2014年3月22,23日 南ア 大井川流域 榛原川左俣→右俣下降

メンバー:SACHさん、ひろた
装備、ザイル8mm×30m、カム、靴:アクアステルス
地形図:蕎麦粒山
遡行図・概念図はこちら

通常シーズン初めは奥多摩、西上州周辺からが例年のパターンだったが、2月に襲った関東地方の大雪で、西上州には入れず奥多摩の主稜線もまだ真っ白・・・。。。
こんな状況で、静岡の南ア深南部の沢を探ってみると、蕎麦粒山南東面に位置する榛原川を発見。現地駐在所に確認を取ると、2月の大雪は寸又付近では大したことが
なかったらしく、2月下旬時点で麓には雪は全くないとの情報を得た。今回は1泊二日で本流筋の左俣を遡行、右俣を下降してみた。

17:10自宅発→19:40南越谷駅→20:02安行IC→22:13新静岡SA、5:36発→6:45榛原川基点着
初日: 7:15発→7:26左俣/右俣分岐(入渓点)→10:30 580m林道横断点→930m二俣(行動終了)
二日目: 6:44出発→8:35-8:55山犬段→9:23ホーキ薙崩上→9:40左俣下降開始→11:40ゴルジュ帯→13:50林道横断点→14:05基点着

榛原川へのアプローチは第2東名、新静岡SAのETC専用出口から。なんと高速を降りてから1件もコンビニが無かった。R362はクルマ1台しか通れない
様な細い所も随所にあり、千頭までは思った以上に遠い。R362から榛原川林道(仮名)に入るとすぐに未舗装になるが、まぁフィットでも特に問題になる
箇所は無かった。Softbank携帯は林道に入ると圏外になると思ったほうが良い。
左俣/右俣を分ける二俣(地形図で479m)の所に3台分の駐車スペースがあるので、ここにクルマを停めた。ここから沢に下りる踏跡が伸びている。
左俣/右俣の水量比は(3:2)で左俣の方が多い。
479m地点駐車スペース
二俣に降りる踏み跡を下降
左俣/右俣を分ける二俣

左俣に入るとすぐにゴルジュになるが、沢床は平凡。堰堤を左から高巻いた後も概ねゴルジュが続く。幸い滝は無く深い淵も無いため難所は無い。右岸
から顕著な枝沢が入ると最狭部となるが、ここも難なく通過できた。
1番深いところで胸まで浸かるのが1箇所ある。さすがに3月だと、これだけでもキツイ・・・。ゴルジュが終了したところで左岸に台地があったので、早速
焚き火休憩。ここの右岸は大崩壊地になっており、焚き火中もパラパラ落石を落としていた。
序盤のゴルジュの様相(カーソルあてて)
右岸から顕著な枝沢を過ぎて(カーソルあてて)
ここが一番深い。左岸台地で休憩(カーソルあてて)

この先、右岸枝沢を見ると正面に左岸大ガレ。ふと目を上にやると林道が通っている。ここまで結構歩いた気がしたが、まだ1/4位しか進んで無い様だ。
少し進むと、ここで釣り人発見! 話を聞くと、「以前はここで結構釣れたが、昨年林道工事が入って、まだ1匹しか釣れてない・・・」との事、確かに、我々もまだ魚影
は確認していない。。。 挨拶を済ませさらに進むと、今度は地形図には無い右岸に林道を発見。さらに進むと沢を横断する橋に出くわす。高度計を確認
すると沢床で585mを指している・・・どうも林道が延長された様だ。
左岸上部に林道が
この先で釣り師発見
地形図にはない橋が架かる。

この先、小滝が現れ始める。平凡な様相のところで竿を出してみるがまったくアタリが無いので、すぐに竿をしまう。魚は居ないがカモシカは多く見かける。
出てくる滝はすべて小ぶりで難しいものはない。唯一、6m滝は、かなり濡れれば突破可能だが右岸を小さく巻いた。
小滝が現れてくる(カーソルあてて)
癒し系の小滝が続きます
唯一右岸を小さく巻いた6m滝

