2016年11月5,6日 大菩薩 丹波川流域 泉水谷 小室川谷

メンバー:ひろた単独
装備、ザイル8mm×25m、カム#0.4、 靴:イドログリップ
地形図:丹波、柳沢峠、大菩薩嶺
遡行図、概念図はこちら

「その空の下で。。。」を立ち上げた当初の記録は撮影写真も少なく、目的意識も曖昧だった。。。そんな記録を、かつて撮影した写真を元に記憶をたどってオフシーズンに
書き直したりしているのだが、その昔パソコントラブルで、ある時期以前の写真をすべて失ってしまい、書き直すにも書き直せない・・・。。。そんな記録が幾つか存在している。
今回チョイスした小室川谷はその内の1本。前回遡行したのは2001年10月下旬。。。既に記憶も薄れてしまった。。。前回の記録からコースタイムと幕営ポイントのみをチェック
して、新鮮な気持ちで再遡行してみる。

17:35自宅発→19:15久喜IC→20:52青梅→21:20奥多摩→21:47道の駅たばやま、6:00同発→6:10泉水谷林道ゲート着
初日
6:30基点発→7:05小室川谷入渓→9:00松尾沢出合(大休止)→12:27中ノ沢出合→13:20 1160m付近幕営地→14:10 4段30m滝上行動終了
二日目
7:00幕営地発→8:20ジャヌケ沢出合(幕営適地)→10:40稜線登山道→11:15大菩薩嶺→11:55丸川峠(泉水谷林道ルート)
→13:00大黒茂谷出合→13:45基点P着


15年前と違って、圏央道が開通しアプローチは容易になっているが、前夜、頑張ってオール下道で移動。道の駅たばやまで仮眠をとり、当日早朝に泉水谷
林道
に移動。15年前は車で入っていける様な事を書いていたが、現在は丹波川本流を渡るとすぐに立派なゲートがあり、せいぜいチャリを通すことくらい
しか出来ない。ゲート手前には10台程度の駐車スペースあり。釣りのシーズンは早めに入っておいた方が良いだろう。トイレは無く、softbank携帯は丹波山
村を過ぎると電波が弱くなり、相変わらずここは圏外だ。

泉水谷林道は概ね舗装路。20分歩くと「小室向」と書かれた道標が立っており、そこの踏跡を降りていくと小室川谷出合の50m程上流側に出れると聞いていたが、尾根を右に降りたら旧道だったようで崩壊しかけた橋が架かっていた。本流沿いを下ると綺麗な木橋が掛かっており、こちらが正解。。。
15年ぶりに小室川谷に降り立つ。。。

泉水谷林道入り口が基点
ここの踏跡を降りて行く(カーソルあてて)
15年ぶり小室川谷に入渓!

小室川谷に入ると河原状。少し進むと早くも魚影を見る。この辺りはテン場適地も続いており、この辺りまでだったら運動靴でもOKなので焚き火会を開くに
は良いかも知れない。しばらく進むと大釜を持った3m滝。釜を巻いて上がると間髪入れずに5m滝が現れ水流左から登る。滝上は一旦ゴーロ状となり、
また大釜を持った7m滝。水流右から難なく超える。滝上はインゼルとなった広河原状で感じの良いところだ。早速ムキタケを収穫。キノコ採れすぎて
荷物重くなったらどうしよう・・・なんて想像するも。ここ以外にムキタケの群生を見ることは無かった。。。
大釜を持った3m滝と5m滝(カーソルあてて)
7m滝は水流右から
インゼル状広河原

