2006年10月28日 奥鬼怒 日光沢→コザ池沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m 靴:フェルト
参考ガイド:足尾山塊の沢(廃刊)
遡行図はこちら

先週、帝釈山の紅葉が見頃だったので、奥鬼怒くらいだったらまだ行けるかな?。。。と
気になっていた日光沢を遡行する事にした。下降は、『足尾山塊の沢』で概ね平凡とある
コザ池沢を下降してみる事にした。

3:23自宅発→(日光-宇都宮有料道路)5:18女夫淵温泉着
5:40出発→6:40日光沢出合、6:52遡行開始→8:26 2段40m鬼怒滝下→9:30奥の二俣
11:32鬼怒沼山/2135mピーク鞍部着
11:40コザ池沢下降開始→12:40林道横断点→13:15北沢出合→14:00ライヤミ沢出合
15:11コザ池沢遡行終了→15:36基点駐車場着

早起きして奥鬼怒源流の基点となる女夫淵温泉に向かう。今市を抜けるとコンビニは少なくなる。早朝だと
鬼怒川温泉と龍王峡を通る有料バイパス道路が無料で通過出来たので意外と早く女夫淵に到着。

ゲート手前にある無料駐車場は50台以上停められるが、紅葉シーズンもあってか既に満杯。八丁の湯へに
伸びる林道のゲートは送迎バスの関係で常に開いているので、林道に入り、鬼怒川本流に下る登山道入り口近く
まで車を進める。(これで20分くらい時間を短縮できる)登山道入り口先100mのところに車2台程の駐車スペース有り。

鬼怒川本流沿いの立派な登山道を通り、日光沢温泉手前にある日光沢出合に1時間で到着。入渓準備を整え
遡行開始する。

。。。が、まず最初のゴルジュをどうやって越えるかが結構カギになるのだ。

今年夏にオロオソロシ沢を遡行した時にこのゴルジュを覗いて見たが、最初の5m滝は越えられが、ゴルジュ出口の
10m滝は直登不可能、周囲の泥壁も弱点は無い。上から古いワイヤーロープがぶら下がっているが、これに
プルージックを掛けたとしても70度強の泥壁を腕力勝負で登るのは不可能に近い事は判っていた。。。
 ゴルジュ全体を巻こうにも、この泥壁、日光沢出合周辺にも広がり、かなり遠くから取り付く必要がある。
 そこで、前回チェックしたゴルジュ入り口右岸にある唯一壁の傾斜が緩い所に取り付いて5m程登り、そこから
左斜め2m上にある潅木に投げ縄でザイルを掛ける。これを利用してゴボウで直登。潅木の上に出ると多少傾斜が
緩くなるので、問題なくゴルジュの上に出れた。
このゴルジュ上に堰堤があるのだが、そこまでは急斜面のトラバース。スタンスも脆いので要注意。慣れない人は
潅木帯まで上がりトラバースした方が良いかもしれない。
日光沢出合(夏撮影)
右岸壁 写真にカーソルを当てて!
(A→Bに投げ縄)
出合ゴルジュ上堰堤に向かうトラバース
に注意

 堰堤を越えると左岸に大きなルンゼがありカモシカがこちらをジッと見ている。
本流はS字に屈曲し、再び大堰堤。これは左岸から越えるが、最後の下りは6m程の懸垂下降になる。
 ここから少し進むと(2:3)二俣、ここでおいしそうなキノコを発見したのでGET!。
(おいしかったけど結局なんてキノコだったんだろう?)
この二俣を右に入ると、2段40mはある見事な滝。"鬼怒滝"と名づけられているらしい。直登ルートは"瀑芯"と
"水流右"の二通りあるが、ここは瀑芯にTRY!

「うへぇぇ〜〜〜〜ち・ちめたい」

これは気合で我慢できるレベルだが、5m直登した所で、まさに"芯"を通過するところがある。

「ぎょへぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!」

水流の中にスタンスやホールドがあるだろうと思って取り付いた訳だが、良いのが見つからない。10秒以上粘るが
もうダメ。。。
 諦めてクライムダウン。水流右の直登に切り替える。3級レベルで下段を終了。上段は
ナメ床から10mの2段滝となっている。左右どちらからも行けそうだが、寒いので少しでも乾いている水流左を選択し
て直登。
2段40m"鬼怒滝"
鬼怒滝上段

 鬼怒滝上は左岸に岩壁を残す、美しい様相。その後一瞬平凡になった先で2段2条8m滝。この滝の上はナメ床が
広がる。

最初の(1:1)二俣は左に入る。少し進むと3mナメ、5m2条ナメと連続。5mトイ、3m滝を越えると左岸笹薮の中から
枝沢が入る。。。と思ったら、左岸前方に見事な滝が掛かっていた!!! 地図を見るとここが奥の二俣か。。。
笹薮の中から出てくる水量を見ると枝沢かと思うが、上に掛かっている滝を見ると水量比は(1:1)と言っていいだろう。
ここを右に入ると倒木で隠れた3段7mナメがあり、その上に先ほど見た見事な滝がある。2段15m滝
上段の水を下段で右に纏めるユニークな形をしている。直登は容易だ。
(1:1)二俣
(1:1)奥の二俣、右上方に2段15m滝有
奥の二俣右俣にかかる2段15m滝