3m堰堤状の小滝を超えた少し先で(1:2)二俣、(1:3)二俣となり、共に、水量の多い右に入る。水流は細いが30m滝で出合う左岸枝沢を見、今度は865mで
左岸から顕著な枝沢が入る。この辺りで時間はすでに12時半近く・・・
当初、稜線を跨いで、大間川へ降りて、魚を釣る計画だったが、どうもこのままだと、山犬段の小屋でいい時間になってしまいそうだ。避難小屋も良いが、
たき火が出来ないし、水も汲んでおかないと・・・と考えると、今日は早めに行動終了して、翌日は右俣を下降した方が無難だろうということで決着。
堰堤の様な3m滝
(1:2)二俣と(1:3)二俣。(カーソルあてて)
865m左岸枝沢

ここから少し進むと、930m付近に位置する(2:3)二俣。ここにはワサビ田跡が残っており、作業小屋まであった。時間は13時、この先、地形図では
あまり良さそうな場所が無いので、時間は早いがここで行動を終了する。魚止めらしい滝も無かったので、再び釣りに出かけるがやはりアタリはなかった。
ワサビ田跡のある930m(2:3)二俣
割と立派な作業小屋
ワサビ田跡を利用。


二日目
帰りの渋滞を考慮して早出する。朝の気温は0.9℃だったがそう寒くは感じない。この辺りの水量はまだ多い。3段7m滝は最上段の左壁が難しく、ムリ
せず左岸から小さく巻いたSACHさんにお助け紐を出してもらう。続く5m滝は右から登れる。この先平凡な様相を進むと、3m滝上に最後の二俣。右は
小さな堰堤。ただ、その上に、3段40m滝が控えている。この滝は直登はムリで右の小尾根で高幕くことにする。
3段7m滝(カーソルあてて)
5m滝は右から
二俣手前の3mと3段40m滝(カーソルあてて)

大滝上は、山犬段の林道下に控える堰堤群となっており、実質沢の遡行はここで終了。。。このまま右の小尾根で林道まで上がる。林道が尾根を回り
こんだところに、山犬段の非難小屋。なんとクルマが1台停まっていた。この時期は車が入れないはずだが、ゲート空けて突破してきたのだろうか? 
運転手はどこかに行ってしまったようで見当たらない。 
非難小屋は非常にきれいだが水は無い。小屋の日誌を見ると、先週、大間川から遡行して来た輩が居たようだ。3月から沢登りする人、他にも居るのネ!
大滝から、そのまま尾根筋で詰める(カーソルあてて)
山犬段にある避難小屋(カーソルあてて)
ここから先は全面通行止めみたいです。

さて、山犬段から下降する右俣へ移動する。ここは舗装道となっており、静岡大の山小屋のすぐ先にゲートがある。北面を見るとまだ残雪が残っており、
こちらに下ると難儀したかもしれない。途中、八丁段へのルートが分岐。日帰り遡行なら八丁段から伸びる登山道を下れば良い。トラバース道は舗
となって伸びており、右俣最上部にある"ホーキ薙崩"で車道は終了する。"ホーキ薙崩"は悪い大ガレで、ここは下れ無い。ここから板取山に少し下った
鞍部から右俣の下降を開始することにした。鞍部には道標があり、この辺りから下降開始。藪漕ぎは無く、少し下ると、作業道跡が現れ、これを利用して
下っていく。するとこんな上からワサビ田跡が現れ、水はここから流れ始める。山犬段の林道が昔からあり、これを利用して、ここでワサビを作っていた
のだろうか???
静岡大小屋から八丁段への分岐へ(カーソルあてて)
ホーキ薙崩(カーソルあてて)
板取山との暗部から下降(カーソルあてて)

