2016年10月14~16日 南会津 袖沢流域 ミチギノ沢下降→御神楽沢

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×25m、カム#0.4、 靴:イドログリップ
地形図:高幽山、会津駒ヶ岳
遡行図、概念図はこちら

この週は1ヶ月半ぶりに土日が安定的な晴天予報が出た。しかも金曜も晴天らしい。仕事を気合でやっつけ、有休をつけて2泊3日の沢に行くことに。。。
今シーズンは単独が多いので、天気がよければ10月はここに行こうと決めていた袖沢 御神楽沢を選択。この山域は雪が深い上に年間通して3日間晴天
が続く日は非常に少ないと所なので願っても無いチャンスだ。御神楽沢は一般的に袖沢林道を歩いてアプローチするルートと、桧枝岐側から三ツ岩岳へ
の登山道をあがり、ミチギノ沢を下ってアプローチするルートがあるが、単独の場合は後者を選択するしかない。それでも基点と終了点は大きく離れるため、
会津駒ケ岳登山口にチャリをデポして対応することにした。


17:40自宅発→20:52桧枝岐スキー場P、5:20同発→5:30会津駒ケ岳登山口→5:43小豆温泉三ツ岩登山口P
初日
6:10基点P発→8:30三岩岳避難小屋→9:05 1739m付近湿原からミチギノ沢下降開始→12:10 1202m右岸枝沢出合(行動終了)


二日目
6:40幕営地発→8:10 1070mテン場適地→8:50御神楽沢出合→9:45 1050m付近幕営適地→10:10 1085m付近幕営適地
→14:10 1340m付近幕営適地(行動終了)

三日目
6:35幕営地発→8:35ムジナクボ沢出合→9:07 1615m付近最終幕営適地→12:20登山道着→12:28会津駒ヶ岳、
12:50下山開始→14:15会津駒ヶ岳登山口P、14:22(チャリ移動)→14:45基点P着


5:30に駒ケ岳登山口駐車場にチャリをデポ。駐車スペースは7台程度、ここに入れられないと路側帯や、もっと下に位置する駐車スペースに車を停める
ことになる。紅葉シーズンなのか金曜なのに数台の車が停まっていた。。。基点は小豆温泉で、今は閉鎖になったスノーシェッドの間にある窓明けの湯
入り口に設けられた駐車スペース
になる。駐車スペースは広いので問題無し。トイレは無いが携帯もsoftbankでも繋がる。
三岩岳登山口は2箇所あり、スノーシェッド末端から上がるルートは ”崩壊の為で立ち入り禁止” なる看板があるが、黒檜沢に掛かる橋が落ちてるだけで
なんら問題なく歩ける。1270m付近まで数箇所で水が汲めるので、こちらを利用したほうが良いだろう。 しかし、一般登山道で山を登るなんて何年ぶり
だろう・・・しかも、つい先日、保太橋沢の下山に歩いたので、どれだけ登るのかもマイナスイメージ出来てるのが、辛いところ。。。これがかったるく思って、
今日まで御神楽沢を敬遠してきたこともある。高洲クリニック社長や、イモトみたいにヘリで稜線まで送迎してもらいたいよぉ~~・・・。。。

2時間20分時間かかって、三岩岳非難小屋に到着。良い感じの非難小屋。。。ここから窓明山目指して進み、“ヘリが着陸できる“広さの湿原からミチギノ
沢に下降する。

基点となる窓明けの湯入口駐車スペース
スノーシェッド上が登山道になっている
ヘリポートみたいな所がミチギノ沢下降点!

藪漕ぎは少なく沢形に入れるが、水が流れ始めると岩はやたら滑り易く、三日間この岩の滑りに悩まされることになる。ミチギノ沢はトイ状小滝が2つほど
出て来る程度で、下降に問題は無い。幕営可能場所は1300m付近から散見されるが、1202m右岸枝沢との間に絶好のテン場適地があるので、ここが
お勧め。2~3か所張れる場所があり、10人以上は横になれるので焦る必要は無いが、先着が居て嫌なら後に書くが、この先始まるゴルジュを抜1070m
付近の河原になる。。。12時過ぎに到着してしまったが、2泊3日で抜けるなら、ここまで来れば十分だ。ツェルト張って、薪集めて、キノコ採って・・・なんて
やってれば楽しい時間はあっという間に過ぎていく。夜はかなり冷え込んだが、急遽購入したユニクロのライトダウンジャケットが効果を発揮した♪
ここからミチギノ沢の下降を開始
ミチギノ沢の様相(カーソルあてて)
1202m右岸枝沢出合で行動終了(カーソルあてて)


