2013年9月7日 前日光 東大芦川 ヒノキガタア沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:日光南部
遡行図、概念図はこちら

秋雨前線が停滞、丹沢方面はまずまずの予報だったが、4月でも行ける丹沢に行く気は無く、栃木県も、午前中は天気が持ちそうだったので、近場の沢でお気楽に・・・
という事で、前日光 東大芦川ヒノキガタア沢に的を絞る。2013年4月に遡行した東大芦川 蕗平川の一本北に位置する沢だ・・・。東大芦戸川流域の沢は登山大系にすら
載っておらず、WEBで知った次第・・・。。。
アプローチとしては鹿沼から古峰原をめざし大芦川林道から入るルートと、日光からR122の旧道(足尾側から入る)から細尾峠に入り薬師岳南方尾根から本沢等を下って
入渓する2ルートがあるが、後半天候が崩れる予報なので、コースタイムが短い前者でのアプローチとした。

20:29石橋駅→21:30古峰神社一ノ鳥居付近(仮眠)
5:55基点発→6:30入渓点→6:35本沢/ヒノキガタア沢出合(本沢 ナル滝往復) 7:20ヒノキガタア沢遡行開始→8:30ヒノキガタア滝上
→11:45稜線→11:55薬師岳、12:02下山開始→13:22林道→13:58基点P

県道58号線(古峰原街道)を進み巨大な1ノ鳥居が見えたところで、大芦川本流は右に曲がり左岸に付けられた大芦川林道に入る。本流沿いの林道は
全舗装で日光に抜けられる。 ここの林道から日光沢と本沢が別れる所からダートになる。4WDクロカン車であれば問題なく奥まで入れるが、2WDフィット
だと若干苦しい所があり、舗装路から500くらい入った所で、車を停める。もう少し頑張れば道の状態は良くなり、中継点近くまで車を入れられる。
携帯は古峰原街道を離れると繋がらない可能性が大。 入渓準備をすると、ハンマー、ATC、ホイッスルを忘れた事に気づく。林道が沢から離れる
所から、沢沿いに踏跡が伸び、堰堤上から入渓する。(概念図参照)
林道途中で車を停める
4WD車ならここまで入れます。
堰堤上から入渓します

インゼルを超えると、すぐに本沢/ヒノキガタア沢を別ける二俣。本沢には堰堤が掛かる。 本沢には入ってすぐ”ナル滝”と名付けられた滝がある
そうなので、本沢に入って見に行くことにした。平凡な広河原状をSACHさんと距離を置いて進んでいくと、SACHさんが「クマ、クマ!」と叫んでいる。
・・・と、SACHさんに先に気付いたクマがなんと丸腰の自分に向かって走ってくるではないか!  シャッターチャンス!!!  なんて、考えるわけなく
禁じ手と知って居ながら背中を見せて走って逃げる。。。 逃げ切れた・・・というか、熊に逃げる方向を与えたというのが正解だろう。。。
自分には大きく見えたクマだが、SACHさんが言うには親離れしたくらいだろうとの事。”クマの目を見ながら万歳して後ろに後ずさる・・・”なんていう
対処法を良く聞くが、足場の悪い沢で、後ずさりなんて出来るわけない・・・。。。

声を出しながら、小滝を超えゴルジュを進んでいくと、ナル滝に到着。10mほどの大きさだが、直登は難しいそう。水流右の細かいホールド/スタンスを
拾い、上がって行くか水流ひだりからシャワーを浴び1ポイント乗り越え上がって行くかになる。高巻きは左岸の弱点を登っていく事になるだろう。
引返して、ヒノキガタア沢の遡行に入る。
本沢/ヒノキガタア沢を別ける二俣
本沢に入ります(カーソルあてて)
本沢 10mナル滝(カーソルあてて)

ヒノキガタア沢に入って少し行くと、”棒滝”と名付けられた10m直瀑が現れる。右岸の泥壁を上がって行くと落ち口に向かって古いトラロープが付けられ
ており、これを利用して落ち口ジャストに抜ける。高度感があり、初心者にはさらにザイル出した方が良いかも。後日、他の記録を見ると左岸にクサリが
ぶら下がっているとの事だったが全然解らなかった。 
ヒノキガタア沢に入ります
棒滝10m(カーソルあてて)
落ち口に向かって高度感のあるトラバース

滝上は平凡な様相で、その先にある3mナメを快適に超える。左岸から2本の枝沢を見、壊れた石積み堰堤を抜けるとこの先で、左岸から(3:1)で顕著な
枝沢、その10m先で今度は右岸から(1:3)で日陰沢と名付けられた枝沢が入る。 ここからゴルジュになり、この沢最大のヒノキガタア滝18mが現れる。
地形図にはここが”棒滝”と書かれてあるが、どう見ても先ほどの滝が棒状に落ちているので、地形図が誤っていると思う。
棒滝上の3mナメ
壊れた石積み堰堤と日陰沢出合(カーソルあてて)
ヒノキガタア滝へ(カーソルあてて)

