2009年10月4日 三国川流域 芋川 ジロト沢左俣

メンバー:やますきーおさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、8mm×50m、靴:フェルト
地形図:六日町、兎岳
概念図、遡行図はこちら

友人が、遡行して初めて知ったジロト沢、WEBで検索してみると、右俣の布晒ノ滝という300mの大滝があり、
左俣にも100m大滝と、なかなかの高評価。今回、芋川流域は初めてという事もあり、概略を掴むという意味を
込め、左俣を遡行する事にした。

アプローチ:CR-X
17:35自宅発→(R4、R50)19:00桐生太田IC→20:17六日町IC→20:58三国川ダム下P
6:55芋川基点駐車場発→7:15入渓点→7:16滝沢出合→9:40二俣(右俣視察)→10:15布晒ノ滝下
10:40二俣(左俣遡行開始)→12:10略奪点→14:13奥ノ二俣→14:35稜線到着→16:35雨量計小屋
→17:58基点駐車場着

六日町ICから三国川ダムを目指し、野中の集落から芋川沿いの道に入る全舗装。携帯は野中までは
繋がるが、基点駐車スペース(7台程度)では繋がらない。
この先林道は400m程伸びており、林道が左岸に渡った所で堰堤工事が行われていた。この堰堤は2010年春には
出来てしまうようだ。来年以降はここまで車が入れるかもしれない。
ここから左岸の踏跡をたどり、芋川を横断するところで入渓。1分後には左岸から滝沢が出合う。
基点駐車スペース
左岸踏跡を進む
滝沢出合(左がジロト沢)

ジロト沢に入ってもしばらくは平凡な様相。重松越路の登山道が沢沿い(概ね右岸にある)に付いているが
沢通しに進んで問題無い。途中先行パーティーの足跡を発見。さらにナラタケを見つけて、やますきーおさん大喜び!
早速収穫作業に入る。
しばらく進むと右岸から越路沢が入る。水量は少ないが顕著な沢筋で右岸の稜線まで沢筋が見えるので間違う事は
無いでしょう。この付近にテン場適地無し。
この先からナメが現れ、快適モード。2段10mトイ状は水流左壁を簡単に上がれ。上段は右岸側枝沢の間から抜ける。
ナラタケ(この後も大量に見つかる)
越路沢出合
2段10mトイ状

この先も、快適なナメ床、トイ状の小滝を超えて行くと左岸のスラブ帯が前方に見えてくる。途中、靴ひもを結び直して
いたら、
「そこにハチの巣あるよ!」と言われ、振り向くと。2.5m程度離れた所に大きな巣があり、しかもスズメバチっぽいハチが
巣へと入って行った・・・(焦)  ここは巣の上を小さく巻いて突破する。
右からAルンゼ、ABルンゼの出合い(共に水流は滴る程度)を過ぎると本流には4mトイ状があり、これを左から小さく
巻くとBルンゼ出合いとなる。
左岸のスラブ帯
現役のハチの巣
4mトイ状

この先、6mは左から容易に突破。多段8m滝は水流右の細いバンドを利用して超える。少し行くと正面に布晒ノ滝300mが
見えてくる。さすがにデカイ!!! 本流は小インゼル風になり(唯一のテン場適地:整地要)右俣/左俣を別ける
二俣となる。右俣は2m滝。左90度で出合う左俣は、どの記録にあるとおり、”略奪点”で水流の多くが右俣に流れる
為、貧弱だ。
「折角だから右俣の大滝見に行きましょう♪」
と、やますきーおさんの意見に異論なし! 右俣に入る。
多段8m滝
右俣布晒ノ滝と左俣(クリックして)
二俣(正面水流はは右俣)

右俣に入るとゴルジュ状で、2m程度の小滝を超えると左から20m滝が落ちる。ルートは右端から。途中までフリーで
登り30mザイルを出す。そのまま真っ直ぐ右壁沿いを上がるのも良いが、靴底がフェルトだとフリクション不足による
滑落の不安がよぎり躊躇。 左を見ると、水流に向かってトラバースが出来そうだったので。そこから水流沿いを
直登出来る事を期待してトラバースを開始。期待通り、ここから水流沿いは意外と簡単だったW 
トラバースではランナーが取れない事もあり、やますきーおさんはまっすぐ直上してもらった。
右俣に入る
20m滝(カーソル当てて)
20m滝登攀(カーソル当てて)

この滝を超えると、布晒ノ滝の真下に出る。ちょうどここで左俣の”略奪点”からの水流も出合う右俣ハイライトとなっている。
次回は布晒ノ滝を直登する為、じっくりルートを探る。下部はかなりたっているため直登は不可能。右からも上がれる
そうだが、基本は水流左の凹角から上がるのがセオリーでしょう。取り付きは水流沿いからも行けるし。右から巻いて
凹角に取りつくのもOK。灌木があるので、支点は結構とれそうだ。 
「なんとかなりそう!」
という事がわかった。

さて、ここからだが、二俣まで戻らず”略奪点”へ直接登ってしまうというのも有りだが、「左俣の100m大滝も外せない」
って事で、二俣まで戻る。 20m滝は残置ハーケンを利用して、50mザイルで懸垂。下まで届かないが、問題無し。
布晒ノ滝と左俣”略奪点”からの水流(左)
布晒ノ滝(カーソルを当てて)
取付きチェック(カーソルあてて)