この先、両岸が徐々に立ってくる。淵が現れ右から経つろうとしたら、いきなり足を滑らせ淵にドボン! しかも足がつかない位深く必死に泳いで戻った。
この時期にドボンするとホント態勢と気持ちを立て直すのまでが辛い。それでも上だけだがウエット着て来て救われた。。。体が震えること無しに慎重に経
つりなおして先に進む。さらに4m滝を超えると両岸は立ったままだが平凡な沢床が続く・・・
。すると、狭まったゴルジュ内に深い淵を持った2m滝。どうも、
ここが”S字峡”と呼ばれる所のようだ。泳いで取りつけば突破出来そうな感じだが、時期的にそれは不可能・・・。”そういえば15年前に高巻いて懸垂したのはここ
だっけかなぁ・・・?”
と右岸を小さく巻いて上がると立派な残置シュリンゲがどうぞ使って下さい! とばかりに付けられていた。5m懸垂で”S字峡”内に降りて進んでいく。この先、淵が一つと、簡単な3m滝が二つほど出てくる程度でS字峡を無事通過した。
何でも無いような淵で落ちる・・・
S字峡入口の2m滝
S字峡内を進む(カーソルあてて)

S字峡を抜けるとすぐに右岸から松尾沢が出合う。水量比は(1:4)。23年前に書かれた「東京周辺の沢」では水量比(1:2)となっているが、大分埋もれてし
まった様だ。。。
ここで、焚き火休憩。濡れた服を乾かすまでには至らなかったが、多少暖まることが出来た。本流側は小滝が散見。再びゴルジュになり
途中出てくる6m滝は右岸に付けられたトラロープのある所を直登。そこから落ち口の高さで外傾バンドが伸びていたが無理せず、さらに上に上がって高
巻いた。ゴルジュっぽい様相はまだ続くが2条3mを越えるとゴルジュが終了。右岸にワサビ田跡を発見する。
松尾沢出合
6m滝と外傾バンド(カーソルあてて)
2条3m


しばらく進むと大きな淵で始まるゴルジュが登場!どうもここが“小室ノ淵“と名付けられた所らしい。夏場は泳いで進むのも楽しいかもしれないが、右岸
を大高巻きしてゴルジュ全体を巻くことに・・・。このゴルジュは結構幅が狭く出口の4m滝の直登は苦労しそう。すると左岸から中ノ沢が出合う。通常、松尾
沢出合からここまで1時間半あれば十分だが、焚き火休憩もあって3時間近く掛かってしまった。。。まぁそれでもまだ12時半前。。。小室川谷を1泊二
日で遡行する場合は初日ここまで来ればOKだ。本流を進むとすぐに両岸にテン場適地が広がるようになる。

小室ノ淵は大きく右岸巻き(カーソルあてて)
中ノ沢出合
本流を進むとテンバ適地


時間が早いので、ここはパスしてもう少し先に進む事にした。出てくる滝は5m以下の小滝ばかりで難しいところは無い。ただ、岩は非常に滑り易く。時に乾
いた岩でさえ滑るのがあるので注意。すると高度計読みで1160m付近にまたテン場適地が現れる。後日、15年前の記録を読み返してみると、この辺り
で幕営したようだ。 さらに進むと突如10m滝が現れた。左岸・右岸どちらでも高巻き可能だが、左岸巻きを選択。落ち口3m上ほどのラインで小さく巻い
たが落ち口上のトラバース&沢床へのクライムダウンがかなり渋めなので、左岸を巻くならもっと大きく巻いた方がよいだろう。

癒し系の小滝が散見。凄く滑るけど(カーソルあてて)
1160m付近テン場適地
10m滝はこれより大きく巻きましょう!(カーソルあてて)


10m滝落ち口上から小室川谷のハイライトとなる4段30mナメ滝はすぐそこだった! 15年も経つと全く記憶が無いから新鮮 1段目、2段目は傾斜は
緩く容易。3段目は釜をへつって水流左から直登を試みようとしたが、ノッペリ系ツルツル岩で断念。釜を右から巻いて3m程の高さから水流左を直登。4段
目は水流右の落ち口付近に残置ロープがぶら下がっていたが、これを嫌って水流左からタワシで磨きながら直登したが非常に滑り易くホールドも少ない
ので厳しかった。
時間は14時過ぎ、滝上左岸は台地になっており、陽も短いので今日はこの辺りまでとする。高度計は1215mの表示。そう広いテン場適地はないが、一人
なら十分な場所を見つけ行動終了とする。