二日目
1202m右岸枝沢出合から下降するとすぐに3m滝で始まるゴルジュになる。”皆通過している”という事前情報があるから不安は無いが、何も知らないと、
不安に駆られそうな様相だ。相変わらず濡れてる所はツルンツルンで、足を滑らせて腰上まで濡らす時が1回あったが、沢通しで通過できる。長いゴルジ
ュを進み高度計読み1070m付近で急に開け、先ほど書いたテン場適地になる。出発からここまで丁度1時間半だ!
ゴルジュに入って行きます
なかなかのゴルジュ(カーソルあてて)
1070m付近のテン場適地(カーソルあてて)

この広河原はワンポイントでまたすぐにゴルジュになる。大釜を持ったが出てきて、クライムダウンや、小さく巻いて降りれるが、最後の2m滝は釜に飛
び込む以外降りれず、右岸を高巻いた。右岸側壁は続くので、ここも小さく巻くのがポイントか・・・。。。
左岸にテン場適地を見ると、ようやく御神楽沢本流にぶつかる! 1202mから2時間10分。さほど距離は無いが意外と時間が掛かった印象。
大釜を持つ5m滝をクライムダウン
ギブアップして右岸高巻き
御神楽沢出合到着!

一本入れて御神楽沢の遡行を開始。出合にある大釜は右岸で小さく巻くとゴルジュ状。深い釜を持った小滝が出くるが、上手い具合にバンドが伸びて
おり、腰を濡らさず通過できる。ここを抜けると平凡な様相が続く。。。ポツっと出てくる4m滝を超え、高度計が1050mを差した辺りの左岸に広めのテン場
適地
あり。さらに高度計読み1085m右岸にも良い所がある。1泊2日で抜けるなら初日この辺りまでは来ておいた方が良いだろう。1085m以降はしばらく
テン場は見つけられなかった。。。

御神楽沢最初のゴルジュは濡れず
4m滝と1050m付近の左岸幕営適地(カーソルあてて)
明るく開けた様相が続きます♪

この1085m付近の幕営地すぐ先にクランク状に曲がった淵があり2条3m滝を掛けているが、濡れるのを避け左岸枝沢から小さく巻いて上がる。このすぐ
上には連続した4m滝が出てkくる。水線沿いを行こうとしたが岩がヌメヌメで、タワシでひたすら磨きまくらないと登れないので、水流から離れた乾いた所
を進んでクリヤーする。この連瀑上少し行くと8m滝。これは水流左から容易に登れた。
2条3mは左岸枝沢利用で小さく巻く(カーソルあてて)
ヌメッて一歩も登れない4m滝(カーソルあてて)
8m滝

すると、御神楽沢ハイライトの畳岩がここで現れた!ゴーロ状が続いていた沢で急に現れるので、インパクトは大きい!この畳岩のすぐ上は大ナメに
なっているが、とにかく滑るので要注意だ(笑)。 ただ、このナメはすぐに終わってしまう。少し進むとゴルジュっぽくなり8m滝が掛かる。右岸にも3段8m滝
が掛かっており、ここもナカナカ見事な景観。この右岸枝沢の滝を横断してトラバース。本流8m滝を超えた。
畳岩
畳岩上の大ナメ
8m滝

ここからまた平凡になるが紅葉も相まって美しい! この先、両岸が切り立って淵を腰まで濡らして進むと4m滝。これを水流左から簡単に超えると間髪
入れずに2段10m滝。水流右から行けると思って登って行くが、ラストの3m壁がどうも嫌らしい。古い残置シュリンゲもあったが、そこまで上がるのも、フリ
ーだと嫌な感じ。。。嫌なイメージが浮かんだ時はムリしない方がよい・・・。仕切りなおして一旦下まで降り左岸草付から高巻いた。巻きも安全圏まで登る
所が嫌らしいので、ザイル伸ばして直登した方がむしろ良いのかな???
青い空に紅葉♪
腰までで通過できる淵の先に4m滝
右から巻いた2段10m滝

2段10m滝上に出ると、15mスラブ滝で出合う左岸枝沢をみる。本流もナメ床になっていたが相変わらず滑って油断すると転ぶ。。。。ここからは目立った
滝はあまりない。この辺りでナメコを発見!そう言えばキノコは結構見かけた 1230mで出合う三岩岳方面から流れてくる右岸枝沢を見ると3m程度
小滝が出てくる。
15mスラブ滝で入る左岸枝沢
1230m右岸枝沢
3m滝が散見

