2013年6月8、9日 南アルプス 尾白川 鞍掛沢 金山沢
メンバー:SACHさん、ひらっぺさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:長坂上條、甲斐駒ケ岳
遡行図、概念図はこちら
今回、ひらっぺさんが初ジョイント。行先はまたまた天気に翻弄され、南アルプスの尾白川へ。尾白川と言えばなんといっても甲斐駒ケ岳に詰めあがる黄蓮谷が有名だが、
すでに遡行済みという事もあり、支流の鞍掛沢をチョイス。この沢、登山大系には ”滝はなく、遡行価値も無い。。。”とひどい書かれ様となっているが、WEBの記録を見ると
”魚も走るし、意外とイイ。。。”との事。。。鞍掛沢を詰めるとどんどん基点から離れていくので、初日に鞍掛沢本流を行けるところまで行き、二日目は左岸の最大支流である
金山沢に入り戻ることにした。
18:55小金井→19:27栃木IC→21:00佐久PA、4:20同発→6:10日向山登山口P
6:34日向山登山口発→7:50林道終点→8:15尾白川遡行開始→8:45鞍掛沢出合→11:21金山沢出合→11:40鞍掛沢本流1670m付近ベース着、
12:57ベース発(鞍掛沢本流遡行)→13:35 1850m付近大雪渓で引き返す→14:21ベース着
栃木からの場合、尾白川へのアプローチは、中央高速を使うよりも佐久から南下した方が早いし安い。ひらっぺさんとは佐久PAで待ち合わせ。
このPAは上下線ともスマートICがあり、上下線を歩いて行き来可能。また、一般道側にも駐車場があり、集合場所として使うには便利なところだ。
早朝のR141は空いていて、すんなり、尾白川林道に入る。車は2か所ある日向山登山口の手前側の200m先まで入れる。駐車スペースは10台程度だが、
日向山には多くのハイカーが来るため、車の少ないうちに切り替えして駐車しておいた方が良い。携帯はSoftbankでも繋がる。トイレ無。
1時間20分程林道を歩き、林道終点から踏跡を使って尾白川に入渓する。昔、尾白川遊歩道周辺から入渓して、ゴルジュから危うく脱出できなくなると
いう経験あり。ここより下流の尾白川はスーパーエキスパートのみが許されるルートと思った方が良いだろう。
平凡な様相を進みプールの様な大釜を持った4mナメを右から超える。平凡と言っても一つ一つの岩が大きく見事な景観。9mナメ滝、7mナメ滝は
それぞれアクアステルスのグリップ力で快適に水流右を登れる。ナメ床を進めば早くも鞍掛沢出合。尾白川本流との水量比は(4:1)。
鞍掛沢に入ると岩の大きさも一回り小さくなる感じ。平凡な様相にナメ床が散見される。WEB記録によると"魚も走る"と書いてあったが、全く魚影が無い
ことにはガックリきた・・・。。。
しばらく進むと,SACHさんが「左岸にテンバとして絶好な台地がある・・・」というので覗いてみると、つぶれたテントを発見! 中には羽毛の寝袋やら救急キット
さらに3日分くらいの食糧等々が割ときれいな状態で出てきた。レトルト食料の賞味期限を見ると"2011年・・・"すると、すでに3年近くは経過している訳
だが、それにしては保存状態は良い。貴重品は無いので、荷物を置いて自力下山?それとも釣りに出かけてどっかで事故死か・・・? ガサガサあさって
みると、携帯番号が書かれたメモ紙が1枚出て来たのでこれをもらって、先に進む。。。下山後電話してみると工場長?みたいな方が出て"その当時事故
や行方不明"と言った話は聞いてないとの事だった・・・
この先2段7mナメ、6mナメ等、イイ感じのナメの小滝が随所に出てくる。途中左岸から幅広の10m滝で出合う支流が合流するが、乗越沢と名前が付けら
れており、鞍掛山に詰めあがるようだ。水流の少ない沢ですがこちらの沢を遡行する場合は充分日帰り可能でしょう。 この先は、概ね平凡な様相が続くが、明るい雰囲気で悪い気はしない。しばらくすると平凡な様相で金山沢が出合う。水量比は(4:1)程度。この出合い
には良いテン場が無く、鞍掛沢本流側に進む。6mナメ滝を超え幅広のナメ床を超えて、1670m付近に整地済みの絶好のテン場を水流左に発見。
