2004年9月11,12日 越後 中ノ岐川滝沢→グミ沢下降

メンバー:moto.pさん、ひろた
装備:ザイル9mm×45m、靴:フェルト
参考ガイド:日本登山大系
遡行図はこちら

バリエーションルートガイドのバイブルと言われる『日本登山体系』に"越後荒沢岳南面屈指の内容を誇る"、また"そう快の一言" との記述で紹介されている『滝沢』。
他のガイド本にも紹介は無く。Web上でも皆無。。。今回、その道20年の大ベテランmoto.pさんと都合がつき、解明遡行することになった。

前夜アプローチ
17:25自宅発→18:35矢板→(一般道)20:47桧枝岐→21:03沼山峠→21:21鷹ノ巣→21:37恋ノ岐橋→21:47雨池橋→22:15銀山平(自宅から216km)

昨年、関越自動車道経由で銀山平に行った為、今回は桧枝岐経由でのTRY。R352は細くて、クネクネだが5時間かからずに到着。
関越周りと殆ど変わらない事が判明!高速代を得した気分だ。このルートだとコンビニは塩原が最終。携帯(Softbank)は塩原から先は、
高杖スキー場周辺と桧枝岐で繋がる。ドコモの場合は沼山峠を超えて銀山湖沿岸でも繋がるようだ。
雨池橋は橋の両側に計10台くらいの駐車スペースがあるが、小うるさい(?)親父さんがいるので、駐車するなら恋ノ岐側の方がお勧め。
一方、今回下降点となるグミ沢の出合は駐車スペース4台程。ここには唯一トンネルがあるので、今回moto.pさんとの待ち合わせはグミ沢としたが、
チョイトここで寝るには寂しいので、銀山平で車中泊した。銀山平はSoftbankは未だに繋がらないが公衆電話がある。

初日(晴れ)
6:25雨池橋発→7:00滝沢出合→9:40二俣→12:20稜線→14:45グミ沢下降点(西ノ城手前鞍部)
→15:50グミ沢テン場(標高1100mくらいの場所)

グミ沢出合でmoto.pさんと合流。笹穴沢で以前会っているので「お久しぶりですから!」の挨拶。車を1台デポし雨池橋へ移動する。 
ところで1/25000の地図を見ると標高差も距離も比較的短い『滝沢』なのだが、日本登山体系ではコースタイム"7時間"とあり、いったいどれくらい
困難な沢のか不安だった。
     「行けるとこまで行きましょう!」に対し、
     「グミ沢まで行けちゃうでしょう!」とmoto.pさん。
さすが20年のキャリアの持ち主はスタンスからして違う!

雨池橋から沢靴で歩き始める。途中二ノ岐川出合を過ぎ、中ノ岐川を横断する橋を超えるとすぐに滝沢の出合になる、灰ノ岐沢に行ったことのある
moto.pさんの話だと、今日は水は少ないようだ。
終了点とグミ沢
雨池橋に移動して出発です
林道に水が流れる滝沢入り口

滝沢は出合から明るく、最初からナメ&小ナメ滝の連続だ。天気にも恵まれ快適!強いて言えば魚影が全く無いのが残念と言ったところだ。
300mの大ナメとあるが、倍はあるような感じ。数百mにも及ぶナメを満喫すると、40m大滝が現れる。”水流沿いを登っていけるかなぁ?”とも思ったが、
下部は結構立っているので、右の潅木帯を10m程のぼり、潅木伝いにトラバースすると大滝の上部に出、そこからは2級+の登りで大滝を終了する。
快適なナメが続きます
6mナメ
40m大滝(カーソルあてて)
大滝、右水流のの直登ライン

