2010年9月18〜20 南ア 遠山川 易老沢左俣→右俣下降

メンバー:やますきーおさん、K山さん、ひろた
装備:ザイル8mm×20m 2本、カム、靴:フェルト
遡行図はこちら

私が沢登りの世界を広げるきっかけになった、やますきーおさん、K山さんお二人と久々のジョイント。
当初、越後の沢を計画していたが、天気の都合で南アルプスの聖岳から光岳西面を水源とする遠山川流域に変更。
今回は、その中でも一番取り付きやすい易老沢を選択。旧「東京周辺の沢」にも掲載されているメジャーな沢らしい。
左俣の方が内容が良いらしいので、左俣→光岳経由→右俣下降で計画した。

アプローチ:フィット
18:57自宅発→(真岡-佐野藤岡)20:25桐生太田IC→23:00小黒川PA、622同発→6:50飯田IC
→8:30易老渡
9:05易老渡発→9:20入渓→9:40取水堰堤→(釣り)11:00二俣→15:25 3段40m滝上
→16:40 1730m左岸枝沢出合行動終了

アプローチは中央高速飯田ICから下道を走ること1時間40分で易老渡に到着。自宅から445kmってどんだけ遠いんだー!
R152から遠山川右岸に付けられた林道は通交止めが続いている状態で、山間部集落をつなぐ道路で易老渡に入る。
易老渡に近づくと未舗装になるが、一般車でも問題ない。無料駐車場は25台程停められるが、
3連休という事もあり、我々が付いた時には既に満車。道路脇スペースもかなり埋まっており、駐車場から400m程先
でようやくスペースを見つけた。遡行準備を整え出発。
遠山川に掛かる橋を渡ると易老岳への登山道と易老沢取水堰堤への道に分かれる。
R152から易老渡への入り口
易老渡駐車場
我々は易老沢へ

我々は取水堰堤までこの道を利用せず、沢が近くなった所で入渓する。水量は豪快だが、取水堰堤まで特に問題なく通過。
赤石沢に有ったような赤岩が結構ここにも点在している。堰堤は魚道が設けられており、簡単に上に出れた。
この辺りで早速竿を出してみる。スグに食ったが、餌だけ持っていかれてしまった。その後は全くアタリ無し・・・どうして?

取水堰堤から1時間も掛からず二俣到着。。。"二俣というより右岸から枝沢が入る" という感じで。
「ここでいいんだよねぇ・・・?」と半信半疑。

左俣には入るとスグに3m魚留滝。本当にここから先は魚は居ないようだ。
取水堰堤
二俣
左俣最初の3m滝

暫く平凡な様相を詰めると多段18m滝これは快適に登れる。ここを超えると沢幅が一旦開け、左岸枝沢を見ると本流は
ゴルジュに突入する。2段5m滝で始まるこのゴルジュの通過は特に難しくは無い。、右に曲がりゴルジュ出口付近から
40m大滝が見える。ゴルジュ出口の6m滝が直登出来ないので、この滝の手前左岸から40m滝の高巻きに入る。小さく巻くと
滝見台の様な場所に出る。ここから小さく巻こうとして直上する所でザイルをだして、私がリードしたが外傾斜気味の土バンド
の突破が結構厳しかった。それから先は特に問題無い。大滝の落ち口に上手く出れた。丁度落ち口上に良いテン場所がある。
多段18m滝
ゴルジュ出口の6m滝と40m大滝
40m大滝の高巻き(カーソル当てて)

この先、小滝を快適に越えていくと、早くも次の30m大滝が現れる。幅広の滝で美しい。しかし、直登はムリ。
旧「東京周辺の沢」では左岸巻きらしいが、ここは右岸枝沢に取り付いて巻いたほうが小さく簡単に巻ける。
ただ、その上にある2段6mも登れないので一緒に巻いた。ちょうど巻き上がった所でブナハリを発見。みんな大喜び!
ここからは、数多く現れる小滝をどんどんクリヤーしていく。倒木があればキノコ目当てに視線を送るがこれ以降は見つからず。
テン場もあまり良い所は無い。
30m大滝が見える(クリックして)
小滝は無数にあります
キノコ目当てで進む