2段15m滝上に出ると針葉樹林が目立つようになる。6m2条滝と正面奥に見えるガレの織成す光景が美しい。
流れはガレ手前で倒木のある6mトイ状となり左に折れる。その上の3段15mトイ状を苦労せずに登っていくと
ゴルジュ帯に入るゴルジュ内の3m〜5mの小滝群は難しくないが、出口にある倒木が詰まった5m滝は面倒だ。
ゴルジュを出ても8mトイ、8mナメ、7m幅広、6m幅広とまだまだ続く。すべて3級レベルで快適だ。
6m2条滝
ゴルジュ内の3m〜5mの小滝群
8mナメ

さらに、4、5mの滝を二つ三つ越えると"おっ!"と言わせる15m滝
一見かなり立っているが、よく見ると直登出来そうなので取り付く。最初水流右を真直ぐ登るつもりで取り付いたが、
すこしスタンスが細かくなってくるので、ムリせず途中で水流を横断して左を直登。
ヌメッていたり、剥がれそうなホールドもあるので慎重に。
この滝は右岸ルンゼを利用して小さく巻けるので、不安ならこちらを利用すると良い。
 15m滝の上はナメ床。4mナメ滝の上に12mナメ滝が控えるナメナメ尽くし。さらにナメ床/ナメ滝を繰り返した後に
2段12mナメ滝。その上もしばらくナメ床が続く。
15m滝(カーソルを当てて!)
12mナメ滝
2段12mナメ滝

両側の笹が少しうるさくなってくるとゴーロ状になるが水流はなかなか消えない。沢筋はいくつか分岐するが常に
水流の多い方を選んで進む。水が涸れてからも藪コギは全く無く10分弱で苦労せずして鬼怒沼山と2135mピーク
の鞍部に到着!

そのまま尾根の反対側にあるコザ池沢下降に入る。下降開始すると地図の通りにすぐにガレ。それほど急では
ないので難しくは無いが、2人以上で下る時は落石要注意。
ガレが終了すると同時に水が流れ出す。小滝がいくつか現れるが、小さく巻いて降りられるので問題は無い。
滝以外は平凡の様相。ただなぜか赤テープが頻繁に付けられている。
コザ池沢最上部のガレ
7m滝
6mトイ状


 しばらく下降すると早くも堰堤出現!

「マジー!」
      と堰堤を乗り越えると
「・・・・・・・」
      なんなんだ、この遡行価値のない様相は。。。

水流は完全になくなり、下に林道が横断しているのが見える。林道は舗装されており、左岸には1/25000地図の
通りに"奥鬼怒トンネル"と名打った長いトンネルがある。
最初で最後の堰堤
林道が横断
立派な奥鬼怒トンネル

 水流はまだ無く、左岸から枝沢が入るとようやく水流が復活する。平凡な様相を下ると左岸から小北沢、北沢
入る。北沢は出合すぐ近くに18m2条ナメ滝があり間違う事は無い。後でわかった事だが1/25000地図の魚止滝の
位置は間違っており、北沢出合より下流に魚止滝がある。
北沢
5mナメ滝

  
北沢出合から下流は急にナメ床となり5mナメ滝をクライムダウンした先にコザ池沢のハイライトである
2段20m魚止滝が現れる。このたきの下降は左岸にバンドが走っているのでこれを利用しトラバース。
大木があるのでこれに30mザイルを掛けて懸垂下降。完全に下まで届かないが、そこから先の下降に問題は無い。
 魚止滝を下から見ると直登は出来そうだ!
2段20m魚止滝上から
2段20m魚止滝全景

 
ココから先は、時折ナメ床が現れるが水量がかなり多いのでヒタヒタ歩く感じではない。
左岸/右岸に釣師が利用したと思われる踏跡らしき物があるのでこれを利用すると早く下れるかもしれない。
右岸から(2:3)でライミヤ沢が出合いさらに15分ほど下ると8mナメの"コザ池の滝"。下降に特に問題は無い。
 さらに15分ほど下ると『セイエン沢』という看板が打ちつけられた枝沢が左岸から出合う。
地図を見ると"孫六沢"という沢以外左岸から顕著な沢筋は無いのだが、どちらが正しいのかは不明。
さらにここから25分程下るとようやく最後のゴルジュに到達。ゴルジュ内の様相を確認しに行くとゴルジュの向こうで
一般登山客がこちらに向かって手を振っていた。
コザ池の滝
最後のゴルジュ

 ゴルジュ内には5m滝がありこれは左岸を小さく巻いて降りれるのだが、最後の最後である4m滝が流れに身を
任せて飛び降りる以外は下降方法は無く、この時期にはとてもムリなので断念。
いったんゴルジュ入り口まで戻り右岸から巻く。20m程を登った小尾根を越えると鬼怒川本流沿いの一般登山道へ
容易に下降できる。 15時11分遡行終了! そのまま車の所まで戻る。
 
温泉は女夫淵温泉は値段が高いので鬼怒川公園温泉まで戻る。紅葉はちょうど川俣温泉付近が
見頃だった。。。

P.S:日光沢は滝が多くお勧め。一方コザ池沢は基本的に平凡な様相なので、日光沢を遡行して
   日本最高地の湿原である鬼怒沼経由で下山するのもお勧め。 コザ池沢支流の北沢は
   見事な滝を掛けているので、ちょっと覗いて見れば良かった。。。誰か行ってみて!

遡行図(クリックして)





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