2009年10月31日 谷川山系 湯檜曽川 西黒沢


メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、靴:フェルト
地形図:水上、茂倉岳
概念図、遡行図はこちら

谷川岳ロープウェイ下を流れる西黒沢。こんな沢遡行対象になるのかと思っていたが、周辺の沢に劣らず なかなかの内容らしい。
ただし、登山大系にも掲載されておらず、参考になるのはWEBにアップされている
幾つかの記録のみ。遡行図もなく、1/25000地図で
どこを遡行したのかも良く解らない状況。。。
きっと、癒し系の沢でしょう。。。と、地図を片手に、今回調査遡行を決行した。

アプローチ:CR-X
4:10自宅発→(R4、R50)5:16太田桐生IC→6:48谷川岳ロープウェイ着
7:10西黒沢橋→7:45白鷺滝下→7:52田尻沢出合→8:51天神沢出合→10:22熊穴沢出合屋
→13:10稜線登山道着、13:20下山開始→(田尻尾根経由)14:54西黒沢橋着

西黒沢は谷川岳ロープウェイの真下に位置するので、車行く場合、周辺の駐車場は400円/dayとなる。
紅葉時期は、ここから一ノ倉沢方面へは車両進入禁止となっっていた。結局。基点となる西黒沢橋手前
400m程度に位置する谷川岳登山者慰霊碑の脇の駐車スペースに車を置く。ここがいちばん近い無料駐車
スペースだ。

入渓は西黒沢橋脇の作業道を入って行く。この林道を田尻沢出合まで進んだ所から入渓しても、何ら問題無いが、
ここまで進んでしまうと、西黒沢最初の滝となる白鷺滝上からの入渓となってしまう。。。作業道を縫うように
進む西黒沢はナメ床状となっているため、早めに入渓する。
無料駐車スペース
ここから入渓してみた。
林道脇、結構岩盤発達してます。

幸い白鷺滝手前にムキタケの群生を発見! 白鷺滝は8mの大きさ。水流左から簡単に直登できる。
このすぐ先で右岸から田尻沢が出合う。ここからしばらくは平凡な様相。キノコモードで枯れ木を見つけては、
近づいてみるが、ナメコが1ケ所見つかっただけだった。。。
ムキタケ
白鷺滝
田尻沢出合

4段10m滝が現れると、西黒沢の楽しさが始まる。この滝を越えると、一瞬平凡な様相か急に岩盤が発達
ナメが続く。しばらく進むと右岸から水量比(1:3)で天神沢が入る。沢が右に曲がると5m、4mと二つのナメ滝が連続。
4段10m滝
岩盤が発達
5m、4mの連続ナメ滝

これを越えると、両岸が狭まり、倒木がある5m滝。この滝がちょうど二俣となっている。水量比(2:3)。ただし、
2,3つ程、水流跡の伏流が縫うように走っていて、ちょっと複雑な感じ。。。概ねここを右に入るとザンゲ岩のすぐ
右側に真っ直ぐ伸びる沢筋に進む様だ。遡行図を持っていない私は、この沢が本流筋なのか判らない・・・
とりあえず、左の水流を追ってみると、すぐに一旦伏流となってしまう。。。今度は右の水流を追ってみるとボサっぽく
なり、急に水が消えてしまう。。。
こうなると、ザンゲ岩右に伸びる沢筋(伏流)に入るか、左に入るかだが、「恐らく左でしょう・・・」と左を選択。
家に帰って調べると右は枝沢のザンゲ沢だと判った。
少し行くと4mトイ状滝が現れる。
倒木がある5m滝
ザンゲ沢と本流を分ける二俣
本流に入って最初の4mトイ状

少ない水流を進むと8m滝。水流左が簡単そうだが、こちらは絶対登れるので、敢えて水流右に取り付いて水流通し
で直登。V+
このすぐ上の6m滝は快適に直登。その次の5mクラック滝は岩の割れ目に水を流す変わった滝で、クラックに足を
突っ込み水流通しで直登した。その上の5mトイ状も敢えて水流近くを直登する。
8m滝(カーソル当てて)
5mクラック滝
5mトイ状

この先の8m滝は岩が逆層気味でちょっと厄介。水流左から取り付くも、4mくらい上がったところからホールド
が甘くなる。安心できるガバを見つけられぬまま、2m程慎重に直上して、何とか登ることが出来た。フリー直登でW+の印象
この上の小滝をを超えると沢は左にカーブし、快適なナメ床となる。しばらく進むと5m滝で右岸から枝沢が合流。
水量比はほぼ(1:1)。水量が多いので右岸枝沢を覗いてみたが、ボサ沢だった・・・
逆層の8m滝(カーソルを当てて)
快適なナメ床
5m滝で出合う(1:1)二俣

ここから本流を少し進むと、西黒沢ハイライトの3段80m大滝が現れる。この滝は水流左側の方を快適に上がって行けるはずだが、
ここも敢えて水流右から取り付き水流沿いを直登してみる。こちらもV+くらいで快適に登っていける。
ただ、3段目は水流右はノッペリしており結構厳しい、草付きに足を突っ込み、騙しだまし登って行った。W
3段目も水流左が良いでしょう。
3段80m大滝
3段目を望む
3段目アップ

80m大滝を超えると、両岸草付きのゴルジュ帯に突入。大岩が乗っかった5m滝を超えると、細く水を落とす15m滝
これは一瞬直登をためらうが、近づくとスタンス、ホールド共に充分で問題無く直登出来る。15m滝を超えると、
いったん平凡な様相。正面に草付きスラブが見えるが、これは、この先本流右岸の様相になる。
大岩が乗っかった5m滝
15m滝
15m滝上の様相。正面に草付きスラブ