旧「東京周辺の沢」に3段15m滝と書かれてある滝は実際はもっと小ぶり。容易に直登可能。倒木の多いゴルジュを
抜けると左から3段40m滝が現れる。これも直登はムリで。K山さんが水流左のルンゼに取り付くとOKサイン。
このルンゼを上まで詰めずに途中からルンゼと水流の間のリッジに移動すると簡単だ。このリッジから3段目の滝を
覗く事が出来る。
3段15m滝
3段40m滝(カーソル当てて)
3段40m滝落ち口から

この滝を越えると幕営適地が広がると思っていたのだがゴルジュが続いていた。この中にある5m滝が直登出来ず。。。
右岸を小さく巻くが、ザレの草付で非常に悪い。なんとか支点の取れる潅木にたどり着き、後続にザイルを出す。
トラバースも渋めで、そのままザイルを使ってのトラバース。結構ここで時間がかかってしまう。
雲行きも急に悪くなってきたのか、暗い感じになり,早い所テン場を見つけないと・・・と焦り気味。
幸いこのゴルジュで難しいところはこの5m滝1箇所のみだった。
1730m付近、左岸から細い枝沢が入る所で、平らな場所を見つけテントを張る。
3段大滝上もゴルジュが続く
登れない5m滝(カーソル当てて)
1730m付近にて幕営!


二日目
7:10出発→7:25 1760m二俣→10:25稜線登山道→12:04イザルガ岳→12:57光岳
→(光岩)13:35右俣下降開始→16:05 2000m行動終了

5分ほど進むと、顕著な二俣。左に入ると易老岳に詰め上がる。ここに良いテン場があると事前情報で得ていたので探して
みると。ありましたありました 4,5人程は充分横になれるスペース。 ただ、この1箇所しかないので、複数パーティが
入渓した場合は早い物勝ちになるでしょう。この二俣を右に入ると倒木の多いゴルジュとなる。
出発です
1760mに位置する顕著な二俣
右俣に入ります

しばらく進むとノッペリとした4m滝に行く手を阻まれる。高巻きは左岸。ザイルを出して悪いザレを10m程度登り、
カムをセットし、そこからトラバースをかけるが、このトラバースも渋め。しかしここでトラバースしないと、かなり巻き上げられて
しまうと思う。
30mザイルをほぼ一杯に伸ばし安全圏へ。ここからさらに上って、ゴルジュを除くと、悪そうな雰囲気・・・偵察として、私が先ほどの
4m滝のもう一つ上の2条滝上にクライムダウン。突破できる事を確認して、二人には懸垂で沢床に降りてきてもらった。
ノッペリとした4m滝(カーソル当てて)
8m程の懸垂になります。
ここ先は問題ありません

ゴルジュを抜けると平凡な様相。沢幅も徐々に広がり明るさが増してくる。快適に詰め上げて行くと、正面に大ガレ
見えてくる。このガレは地図にも記載されている。水流は右に曲りさらに詰めていくと。標高2070mくらいで水が涸れる。
沢形が無くなったところで右の小尾根にあがり、藪コギすることなく稜線登山道に到着した。
明るい様相へ!
正面に大ガレ
最後の詰め(カーソル当てて)

さすがに百名山"光岳"へのルートという事もあり、登山者は多い。途中スギヒラタケを見つけて、今晩のおかずにする。
途中のイザルガ岳は360度の展望が得られるので、天気の良い時は絶対お勧め。光岳も初登頂。
”もう2度とここには来ないかも・・・”という事で"光岩"も行ってみた。
イザルガ岳(奥は聖岳)
光小屋へ
100名山(カーソル当てて)

