1996年7月25〜27 北アルプス 槍ガ岳 北鎌尾根

単独、登攀道具無し、

初日:晴れ
 AM6:30高瀬ダム発→8:50湯俣通過→12:00千天の出合→
 15:20北鎌沢の出合(テント泊)

車をJR大町駅前のアルプスタクシーに駐車させてもらった。タクシーを利用すると2,3日無料で
車を置かせてもらえる。しかも今回、4人で相乗りできたので高瀬ダムまで1900円で済んだ。
  七倉で北鎌へ行くグループが二組いることを知る。単独行の時は寂しいので結構気になる・・・
が、この先一度も見かける事は無かった。・・・

 歩き出すと最初の難関はトンネルだ!真っ暗だったら帰ろう!・・・と、思ったがトンネルには電気がツイテイタ。

 一時間ダム沿いの車道歩きとなった後、湯俣までの平坦な歩きとなる。途中5,6人は寝れる程の非難小屋があり
割と綺麗だった。湯俣から水俣川の吊橋を渡った所から道がひどく、"荒れる""崩れた""ない"の3拍子となる。
水俣川沿いの左岸を歩くのだが、実際7割が
ヤブ漕ぎ、残りがガレ場のトラバース、水俣川のへつりといった感じ。川は腰まで入る深さは十分にあり
この時期でも水はすごく冷たいので、沢靴でも相当ツライかも。

千天の出合手前で右岸に渡渉する。渡渉ポイントは吊橋が崩れているので周辺の適当な場所を探すことになる。
今年は雪が多かったせいか、股下まで水に浸かった。水は本当に冷たいので靴を履いたまま渡渉した。
 千天の出合ではテントが1,2つ張れる。ここで幕営する人もいるだろうが、実はこの先も大変なので、
この先の北鎌沢の出合まで進んでおいた方が良い。

千天の出合からは右岸の踏み跡を30分程進み河原に出たところを少し進むと、高さ4mくらいのところに川をまたぐ
ロープが張ってあった。地図(昭和50年発行の1/25000だと当時の登山道が載っている)
昔、ここに橋がかかっていたらしい。今は残骸さえも残っていない・・・。

 ここでも腰まで入る渡渉を強いられる。(後日、ガイドブックを見るとこの渡渉点から北鎌の冬季ルートになるらしい)
 渡渉を終え、左岸を進むが、ここも道は無い。しばらくすると左に貧乏沢が見えてくるはずなのだが、
なかなか見えてこない。途中ガレ場で足元が崩れ滑ってしまった。幸い3mくらいで止まったが腕に刀傷を入れてしまう。
 
 ようやく貧乏沢が見えて、この沢を通り過ぎ、15分程行くと河原が広くなり.河原を歩く事が出来る。
ここから20分ほど進むと右の谷にケルンを発見。地図を取り出し、これが北鎌沢と確認、
適当な場所を見つけてテントを張る。

 1時間程して20代男性、さらに30分程して30代の女性がそれぞれ単独でやってきた。
2人とも大天井から貧乏沢経由で来たそうだ。男性は毎年この時期北鎌にやってくるが、この辺は毎年
水の流れる位置が違ってるとの事だった。

2日目:晴れ
 5:15北鎌沢出合発→6:48北鎌コル(稜線)、7:05同発→8:40独標下着、9:00同発
 9:30独標着、10:00同発→12:45北鎌平着、13:05発→槍ガ岳山頂着
 (槍ガ岳山荘テント場泊)

二人に挨拶をして、北鎌沢を登る。15分くらいで左股と右股に分かれる。左股からしか水が流れていないので、
水をここで汲んだが、実は右股もさらに上流で水が汲める。暑さが予想されたので、2.5L近い水を汲んだ。
(実際飲んだ水は2.0Lを超えた)
 ここから右股を登る。北鎌コルまでは1級程度の沢歩きで、ヤブ漕ぎも無し。難なく北鎌コルに出られる。
北鎌コルでは4,5人用テントが1張り張れるスペース有り。
 