10時40分に二俣に戻り、左俣遡行開始。すぐに左俣ハイライトの100m大滝に出くわす。取り付きだけが急なので、そこだけ
左右どちらかの巻きになる。「左から巻くと逆光だから右巻きで行きましょう!」と写真の都合で決める。
取り付き部だけ超えればあとは快適なスラブ登攀。特にザイルの必要性は感じないレベルだ。最後まで快適なのかと
思いきや、9割方登ると、釜があり、そこから傾斜が立ったナメ状になる。 ここは巻くしかないが、両岸草付きなので、
灌木帯に入るまでは渋い登りになる。ここで、30mザイルを出し左壁に取りついたが、かなり渋かった途中で
支点も打てないので勝負登攀だったが、なんとか灌木帯にたどり着き、落ち口に向かってトラバースを掛けた。
ザイルは30mでギリギリだった。ここは右から巻いた方が良いかもしれない・・・?これで、100m大滝は無事終了。
左俣 100m大滝
大滝上から
最上部の様相。傾斜が立ったナメ状

ここからは、5m程度の小滝が現れるが、ほぼすべて左右の小さい巻きでクリヤー。すると前方7m滝の上に、先行
パーティーを発見。7m滝は右壁を直登。すると、ここが”略奪点”だった。先行パーティーは、WEBでちょくちょく参照させて
いただいている”童人トマの風”の方々で6人で来ているとの事。”略奪点”から伸びる2段80m滝の登攀中の間、眺めを
堪能しながらの休憩をとる。
5m小滝
略奪点に立つ先行パーティと80m滝
略奪点から布晒ノ滝(カーソル当てて)

2段80m滝は、略奪点から下段しか見えない。下段の登攀は快適で、沢慣れしていれば、特にザイルの必要性は感じない。
上段は、取り付きが立っているので、直接は取り付けず。先行パーティが右岸灌木帯を高巻いているので、我々は
左岸の巻きで上段を高巻いた。高巻きに問題は無いが、右岸の巻きの方がすっきりしていると思う。
2段80m滝下段60m(カーソル当てて)
下段上部と上段
上段20m

この滝上で、先行パーティが道を譲っていただき、我々が先行する。ここからは、釜付きナメ床ミニゴルジュで、
1.5m程度の小滝なのだが、泳ぎを嫌い、最初の小滝右岸を小さく巻く、二つ目は灌木を利用し経つって突破。3つ目
はWEBで予習した両手両足ツッパリで突破する小滝だ。落ちても濡れるだけなので、楽しめる♪

ここで、沢は右に直角に曲がりすぐに3mナメ滝、この上はナメ床が続き堪能。実はこの辺りで右岸の尾根に上がらないと
帰りが大変になる事が後でわかった。WEBの記録で、”赤布が有る所で遡行終了” なる記録を見て来たのだが、
それがなかなか見つからない。
釜付きナメ床ミニゴルジュ
両手両足ツッパリで突破
ナメ床が続きます

しばらく進むと、ナメが終了。ゴルジュ地形の中平凡な様相となる。時間は13時半前。さらに20分弱進むと
2段3mナメ。なかなか赤布が見つからないので少々不安になるが、ここでもナラタケの群生を見つけ、回収に励む
さらに進むと登山大系遡行図にある”奥の二俣”に到着。6mナメ滝どうしで出合う二俣だ。時間は14時10分。
本流は右だが、さすがにここは「左に入って早いとこ尾根に出よう」という事になる。。。
ナメ終了。早めに尾根に上がった方が良い
2段3mナメ
奥の二俣、(多少画像がゆがんでいます)

左のナメ滝を上がると、左に沢形が付いていたので水の流れていない左の沢形に入る。草付きスラブで藪こぎは無い。
視界が広がる様になって、呆然。。。  踏跡が有ると言われる雨量計小屋はあまりに遠い・・・(涙)
稜線に出たのは14:30過ぎ。大兜山は目と鼻の先だった。稜線上にうっすら踏跡が有ればと期待したが全くなし。
ただ、コメツガの様な、あがいても進まない藪漕ぎではないので、ちょっとだけ救われた感じ。序盤は視界も利いたが、
一つ目のピークを超えると灌木が背丈以上になるので視界が利かない。
やますきーおさんはGPSを持って来ていたが、なぜだか、全く違う所を指示していて使えなかったのが残念。
こんな事もあるんだ・・・
ジロト沢側に引き込まれそうになったり、となりの下津川側の枝沢に懸垂下降で降りてしまい、10m程度だが尾根を
登り返したりと、結構苦労を味わう。
稜線にガスがかかると、ルートファインディングはさらに難しくなるので、奥の二俣まで進んだら、沢を引き返して尾根に上がる事を
強く勧めます。

”展望台”と呼ばれる所に出るまで1時間40分。ここからも踏み跡は無く、雨量計小屋まではさらに20分かかり、
16:30に到着。
右岸尾根への登り(カーソル当てて)
展望台到着
雨量計小屋

ここから踏跡は明瞭になるが、重松越路の乗越をすぎ、沢窪を横断する辺りが暗くなってくると迷い易いかも。
ジロト沢沿いに降りて来たのが17:30頃。1,2度足を踏み外し沢に落ちそうになるが真っ暗になる前に工事現場に戻れた。
真っ暗になるとヘッデンつけても難しい踏跡なので要注意だ。

P.S:ジロト沢左俣は見どころが多く、大滝も快適に登れるのでお勧めです。右俣の滝も見てくるとさらに充実
   遡行になります。ただし、我々の様に奥の二俣まで進むと帰りが大変。
   後日、トマの風さんからの情報によりますと、
   ”両手両足ツッパリの小滝を超え、ナメ滝帯が終わった辺りで、すぐに右岸を登ると2分で尾根筋に出て、
   展望台まで10分程度のヤブこぎで着く” との事。。。ザイルは布晒ノ滝見学するなら50mザイル。
   左俣のみなら30mで足ります。テン場は全体通して良いところはありません。
 
ジロト沢概念図(クリックして) 遡行図(クリックして)


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