2008年10月12,13日 三国川流域 栃ノ木川 コウガイ沢

メンバー:Takahashiさん、ひろた
装備:ザイル8mm×50m、靴:フェルト
遡行図、概念図はこちら

当初、2泊3日で栃ノ木川流域の銅倉沢を計画していたが天気の都合で、1泊2日の沢に変更。栃ノ木川流域ではガイド本やWEBでの記録が殆ど見あたらない
コウガイ沢を計画。実際は、時間も有ったため、栃ノ木川本谷も源頭部までの調査遡行も行ない栃ノ木川流域の概略を把握する事にした。

アプローチ
18:05自宅発→(上三川から高速→19:00佐野藤岡→8:58月夜野IC通過→9:52湯沢→22:42十字峡

初日
5:57十字峡発→7:00栃ノ木取水口→7:30丹後沢出合→8:00金掛沢出合→9:03コブシ沢出合
→9:55栃ノ木川本谷出合(ベース)、10:35栃ノ木川本流遡行開始→11:30二俣→
12:15栃ノ木川本流源頭部(折り返し)→13:55コウガイ沢/栃ノ木川本谷出合着

十字峡は中ノ岳登山、渓流釣などの重要な起点となる所だが、駐車スペースが少ないのが難点だったが、
十字峡右岸、下津川出合に駐車場が利用できるようだ。携帯はソフトバンクでは繋がらない。

朝、起きると隣にTakahashiさんの車があり、支度をして出発する。栃ノ木川と三国川本流が別れる所に橋がかかり、
栃ノ木川左岸につけられた道に入る。この道は取水口まで明瞭につけられている。
途中、懸垂の支点が外れ8m滑落した鍋沢の大滝が対岸に見えてくる。思っていた以上に急傾斜で、よく無事だった
ものだ・・・
急な梯子を下ると、取水堰堤が見えてくる・・・と、唐突にドアが行く手を阻む・・・ここから異次元へ繋がっているような
感覚だ。。。しかも足元は完全崩れてるし(^_^;) 扉は開かず、右から回り込んで、沢床に降りる。
栃ノ木川(左)/三国川出合(右)出合
取水堰堤にある未知への扉
入渓♪

平凡な様相はつかの間で、沢が左直角に曲がると。泳がないと進めない淵。さすがにこの時期に泳ぐのは辛いので、
右壁に取り付く。Takahashiさんのラバーソールだと上手く突破できたが、私のフェルトだと、かなり困難。
残置ハーケンが打ってあるので、長いシュリンゲを出してもらい、振り子トラバースで突破した。
 すぐに沢右直角に曲がり6m滝。左の壁は50m程度垂直に切り立ち、威圧感を覚える。幸い右から容易に越えられ
安堵。すると河原状に一旦開け、早くも丹後沢が右から入る
いきなり難関!(カーソルを当てて)
6m滝は右から容易に
丹後沢出合

丹後沢出合を見送ると両岸切り立ったゴルジュに突入。見るからに悪い。次に現れる4m滝は全く取り付けず
左から小さく巻く。懸垂無しで沢床に戻れる。相変わらずゴルジュが続くが、沢自体は概ね平凡。4m滝は右壁を
経つって突破。ここを越えると左岸側が少し開ける。どうもここが「上信越の谷105」の金掛沢のページに出てくる
左岸の大高巻きポイントのようだ。
淵を持った4m滝左から小さく巻く
4m滝の経つり
金掛沢出合の左岸の大高巻きポイント

この先すぐに狭い切り立ったゴルジュになり左から10mヒョングリ滝さらに右から8mの金掛沢出合の滝が出合う。
ここは10m滝の水流左壁を4m直上しバンド状を上がって行けるV
ちなみに、金掛沢を遡行する場合、先ほど書いた左岸の大高巻きで取り付くより、この10mヒョングリ滝を越えて、
金掛沢右岸に取り付いたほうが、より小さく巻けるし。金掛沢出合の連瀑帯に取り付けるかもしれない。
金掛沢出合にかかる10mヒョングリ滝 
右が金掛沢の8m滝

10mヒョングリ滝上は沢床がすこし広がる巨岩帯。。。すぐに狭いゴルジュになり4mCS。濡れるの覚悟、釜に落ちるの
覚悟で頑張れば、行けるかもしれないが、左岸を高巻く。この高巻きは25m程度の大高巻きになる。50mザイルで
あれば懸垂で降りられると思うが上から見る沢の様相は狭く、降りたは良いが進退窮まる可能性も否定できない
ので、高巻きを続ける。途中スラブの微妙なトラバースでクライムダウン可能な所までたどり着いたが、ザイルを
出せば、リスキーな事をしなくても沢床に降りれるはず。 