ここから北鎌尾根の歩きが始まる。まずは"天狗の腰掛け"と言うところまでの登りだ。
道はあるがガレガレである。1個所もろそうな岩を直登するところがありひやひやモノだがこれから先はこんな感じの連続!
 "天狗の腰掛け"で一休み、ここからは独標が目の前にそびえたつ様に見える。

独標下でザックを降ろし、ルートの確認をする。1つはクラックを上がるコースで古賀志の5級くらい。
もう1つはガレ場の登りで3級+くらい。もう1つは千丈沢側を巻くルートであるが、巻くルートは途中でスパッと
切れ落ちており、高感度がすごい。また横の岩が、腰の高さくらいで谷側に張り出しており、4つんばいになっても
ザックが岩に引っかかりそうだ。
 結局2番目のガレ場の登りを取る。 登ってみるとやはり怖い。"この岩が外れたら・・・"
と思うとぞっとする。

「ベルリンフィルのチケットがせっかく取れたのに、こんなところで落ちたくねーよ」

と思いながら登っていった。
 独標に登ると槍がどどーん!と見える。すごい光景だ。
独標からの槍ヶ岳


それにしても、山岳会メンバーは良くこんなところを積雪期にのぼるよなぁ、
(山岳会の5月山行くは気管支炎になってラッキーだったのかも)
 独標上でもテントがひと張り張れるスペース有り。水があって落雷の心配も無ければここでビバークして
槍の朝焼けを見るのも良いだろう。
 
 独標を過ぎるとわりと楽になるのかと思ったが独標から千丈沢側の下りはガレガレ、昔の登山道らしい道は
かなり崩れている。2,3箇所さびたハーケンに汚いシュリンゲがかかっていたところがあったが頼りにする気には
なれない。1箇所完全に巻き道が崩落しているところがあり3つ繋がったシュリンゲに頼らなくては突破できない
ところがあり運を天にまかせ突破する。シュリンゲは1つ2つもった方が良いでしょう。
 
 ようやく北鎌平に到着。槍の穂先を残して一休み。ここからは1度登った事があるので安心だ!
途中ルートをそれたが、杭が打ってあるポイントに到着。そこからは頂上にいる人の顔が見える。
 頂上にいる人からの拍手を受け山頂に到着。感無量だ!

ここからは今までが嘘のように夏山の賑わいがあった。。。
きょうは槍ヶ岳山荘にテントを張った。


3日目:晴れ
 5:50槍ガ岳山荘キャンプ場発→9:05横尾着、9:20同発→10:40明神着
 10:53同発→11:53上高地着

予定では大キレット通過だったが1度通った事があるしキレット通過で渋滞しそう。ラッパも練習しないと・・・
という安易な理由で下山。
 槍がみえるまでは写真を撮りながら、見えなくなってからは一気に下る。明神からは、梓川右岸を歩いた事が
無かったので行って見た。非常に綺麗で時間があると時はお勧めだ!

P.S:山を登り始めて8年、ようやくここまできた感じだ。文中にも記載してあるが
   この年の5月に山岳会のメンバーがヒマラヤ事前合宿として北鎌尾根に行った。
   私も参加するつもりだったが、風邪をこじらせ行けなかった。
   それのリベンジがこの山行だった。
   半袖、海パン、登攀道具全く無しという、相変わらず舐めた格好での登山だったが
   天気に恵まれ無事帰ってきた。
   独標の登りは、平成11年(?)の地震で結構崩れたらしく、今はルート
   がどう言う状態になっているかは不明だ。ヤブ漕ぎが辛いので
   次回は貧乏沢から入ろうと思う。

   そうそう、ベルリンフィルのコンサート"マーラーの2番" いやぁー、すごかったですよ!生きてて良かった!

2005年4月の北鎌記録はこちら

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