2012年4月15日 丹沢 中川川 モロクボ沢→滑棚沢下降→水晶沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:中川
遡行図、概念図はこちら

栃木から、西丹沢中川川に来たのは何回目だろう。。。すべての遡行が良い思い出ではあるものの、「もう登らなくていいんだ・・・」とホッとするような思いが
ほとんどだったりするこの流域。。。メジャー処として残っていた沢が最奥のモロクボ沢。この沢も最初の大滝の登攀はWEB上では見たことが無く、
登攀系の方々も”これはムリ” とか ”そそらない”などと記述している。 今回は、”まぁどんなもんか見てみよう” くらいの軽〜い気持ちで行ってみることに。。。
大滝を巻いてしまえば遡行時間も短いようなので、適当な枝沢を下り、モロクボ沢最大支流の水晶沢も遡行してみる。

アプローチ:フィット
17:40自宅発→(R4)19:25外環下→(新井宿IC)19:52西池袋IC→21:01中井PA、5:25同発→6:02用木沢出合林道ゲート着
6:25ゲート発→7:00モロクボ沢大滝(F1)下→7:30大滝上→8:00水晶沢出合→8:40 990m(2:3)二俣(右俣遡行)
→9:50稜線(バン木ノ頭:1200mピーク)→10:16ジャガグチ丸ピーク(滑棚沢下降開始)→11:10モロクボ沢本流出合
→11:30水晶沢出合(水晶沢遡行)→13:15稜線登山道→13:50白石峠→15:00ゲート着

何度も足を運んでいる丹沢だが、帰りの渋滞や首都高が900円になり、ますます精神的に遠くなる気がする。。。
西沢バス停を過ぎ、用木沢出合まで車が入れる。広い駐車スペースは無いが、用木沢沿いの林道に車を停められるので問題ない。

ゲートから歩く事10分でモロクボ沢出合。かなり顕著なので間違う事は無いだろう。。左岸に付けられた道から橋を渡り、二つ目の堰堤上から入渓。
さらに堰堤を一つ越え、平凡な様相を進むとモロクボ沢の大滝が見えてくる。トポには30mとあるが実際は20mない程度。昨日1日中雨が
降っていたので水量は多いと推察できるが、陽があたっているせいか、威圧感は少ない。ここに来てアブミを持ってくるのを忘れたことに
気付く。。。 まぁ仕方ないか・・・
用木沢出合駐車スペースとゲート
橋を渡り2個目の堰堤上から入渓
F1 17m大滝

右岸巻が定石らしいが、せっかく来たので直登ラインを探る水流右壁は中段くらいから先が階段状ではあるが、そこまでたどり着くのにちょっと苦労しそう。
ただカムが決まりそうなラインも散見され、落ち口も最悪右に逃げれるので絶望的でもない様に見える。すでに誰か登ってるんじゃないかな? 
丹沢の事だから、トポに "右壁を登る" とあれば、多くのクライマーが取り付くはず。そんなレベルと思っていい。。。
17m大滝(カーソルあてて)
左壁は厳しいトラバース(やはり水流横断か?)
左の位置から撮った写真(クリックして)

今度は水流左を見る。上部の1枚岩までは階段状で、濡れているのに滑りも少なくアクアステルスの靴が良いグリップ力を発揮。あっけなく1枚岩の下まで
たどり着く。すると60〜70cm間隔できれいにボルトが連打されていた。もちろんボルトは古く、リングは錆びついて動かない様なレベルだが、
これなら箱根屋沢と同レベルのA1で直登可能。ここで、水流側に目をやると瀑芯付近の岩は割と階段状で、ホールドさえあれば、もしかしたら
水流右に横断出来る可能性も秘めている。昨今の山事情に詳しいSACHさん言わせると、今はボルトなんか打たないらしいので、やはり登るなら
水流右か・・・(自分は何もやってないけど(^^)ゞ)