降りた所は6mナメ滝上。高巻きを開始した4mCS滝から100mチョット進んだ所だと思われる。
さらに大きく長く高巻けば、この先に容易に降りられる所もあり。
左岸大高巻きになる4mCS
下降点をさぐる
微妙なスラブトラバース(カーソルをあてて)


沢の右岸は相変わらず50m以上の垂直壁、左岸が少し開けるが、その左岸の壁もそそりたち激狭ゴルジュと急変。
そこに立ちはだかる6mCS滝

「こ・これは!!!」とつい唸ってしまう。

右岸の高巻きは相変わらず絶望的で、高巻くなら左岸を大高巻きとなる。幸い釜は浅いので、滝に取り付いてから
両手両足ツッパリで直登を試みる。意外と両足が決まり、少し水が掛かる程度で直登出来た。V
6mCSは容易に越えられたものの両岸垂直に切り立った幅狭ゴルジュ。渋い滝が出てきたらOUTだが、
この長さ100程度の激狭ゴルジュ・・・容易な4m程度の小滝くらいしかなかった。。。(^^)v

6mCS
ツッパリで直登
長さ100mの激狭ゴルジュ内の様相

激狭では無いものの、やはり悪い様相のゴルジュは続く。幸い悪い滝は無く、淵に入っても腰まで浸かる程度。
5m階段状を快適に越えると左から7m程度の滝で出合うコブシ沢が入る。本流は右に曲がり4段20m滝。この滝の
直登は問題無い。
4段20m滝を越えると両岸の威圧感は徐々に無くなってくる。5mナメは右から。7m滝は水流左の垂直壁を4m直上、
残置ハーケンがあるので、長めのシュリンゲでセルフを取って1ポイントを越えれば後は容易。W. Takahashiさん
にはお助け紐を出して登ってもらう。
コブシ沢出合(本流は右に曲がっている)
コブシ沢出合の本流側 4段20m滝
7m滝。左壁に残置ハーケン有り


7m滝を越えると長いゴルジュがやっと終了。。。少し進むと、栃ノ木川本谷が右から出合う。この辺りはテン場適地と
なっている。稜線も見え、非常に景観も良い。 
時間はなんとまだ10時前・・・下部のゴルジュ突破に時間が掛かると思っていたのだが予想以上に早く到着した為、
ここでベースを張り、コウガイ沢だけでなく、栃ノ木川本谷も調査してみる事にした。

栃ノ木川本谷は本谷といっても支流のようで、コウガイ沢の方が明らかに本筋。水流もコウガイ沢よりも圧倒的に少ない。
「これ本当に本谷?」と言いながら平凡な様相の中を登っていく。やっと出てきた5mナメ滝、2段4mCSを快適に越えると、
残置シュリンゲが落ちていた。「おぉ!こんなところに来る人居るんだー!」と2人ともビックリ。
やっとゴルジュ終了
栃ノ木川本谷出合 (右が本谷)
貧相な本谷入口

再び平凡な様相に戻り、一旦伏流になるがすぐに回復。すると7m3条滝が現れる。左壁に取り付きバンド状を落ち口
に向って上がっていく。V−。 この辺りからポツポツ滝が現れる。6mCSは水流右から、2段6mも容易。この辺りは
狭いゴルジュになっているが、通過に問題はないでしょう。ゴルジュを抜けると(3:1)二俣。ここを水量の多い左に入る。
栃ノ木川本谷7m3条(カーソルを当てて)
6mCS
(3:1)二俣

ナメの小滝の先、6m2条滝は水流左を取り付いたが渋く、右から登ったTakahashiさんにお助け紐を出してもらう。
この先で(1:2)二俣。水量の多い右に入るが、左俣には25mの滝が掛かっているのが見える。ここから本流は
連瀑帯に入る。4mナメ。その上に14m3段滝。水量が少なく圧巻という感じからは程遠いが快適に登れる。
そのすぐ上に3段10m。その上に多段15m。どれも問題なく登れる物ばかりだ。5mナメは直登したが渋いので
取り付かないほうが良いかも。
14m3段滝
多段15m
5mナメ

10m4段滝を越えると、源頭の様相(3:2)二俣からは稜線も見える。最後の詰めは
"ハイマツとコメツガの猛烈な藪コギ"と登山大系に書いてあったので、ここで調査終了として引き返す。

クライムダウンや、草付を利用しながら下降可能。ザイルを出したのは1箇所だけで済んだ。
(3:2)二俣から
(3:2)二俣から

ベースに到着したのは14時前。本来なら、ここで釣なのだが、全く魚がいない・・・
正直取水堰堤から1度も魚影を見なかった。竿は出すもののやはり全く当たりがこない。
薪は豊富なおで、焚き火を囲んで昼間から酒を飲む・・・