大滝を終了するとナメからゴルジュと様相を変える。ゴルジュ内の4m滝を左から、7mネジレ滝は右から腰まで水に使って突破する。
そしてゴルジュの出口には30m滝が行く手を阻む。瀑芯部分の直登は不可能で左隅にmoto.pさんが取り付く。下から見るとそんなに難しくはなさそうに
見えるが、下から5m位のところで苦労している様子。moto.pさんがそこを突破し、私も取り付いたが確かに手も足もピタッとくるホールドがひとつもなく
結局お助け紐で自分は突破する。ここからは、行けそうな感じではあったが、岩ではなくドロの壁を登る感じなので、ザイルを出し、moto.pさんが潅木で
ビレイを取りリードする。セカンドで登ったが、足元が結構滑りそうで、いやな感じだった。。。
ここから滝上には10m程の懸垂下降で降りる。青いシュリンゲを残置した。この滝ははじめからザイル出した方が良いだろう。自分はここが核心だった感じ。
ゴルジュ内4m滝
7mネジレ滝
30m滝
30m滝の直登(カーソルあてて)

30m滝上はゴーロ状だがすぐに次のゴルジュに突入。瀞を持った4m滝はガイドに泳いで取り付くと書いてある所だ。moto.pさんはここを果敢に
右壁を濡れないようにへつる!「おー!行ってる行ってる!!!」と夢中でシャッターを押すが、あとちょっとのところでドボン!これもしっかり写真に
収める。(笑)
moto.pさんがシャワー浴びまくりで登っているのを見て、へつっても結局びしょ濡れみたいなので自分は、安易に泳いで取り付くことにした。

この4m滝を終了すると沢は右に屈曲し、すぐに20m滝が現れる。右岸から巻くことも可能そうだが、ここは水流左にルートを見出し、自分がザイルを
伸ばしていく。下部半分は階段状で優しい。途中に残置ハーケンを発見したが、グラグラなので、クロモリハーケンを打ち付ける。ここから水流側に
1段上がった所から先が安心したホールドが無いのでもう一発ハーケンを打ち3級+の登りで滝上に出る。moto.pさんは、セカンドとはいえ余裕で
登ってきた。
瀞を持った4m滝(カーソルあてて)
20m滝(カーソルあてて)
余裕のさんmoto.pさん

 20m滝を過ぎると釜を持った5mクラスの滝がいくつか現れるが、微妙なバランス突破をすべて成功させ、殆ど濡れずに突破して行き、二俣に出る。
この時点でまだ10時前だったので、グミ沢までは行けそうな感じだ!ちなみに二俣には良いテン場は無く整地するなら1時間くらいかかりそう。
5m滝を直登
快適な様相です
二俣(左に入る)

二俣を左に入るとすぐに5m滝。さらにナメを歩いていくと美しい30m2段滝が現れる。下段7mは水流左を直登。上段は下部が立っているのだが、
よく見ると中央部に細いバンドがジグザグに走っている。「これですかねー?」ということで、自分が取り付いてみる。ちょっとヌメっているので慎重に
一歩一歩足を運ぶ。5m程登るとガバも見つかり、下部の立っている部分を終了。後は傾斜も緩くなるので超快適な滝登りを残すのみ。
moto.pさんは滑った所には抵抗感があるようで、
「ザイル出しましょうか?」に、「いいや、巻きます!」と右岸の潅木帯を小さく巻きに入る。
5m滝
30m2段滝(カーソルあてて)
30m2段滝上段(カーソルあてて)

30m2段滝を越えても5mクラスのナメ滝がまだまだ続く。殆どが快適に直登できるが、”8m滝”は、適当なガバホールドが無くスタンスも
間隔が開いているので、チョイト気合が必要だった。この滝は巻きも可能。そして次が20m滝、この滝は水流のあるルンゼに取り付き超える。
5mクラスの滝が続きます
明るく快適♪
気合の要る”8m滝”
20m滝(カーソルあてて)

さらに次の15m滝はチョット難しいと判断。左岸潅木帯に入って小さく巻く。ここまで来ると目指す稜線が見えてくる。正面に枝沢となる
大スラブも見え快適さは衰えない。小滝をいくつか越えると、このスラブを持つ枝沢が左から合流する。水量は1:2で確かに水は少ないが、
こちらのスラブ沢に入っても面白いかもしれない。ただし後で出てくる稜線のヤブコギがさらに大変になるが…

15m滝 左岸を巻きます
稜線が見えてくる
スラブを持つ枝沢。水量比1:2(右に入る)

