2005年10月23日 奥秩父 笛吹川東沢流域 東のナメ沢

メンバー:現場監督さん、ひろた
装備、ザイル9mm×45m、カム#0.4、0.5、靴:フェルト+フラットソール
地形図:金峰山
参考ガイド:東京周辺の沢

概念図はこちら

金曜日に出張が入ってしまい、日曜日帰り単独で行き先を考えていたところ、現場監督さんから「以前から計画していた東のナメ沢行かない?」とお声がかかる。
上信越の天気予報が悪かった事もあり、即OK!のお返事をし、天気の都合で延期を繰り返していた東のナメ沢をようやく決行することになった。


17:15自宅発→(R4,R50)19:00太田→20:15花園→21:05秩父→22:00西沢渓谷
5:20西沢渓谷駐車場発→ 7:05東のナメ沢出合→7:30大滝登攀開始→10:15大滝終了→12:45 2段25m滝上→13:20鶏冠尾根稜線着
13:30第3岩峰迂回路看板から下降開始→
15:30鶏冠谷出合→16:15西沢渓谷駐車場着

土曜夕方、現場監督さんから「こっちはかなり雨降ってるんだけど…」との電話に「うーん。。。ネットで見る限り明日奥秩父は1日中晴れですよー!」と最近の暴食で運動
しないとヤバイ私は、強引に押し切って出発
(笑) レギュラーガソリンが120円台の所が多い中、R4号の栃木県内は118円!道中一番安いスタンドが通り
道にあり助かる。雨交じりの中、奥秩父に向かうとカミナリが!!!
「うーん天気回復するんじゃないのー?」と不安になり携帯で天気を確認。"やはり明日は晴れ
なんだけど…"
雁坂トンネル付近の気温は"5℃"車中、厚手の寝袋でも薄手のシャツ1枚ではチョイト寒かった。。。

日曜当日、西沢渓谷駐車場に5時集合。満天の星空の下、車の中で朝食をとっていると現場監督さんが既に出発体制を整え私の車の方に歩いてきた。
ゲッ!準備これからなんですけどー!

2005年7月に西のナメ沢に行ったとき、乙女の沢、東のナメ沢の各出合までのアプローチタイムは抑えてある。まだあわてる時間じゃない。自分も体制
を整え出発する。鶏冠谷出合から左岸西沢渓谷道を通ってのアプローチはいつもの通り。ただ今日は水量が多い。しばらく進んで、乙女ノ沢出合に到
着! なんと、乙女ノ滝は岩全体がまだ濡れているではいか!
 「まぁー東のナメ沢は南面ですし、日が当たって乾いてますよ!」 と進む事10分。東のナメ沢大滝は全然陽が当たっていなかった。。。水量も通常は、したした流れている程度なのだが昨日の雨の影響もあり、ちゃんと水流として流れている。
東沢に入渓
乙女ノ滝
東のナメ沢出合到着!

とりあえずこハーネスを装着し、靴もフェルトの沢靴からフラットソールに履き替える。それにしても寒い・・・。手も若干かじかんでしまった。カッパを着るの
はもちろんの事、保温シャツも着て上は3枚重ね着する。トポには
"沢靴では厳しいがフラットソールなら快適"と書いてあるので早速グリップチェック。
                       
  
"?!" 変わんないジャン。。。

チョット歩きながらチェックしてみると、底面全体を岩に付けるようにしないとダメで、つま先だけだとあんまり沢靴と変わらない事を学習。。。 「では行きます
か!」
と出発。1段目はフりーで水流の右を進む。傾斜は緩いが結構滑る。
”何処でも歩ける!” という快適度は全く無く。ルートを選んでいく感じだ。監
督さんは何かの記録で"1段目が意外と渋い" と言うのを見たそうだが、全くその通り。
半乾きだからかな?1段目終了したところから水流左に移り少し登る
と、"ここでザイル出します" といわんばかりに残置支点&残置シュリンゲがあるので、ザイルを出した。

大滝全景(クリックして)
1段目はフリーで(カーソルあてて)
1段目終了点へ

1ピッチ目は簡単そうなのと、寒くて早く日向に出たい私がリードを買って出る(笑) ここから真っ直ぐ登ると途中残置ボルト(結構抜けそうな感じなのが多い)
ありレベルも3級+程度。
「ザイル残り5m~!」というコールのところにボルトが丁度2個打ってあるので。ここでピッチを切る。
監督さんも難なく登ってきて3段
目の登攀にそのまま移行する。ちょっと草があるものの、岩の凹凸
がある左側かな?と思ったが、監督さんは右の水流側に向かっていく。確かにこちらに
残置支点があるようだ。一番水流に近づいたところで直上するらしいが、ここでランニングビレイを取った後、かなり苦労を強いられている様子・・・。
    
