2014年8月16日 丹沢 玄倉川 同角沢

メンバー:ひろた、他1名
装備、ザイル8mm×40m、カム#0.4、#0.5 靴:アクアステルス
地形図:中川
遡行図・概念図はこちら

数年前、ゴルフにうつつをぬかし現場監督さんとjuqchoさんに先に行かれてしまった同角沢。。。いつかは行かなきゃ・・・と思っていたものの、どーもビビりが先行。
昨今、北関東自動車道が開通し上信越の沢が行きやすくなると、アプローチが不便で帰りは大渋滞、さらに異常なほど高速代がかかる表丹沢方面は足が重く、
上信越の沢が雪に覆われている時期か、丹沢方面しか天気が良くないときのみ候補に上がるくらいだった。。。また、通常の沢なら高巻くのが普通の滝でも、
”ムリヤリ登らせる感”のある丹沢は、今まで何とかクリヤーして来れたものの、「もう来なくていいと思うとホッとする・・・」という沢も数知れず。。。
2年前に滑落し、技量も度胸も無くなった今、気が重く跳ね返されるのは覚悟のうえだが、天気の都合が80%、義務感20%で、パートナーの協力もあり足を運んでみる。。。

16:45自宅発→19:45新狭山駅→20:00入間IC→21:03大井松田IC→21:30丹沢湖周辺P、→5:28玄倉川ゲートP
5:55ゲート発→7:10同角沢出合→8:20不動滝下→9:25不動滝上→10:55無名の滝下→11:30無名の滝上→13:05 1050m終了点
→13:12東沢乗越→(ドーカク尾根下山)15:05玄倉林道→15:45ゲート着

玄倉林道のゲート前駐車スペースは20台以上駐車可能。すぐ横に幕営可能スペースもあり、到着時既に2,3テントが張られていた。トイレ無し、softbank
携帯は丹沢湖を過ぎると圏外になる。 ゲートから玄倉林道を歩き、トンネルを6つ潜った先。「熊10」と書かれた電柱横で、それらしい沢筋を対岸に見つ
ける。過去の記録をみると電柱に『同角沢』なる記載があるらしいが、今は消されたようだ。この電柱脇の踏跡を下って玄倉川に降りると、50m程下流側で
同角沢が入る。 初っ端から滝で入るのが特徴。
玄倉川ゲート横駐車スペース(カーソルあてて)
トンネル6つ超えて「熊10」の電柱を降りる
下流側に同角沢出合が見える

この最初の7m滝は通常右から巻く記録が多いが左壁から取りついて水流中央から突破V。SACHさんは右から濡れずに登れる事を知らないのか、
そのまま付いてきてザイルを投げて上がってきた。続く6mトイ状は傾斜も緩く、これも中央突破。この先で石積み堰堤が現れ右から超える。堰堤上は
良いテン場もあるが使われる事は少ないだろう。ひたすら滝登りか・・・と思いきや癒し系の様相もある。。。
最初の7m滝(カーソルあてて)
F2と呼ばれる6mトイ状(カーソルあてて)
癒し系の様相もあり。(カーソルあてて)

ここを、過ぎると三重の滝と名付けられた20m滝が現れる。3段滝で下段は立っていて通常は登れないが、水流右に鎖が2本もぶら下がっていて、
両手に鎖を持って簡単に下段を登ることが出来る。この下段をクリヤーすると残置ロープに導かれてそのまま左岸を巻いて滝上に出れるようになっている
が、そのまま水流右を直登できるかザイルを出して取りついてみた。2段目は簡単だが、5m程度上がった先で急に難しくなる。水流沿いはところどころに
ホールドになりそうな所があるが、安心できる物は少ない。リスも無くなるのでハーケンも使えず。ここには残置ボルトすらなかった。視点を変え右壁に
ルートを求めるが、こちらも厳しい。ここでハーケンで支点を取り、ザイルをはずしてSACHさんに高巻いてもらい。上からザイルを出してトップロープで
チャレンジすることにした。SACHさんに言わせると、右壁は悪いとの事で、やはり水流右のノッペリした1枚岩を上がるしかないようだ。 細かいスタンス
に足を乗せ進むが結局2手ほど足りず。ザイルを掴んでギブアップした。
三重の滝ルート(カーソルあてて)
下段はクサリを使わせていただく
2段目3段目をTRYするが・・・(クリックして)

三重の滝を終了すると、この沢で一番有名な不動の滝18mとなる。高巻きの記録もあるが、栃木から出向いているので宿題は残さず、これも登ってみる。
セオリー通り水流左から残置ハーケンに支点をとって、一つ目のハング下に到着。水流を横断するのはここからでも可能そうだが、とりあえずセオリー
通り、残置シュリンゲに足を掛けて1段目ハングを上がる。ハング上にも残置シュリンゲがあるので、A0すれば何の問題も無くハングは上がれる。ここに
上がると、水流右に移動するのは簡単になる。 ここで水流左のルートにTRY。左端からだとハングではなくなるが、ホールドが無く、リスクは小さくなら
ない。ハング部には残置ボルトがあり、これに使い慣れないアブミを掛ける。立ちこみは出来たが、上に全くホールドが無く残置も無し・・・。小生の技術
ではムリなので断念、水流横断ルートに変更。水流横断は濡れるだけで技術的には容易。横断した先には残置類が見つからなかったので、大岩に
シュリンゲを掛けてザレた斜面を登る。juqchoさんは水流すぐ横を直登したそうだが、かなり悪く。右に逃げる感じで上がる。灌木を掴んだところで、
このまま右に逃げて高巻くことも可能だが、ここから、意地で落ち口に向かってトラバースを掛ける。かなり悪いが、フォローするSACHさんのために
トラバース終了ポイント上に灌木で支点を取って、落ち口に出た。W,A0
不動の滝18mルート(クリックして)
1回目ハングから2回目のハングまで(カーソルあてて)
2回目ハング部
水流を横断したところから
ザレザレを登る
ザレザレ部からトラバースポイントへ(カーソルあてて)