沢筋が右に曲がると、再び両岸の傾斜が強くなる。8m滝は水流右を登れば簡単だが、敢えて水流際を登る。
この先は9mチムニー滝が行く手を阻む。幸い水流右のリッジが良いルートを提供してくれた。V
後日入手した遡行図によると、この滝の手前から右岸を高巻いてゴルジュをすべてパスする事も可能らしいが
(ゴルジュ先で二俣を左に入るので高巻きは右岸の方が良い)、 9mチムニー滝上からも右岸を高巻く事は可能なので、
この滝は直登したいところだ。
8m滝
奥に9mチムニー滝が見える
9mチムニー滝(カーソル当てて)

この滝を超えるといかにも”ここが核心です”と言わんばかりの滝が目に飛び込む。通常はここから右岸を高巻いて
ゴルジュをパスするのだろう。前衛の小滝を超え、核心を見に行くと、細く水を落とす8m滝
水流左の壁を見上げる。。。「なんとか行けそうだな・・・」と取り付く。あまり良いホールドは無いが、6m程ジリジリ
登っていくと奥行き30cm程度の外傾テラスがあり、ここで一息つける。。。 問題は、ここから・・・ 
外傾テラス上は、2m弱のかぶり気味の壁。見上げると、残置ハーケンが打ってあった。ここに打ってあるという事は
このかぶり気味の壁を直登するという事なのだろう。とりあえず。長めのシュリンゲを取り出し、残置ハーケンで
セルフビレイし、一歩上がって、上部ホールドを探す。3本指の第1関節が掛るくらいのホールドが1か所あるが、
完全に体を持ち上げるにはチョット甘い。ハーケンの利きを確実性を考慮すると、ビレイは取ってあるものの、
強引に上がるのは躊躇する。そうしている間に腕が疲れてきて、再び外傾テラスで一息つく。。。他にホールドが
無いか、もう一回TRYしてみるもやはり状況に変化なし。。。フリークライマーならこの位なら問題ないと思うが、
私はハング壁は苦手。。。「う〜〜ん・・・」と他にルートを探してみる。

「水流横断!!!??」

スタンスを確認すると、細かいが滑らず脆くも無さそう。ホールドは一か所。ただ。残置ハーケンから離れるので
セルフビレイを外す。。。
右足を伸ばし、水流左から水流右壁のホールドを取りに行く。見事横断成功。ここから少し上がって、さらに水流を
跨いでツッパリでラスト1mを上がって核心8m滝を突破した。W+
奥に見えるのが核心8m滝
核心8m滝(カーソル当てて)
核心8m滝直登ルート(カーソル当てて)

核心を超えたが、間髪入れずに6mCS滝・・・、直登する場合は頭からシャワーになる。この位置から高巻くことも
可能だが、「ここまで水線沿いに来たので・・・」と、取り付いてしまう。10月末日に頭から水を浴びて、しかも取り付き
3mがシブイ・・・「何やってんだ・・・俺。。。」と、ここで悔やんでも”後の祭り・・・”、なんとかガバが取れ、6m滝を
クリヤー。V+
次の3mCSはツッパリで濡れずに突破。。。

ゴルジュ内を進むと右岸から5m滝で入る枝沢・・・?と思いきや
圧倒的に枝沢からの水流の方が多い。(5:1) 後日調べると、この右岸から入る枝沢が本流らしい。
6mCS滝(シャワーで直登)
3mCS(ツッパリで上がる)
右岸枝沢っぽく見えるが実はこれが本流


正面にはゴルジュが続き、涸滝となっているものの厳しそうだ。手前から右岸から高巻いて本流側に取り付けるが、
調査の名目で、正面の2段7m滝を登る。W 次の8m涸滝は直登は難しそうなので、ここで、右岸の本流筋

向かって草付きをトラバースする。実に滑りやすいので注意。  
本流筋にでると、7mトイ状、さらに10mとまだ滝が現れる。
正面(支流)2段7m滝涸滝
8m涸滝。ここで本流へ移動する
本流筋へトラバース移動
本流7mトイ状

さらに、7m滝を超え、一瞬源頭の様相を見せるが、8m滝が現れ、これは直登は難しく右から小さく巻いた。
ここから先は笹が沢を覆うようになる。少し進むと登山道から人の声も聞こえるようになる。登山道方向へ伸びる
沢形に入ると草付きになるが、滑って滑ってしかたがない。。。四つん這いになって、登山道に出た。高度計は
1800m付近を指していた。
8m滝
最後の詰めから振り返る

ここから、天神尾根、田尻尾根で1時間半で西黒橋まで戻れるだろう。途中3人組のオジサマ、オバサマに声を掛けられ、
「この沢から上がってきました。」というと、「すっごーぃ!とお褒めのお言葉をいただきました(笑)


P.S:明るく開けた、”谷川山系の沢”の特徴はこの沢でも現れています。上部ゴルジュを高巻けば初級者
   も楽しく遡行出来ますが、水流通しは厳しいところもあり、手ごたえを感じるでしょう。
   泳ぎは無く、水流も少ないので、晩秋も遡行可能です。ザイルは30mで充分ですが、両岸草付きなので
   高巻きからの懸垂を考慮すると45m以上ほしいところです。

西黒沢概念図(クリックして) 遡行図(クリックして)


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