2012年6月17日 日光 川治 大下沢

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×30m、カム 靴:アクアステルス
地形図:川治
遡行図はこちら

今週も梅雨の合間を縫って、栃木県川治温泉にある大下沢(おおげさわ)を狙ってみる。超マイナーな沢で、私も栃木県内で遡行可能な沢は無いかなぁーと、
地形図から大下沢を拾いネット検索してみると数件の遡行記録みつけた次第。渓相も良さそうなので、こんな日の為にとっておいた沢でもあった。

8:40基点発→11:10林道横断点(715m)→12:45赤滝下→14:18赤滝上→14:35左沢/右沢出合(右沢遡行)
→16:10日塩もみじライン(遡行終了)→16:30鬼怒川高原ゴルフ場入口→17:35基点P

当日未明からの雨。雨がやむまで待機。国道121から大下沢を覗いてみるとそんなに増水していなかったので、基点Pに移動。R121が男鹿川左岸から
右岸に渡る手前の舗装道を地形図に沿って進む。突き当りの駐車スペースは7台ほど、携帯も繋がるがトイレは無い。すでに釣師と思われる車が停まって
いた。大下沢へは、そのままこの駐車場からダイレクトに降りていき、取水堰堤上で入渓。3名の釣師が竿を出していた。トラブルも無く行かせてもらう。

水量も豊富で、丹沢の様に凄い滝は無いけれど、渓相はとても良い。ただ、滑っていてアクアステルスだとかなり滑りやすい。
基点駐車スペース
堰堤上から入渓します
渓相はとても良い

3m3条滝を超えるとナメ床。幅広ナメを堪能するともう一つ取水堰堤が出てくる。小ぶりなのでそれほど気にならない。ナメ床を見ながら進むと7m滝が
現れ快適に直登。しばらく進むと水を真横に勢いよく飛ばしている6m横ヒョングリ滝。左壁から近づいてみるが、水の勢いが凄まじく、一緒に飛ばされそう
なので、そのまま左壁を登って滝上に出る。
3m3条滝
7m滝(カーソルあてて)
6m横ヒョングリ滝

ナメ床はまだ続き、栃木にこんな良い沢があったのかと思うほど。しばらく進んでいくと、急に釜を持ったゴルジュになる。奥に6m滝が掛かっているのが
見えるが腰まで入ってゴルジュ内に入ると左壁が程よいバンドとなっており容易に突破できそう。高巻こうとするSACHさんを呼び止め、ゴルジュを
あっけなく抜ける。
5m滝
ゴルジュ(カーソルあてて)
ゴルジュ内6m滝はバンドで容易に(カーソルあてて)

この先で概ね平凡な様相に変化。右岸は、かつて何かあったのではと思わせるような平地が広がり、絶好なテン場となっている。少し進むと林道が横断。
橋に"おおげはし"と書いてあり、初めて沢の読みが解った次第(^^)ゞ。この林道は未舗装。見た感じ車も走れるが、車は来なかった。
平凡とは言え、イイ感じ
右岸平地が広がる
林道横断点(カーソルあてて)

橋から上も沢床は平凡。右岸は柱状節理の岩壁となって切り立ち良いアクセントになっている。すると淵を持った4m。左壁のスタンスを拾いながら進む。
さらにすぐ上の5m滝は水流左を直登。左岸から2本枝沢が入ると5mハング滝。手も足も出ず、右岸を高巻き6m前後の懸垂で滝上に出た。
淵を持った4m
5m滝
5mハング滝

この先も右岸は40m程の岩壁となって続くようになり、この岩壁が切れると正面に15m級の見事な滝が視界に入る。左岸の壁も切り立ち湧水が滝を
創り出しておりナカナカの景観。この15m滝が地形図に書かれている"赤滝"かと思ったが、右にその倍の高さから水流が落ちているのが目に飛び込む
こちらが正真正銘の"赤滝"。狭いゴルジュに水を落し、近づいてみると、小さく深い釜を持ったゴルジュ入口の3m滝。さらにゴルジュ内には9m程の滝が
あり、その上に本滝が掛かる3段構成。
右岸岩壁
左俣に掛かる15m滝
赤滝(クリックして)

