2016年9月24,25日 朝日連峰 朝日俣沢 岩魚止沢
メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4、#0.5 靴:イドログリップ
地形図:朝日岳、羽前葉山
難しい、雪渓多い、アブの巣窟、アプローチが面倒・・・という理由で今だ踏み入れた事のない朝日連峰。。。今年は雪渓が少ないのでチャンスの年。不安定な天気が続くなか、
流域面積も小さく、朝日入門の沢と聞いている朝日俣沢 岩魚止沢でデビューを飾る事にした。誰か一緒に行ってくれるメンバーを探したかったが、天気予報が毎日コロコロ 変化して、”予定が立てづらい!”ってありゃしないので、もう「なんとかなるでしょ!」と単独で決行する。 16:40自宅発→18:50白河IC→(19:45福島飯坂IC通過)→20:55寒河江SA、5:05同発→6:00朝日鉱泉手前基点P着
初日
6:20基点P→6:27朝日鉱泉→7:45朝日俣沢/黒俣沢出合(入渓点)→10:05 740m下ノ大沢出合→10:45 800m上ノ大沢出合 →12:10 940m幕営P 二日目 6:10幕営地発→7:00 1050m付近幕営可能地→7:30 1200m岩魚止沢出合→10:40登山道→10:47大朝日岳、11:05下山開始 →13:55基点P着 14:12発→14:40県道9号→15:45山形市内→16:35福島飯坂IC→18:04矢板IC→19:00自宅着 仮眠予定の寒河江SAは21時前に到着したというのに自動販売機しかやってない寂しいSAだった事だけ書いておこう。ここのETC出口から国道287→県
道9→県道289と繋いで基点となる朝日鉱泉を目指す。Asahi自然観への分岐から先は舗装道だがかなり狭い道になる。今回は朝日鉱泉手前500m地点 の「のぞくら橋」先の駐車スペース(7台程あとは路肩)に車を入れられたが、時折かなり手前までしか入れない場合もあるようなので、朝日鉱泉のサイト で道路状況を事前に確認しておくことを勧める。 基点から歩く事7分で朝日鉱泉に到着。”ナチュラリストの家”と謳っているが電線がしっかり通ってるし民宿みたいな感じかな。日帰り入浴も出来る模様。 ここから入渓点となる朝日俣沢/黒俣沢分岐まで一般道を歩くが長い! 途中ナメコを見つけてラーメンのおかず用にGET。基点から約1時間半で入渓点 到着。若干、朝日俣沢の方が水量は多い印象。朝日俣沢に入るとミニゴルジュ風。入口の小滝と奥の2条3m滝を左岸から小さく巻いて超える。
このミニゴルジュを過ぎるとゴーロ状が長く続く。早くも魚影が現れるが朝日俣沢は周年禁漁との事。。。しばらく進んで右岸から檜沢(概念図参照)が入る とゴルジュ風に変化。入り口の淵は荷物を濡らすのを躊躇し左岸から小さく巻く。すると今度は右岸から4m滝でミカゲ沢が合流。ここにかかる本流2条 2m滝は側壁が低いので巻く事も可能だが右壁を渋めの経つりで突破する。 滝上は再びゴーロ状の様相が続く。この辺りで早くも主稜線が顔を出してくれる。すると、顕著な二俣。水量比は(2:3)これが右岸から入る下ノ大沢の出
合らしい。右の本流を進むと広河原状になり、奥に左岸枝沢の30m滝が見えてくる。水量は少ないものの良いアクセントと言っておこう。さらに進むと、また 堅調な二俣で水量比は(1:1)。ここが800mで出合う上ノ大沢出合。ここまで大方、河原状ではあったが、この出合には幕営適地は無い。岩魚止沢を二泊 で(二泊目は大朝日小屋になるだろうが)遡行する場合は、先ほどの左岸枝沢30m滝手前か、この先の940m幕営適地かになるだろう。
ここから、本流は威圧感は無いものの両岸が立ってくる。この先出てくる5m滝は左壁を直登。少し間を置き、ここから初日の核心部に入って行く。。。