竿を出さずに遡行したので、時間はまだ12時前。とりあえず、ここで、テントを張り荷物をデポして、鞍掛沢本流をさらに遡行してみる。
この先、滝という感じの滝は出てこないが、左岸の崩壊壁は見事。。。以前、尾根の反対側にある濁沢を遡行した時も崩壊壁は至る所で存在し、
この辺りの山全体が脆い岩で出来ている感じ。遡行自体は問題ないが、地震が来たらかなり怖い思いをしそうだ。
1800m付近から上を歩けるような雪渓も出現。1850m付近で沢全体が雪渓で覆われるようになり、さらに両岸が切り立った脆い壁となっている。
沢は一直線に伸び、稜線まで一望できるので、ここで、遡行を打ち切りベースへ引き返すことにした。
二日目
5:40出発→5:53金山沢出合→6:25 1735三俣→8:15 1910二俣→10:15稜線登山道→12:06日向山山頂→13:02日向山登山口
ベースを撤収して、1622まで下り金山沢に入る。出合は水量も少なく平凡。両岸の壁は脆く、埋もれた感じだ。"ハズレ?"かと思ったが、崩壊から免れた
4段15mのナメ滝が出てくる頃から滝が続くようになる。。。
7mトイ状を上がると(1:4)二俣。左は20m滝、10m滝と細流を落している。右側本流は幅広8mナメ。20mスラブ滝と続き、出合の平凡な様相からは想像もつ
次の20mスラブ滝は水流右の直登を試みるが、リスも少なく8m程度上がった所で断念。慎重にクライムダウンして水流左草付きとのコンタクトラインで
直登する。ザイル30mでは届かないので途中の灌木でピッチを切って2ピッチで上がった。
20mスラブ滝上はツルツルのナメ床で、4m、3段9mナメを超えると、2段18m滝が現れる。下段は水流右をフリーで登れたが、上段は嫌らしく、左岸を
おとなしく巻いて滝上に出る。すると、もう次の滝が視界に入ってくる。。。 6mナメを超えると12m滝。岩壁は右へ右へと延びており、左岸の大高巻きかと
思ったが、ギリギリのところでトラバースラインを見つけ小さく巻く事が出来た。
滝上はゴーロ状。少し進むと1910mに位置する二俣。水量比はほぼ同じだが、ここは右に入ると大岩山の登りを避けられる。その右には20m滝、
左は6m滝となっている。休憩がてら右の20m滝をを偵察に右岸からも小さく巻けそうだが、水流左の草付も登れそう。SACHさん、ひらっぺさんには
左の6m滝上から高巻いてもらい、私は単独で水流左の草付から直登する。思った通り、階段状で支点は取れないものの快適に上がれる。水流に
出たところからは容易に直登出来、滝上に出れた。
振り返ると甲斐駒ケ岳が見えた。高巻きして上がってきた二人と合流。前方にはこの沢最大級の大滝が控えているのが見える。近づいてみると垂壁で
囲まれた40mドーム状滝。水は少なく飛沫状で飛ばしている。とても登れるものでは無く、高巻きは右岸。ちょっとした登りになるが、ザイルを出すほど
でもなく、後続にはシュリンゲをセットして上がってきてもらった。大滝の割には素直に巻け、落ち口ジャスト付近に出れる。
この滝上からは一気に源頭の雰囲気。帰り道は長いので十分に水を汲んでおく。
二俣を右に入ると水も涸れ、藪漕ぎ無しで大岩山東側の稜線に出れた。ここは明瞭な登山道があり、日向山を目指す。途中鞍掛山への分岐道があり、鞍
掛山山頂も踏めるようだ。 日向山はハイカーが非常に多くのハイカーでにぎわっていた。
P.S:鞍掛沢はナメ・ナメ滝も多く、結構楽しめる沢でした。1850m付近から先は両岸切り立った脆い壁の中を平凡な様相(?)で詰めるので、
他の沢への継続遡行を考えないのなら金山沢を含め左岸支流で稜線に上がるのが良いでしょう。金山沢は"水不足"時期に遡行しましたので、
通常時はもう少しイイ感じの景観を楽しめるかもしれません。ザイルは30mでも遡行可能ですが、より直登を試みるなら40m強は必要。
テン場は鞍掛沢本流であれば1670m以下なら随所に見つかると思います。。。魚影は全く見ませんでしたが時期が悪かったのかな・・・???
|