ゴルジュ手前からでも本滝は水を空中に飛ばしており直登はムリなのが解るが、これを全部巻くとなると、先ほどの15m滝の右岸から取り付く必要がある。
"ゴルジュ内の9m滝上に出れれば本滝を直登出来なくても、小さく巻けるんじゃない?"と思い、ゴルジュ入口の3m滝の突破を試みる。

まずは左壁。若干ハング気味の壁をへつり1.5mほど上がれば後は落ち口までトラバースできそう。微妙なバランスで、1,5mの登り部分に差し掛かる。
滑った岩をタワシで磨き足を乗せ、あと一歩の所で岩上に膝を押し込もうとした時滑り落ち釜にドボン。足がつかない深さでアタフタしながら引き返す。

ならば水流右・・・。腰上まで水に浸かり、一段あがって立ち上がる。こちらは岩が脆く手に取る岩がことごとく動いたり外れたり。30cm強の大きさの岩を
両手で持ち左膝を押し込むとこの岩も動き出すが落ちる前に体が上がった。SACHさんにはシュリンゲを繋いで上がってきてもらう。
左壁から経つるが・・・(カールあてて)
ならば右から
ここから一段上がる

ゴルジュ内9m滝は左壁にルートを見出す。見た感じスタンスホールドは多そうに見え、ルートをどうとるかが悩みどこ。枯木ではあるが十分な太さのある
灌木を目指し、そこから落ち口に向かってトラバースと読んでザイルを伸ばす。思った通りに枯木はしっかりしており支点には十分の強度。
問題はここからのトラバースがあまり良くない事。このまま直上も2m程の垂壁がチョット嫌らしい。とりあえず垂壁下まで上がってハーケンを打ち、
細い木を束ねてさらに支点を取りトラバース開始。外傾スタンス上の泥を足で落としながら慎重に進む。ヤバイ感じの2ポイントを無事抜けて安全圏に
出た。SACHさんもハーケン全部回収してフォロー。

9m滝は大釜になっており、1か所ザレた所を除き、ほぼ全周が切り立った壁となるドーム状。本滝20mも下部がハングしており取り付くしま無し。
9m落ち口付近の壁を4m程登ってゴルジュから脱出する。
9m滝と本滝(カーソルあてて)
9m滝を登る(カーソルあてて)
本滝20m(クリックして)
左壁から脱出(カーソルあてて)

赤滝上はナメ床になっている。少しに進むと(1:2)二俣。水流の少ない左俣には2段12m滝が奥に見えるので、これだけ見に行く。登れる滝ではなく
高巻は左岸からになるだろう。二俣に戻り、本流筋の右俣に入る。こちらにも同規模の滝が掛かっていると期待したが、裏切られ概ね平凡な様相。
8m滝を快適に超えると、右岸に炭焼き窯が見られる。
赤滝上のナメ
左俣の2段12m滝
本流(右俣) 8m滝

ナメ床がまた続くと7m4条滝。ここで左奥に終了点となる日塩有料道路が視界に入る。7m4条滝は登れず、右岸に付けられたトラロープを利用して
超えた。最後の最後、有料道路の橋を潜った直後に2段25m滝が掛かる。この滝が登れれば、直登して終了のつもりだったが、登れる滝ではなく、
ここで終了。少し戻って右岸からに有料道路上がった。上がった所はパーキングになっているので、ここに車をデポしておけば時間短縮になる。
7m4条滝
2段25m滝
有料道路に上がって終了です

有料道路を20分歩くと鬼怒川高原ゴルフ場入り口。ここを入って、基点に下る登山道に向かう。畑の脇を道から登山道に繋がるはずだが、ほぼ廃道
になっているのか道は無いに等しい。鹿よけの柵を乗り越えたところに道があるようだ。この辺りの不明瞭区間は電線の真下に登山道があるので
道を見失ったら電柱or電線を探すと良い。10分強下れば道も明瞭になってくる。ゴルフ場の入り口から1時間強で基点Pに到着した。
ここを入ります。
登山道はこの電線の下にある(カーソルあてて)
道も明瞭になってくる。とにかく電線が目印

P.S:水量も豊かで男鹿川流域ではかなりお勧めの沢と言って良いでしょう。エスケープルートもいろいろ取れるので、初心者を連れて行くのも良いかと思います。
   ザイルは30mで十分です。赤滝のゴルジュは4級レベルのトラバースになるので、ここだけ注意してください。

遡行図(クリックして)
概念図(クリックして)



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