長く続くワサビ田脇を下りていくと左岸から顕著な沢筋が入る。こちらは小滝が続いており、どうもこちらが本流筋だった様だ。少し下ると、ワサビ田が
あった沢とは思えない15m滝・・・。右岸を少し巻くがここは懸垂しかなさそうだ。幸い30mザイルで降りれる。この先で、ホーキ薙崩から来る沢筋と合流。
この位置でもホーキ薙崩へ伸びる沢筋は両岸が崩壊しており悪そうだ。ここの合流地点から下は荒れた広河原となる。
左岸から本流筋が合流
15m滝。右岸壁から懸垂
ホーキ薙崩から来る沢筋と広河原(カーソルあてて)

この辺りで合流する右岸枝沢もワサビ田跡になっていた事もあり、”このままの様相で終了かなぁー” と思ったら大間違いだった・・・。左俣のように両岸がが
立ってきて、さらに悪いことに両岸の壁は非常に脆そう。最初のヤバそうな箇所は無事通過出来て、ホッとしたが、左岸から顕著な枝沢が合流した先で
どうにもならない12mネジレ滝が出現。滝下も悪相のゴルジュが伸びており、とても3月のプレシーズンの足慣らしに・・・という感じではなくなってきた。
ここは少し戻った右岸に古そうなトラロープをSACHさんが発見。ただこれを使わずともゴルジュからは抜けられる。悪相ゴルジュ全体を巻いて、懸垂なしで
下降できたが、SACHさんにはチョット厳しかった模様。 ゴルジュを除きに行くが、ズッポリ濡れなければネジレ滝は拝めず引き返した。水流右がCSと
なっていたが、ここから直登は可能かもしれない???掲載しませんでしたが写真はあります
悪いゴルジュに入っていく(カーソルあてて)
ここは通過できたが・・・
12mネジレ滝(カーソルあてて)

悪相ゴルジュはここで切れ、小滝がが現れる。左岸に角の形をした特徴的な岩を発見。ここからまたゴルジュになり4m〜5m程度の小滝が続く。SACHさん
にはお助け紐を出して下降してもらい、自分はアクアのフリクションで残置せずに下降。
小滝の下降-1
小滝の下降-2
小滝の下降-3

なんとか、このまま終了してくれ・・・と思ったが、10mカクレ滝が下降を阻む。深い釜に懸垂で降りるのも高さ的には可能だが、この時期はムリ。側壁
あまりに高く切り立っていて、先ほどの12mネジレ滝よりたちが悪い。ここも少し戻って右岸高巻きに入る。側壁は沢床から50m以上切り立っており、
30mザイル一本ではなすすべなく、下降点が見いだせるまで、ザレた細いバンドを繋げながらトラバースを続ける。ようやく懸垂3,4回すれば降りれ
そうなポイントを見つけ懸垂開始。懸垂中の落石には要注意だ。30mザイルで最後はザイルが下まで届いてなかったが、ギリギリ3回の懸垂で安全圏
に降りる・・・といっても沢床まではまだ15m以上ザレを降りるが・・・。見上げれば50m以上の脆そうな壁・・・。。。この10mカクレ滝、手前の小滝で阻まれ滝下
まで確認できなかったが、直登出来ないとなると。かなりハードな高巻きになりそうだ。
10mカクレ滝上から(カーソルあてて)
この高さから懸垂3回で下降(カーソルあてて)
右岸壁懸垂ルートイメージ(カーソルあてて)

もう林道が見えてもいい高度まで概ね降りてきているのだが、ゴルジュはまだ続く・・・。4mV字滝を降り、少し進むと、ゴルジュの中に突如として堰堤が
現れ、林道が見えホッとする。ちょっとプレシーズンにしては濃すぎる下降だったかも・・・
まだゴルジュは続く。(カーソルあてて)
4mV字滝
やっと終了!

P.S:榛原川は春先に遡行可能。左俣/右俣共にゴルジュが続くのが特徴。本流筋の左俣より右俣の方が滝が多く遡行としては面白いかも。中間尾根に登山道があるため、
   どちらも日帰り遡行が可能です。左俣は30mザイルで足りますが、右俣は40m程度を持っていった方が良いかも知れません。ヌメリは少ないのでラバーソールが
   有利でしょう。GW以降になるとおそらくヒルが出るのでご注意を。


榛原川遡行図(クリックして)
榛原川概念図(クリックして)


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