さて、多くの記録に書いてある『ルンゼから巻く』のルンゼであるが、この1枚岩の下から伸びており、ご丁寧に10mm程度の残置ロープがぶら下がってる・・・
ルンゼもたかだか3mで、もちろん固定ロープを利用せず登ることが出来る。
一応、滝上からロープを垂らし、先ほどのボルト連打箇所を上から確認すると、一つも抜け落ちることなく、等間隔で上まで連打されていた。
さらに水流右に目をやると落ち口もバンドになっており四つん這いになって水流下を潜れば意外とイージーに抜けれる可能性を秘めていた。
水流左は楽勝
1枚壁下から水流側を見る(横断可能か?)
落ち口を上から偵察(カーソルあてて)

大滝上は岩盤が発達したイイ感じの8m滝。釜を右から廻り込んで直登する。ナメ床は続き、大釜を持ったナメ滝が続く。夏なら泳いで取り付くのも
いいだろうが、さすがにそんな気は無く、すべて釜を回り込んで取り付いた。幸い岩がヌメっていないので落ちることはなかった
8m滝(ヌメリが少なく登りやすい)
3mナメ
4mナメ

石積堰堤を超えると平凡な様相。左岸一つ目の小沢を見、顕著な二俣が水晶沢出合となる。水量比は(2:1)でモロクボ沢の方が多い。今日は水晶沢も
遡行するが、まずは本流のモロクボ沢を進む。
ここから先も平凡、20世紀はナメも多かったと思われるが現在は埋れた感がある。左右から数本の枝沢を見ながら平凡な様相が続く。
テン場はいくらでもありそう。すると標高935m付近のところで左岸から滑棚沢が入る。奥には8mのナメ滝が掛かっていてイイ感じ。
またここには右岸からも水流は細いが滝で出合う枝沢が入っていた。平凡な様相が続いたので、滑棚沢に入りたくなるが、本流の方が水量が
圧倒的に多いので、このまま本流を進む事にした。
水晶沢出合
埋れ気味の本流
935m左岸枝沢

ここから本流はナメ床も現れてくる。990m付近でまた顕著な二俣。水量比は(2:3)で若干右の方が多い。持ってきた2種類のトポが書かれた当時は
左の方が水流が多く、左が本流との事。しかし、その左の本流は暗く苔むす感じで、右は明るいナメの様相。本流はこの先、特に特徴があるわけでも
無さそうなので、迷うことなく右に進路を取る。

出合に掛かる4mナメ上もナメ床。沢が左に直角に曲がると平凡になるが、ここで(1:1)二俣になり右はまたナメが続いていた。
990m付近(2:3)二俣
左に曲がると一旦平凡になるが・・・
(1:1)二俣の右俣

この(1:1)も迷わずナメのある右を選択。ここからは結構長くナメ床が続く。そしてナメで出合う(1:1)二俣。ここを沢床の低い左に入ると3段8mトイ状滝が出現。
これを快適に直登する。ナメ床はまだ続くが、ここから先は埋れてきたりするところも・・・。。。
ナメ床続きます
ナメで出合う(1:1)二俣
3段8mトイ状

この先インゼルの様に見える(1:1)を左に、さらにこの先の(1:1)をナメ床になっている右に入る。そして、その先(1:2)を水流の多い右に・・・
まさに網目のように枝沢が入っていて、結局どこに出るんだ??? って感じ。
インゼルの様に見える(1:1)二俣。左に入る
1070m付近(1:1)二俣 右に入る
ナメ床は結構上まで続きます。

何はともあれ、丹沢らしい藪こぎ無しで無事稜線に出る。二俣が多すぎて「ここどこ?」って感じだったが、15秒程モロクボの頭方向に登ったら
”バン木ノ頭”という道標に出た。地形図を照らし合わせて、ようやく遡行ルートが判明。 

時間はまだ10時前。。。予定通り水晶沢の遡行も実行に移すが、「さてさて、どこを下ろうか。。。」と地形図を見ると1191mジャガクチ丸から滑棚沢が
降りている様なので、滑棚沢を目指してジャガクチ丸へ移動。 ジャガクチ丸ピークにある道標からさらに10m程度進んだところに獣道があったので、
ここを入っていくと、狙った沢筋に降りれた。
ザレザレの箇所を慎重に降りていくと、コンクリート状のナメ床になる。3〜4m程度の滝が現れるが特に問題になるところは皆無。
バン木ノ頭の直下に出た!
付け足された看板で現在地が解るジャガクチ丸
慎重に下ります(難しくは無い)