ここから本流筋に入るとガイドには 『左岸は傾斜の緩いスラブ右岸は逆層のカブリ気味の非対称ゴルジュが500mも続く』 とあり、ここを突っ張りで
突破するらしいが、少し埋まってしまったのだろうか、確かに非対称形状であるが、ゴルジュという感じでもなく、突っ張りで登るところも一箇所もなかった。
少々拍子抜け。
最後の詰めは殆どヤブコギ無しで稜線に出る。。。。。。が、稜線には踏跡すらなく、ひどいヤブである。荷物を置いて一休みという所も無く、
マ・ジ・デ・ス・カ・状態だ!ガイドには稜線のヤブについては何も書いていないのだが、moto.pさん曰く

「日本登山体系の遡行図は20年以上前の物なので、ヤブも育ったんじゃないかな!」  う〜ん ナ・ル・ホ・ド!!!

。。。と感心している場合ではない、シャクナゲ、ハイマツ、笹、等々…背丈以上のヤブ漕ぎに自分は完全に疲労困憊。半そで半ズボンで擦り傷だらけでも
ガンガン突き進むmoto.pさんについていくのが精一杯になる。稜線の尾根幅は狭いので迷わないと思うが、ガスってしまうとグミ沢の下降点までの稜線歩き
は精神的にもキツイものになりそうだ。間違って一本手前のナラ沢に降りてしまうと上部のゴルジュの下降がきびしそうなので注意。1758mの本城山と、
1706mの二つのピーク(ピークに目印無し)を超え、2時間以上ヤブと格闘してようやくグミ沢の下降点に到着した。
非対称ゴルジュと呼ばれるところ
詰めの小滝
銀山湖を見ながら激しいヤブ漕ぎ。
グミ沢下降点到着

グミ沢の下降はヤブ漕ぎは無く、上部から中流部には滝という滝は全く無い。落石だけ注意して下る。上流部、中流部とも良いテン場は無いが、
中流部右岸にmoto.pさんが適当な所を見つけ、二人で30分ほど土木工事してタープを張る。薪は大量にあり。魚影なし
 もう、ここまでくれば明日は1〜2時間の行動で国道まで出れるので、酒を飲みながらmoto.pさんと夜10時過ぎまで沢談義で盛り上がる。星がムチャクチャ綺麗だった。
荒れた様相を下る
そろそろテン場適地か
行動終了です♪


二日目(晴れ)
8:30出発→10:15 R352着(遡行終了)
10:45雨池橋→11:50桧枝岐(燧の湯)→16:00自宅着

のんびり6時起床で、8:30出発。楽な下りか、と思ったが、いきなり5mの滝がクライムダウンできない。この中流部は雪渓が通常発達しているので
沢の両岸は草付きで、潅木が無い。先行するmoto.pさんに足の置き場を教えてもらいながらクライムダウン。
下流部のゴルジュ帯では5mクラスの滝で2箇所懸垂下降を行った。それぞれ残置シュリンゲはあるが、2つ目は右岸の滝から10mくらい登ったところの
潅木にあり、ここまで取り付くのに滑りそうなドロ尾根を登る必要がある。ザイルは45m無いと下まで届かないだろう。腰まで漬かるところは1,2箇所あったが、
全身ずぶ濡れになる所は無い。結局2時間弱で下れた。

moto.pさんと私は、帰る方向が全く逆なので、雨池橋での現地解散となる。温泉は桧枝岐まで戻り"燧の湯"に入る。
いきなりシブイ5m滝の下降
懸垂下降した5m滝
この滝はクライムダウン
このゴルジュを抜けると終了点も近い

P.S:滝沢は沢全体が明るく、20mクラスの滝がいくつもあり、それをナメで繋げるといった快適な沢だった。ただ稜線に出てからグミ沢の下降に入るまで2時間半、
   グミ沢の下降で3〜4時間を要するので、これを前提にビバークを滝沢にするか、グミ沢にするかの判断がポイントになる。
   テン場は滝沢/グミ沢共に少ない。健脚の方は早出すれば日帰りも可能。

遡行図(クリックして)




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