            「ボルトが1箇所抜けちゃってるよー!」
      「まぁそこで落ちても滑るだけで怪我しませんからー」   と私はポカポカお気楽モード

監督さんはA0でビレイを掛けたボルトに足をのせ次の残置ボルトを伺うが、ここが第1の核心らしい。それでも何とか次のボルトに届いた!ここで落ちると
10m滑り落ちるので考えてみれば結構怖わそう。
「この先支点が無いよー」と監督さん。。。下から見ても傾斜が急なのでこのまま直上は難しそうだ。左の方に
トラバースした方が傾斜緩くなる感じなので、左のトラバースを勧めるがそちらの方向にも残置支点は無いとの事・・・。悩んだ挙句、監督さんは左へトラ
バースを開始。一歩一歩慎重に進む現場監督さん。トラバース中に落ちたらグランドフォール同等というところまでザイルを伸ばして無事トラバース成功
!残置支点も発見!ビレイポイントはここより4m程上。45mザイルでは届かないので、私が1段登って監督さんがビレイポイントまで到着。
フォローしてみると、水流側に近づくところまでは容易だが、その先の直上する所は、
                     スタンス無い、ホールド無い、ありえない!!!  
と言った状況・・・・ここは完全に摩擦力の世界だ! 這うように上がって遠慮なくボルトに足を置く。。。さらにフリクション勝負で4m直上。ザイル掴みたくな
るほど
ここはシビア。  なんとか次の支点に手が届き一息・・・ "しかし、よくこんなところ監督さん登れんなぁー"と感心するのはまだ早く。ここから左へのトラバー
スが
またシビア。
「ここトラバースするの!?」     「そうそう!!!(^^)」
もちろんザイルがそっちに伸びているので自分にルートの選択権は無い(涙)。靴底全体を岩面に当てる様にしてトラバースを開始。

「ひぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

                          落ちなかった…
2段目ルート(カーソルあてて)
3段目を監督さんがリード!(カーソルあてて)
凄いところでピッチを切る現場監督さん

3ピッチ目は私がザイルを伸ばす。少しでも水流側に近づいて直登感をかもし出したい所だが、残置支点が 今ひとつ見付からないので、そのまま真っ直
ぐ登る。先程の監督さんの2ピッチ目に対して実に弱気なルートだ。しかも上部の岩が湿った所でスリップ。。。1m下の草付で止まってセーフ! 
さらに弱
気になり結局灌木沿いを登ってザイルの残りが無くなった所でピッチを切る。3級+と言わせて!
4ピッチ目は何の問題もなく5段目の取り付まで現場監督さんがザイルを引っ張っていく感じ。
5ピッチ目は5段目の登攀で、下部はスタンス/ホールドが多く、上部は1枚岩だが残置ボルトもあるので行けそう。

「監督さん行きます?」    「いや、もうさっきのでおなか一杯」

。。。と言う事でそのまま私がリード。下部は予想どうり3級レベルで容易。上部1枚岩はボルトにシュリンゲを掛け、安易にA0を一回するとガバが取れる。ここから下を見ると登ってきた大滝の全容がすばらしい光景として目に入る。ぜひ5ピッチ目を登りきる前にここで振り返って欲しい!
ここで大滝は終了した感じだが、すぐ上に10m滝があるので、そのまま監督さんがザイルを伸ばして大滝完全終了。ここで再び沢靴に履き替える。
3ピッチ目(カーソルあてて)
5ピッチ目ルート(カーソルあてて)
大滝上から

この先の15mナメ滝は右巻き、20m滝は左巻きと後で見たら遡行図と同じ事をやっていた。ここからは5~8m滝が所々現れ、秋の癒し系の雰囲気12mハ
ング滝
はそんなハングという感じではなく、頑張れば水流左を直登も出来そうだが左から小さく巻く。三俣にかかる8m滝は3級レベルで快適に直登。
20m滝
5m滝
12mハング滝 
三俣手前の8m滝は快適直登

次の15m滝は右岸を巻くとトポに書かれてあるが、水流右から水流を横断する感じで斜上すれば直登も可能。途中残置ハーケンもあった。今日は水量
が多いのでチョット濡れるのを嫌がり、水流左端の直上ラインに挑戦する。このラインは見た目行けそうな感じがしたが、取り付いてみると最初の7mが非
常に難しい。幸い現場監督さんがカムを2個持ってきてくれたので、支点を取りA0も使いなんとか残置ハーケンの所まで登った。さらにハーケンを打ち足し
そこからは灌木に逃げる感じで登る。
Ⅳ+A0
次の2段25m滝もトポは左巻きでと書いてあるが、これは階段状で容易。監督さんがそのままザイルを引っ張る感じで、快適に超えていくトポにはこの辺りに2人用の岩小屋が有る様だが、気付かなかった。2段25m滝を超えると伏流となる。通常の水量だとここで水は完全に涸れるだろう。蒸したゴーロ帯にな
る箇所では、
トポでは枝沢が数本入るように書かれてあるが、特にどちらに行けばいいのか迷うところは1箇所でここは右に入る。おそらくこれが正解。
15m滝(カーソルあてて)
15m滝を登る
 2段25m滝を登る
ゴーロ帯に変化

詰めのヤブは薄く歩きやすい。出たところは第3岩峰と鶏冠山山頂の間で、数分歩いたら第3岩峰迂回路と書かれた看板が現れた。。。鶏冠尾根は1度歩
いた事があるので、そんなに不安はない。相変わらず赤テープは豊富。迷いやすい所は第3岩峰下と第2岩峰下。それぞれ登りがあり、下ばかり気にして
いると迷いやすい。赤テープは随所にあるので1、2分歩いて見付からなければルートを誤っていると考えた方がよいだろう。鶏冠山は山梨100名山に数え
られているようで、おじちゃん、おばちゃん達を数名追い抜く。丁度3時間で鶏冠谷出合に到着。。

今年は紅葉が遅く、見ごろは来週? 西沢渓谷道に出ても人影はまばら。現場監督さんとは帰る方向が180度逆なので、現地解散となった。
最後の詰め
この近くの稜線に到着
鶏冠尾根の下降

P.S: 東のナメ沢は明るい登攀系のお勧め沢です。大滝はボルトが抜けているのも多く、また抜けそうなものも多いので注意。打ち足すつもりならアブミも
   持っていく必要があるでしょう。完全に"摩擦力"勝負なので。ラバーソールが圧倒的に有利。ザイルは40m以上が望ましいです。この沢は濡れないし、
   汚れないので岩をやる人にもオススメかも。

概念図(クリックして)





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