不動の滝上は平凡な様相。左岸から無名沢が入る。4mナメ、小滝を上がると、ここにも堰堤が出現。なぜここに堰堤があるのか、そういう歴史も見て
みたいものだ。 この先で、ダルマ岩出現と思ったら、その先にふた回りデカい本当のダルマ岩が出現。想像以上に大きな岩だった。
無名沢出合に掛かる4mナメ
堰堤が出現
ダルマ岩

ダルマ岩から先は大岩が沢を埋めるようになる。ここを過ぎるとまた平凡な様相に変化。この先に出てくる2mCSは幸い倒木があり、これを利用して
突破。沢はゴルジュ風になり、行水の滝と呼ばれる5m滝が現れる。左のルンゼから容易に超えられるが、右のルンゼに体を押入れ、ずり上がるW
SACHさんは左ルンゼから先回り・・・。
おむすび岩
2mCSは倒木を使って突破
行水の滝5mは右から超える(カーソルあてて)

この滝を超えると、”無名の滝”と呼ばれる15m滝。かなり立っており通常では高巻きが当然だろうが、現場監督さんが直登の記録を残している・・・。
監督さんの記録には”水流を超えた先はスッキリしている”と書かれてあったが、クライマーが言う『スッキリ』ってどーいう意味なんだろう??? と不安を
抱えながらザイルを出して水流左から取りつく。水流を横断する手前に残置ボルトが2か所固め打ちされており、かなり気が楽になった。さらに40cm位上に
3mmほどの細引きが掛かったクロモリハーケンが打ってあり、この3mmを掴んで水流を横断できそう。。。ただ、残置ボルトの位置で飛沫がバシバシ頭
から掛かり、支点をセットするだけですでにビショビショ・・・。水流の横断は不動の滝よりは難しく。その分、水の直撃を受ける時間は長いが、支点が
取れてるし、視界も利かないので、恐怖感以上にアドレナリンが出た感じ。メガネを掛けているので、瀑心突破しても視界は利かず。ルンゼ内のガバと
安全なスタンスを探って一息つく。そこから1m程上がるとルンゼ右側に残置ハーケンがある。経験上、軟鉄がガッチリ食い込んでいるとホッとするね。
ルンゼ部は概ね階段状で、”高度感さえなければ簡単”という感じ。さらに2mほど上がると右側に残置支点。ハンマーで確認すると、少しハーケンが
入る所が怖い。。。最後はザレを上がって滝上に出た。W、A0
無名滝15m(クリックして)
水流左で支点を取る(カーソルあてて)
水流横断してルンゼを上がる(カーソルあてて)

無名の滝上はナメ床も現れ癒し系の様相。少し進むと(3:2)で左岸から大ケヤキ沢が入る。6mナメ滝、3m滝、4m2条トイ状を快適に超えると、いよいよ
遺言棚3段45m滝が現れる。
6mナメ滝
4m2条トイ状
遺言棚ルート(カーソルあてて)

遺言棚の際下段は右壁にあるバンドが今も健在で、これを利用して簡単に上がる。2段目、3段目は水流沿いは不可能で、左のフェースを登るとあるが、
右岸側に沢型が伸び、こちらから簡単に高巻くことも出来る。せっかく来たのでザイルを出してフェースに取り付くが、かなりザレてて、4mくらい登って、
ここは辞めクライムダウン。さらに左の方から安全に上がり、フェース上にトラバース。ルンゼ状を上がってピッチを切る。ルンゼから小尾根を越えて、
沢に戻った。V+
最下段は右バンドで容易に上がる(カーソルあてて)
ここは脆かったので辞めた(カーソルあてて)
3段目の釜

遺言棚上はノッペリ岩のゴルジュで4m、2mと登れなさそうな滝があり、落ち口上に立つ事は出来ない。ここから沢は平凡になりすぐにケルンを発見。
高度計も通常遡行の終了点を指す1050m付近を指しており、ここで終了とした。薄い踏跡をたどるとすぐに東沢乗越に出る。
遺言棚上のゴルジュ
1050m終了点にあるケルン
東沢乗越

下山だが、7/1〜9/30は小川谷林道に車が入れないので東沢を下ると遠回りになり、このままドーカク尾根を利用。モチコシの頭、裸丸山を通って尾根
通しで下るのが一番早い。磁石さえ持っていれば迷うことは無いと思うが基本的に丹沢は藪漕ぎが無いので、万一方向が間違っていてもザイルさえ
あれば、玄倉川に出れるだろう。東山乗越から玄倉林道まで1時間50分。さらにゲートまで45分の歩きで、基点に戻る事ができた。
ドーカク尾根
歩きやすいです
発電所施設が見えれば玄倉川も近い

P.S:同角沢は思ったほど難しい沢ではなかったが、これは先人が苦労して打った残置支点があったからに他ならず、かつての遡行者の意気込みに感服する。
   数々の記録が残され、直登ルートも決まっているため、あとはTRYするかしないかの判断になる。全部登るなら人数は絞った方が良いでしょう。
   ザイルは40mでOKだが30mだと足らない。岩のヌメリは全体的に少なくラバーソールが威力を発揮します。

同角沢遡行図(クリックして)
同角沢概念図(クリックして)



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