2日目
7:03コウガイ沢/栃ノ木川本谷出合発→11:51稜線到着、下山開始→12:54日向山→14:08十字峡着

栃ノ木川本谷出合からは平凡。テン場適地は豊富。正面に狭く深いゴルジュが2本見えるが、幸いな事に(?)これらは
枝沢で、コウガイ沢本流は大きく左に曲がった所を流れている。雪渓も一部残っており、8月くらいだとこの辺りはまだ
ブリッジになっている所も多いと思われる。
コウガイ沢 本流は左に回り込む
コウガイ沢本流の様相

沢が左に回り込むと右岸の岩壁が立ってきて、滝が出始める。最初の小滝を越えると2段8mナメ滝。ここで左岸から
スラブ状の10mナメ滝が合流する。水量比(2:1)。本流側は右岸の岩壁が威圧的になってくる。次に現れる5mナメは
水流左を取り付いたが登れず。小さく高巻いたTakahashiさんにお助け紐を出してもらう。この上の4mナメ、6mナメ等
は快適に登れる。
滝が出始める
スラブ状の10mナメ滝が合流(本流は左)
本流4mナメ

右岸からルンゼが入るところで、威圧的な右岸岩壁は終了。この辺りの岩は、石英らしい物が鉱脈のように入って
おり特徴的だ。このあと、6m程度のナメ滝等を超えていくと、狭いゴルジュになる。見た感じ凄く悪いが、前を歩いて
いるTakahashiさんからGoサインが出ている。 ゴルジュ入り口にある5mは容易。すると2段15m滝が立ちふさがる。
水流沿いの直登はムリで、右の垂直壁を5m登り、バンド状の岩壁を落ち口に向って登っていく。
垂直壁が登れれば(V+) 後は快適に登れる。滝上に出るとCS滝が連続しているのが見える。
狭いゴルジュに突入!
2段15m滝(カーソルを当てて)
2段15m滝上の様相

滝上に出るとCS滝が連続しているのが見える。一応この2段15m滝上に出てからも右岸の高巻きは可能。
CS小滝はクリヤー出来るが6mCS滝は厄介。空身で右端の岩溝に体をねじ込みバックアンドフットでジリジリ
上がる。さらに確実に登れるように。カムを利用してA0で1段あがる。荷物を置けるスペースがあるので一旦荷物を
上げ、再び、空身で岩を抱きかかえる感じで左に回り直登。Takahashiさんにはザイル代わりにシュリンゲを繋いで、
ビレイを取って登ってきてもらう。
このすぐ上には8mCS。シャワーを浴びての水流直登も見た感じ可能。カッパを着て取り付いてみたものの、結構
頭から濡れるので断念し、水流左を上がるが、スタンスホールドは少ない。
厄介な6mCS滝(カーソルを当てて)
6mCS滝直登、ここでカムを取り出す
8mCS(カーソルを当てて)

すぐ上には8mナメ滝があるがこれは快適に登れる。4mナメ2条4mと続けざまにクリヤーするとコウガイ沢核心と
なるゴルジュは終了。沢床は概ね平凡となる。正面に見える。山肌の紅葉が実に素晴らしい。4段8mナメは快適に
越えると終了点となる日向尾根の稜線が見えてくるが、青い空、白い岩、そして紅葉と、沢自体は平凡なのだが、
実にすばらしい。
4mナメ
2条4m
青い空と紅葉がきれい


水も涸れ(涸れてからも長いので夏場、水は多めに汲んでおいたほうが良い)、概ね平凡な様相のまま
源頭部へ。最後の詰めは幾つか沢筋が入るが、登り易いものを適当に選べばよく、藪コギが無いまま日向尾根の
8合目と9合目の間に出る。
日向尾根はしっかりと踏まれており、越後の山々を堪能しながら十字峡へ到着。
日向尾根が見えてくる
開放的な源頭部
コウガイ沢を振り返る
中ノ岳とコウガイ沢源頭部を振り返る


P.S:コウガイ沢/栃ノ木川本谷はコブシ沢出合いまでの下部のゴルジュの雪渓が残ると厄介かもしれない。
   栃ノ木川本谷自体は初級レベル。コウガイ沢はゴルジュが多少難しいが、高巻き可能。
   テン場は、丹後沢出合と栃ノ木川本谷出合付近以外はあまり良い所は無い。ザイルは45m以上を用意すべきでしょう。   

栃ノ木川本谷コウガイ沢遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)

沢登りトップへ    その空の下で。。。トップへ



inserted by FC2 system