ここを抜けると(1:1)二俣の様なインゼル。それを超えると、多くの記録に書かれていた1320m付近にあるテン場適地・・・のはずだが、整地済みで焚火
の跡がある様な極上物件は無く、せいぜい整地すれば2人くらいが横になれるスペースがあるだけ。もう少し進んでみると高度計が1335mを差した左岸に
平らな場所があり、ここで行動終了することにした。ここは5人くらいは横になれる。
(1:1)二俣の様なインゼル
1320m付近の様相
1335m左岸で行動終了


三日目
夜中、かなり冷え込んだが、外に出してた靴は凍っていなかった。ここから先はゴーロ状。1335mから上流はやはりテン場適地は見つからなかった。岩盤が発達してくると小滝が連続。すると見事な18mナメ滝が姿を現す。傾斜は緩いので、快適に上がって行ける。
ゴーロ帯が続く
岩盤が発達して小滝が連続
18mナメ滝

18mナメ滝上は7m滝を最大とする5m前後の滝が散見。この先両岸が立ってヤバそうな5m滝が顔を出すが、水流左が階段状で問題なく登れ、ゴルジュも
容易に抜けることが出来た。この先で、先人の記録で見た7m直瀑が現れる。淵が深くて近づけず、30m手前くらいから左岸を巻いて滝上に出た。
2段7m滝
ゴルジュ内に5m滝(カーソルあてて)
7m直瀑は左岸巻き

7m直瀑を巻いた先右岸に整地済み極上物件を発見!ここから1分足らずでムジナクボ沢出合となる。出合には幕営適地はないが、右の本流を進んで
高度計読み1615m右岸にまた整地済みのテン場がある。これより上流には幕営適地は無いと思ったほうが良いだろう。ただ、時刻は朝8時半を指してい
たが、ムジナクボ周辺のテン場は霜が張っており、10月は相当寒い思いをするかもしれない。この先1630mで中門岳へ詰めあがる沢筋が左岸から合流。
水量比は(1:1)。ここを左に入ると滝が出てくる。ちなみに、この連瀑帯のどこかで魚留めになる。
ムジナクボ沢出合と手前右岸の極上物件(カーソルあてて)
1630m中門岳へ詰める左岸枝沢
本流は小滝が現れる

すると、3段滝が出てきた。ここでは3段12m滝としておく。最上部は水流右のリッジがルートだが、滑りとベルグラでかなり嫌らしい。どっちが滑るか試して
みたら、ほぼ同じだった! ベルグラをハンマーで割りタワシで岩を磨いて慎重に上がる。3段12m滝を越えると、すぐ幅狭ゴルジュ。釜の深い2段5m滝
が掛かっていて取り付けない。かなり上流部なのに、こんなゴルジュがあるとは驚きだ。左岸を小さく巻いたが笹や細潅木が結構ウザイ印象。滝上はまだ
ゴルジュが続き右に直角に沢が折れ曲がっていたが、その先は3m程度の簡単な小滝が連続している程度でホッとする。
3段12m滝はルートが凍っていた(カーソルあてて)
幅狭ゴルジにかかる2段5m滝
悪いゴルジュか不安になるが(カ-ソルあてて)

ここを過ぎると1750mの二俣。水量比は(1:2)で右沢を選択するとすぐに2段4m滝。ここも釜は深いが右から簡単に巻いて上がれるのでラッキー。ここまで来れば源頭の様相。この先1840m(2:1)二俣を左を選択。以降は右寄りの沢筋を選択して詰め上がる。。。
1750m(1:2)二俣を右に入る
源頭の様相です
1840m(2:1)を左に入る。

最後は“15分程のネマガリタケの藪漕ぎ“と聞いていたが、薄いところを見つけて上がっていくとそう苦労せずに草付きにでて、すぐに中門岳に繋がる登山道に
出た。会津駒ケ岳はすぐそこ。山頂を巻くルートもあるが、折角なので山頂経由で下山する。駒ケ岳非難小屋は管理人が居るちゃんとした山小屋だ。
ここに来たのは3回目だと思うが全く記憶に無い。山頂から1時間半程度で、チャリをデポした登山口に到着♪ 
基点の小豆温泉までは概ね下り坂。25分掛からず戻ることが出来た!

藪漕ぎ途中から会津駒ヶ岳方向
登山道到着!
会津駒ヶ岳山頂付近から

P.S:御神楽沢は基本的に明るく癒し系の歩く沢といっていいでしょう。銘渓であることは間違いなく、紅葉のピークである10月中旬に好天に恵まれ最高の美しさを
   見せてくれた。足の揃ったパーティーであれば、一泊二日で抜けることも可能だろうが、そういう沢では無いと書いておく。ザイルは30m一本で十分。靴は
   フェルトの方が良いかも。10月はベルグラが張るので、氷を叩き割るハンマーは必須です。

遡行図(クリックして)
概念図(赤丸は幕営適地)


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