2011年7月8日 奥秩父 中津川 ムジナ沢→ガク沢下降

メンバー:単独
装備:ザイル8mm×30m、カム2個
地図:両神山、中津峡、居倉、浜平
遡行図、概念図はこちら

奥秩父の地形図を眺めていた時、このムジナ沢を見つけた。早速WEBで検索してみると、結構デカい大滝の写真が掲載されている。
ただ、完全遡行の記録は皆無。奥秩父は登山大系をはじめ、多くの出版物が発行されているが、このムジナ沢の記録は皆無。。。
今回計画するにあたって、稜線に登山道は無いので隣のガク沢(学沢)を下降ルートに選択してみた。

2:47自宅発→(一般道)3:30佐野藤岡通過→3:55太田→4:28花園IC通過→4:58秩父→5:47彩の国ふれあいの森→5:55王冠キャンプ場
6:20王冠駐車場発→7:32九十三四郎滝下→(高巻きルートに翻弄)9:42大滝上→12:00 1300m遡行終了点→
12:18ムジナ沢/ガク沢境界尾根→12:41ガク沢本流→13:27作業林道終点→14:15中津川林道着→14:41王冠駐車場着
14:48同発→18:34佐野藤岡通過(一般道)19:26真岡IC通過→19:34自宅着

中津川、彩の国ふれあいの森を目指す。Softbank携帯はふれあいの森手前の集落ではアンテナ3本立つが、ふれあいの森に到着すると圏外に
なってしまう。ちなみに滝沢ダム手前では繋がるが、ダム上だと圏外。。。
中津川林道は大滑沢出合から先は未舗装になるが、ほぼフラットダートで、一般車の走行でも問題ない。王冠キャンプ場がムジナ沢の基点。
キャンプ場手前の道路沿いに3,4台停められる駐車スペースあり。
ムジナ沢はキャンプ場の横を流れているが、橋からみる沢の様相は貧相な印象を受ける。入渓するとすぐに貧弱な流れの中に魚影を発見。
王冠キャンプ場
ムジナ沢に架かる橋
出合の様相は今一つ???

平凡な様相を進むと滑が現れ、奥に滝が見える。近づいてみると12m滝。巻くなら右。この滝を直登した記録は無いが、登るなら水流左に取りつき
上部で水流を横断、最上部は右からか・・・?
水流左に取りつくがアクアステルスの靴履いてきたけど、この靴は不向き。フェルトの方が良さそう。アクアステルスが滑るときは一瞬なので、
ドフリーで取りつくのは怖い。1か所カムと長めのシュリンゲでビレイをとり、1段あがり、もう一つのカムで支点を取り、下のカムを回収。テラスから
そのまま水流左を直登するのは難しく。頭から水をかぶり水流を右に横断。そこから直上。最後は、灌木をつかんで落ち口上に上がる。
ザイルを出せば問題ないが、ザイルが屈曲するので支点の取り方がポイントになるだろう。12m滝上は幅広滑床。
ナメ床が始まります
12m滝(カーソルあてて)
12m滝上の幅広ナメ


ナメが終わると巨岩帯がはじまる。入り口の2条4m滝は左の水流から乗り越える。両岸は切り立ってきて、特に右岸側は垂直壁だ。
2m小滝を超えると左から早くもハイライトの40m滝が左から水を落とす。この滝”九十三四郎”と呼ばれるらしいが、いったいどんな由来があって
こんな名前がついたのだろうか??? この滝は狭いゴルジュに水を落としているので、パノラマ撮影以外に全景をカメラに収める手法は
無いかも・・・
まずは直登可能なのかチェックに入る。水流左壁から7m程フリーで上がれ、ここから滝に取りつくことは出来そう。ただ、水流沿いを3m程直登しても
トンネル内の滝を水流を避け登れるかが不明。ここを両手両足ツッパリで超えられたとしても最後の8m(下から一番奥に見える部分)が登れるかは
下からでは全く判断できない。やるならザイルは40m以上は用意した方が良い もちろん単独で直登はあり得ないので高巻ルートを探る。
2条4m滝
九十三四郎滝
登れそうに見える(クリックして)
右壁を7m登ったところから

しかし、狭いゴルジュ内で高巻きルートを見出すのは難しい。この高巻で右往左往してしまった。。。まず途中まで上がった左壁に1か所弱点があり、
灌木通しに登っていけるかと思い5m程登ってみたが灌木の隙間から、垂直壁が現れ懸垂で戻る。ならば左岸ルンゼを利用して高巻に入る。4m滝を
二つ超え、CSまで詰めあがりここを何とか左から乗り越えるが、本流側スラブ壁が延々と続いており、完全フリークライミングの世界。唯一弱点と
思われるの草付クラックもフリーでは取りつく気にはなれず断念。。。”敗退”の二文字が頭をよぎる中とりあえずルンゼ左岸に移動して
(この移動もかなりシブイ)2回の懸垂を繋い滝下まで降りる。。。