小滝を超えた後との8m滝は左のノッペリ岩を登って、そこから細い流芯状を直上。滝上は狭いゴルジュになり前衛の小滝奥に7m滝を掛けて不安になる が、滝に近づいてみると右壁が登れそうでホッとする。濡れた岩はメチャクチャ滑るので注意しながら何とか登るⅣ。
すると間髪入れずに10m滝。直登はパッと見ムリ。左右どちらからでも巻けそうだが、左のノッペリ岩を登ってそのまま小さく高巻いた。フェルトソールで は左のノッペリ岩はまず登れないかも。。。10m滝上は淵を持った2m滝。右のバンドを進むが、途中でバンドが切れてしまい灌木帯に入って滝上に出る。 この上の8m上部トイ状は右から取りついて水流左に横断。上部トイ状はツッパリを交えて突破する。
この上で一旦開けるが次の6m滝が見えている。右壁から取り付き落ち口に向かって直登試みるも微妙な一歩に踏ん切りがつかずそのまま逃げる方向 に直上して灌木帯に入る。6m滝上には3mトイ状が控えており一緒に高巻いた。この先、淵を持った小滝を超えると940mテン場適地となる。1泊で遡行を 終えるには最低ここまで来る必要があるだろう。広河原状ではあるが、整地済みの場所はインゼルど真ん中に1か所で4人くらいまでOK。その真横左岸に 2人が横になれるが増水に耐えられない2か所のみ。時間はまだ12時過ぎ・・・ここからだと二日目の行動時間が長くなるので、もう少し先で行動終了した いのだが、この先テン場があるとの事前情報が皆無。さらにこの河原から先は8mの直瀑が行く手を遮り、草付の高巻きでしか突破出来ないので、「ちょっと 先まで見てくる・・・」とは言えない様相になっている・・・。仕方なくここで今日の行動は終了するしかない様だ。薪は豊富。一応、ここには魚影は無く、先ほど の連瀑帯のどれかの滝が魚留めになっている・・・とだけ書いておこう。。。極上物件を独り占めするが、後から誰も来なくてヨカッタ(笑)
二日目 今日は行動時間が長いらしいので早出する。初っ端の8m直瀑の右岸草付の高巻きでスタート。8m滝上には5mトイ状が続いており、面倒なのでこれも一 緒に巻いた。小滝を交えた岩盤が発達した様相を進むと、左岸から下岩魚止沢が入る。水量比は(3:1)。この沢を遡行するマニアは居ないだろうが、二俣 から見えている8m滝は悪そうだ・・・。左の本流を進むと、こちらも8m滝! ただこちらは水流左が階段状で快適に突破できる。
8m滝上は河原状になっているが、大岩がゴロゴロしており残念ながら幕営適地は無い。するとすぐに幅狭ゴルジュに入る。雪渓があると面倒だが無け れば泳ぎも無く、突破に問題はない。ゴルジュ内5m滝は右から簡単に、出口にある4m滝も右から快適に超えられる。このゴルジュを抜けて少し進むと、 行動計読み1050m~1065m区間で再び河原状になる。1055m右岸に整地要な場所が1か所、1065mインゼル内上部に、これまた整地すれば2,3人横になれるスペースを発見!他にも草付台地を整地すれば・・・と言う感じだ。雪渓が無い時期なら、初日にここまで進んでおけば二日目は多少楽になるか もしれない。この先テン場適地は見つけられなかったので、ここが最上部幕営地になる。このインゼルを過ぎると両岸がまた切り立ってくる。ここに雪渓が あると突破は苦労しそうだがが、無ければここも無難に進んで行ける。
このゴルジュは収まる事なく、さらに進んでいくと、前方に絶望的な6mCS滝が視界に入る。「ありゃーどうすればいいんだ???」と、とりあえず近づいて見ると、 左岸から顕著な枝沢が入り、その間に、”どうぞここから♪” と言わんばかりのお助けリッジが左岸に付いていた! これを利用して6mCSを巻こうとしたら、 滝上右岸から顕著な枝沢が合流している!「あれ!?・・・って事はこの左岸の枝沢が岩魚止沢?」と地形図を確認。。。どうもそうらしいので、このまま高巻いて 左岸枝沢の最初の連瀑帯を超えると、写真で見た大滝が姿を現した! 大滝は50mはあろうか。