2012年6月2日 裏妙義 入山川 裏谷急沢→仏沢下降

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:南軽井沢
遡行図はこちら

梅雨入り前、天気がなかなか定まらず、複数案の中からコースタイムの短い裏妙義の裏谷急沢に決定。この沢沢登りを始めた当初の2000年に遡行しているのだが、
記憶も薄れ、写真も残っていない。いい機会なので12年前とはどういう感覚の違いがあるのか、遡行してみることに。前回の下降はダイレクト尾根を下ったが、
今回は隣の仏沢を下降ルートとして使ってみる。

アプローチ:フィット
21:35小金井→10:05栃木IC→22:56甘楽PA、→8:00基点P
8:25基点発→8:32裏谷急沢入渓→10:00 10m滝上→12:05 20m滝上→12:55ダイレクト尾根(終了点)、谷急山往復、
→13:50仏沢下降開始→15:30入山川右岸林道着→15:50基点P

R18から、入山川沿いの林道を入ると”谷急橋”と書かれた小さな橋がある。ここに流れる沢が”仏沢”になるので要注意。入山川沿いの林道が
右岸から左岸に渡って少し進むと右から道が入り、この少し先が裏谷急沢の出合となる。今回、下降点となる仏沢と裏谷急沢の間に駐車スペースは
少なく、右から入ってくる道の合流点の1台分のスペースに車を停める。softbank携帯が繋がる。

ガードレールの切れ目から踏跡を利用し、入山川に下降。裏谷急沢は伏流で出合うが、すぐに水が流れ4m滝ではじまる。
基点駐車スペース
入山川に
裏谷急沢最初の4m滝

この滝を超えると、イイ感じの2段9m滝になり快適に直登。ミニゴルジュを抜けると平凡な様相からナメ床に。4mナメを超えると10m滝

こんな滝あったんだっけ?

という感じなので、前回は高巻いたのだろう。良く見ると、水流左から取りつき、細いバンドを利用して水流右に移動するラインを見出し取り付く。
水流を横断する手前に古い残置ボルトがあり、ランニングを取って水流に突っ込もうとしたが、カッパを着ることを忘れ、しかも、バンド幅が狭いうえに
ホールドも良いのが無いため、水流横断はリスキーと判断。。。ならば、このまま水流左を直上するしかない。幸い、先ほどの残置ボルトの上にもう一つ
残置ボルトを発見。「やはり左壁か・・・」と直上する。ただ、全般的に壁はノッペリしており、スタンスホールド共に細かい。二つ目の残置ボルトで支点を
取ってからは、ハーケンも目にしたが、確認すると錆びついて簡単に折れてしまった。このままこのノッペリした壁を直上するのも、これまたリスキーで、
水流側の岩面に上がった方がスタンスホールド共に豊富そう。そちらに目をやると救いの残置ハーケンを見つける。細かいスタンスを拾ってなんとか
この残置ハーケンに手が届きビレイをとる。ここで水流のある岩面に上がるしかないが、この移動もちょっとリスキーなので、さらにカム(#0.4)を決め
このカムを掴んでA0で岩面に上がった。ここからは、V+の登りで安全圏に出る。W、A0。 結構苦労したのにSACHさんは簡単にフォローしてくた。
10m滝(カーソルあてて)
水流横断ルートを探るが・・・(カーソルあてて)
水流のある岩面に移動(カーソルあてて)

10m滝上も小滝が続く。ミニゴルジュ内出口に掛かる4m、6m滝は上の6m滝が渋く、水流右の凹角に残置ハーケンがあったので、一応長めのシュリンゲで
ビレイを取り突破した。 続く7m滝は傾斜も緩く快適。この滝上から、この沢特有の柱状節理の岩が続くようになる。この柱状節理で出来た滝は概ね順層なので、
登りやすい。
4m、6mの滝(カーソルあてて)
6m滝を水流右から(カーソルあてて)
柱状節理の2段6m滝(カーソルあてて)

4m程度の小滝を超えていくと、ナメ床帯に突入。左から一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢と、3本の枝沢を見ると裏谷急沢最大の18m滝が現れる。この滝も
柱状節理の特徴を踏まえ見事。
柱状節理の小滝を快適に超えていきます
30mナメ
18m滝(カーソルあてて)