4段30mナメ
登れない3段目と頑張った4段目(カーソルあてて)
1215m左岸。大人数には向かない


二日目
15年前の記録ではテントで、6℃用の寝袋+シュラフカバーで寝たらしいけど、今回ツェルトで0度用寝袋+シュラフカバーでも寒かった。。。それでも靴が
凍っていない所を見ると氷点下にはなっていない様だ。。。荷物をまとめ7時に出発する。しばらく平凡な様相を進むと高度計読み1225m割と綺麗な
架かっていた。地形図にも持って行ったトポにもここに登山道は無いが、どこに繋がっているのだろうか・・・?
しばらく進むと2段9m滝。下段・上段とも水流左を直登。濡れた岩はやたら滑るがベルグラは張っていない。滝上は岩盤が発達して、ナメ床、ナメ小滝が出てくる。
1225m付近で登山道(?)が横断
2段9mは水流左を直登
癒し系ですが滑ります(笑)

すると、顕著な滝が視界に入る。近づいて見ると8m滝。さらに近づくともう一つ上に8m滝が顔を出している。ザイル出していけば下の8m滝は水流右から
登れそうだが、もちろん今回はそのまま左岸巻き。上に控える8m滝も手が出ず再び左岸を巻いて滝上に出た。滝上はナメ小滝が有るがすぐに平凡な様
相に変化。この辺りで魚影は見なくなるので、先ほど出て来たいづれかの滝が魚留めになっていると思われる。しばらく進むと2条7m滝。大釜を左から経
つって滝に取りつくが乾いた岩も滑る所があるので、結構神経を使う。まぁ落ちたら濡れるだけだけど11月なんで・・・
平凡な様相を進むと1380mに位置するジャヌケ沢出合。本流との間に整地済みの極上物件がある。ここは薪も豊富だ
8m滝の二連瀑
2条7mは左壁を経つって行く
ジャヌケ沢と極上物件(カーソルあてて)

ここから左の本流を少し進むと早くも伏流になってしまう。まさか水枯れじゃないよな・・・と思いつつも水を汲んでしまった。。。さすがにしばらく進むと水流が復
活! この先階段状7m滝を登ると、後はナメ床がたまに出て来るものの概ね平凡な様相が続く。もう一度伏流になるが、最終的に1800m手前まで水
は流れていた。最後は藪漕ぎも無く大菩薩峠と大菩薩嶺の間の稜線1950m付近の所に詰め上げる。視界は一気に開け、富士山から南アルプスまで素晴らしい展望を味わえる
階段状7m滝
概ね非凡な様相で詰め上げます(カーソルあてて)
稜線到着♪

陽の当たらない沢ではずっと寒かったものの、稜線はポカポカで、多くのハイカーで賑わっていた。 さて、ここから基点に戻るまでが長い・・・。大菩薩嶺を
抜け丸川峠へ。ここの小屋は営業していたのでビックリ。ここからは、だーれもすれ違わず泉水谷林道に出て、内臓脂肪を燃やすが如く、紅葉を見ながら
早歩き。基点に着くころには足が棒のようになりながらも予想以上に早く起点に戻れた。。。
通りすがりの100名山!
営業していた丸川荘!
紅葉の泉水谷林道(カーソルあてて)

P.S:小室川谷は首都圏近郊の沢ながら、いまだ魚影も多く奥深しさをもった貴重な沢である。堰堤が一つも無い首都圏の沢なんて他に無いのではなかろうか・・・
   日帰りで駆け抜けちゃう事も可能だが、魚釣ったり、キノコ採ったり、焚火を楽しみながら遡行する方が、この沢の良さを感じることが出来るだろう。。。
   沢を寒さは覚悟の上だが、紅葉は11月上旬が見頃。ザイルは20m一本で十分。登攀系では無いしメチャクチャ滑るので靴はフェルトの方が良いのかな。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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