ザイルを一度も出す事無く下降を続けると、左岸から(1:1)で左俣が入る。この先、岩が蓋の様に被さっている5m滝が登場。巻いて降りれば何の
問題も無いが、クライムダウンで頑張る。。。右から巻こうとするSACHさんだが、そんなこと許さずクライムダウンさせた(笑)

ここからもナメ床が続き、モロクボ沢本流遡行の時に見た8m滝の上に到着。この滝もザイルを出さずに下降可能だ。
滑棚沢。割とイイ感じ
(1:1)二俣。左から降りてきました
5m岩潜りの滝(クライムダウン)
ナメ床
滑棚沢最後の8m滝上
8m滝をクライムダウン

モロクボ沢本流を水晶谷出合に向かって下っていくと、4月なのに人に遭遇!!!  なんと "お気に入り" 登録している『さがみ山友会』の方々で、
ご挨拶させていただいたが、リーダーらしき方はとても気さくな人だった。。。

ってことで、水晶谷出合に到着。水晶谷に入るとすぐに左から4段20mの見事なナメ滝が入る。後日知ったが、ここをキメ岸沢と呼ぶらしい。
水量は右の水晶沢の方がが多いが、あまりにも左のナメが良い感じなので、チョット登ってみることに・・・、4段20mナメは簡単に登れるが、さっちゃんは
足を乗っけた岩盤が割れてかなり焦ったとの事。この滝上はゴルジュになっており12m滝が行く手を塞いでいた。巻くなら右岸。
ただ、水流左はバンド状で落ち口付近に繋がっており、バンドを登り切ったところでハーケンで支点を取り、A0で落ち口左のルンゼに入る事が出来れば
直登出来る感じか・・・?
さがみ山友会の方々とご対面
キメ岸沢出合の4段20m滝
キメ岸沢 12m滝を偵察(カーソルあてて)

今回は偵察のみでここで引き返し、右の水晶沢に入る。少し進むと5m滝。さっちゃんは左の凹角ザレに取り付き小さく巻き、私はさらにアグレッシブに
凹角から水流側に移動して水流左の壁を1ポイント上がって超えた。この先で右俣/左俣を分ける二俣。水量比は(3:2)で左俣の方が多い。
右俣は10m滝で出合っており、偵察ついでに登ってみると、ナメ床が続いており奥にナメ滝も見え、こちらも捨てがたい感じよ様相だった。
水晶沢5m滝(カーソルあてて)
水晶沢右俣/左俣を分ける二俣
右俣10m滝を登り偵察へ(カーソルあてて)

二俣に降りて水量の多い左俣を進む。すると、こちらも2段14mの見事な滝。 簡単に直登出来るが敢えて苦労するラインで超える。

ここからは平凡。(1:2)を水量の多い右。次の(1:1)をナメチックな右に進路をとる。登ってみて解る8mS字滝と5mトイ状を超えると(3:1)二俣
左は多段滝で合わせれば25m位になる。さすがに水は少なく何の問題も無く上がれる。
2段14m(カーソルあてて)
8mS字滝
(3:1)二俣に掛かる多段25m滝入り口(カーソルあてて)

この先コンクリート状のナメからザレになり、薄い笹薮を上がると稜線登山道に到着。

時間は13時過ぎ。水晶沢右俣を下るか、このまま登山道で白石峠経由で下るかを枝を投げて決め、白石峠経由の一般道で下山。途中マムート製の極上の
ヤッケを拾ったが、案の定、前を歩く人のだった・・・ご本人は落としたことを全く気付いていなかった様で、ゆっくり下山すれば自分の物になったのかな・・・(笑)
コンクリート状のナメからザレへ最後の詰め
稜線到着です♪
終了ー♪


P.S:モロクボ沢は面白い所は下部に集中しているようです。ただ、滑棚沢や水晶沢等本に掲載されているトポ以外の枝沢は
   ナメが結構残っており、こちらを遡行した方が癒されるかもしれません。完全癒し系の沢ですが、モロクボ沢F1を水流右から直登
   +キメ岸沢12mの直登を計画すればかなりチャレンジングな遡行になると思います。


遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)


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