前回は、単独だったため、かなり手前側から右壁を登った。今回は水流右に取りついてみる。下段は階段状で、フリーで登って行くと、吸い込まれるかのように
ボルトとハーケンの残置支点に到着。ここにはシュリンゲとカラビナまで付いている。ここから垂壁なので、ここで断念して懸垂したのだろうか?
我々もここでザイルを出して垂壁にTRY。右に一段上がるとガバが取れるので、腕力勝負で凹角内に上がる。上がった所はスタンスは十分なのだが、
まっすぐ立てず、ホールドを取っていないと落ちてしまう体勢。急いでカムを決めるが腰の高さしかないのでレストは出来ない。ここから、カムを決めた腰の高さの
所に立てればあとは簡単そうだ。凹角内に足を置いているスタンスより20cm上にもう一つスタンスがあるのだが、ここに上がると、より重心が後ろに行ってしまうので
ここに足を乗っけて数秒以内に上がらないと自分の腕力ではOUT。フリークライマーなら問題無いと思えるフィンガーホールドはあるのだが、普段練習ゼロの
沢屋にはちょっと難しい。そうこうしているうちに腕がパンプしてきたので、決めたカムを支点に一旦降りて仕切り直す。

手段は選ばず、とにかく超えればOKという沢の世界(?)。決めたカムにシュリンゲを掛け、それに足を掛けて再TRYしたが、力の作用方向が上手くいかず
やはりダメ。。。SACHさんに「空荷で上がって、ショルダーorヘルメットに足を乗せてでどう?」とアドバイスをもらい、とりあえず空荷で3度目のTRY。
日帰り装備なので、あんまり変わらないと思ったが、実際空荷で登ると、多少体は軽い。さらに凹角に背中を押し込みフリクションも使えるのが多きかった。
2,3あるフィンガーホールドに指を掛け、核心の一段に上がることに成功。ここに立つとギリギリ灌木に手が届き、後続するSACHさんに長めのシュリンゲを
SETしておいて、そのまま直上した。W+

横向きに決めてしまったカムを支点に2回も下降してしまったりしたので、フォローしたSACHさんが、「カムが取れない!!!」と悪戦苦闘させてしまったが、
なんとか回収に成功。SETしたシュリンゲ利用で上がってきてもらった。
水流右から。序盤は簡単。
残置支点から(カーソルあてて)
核心突破し、さらに上の段へ
SACHさんフォロー

18m滝を超えると、今の苦労が嘘のように癒し系のナメが続く。小滝を超えていくと顕著な三俣。すべてがナメ床で出合っている。水料比は左と(3:3:2)
と言った感じ。ここでトポを見ると。特にこの先の内容には触れていないようだ。 きっと前回来たときは真ん中に入ったに違いない・・・  と思い、今回は
左に進路を取る。

左に入り、ナメ床を歩いていくと4mのナメ滝。傾斜が強く直登不可能で左から巻いた。ナメ滝上で平凡な様相になり、正面に岩壁が見えると水も涸れる。
岩壁を右から回り込んで沢型を離れ、藪漕ぎ無しで10分も登れば谷急山直下のダイレクト尾根に出る。
癒し系のナメが続きます
三俣を左に入る。
正面に岩壁だ現れ終了になります

前回の並木沢の時は全く展望が無かったが、今日の谷急山山頂からは360度の展望が広がる。良い方向に天気予報が外れた格好だ。

さて、下山だが、今回は仏沢をチョイス。間違って並木沢に下降しないように、山頂から伸びるダイレクト尾根に付けられた登山道(明瞭)を1060m付近まで
下降し、登山道を離れる。

沢型が近づくとすぐに急下降になるが左岸を巻いて沢床に降りる、平凡な様相で水が流れてくると小滝も現れるが、すぐに伏流となってしまう。右から本流筋
が合流するも、こちらにも水流は無い。。。
谷急山からの裏妙義
仏沢 源頭部の4m滝
右から本流筋が入るも水は無い


しばらくして水流が現れると、すぐにナメ床になり、仏沢ハイライトの10m滝上に出る。ここは右岸巻きで下降。ここからは小滝が連続しているが、水流通しで
下降できる。再び伏流になるが水流はすぐに回復。巨岩のある3m赤滝を左岸から巻き、5mナメ、3mナメを下ると、平成19年に完成した堰堤が現れる。
10m滝
10m滝下の小滝群
3m赤滝

持ってきた1998年のトポには”3つの堰堤” と書かれてあるが、残念ながら、ここから先10個以上の堰堤群となっていた。。。2,3つ堰堤を巻いて降りたが
いい加減飽きるので、沢下降はやめて、右岸植林帯の作業道を下り入山川林道に到着した。

P.S:2000年の遡行時の記憶と印象は、全く残っておらず、非常に新鮮な気分で遡行できました。10m、18mの二つの滝を巻いてしまえば
   3時間かからず遡行でき、トポの通り初級の沢と言えますが、二つの滝を直登するとかなりハイレベルになると思います。ほかにも直登すると難しい滝もあり、
   さらにナメ床が広がったり、短い沢ですが楽しい1日を約束してくれることでしょう。下山に使った仏沢は堰堤が大幅に増え、周辺の沢と比べると
   遡行価値は低く、ダイレクト尾根を使うと山頂から1時間10分で入山川に出ます。 ザイルは30mで充分足りました。

遡行図(クリックして)



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