ヒノキガタア滝の高巻きは右岸と思われるが、見た感じ水流左は階段状にバンドが続いているので、ザイルを出して取りついてみる。段差が大きくなる
箇所でカムでビレイ。水流から遠ざかるほど岩が脆くなるので注意。脆い岩を落としたところをスタンスとして利用。下段12mをクリヤするV+
2段目は豪快に水を落とす所を両手両足ツッパリで超えることも考えたが、安全に水流右のV字ルンゼにルートを求める。アクアステルスのグリップが
利き快適V。 滝上右岸壁にクサリが付けられていたが、2m位のところで切れていた。昔はこれを利用していたのか??? 残置類は一切なし。
SACHさんも難無くフォローで、ヒノキガタア滝上に出た。
ヒノキガタア沢登攀ルート図(カーソルあてて)
1段目(カーソルあてて)
2段目(カーソルあてて)

滝上のミニゴルジュを抜けると3m、5mと滝が続くが、他の記録によると”3段滝”と呼ばれているところの様だ。この上で、平成12年に完成した最終堰堤が
あり、右から小さく巻く。左岸林道のガードレールが見え、ここまで林道が伸びているようだ。堰堤上の広河原状から先は小滝が続くようになる。突破に
問題は無い。
3m、5m滝(3段滝) (カーソルあてて)
堰堤上の様相
小滝が続きます(カーソルあてて)

小滝を超えていくと(2:1)二俣となり、本流は左直角に曲がる。しばらく進むと7m滝。水流右からフリーで登ったが、SACHさんにはザイルを投げる。
この先の、8m滝は”薬師滝”と名前が付けられているらしい。水流右壁とのジェードル部に取りつくが、3m程上がって水流側に移動する1歩が踏ん切り
突かないため、ハーケン1枚打ってシュリンゲでA0。ここでザイルを出す。ここから右の枯葉が堆積した横隔から上がれば簡単だが水流すぐ右の
スリット部にTRY。体全体のフリクションを使ってなんとか這い上がった。SACHさんには枯葉堆積ルートで上がってきてもらった。
(2:1)二俣
7m滝(カーソルあてて)
8m薬師滝(カーソルあてて)

ヒノキガタア沢の難所はここまで・・・。この先、小滝を快適に登って行くと(4:1)二俣。さらに(3:1)二俣が現れ、共に進路を左にとる。
小滝を快適に登ります(カーソルあてて)
(4:1)二俣の左岸枝沢
小滝はまだまだ続きます

3mトイ状を超えた左岸には、テン場適地を発見。この先地形図で明瞭な二俣地形となっている1120m二俣を見るが左俣は全く水が流れていないので
右に進路を取る。平凡な様相を詰め、高度計が1240m付近を指す顕著な二俣を左に入ると、すぐに膝くらいまでの薄い笹薮に突入。
笹を掴みながら高度を上げると、薬師岳と1381mピーク間の鞍部に出た。
3mトイ状滝と左岸幕営適地(カーソルあてて)
1120m二俣を右に入る(カーソルあてて)
薄い笹薮を詰め稜線へ

細尾峠への下降道&薬師岳への登山道はともに明瞭。今日はガスで薬師岳からの展望は無し。時間によっては本沢の下降も考えたが、この天気では
テンションも上がらず、薬師岳から東に延びる踏跡を利用して下山。この道は地形図には無いが概ね明瞭。尾根通しで進み、1221mピークを過ぎると
小さな祠が二つ並んであり、ここで右のトラバースルートを選択。他の記録で書いてあった薄い記憶をたどり、この辺りから林道に向かって、鹿よけネット
沿いに進むが、道を見失う。
まぁ、下草も全くなく、南に降りて行けばいづれ林道にぶつかるので、作業道やら、獣道やらを織り交ぜ強引に下って行くと案の定、林道が見えたが、
崖になっており、最後に10m懸垂で林道に降り立った。林道がつづら折になっている箇所は、適当にショートカット出来、30分強で駐車スペースに
戻ることが出来た。
細尾峠分岐と、薬師岳山頂(カーソルあてて)
山頂から東尾根ルートに入る(カーソルあてて)
鹿よけネット沿いに道が無く最後は懸垂。

P.S:”雨だから近場のお手軽沢に・・・” と思って入った沢ですが、予想以上に楽しめました。他の記録によると”クサリ”と言う単語が目につきますが
   ほぼ気づきませんでした。”近場の沢”とナメて掛かるのは辞めた方が良いレベルの難しさはあり、上級者も楽しめると思います。
   ザイルは30m1本で充分です。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)





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