメを上がるとナメ床が断続的に続く。ここを抜けると右岸から2段20m滝で出合う見事な枝沢。本流筋には6m滝が掛かり、水流左
から上がる。このさきも6mナメ、4m幅広滝と東ノ又沢に比べると圧倒的に内容は濃い印象。8月に北海道のクワウンナイ沢に行ったRURUさんが言うには
「同じようなナメがここ大深沢にもあるので、わざわざクワウンナイまで行かなくても良い・・・」との事だ!

北ノ又沢最初のナメ
右岸枝沢の2段20m滝(クリックして)
4mナメ上から振り返る

一旦ナメ床が終わった所で焚火休憩。この先も断続的にナメ床が現れる。ただ、整地済みのテン場適地は見つけられなかった。。1250m付近まで高度を
上げると沢の傾斜が強くなる。小滝の連瀑帯とまでは行かないくらいの感じで高度を上げていくと急傾斜帯の最後に5m2条滝が掛かる。
随所にナメ床が現れます(カーソルあてて)***
1250m付近から沢の傾斜が強くなる
急傾斜帯出口の5m2条滝

この滝上がると源頭の雰囲気が漂う。上手く詰めると藪漕ぎせずに登山道に出れるのかをチェックしてこなかったので、大深山荘と同じくらいの高度で分
かれる右岸枝沢に入り登山道を目指す。沢形が無くなってからは密笹薮。。。30分ほど格闘していくとジャスト大深山荘にて一般登山者の歓迎を受ける。
あとは、山荘横の沢筋を下って基点に戻るだけだ!
源頭の様相
藪漕ぎ中に見つけた等池塘
大深山荘にジャストに出る

P.S:大深沢流域は完全癒し系の沢です。本流を下流側から上流側に遡行しようとすると、基点とゴール地点が大きく離れるため周遊コースが一般的です。
   いろいろコースが取れるので、どう周遊するかがポイント。東ノ又沢下降→北ノ又沢であれば、一泊二日で行けますが、ヤセノ沢出合から東ノ又沢出合まで
   の本流の様相は素晴らしいので歩いておきたいところです。ヤセノ沢の内容は関東沢よりも良いので、葛根田沢から大深沢に下る場合、時間に余裕があれば
   関東沢の下降では無くヤセノ沢の下降を勧めます。紅葉は10月に入ってから。ザイルは30m1本で十分。靴はフェルトでも良いでしょう。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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