大きく左から巻いてしまえば問題ないが、水流左から快適に登れるんじゃないかと思って取り付いてみる。核心は7m程度上がった 所の1ポイント。ここまでフリーで上がり、ホールドを確認するとチョット甘目・・・、カムを決められるところは手の届くところに無く、支点はハーケンを打つし かない。ここに打つと回収も面倒だなーと思ったが、さすがに1枚打つが奥までキッチリ入るリスがなかなか見つから無い。何回か場所を代えて、良い場所 が見つかり、長めのシュリンゲを付けて上がる。重心は完全に一段上に上がったのだが、”次の一手はどこだっけ・・・?”と探している一瞬、草付交じりの左 手ホールドが滑り、50cm程落ちる。そのまま外側にフラれたがビレイを取っていたのでセーフ! ハーケン浅打ちで妥協しなくて本当にヨカッタ・・・。。。 今日は単独・・・「もう一回!」と言う気持ちにはならずクライムダウン。左から仕切りなおす。・・・とはいっても往生際が悪く。一段上の乾いた岩をトラバース して断念した3m程上に復帰(このトラバースも割と緊張)、そこから直登する濡れた岩はツルツルでタワシで磨きながら登る。フリーなので緊張感はあるが、 せいぜいⅣ-・・・と言った所でしょう。乾いたところに出れば後は簡単。濡れた水流沿いも登れそうだが、ここはムリせず乾いた所と濡れた所のコンタクト ラインで滝上に出た。
大滝上は、癒し系の小滝が見えている。残念ながら岩魚止沢に入ってもテン場適地は無い。2条5m滝を超えた先の6mCS滝が登れない。右岸から草付 を登って巻いた。すると、開けた山肌を連瀑が延々と続く光景を目にする!青い空も相まってスバラシイ! 滑りやすい4~5m程度の連瀑を一つ一つ丁寧 に超えていく。合間に出てくる10m滝は水流右を直登。ここからも明るく開けた様相の中幾つもの滝を超えていく。そうだな、谷川の沢を1スケール大きくし た・・・と言った感じだろうか。。。? 登攀レベルはすべてⅢを超えないが、スリップだけは注意(一回タワシで磨かないで足を乗っけたら3m滑落)。。。
8m滝を超えると右岸から割と顕著な枝沢。水量比(1:2)。地形図を広げると、1470mまで上がって来てるようだ。ここから先もまだまた滝は続き、高度計読 み1570m付近でようやく連瀑が終了する。
この先1700m付近で水枯れ、沢形は稜線近くまで伸びている。ラストは藪漕ぎ無で1830付近の登山道に出た。初めて登った大朝日岳ピークに向かうと、 ヘルメットを被りハンマーをぶら下げた一般登山者と明らかに異なる格好に痛い(?)視線を浴びながらラストの10mを登る。沢で上がってきたのはこの時 点では私だけの様だ。西側の展望が利かず、荒川流域の沢筋が見れなかったのが残念だが、登山客でごった返しているので、パンを口に放り込んで下 山を開始する。道は明瞭、ただただ長い。9月下旬と言うの気温が高く、二俣過ぎた沢筋の道で思わず沢に飛び込む。決して走る事なく3時間かからず基 点に戻れた
P.S:朝日の沢は初めてでしたが、上部の明るい様相はとても良いです。朝日俣沢は朝日連峰の入門的な沢と聞いてますが、さすがに初級者向きではありません。
3級レベルの滝がフリーで登れないと、1泊2日では抜けられないかも。雪渓が全くない状態での記録なので雪渓が残ってると、大きく遡行内容も変わり難易度も アップする事は間違いありません。濡れた岩は滑り易いですが、ラバーソールが良いでしょう。今回はすべてフリーで登りましたが、通常ザイルは大滝直登する なら雪渓が無くても40m以上持って行ってください。雪渓がある場合、高巻き&懸垂も出てくると思うので、やはり40m以上を持っていく事をお勧めします。1泊2日 で抜ける場合、940mの幕営地をパスして1050m付近まで初日に高度を上げておくと良いかも。ただし雪渓があると状況は変わりますので、くれぐれも自己責任で お願いします。 |