大滝の右岸は垂直壁が続いていると思っていたが、滝の左壁、水流から10m位離れたところにW+くらいの弱点が見いだせた。数m直上すれば、
上部の様相が良く把握できるか・・・? と思い、直上してみると、古い残置シュリンゲが現れる。”やはりここか・・・” と思っい7m程登るが、
スタンス、ホールドが増えるわけでもなく、頼りになる灌木の本数も少ないまま・・・ザイル出しての登攀であればチャレンジできると思うが、ドフリーでは
気が引けてしまい、直径3cmの灌木にザイルを掛けて懸垂で引き返した・・・ 右往左往して1時間半。。。敗退覚悟で右岸壁を見ながら本流を下降し
弱点をさがす。
すると100m以上戻ってようやく垂直壁が切れる。そこには細い枝沢が流れており、詰めると20mの幅広スラブ滝がかかっていた。そしてこのスラブ滝と
先ほどの右岸垂直壁の間の小尾根を登ると唯一ザイル無で高巻出来るポイントが現れる。九十三四郎滝の高巻きポイントは本当にこのワンポイント
しかない。。。ここから落ち口に向かってトラバース。ようやく九十三四郎滝落ち口に立つことができた。
九十三四郎滝最上部は垂直に水を落としており、唯一右岸側の壁が弱点と思えるが、そこまで覗き込めず。この滝の全貌は後続の方にお願いしたい。

左岸ルンゼを詰めるが・・・
こんな壁が延々続き断念
九十三四郎滝の左壁 (ここが直登高巻ルート)W+
100m以上戻り、右岸枝沢のスラブ滝

九十三四郎滝落ち口から下を覗く
大滝上の様相

大滝上の小滝を2、3上がると再び巨岩帯になり、大岩から染み出す小滝で一旦伏流。水が現れると小さいながらもまた魚影発見! 
少し進むとナメ床が続くようになる。沢の傾斜は緩くヒタヒタ歩くイメージ。ナメ床が終わるとまた一旦伏流。水が流れ出すと両岸に絶好のテン場があっ
た。
再びナメ床を過ぎると(2:1)二俣。本流は左直角に曲がる
大岩から染み出す小滝
ナメ床が続きます
(2:1)二俣

本流は平凡な様相が続くそして三度伏流後(4:1)で左岸から枝沢が入る。ここから先本流は1m程度の小滝が続く。。。まぁ平凡といっても良いか・・・
この後、多少ナメ床が現れるも平凡な様相が続くので、1300mでムジナ沢を離れ右岸枝沢を利用して隣のガク沢へ移動する事にした。

約20分でムジナ沢/ガク沢の分岐尾根に到着。この尾根、ガク沢側には結構明瞭な道が付けられている。何処まで続いているのかは不明だが、
おそらく稜線までは続いていそうな気配。この道を少し上流側に進むとガク沢側に伸びる小尾根に出たので、この小尾根を利用してガク沢側に下降する。
尾根が急下降になる所で右手側に下降。このあたりは植林帯になっており、本流にぶつかる所には作業小屋跡があった。
1m程度の小滝(あまり変化が見られない様相)
1300mから右岸窪を詰めます
ガク沢への下降(藪漕ぎ無し)

本流を少し下ると、6m滝。巻かずにクライムダウンで降りる。その後はナメ床も現れるも顕著な滝も出てこない。途中スギヒラタケの群生を発見!
その先のナメ小滝を降りると右岸に人工物が・・・正面に目をやると早くも堰堤が現れる。左から越えると、そこには林道が・・・。。。
まだ30分位しか下っていないのに。。。沢床に目をやると平凡・・・ 「んっ!あれは」 とまたもやキノコの群生を発見。沢床に降りるとヒラタケでは無いが、
ドー見ても食べれそうなキノコなので大量GETする。
6m滝
スギヒラタケ
早くも堰堤が現れます

沢はすぐ次の堰堤も控えている為、林道に再びあがり、林道利用で下る。沢は複数堰堤が築かれており、ガク沢の遡行価値は低い事が判明。
40分程度で中津川林道に到着このガク沢林道にはゲートは無く、オフロードバイクなら結構奥まで入っていける。ここから20分の歩きで王冠キャンプ場に
到着した。
林道現る!
中津川林道に出ました
基点到着です♪

P.S:正体不明のムジナ沢だったが、九十三四郎滝から上は、あまり見るべき内容は無かった。ガク沢はかなり林道が奥まで伸びているので、
   稜線からのエスケープルートとして使える。こう書くと、ムジナ沢を遡行する人はもう現れなかったりして(笑)。
   まぁそんな沢まで紹介できたので、それはそれで良かった思っています。(^^)v
   九十三四郎滝を直登する人が現れるか・・・それが楽しみ。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)






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