さて、右俣への下降だが、光岩への道標の所から下降開始したが、長いザレ沢が続くのでもう少し加加森山側から降りた
方が良いかもしれない。まぁ長いザレ沢も気をつけるのは落石だけで、ザイルを出して下降する程ではない。
2200mくらいまでザレ沢を下ると左岸から水流を持った枝沢(こちらが本流筋か?)が入る。
下降はここから
長いザレ沢が続く
左から降りてきた。右が本流かも

ここからナメ床が現れるようになると急に16m滝。左岸にあがって30mザイルの懸垂2回で沢床に降りる。
さらにすぐ下の7m滝も右岸から懸垂。その下の6m、5mをクライムダウンすると。最上部の滝場が終了。"そろそろテン場を・・・" 
いう感じなのだがなかなか見つからない。
16m滝を2回の懸垂で下降
7m滝は右岸側から
降りてきた沢を振り返る

「1960mに位置する二俣まで降りれば、良いとこあるんじゃない?」と思ったが、ここにも無かった。空荷でサクッと右岸枝沢も詰めて
みるも、良い所無し。。。さらに本流を下ってみるも良いとこ無し・・・
仕方なく、1960m二俣から少し上がった"候補地"まで戻り、二人ががりで20分強の整地をして3人分のスペースを確保。
寝場所さえ出来てしまえば薪は豊富の極楽地だ。
この出合に期待・・・(カーソル当てて)
ここを整地する(カーソル当てて)
あとは極楽・極楽♪


三日目
7:05出発→11:30二俣→12:53易老渡

準備を整え出発。下り続けてもやはり良いテン場は無かった。。。この先7m滝が出てくるが落ち口周辺で支点が取れない為、
右岸に回りこんで30mザイル2本繋げての20m懸垂となる。岩が脆く落石に注意。
この後出てくる3m滝は左岸側の凹角をクライムダウンするが結構 "技あり" になる。やますきーおさんとK山さんは左岸から
その下の4m滝と共に左岸巻き。ここも4m滝のすぐ下に下りないと、左岸にガレがあるため100m以上のトラバースを強いられる。
私が右岸側からコースを指示するが、左岸側からだと解りにくいようだ。1800m付近で右岸から(1:3)で顕著な枝沢が入る。
ここにもテン場無し。
7m滝
3m滝の下降は少し難しい
1800m付近で出合う(1:3)右岸枝沢

この先狭いゴルジュになるが、ワンポイントお助け紐を出すくらいで通過できる。狭いゴルジュを通過しても広いゴルジュ・・・
と言った感じの様相は続く。
1650m付近まで降りて初めてテン場適地といった様相になった。(実際幕営するなら少々整地要)
狭いゴルジュ
ゴルジュの下降
1650m付近のテン場適地

1本入れて、進むとまたゴルジュ。顕著な滝は無いので下降は問題ない。標高1500mを切ってくると川幅が広がり、
絶好のテン場も随所に現れてくる。
ここからは、釣師も結構入っている様な印象。右俣のハイライトの一つとも言ってよい左岸大ガレを目にすると
二俣も近いはずなのだが、気付いたのはやますきーおさんだけで、K山さんと私は、取水堰堤を見て
「あれ、二俣気付かなかったー!」
という始末。
取水堰堤からは右岸に付けられた立派な作業道を利用。2泊3日の行動を終了した。
問題無く下降します
左岸大ガレ
終了です♪

P.S:光岳へのバリエーションルートとしてお勧めの一本です。易老沢左俣は滝の直登というより、高巻きに核心があります。
   ショートカットしないとかなり巻き上げられてしまうので要注意。一方、右俣は上部は両岸ともガレが多く、
   沢床自体は平凡な所が多いです。テン場は、左俣は大滝上と1760m二俣がBEST。
   右俣は1400m以下まで降りてこないと、我々のように20分程整地作業をしないと良い所はありません。
   ザイルは右俣下降の場合30m2本か、45m以上1本用意してください。右俣だけなら30m1本で足ります。

易老沢遡行図(クリックして)


沢登りトップへ     その空の下で。。。トップへ




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