2010年5月2,3日 南ア 戸栗川 湯ノ沢 三ツ沢→醍醐沢下降

メンバー:バルボアさん、ひろた
装備:ザイル8mm×50m、靴:フェルト
地図:南部(静岡)
概念図、遡行図はこちら

GWの時期に充実した遡行が出来る南アの戸栗川流域。昨年、温井沢を遡行して、
今年は、本流筋の三ツ沢と、寒沢をバルボアさんと2泊3日で集中を計画。
三ツ沢の下降は刈安峠から折付への登山道が消失している為、醍醐沢を下降する事にした。

アプローチ:CR-X(最後の出陣)
2:20自宅初→(真岡IC)3:25川口JC→3:56用賀→5:17富士SA(渋滞無し)、6:00富士SA→6:50十枚山登山口(車デポ)
→7:40折付
初日
8:05湯ノ沢入渓→8:55鞍掛沢/三ツ沢出合→11:40赤岩ノ滝→13:56三俣(行動終了)

バルボアさんとは富士SAで待ち合わせ。ここにはETC専用ゲートがあり、ここから一般道に下りて、十枚山の登山口をめざす。
戸栗川沿いの道に入ると解りにくい所もあるが、昨年の温井沢で道を覚えていたので、迷うことなく十枚山登山口に到着。
道も舗装部分が伸びた様だ。コンビニは富士SA近くで早めに入っておいた方がよい。携帯もR52から戸栗川沿いの県道に入ると
繋がりにくくなる。(温井沢の記録を参照)
 3日目の寒沢の下山はここになるので、車を1台デポし(駐車スペース広い)、"折付橋"に向かう。(概念図参照)
林道は折付橋から寒沢方面、湯ノ沢方面に二手に分かれるが、寒沢方面に進むと広い駐車スペースがある。
一方、折付橋から湯ノ沢方面は倒木が道を一部塞いでおり、ちょっと車では通行困難な状況。
寒沢沿い(登山大系では菩薩川)の駐車スペースから歩いて10分程度で湯ノ沢に入渓できる為、特に問題は無いでしょう。

登山大系が書かれた頃は折付橋から入渓したようだが、現在は巨大堰堤が作られている為、林道終点からの入渓となる。
十枚山登山口(ここに車をデポ)
寒沢(菩薩川)沿いの林道終点。基点
湯ノ沢へ入渓(カーソル当てて)

湯ノ沢は概ね平凡な様相。左岸から30m程度の滝で出合う枝沢を見送ると2条5m滝、5m滝と2つ程滝が出てくるが、
どちらも直登は不可能で小さく巻いた。広河原風になったところでほぼ(1:1)で鞍掛沢と三ツ沢の出合になる。
左岸枝沢の滝
2条5m滝
鞍掛沢と三ツ沢の出合もすぐ

三ツ沢に入るとすぐに陰気なゴルジュとなる。WEBではこのゴルジュの通過は『そんなに難しくは無い』という記録を見たことがあったが、
深い釜を持った悪い7m滝が行く手を塞いでいた。
両岸は取り付ける所は無く、高巻くならゴルジュ入口まで戻る必要がある。まず私がカッパを着込み、フリーで胸まで浸かって
直登ラインを探るが、ツルツルで良いホールドが無く & 釜から這い上がるポイントすら見つけられない。滝壺に引き込まれるのを恐れ
そそくさと敗退。。。それを見ていた、バルボアさんがザイルを出して、空身でTRY。 私が引き返したポイントより奥に取り付き点が
有ったようで、深い釜から立ち上がり、滝に取り付いた。ここからもかなり難しいようでだったが、何とかクリア♪

この間に、私の体は冷え切ってしまい、「高巻いちゃおうかなぁー」と何度も考えた。
荷揚げを行った際、ザックから水筒と、銀マットが落ち、これを釜にドップリ浸かって回収。。。結局3度釜に入って私も取り付いたが、
この滝は、とにかく滑りやすいのでタワシを持って行った方が良いかも。 セカンドなのに何度もゴボウしちゃおうか”と思ったくらいだ。
支点は、滝上まで上がらないと取れるところは無いし、残置も無かった。W+。
はっきり言って、この滝が核心・・・バルボアさんも「空身じゃないと登れない」とのこと。。。
三ツ沢に入ってすぐのゴルジュ入口
7m滝
バルボアさんが取り付く(カーソル当てて)

7m滝を超えると、今度は4m滝があるが、これは右岸から小さく巻ける。これで難所は突破。 
ゴルジュを抜けると正面に右岸枝沢の10m滝が見える。本流はS字状に曲がり、そこに7m滝があるが、ここも小さく右岸を巻く。
その先の3mCSは、ザックが引っかかり滑り落ちてしまう。突破したバルボアさんにA0で引き上げてもらった。
これで、登山大系に書かれているゴルジュは終了。
ゴルジュ内4m滝
右岸枝沢10m滝
7m滝を右岸から巻く

ここからは、概ね平凡な様相。テン場も幾つか見つけられる。5m滝を過ぎると上空高い所にワイヤーロープが沢を横断していた。
昔の木材輸送に使っていたものであろうが、それにしても高い所にワイヤーが掛っている?

5m3条滝を超えると、赤岩ノ滝と名付けられた15m滝。直登は不可能だが右岸から簡単に巻ける。
5m滝(直登出来ます)
赤岩ノ滝15m
右岸から簡単に巻けます


赤岩ノ滝上は特に問題になるところは無く、5m程度の滝を快適に直登していく。 2段6m滝の手前で、奥に大滝を落としている
のを確認。
赤岩ノ滝の上の様相
快適に超えられる小滝-1
快適に超えられる小滝-2
2段6m滝

2段6m滝を超えると、先ほどの赤岩ノ滝に似た感じの15m滝が登場。これも直登は不可能で右岸を高巻くが、
この高巻きは結構悪い。ザレを登り、フリーでルンゼに取り付くも非常に脆いため、ザイルを途中で出す。
このルンゼを垂直壁まで登るより、途中で落ち口側の小リッジに取り付くのがポイントと言えよう。小リッジも2m程の垂壁を
登ることになるが、ガバがあるので何とか登れるV+。安全に巻こうとするとかなりの大高巻きになる事は必至でしょう。
15m滝
脆ルンゼから小リッジへ(カーソル当てて)
小リッジを超えてザレをトラバース

この滝を高巻くと今日の幕営場所となる”三俣”となる。この三俣は、詳細には、(1:1)二俣の左俣のすぐ上にもうひとつ(1:1)二俣が
ある構造になっている。左岸に良い台地があり、テントを張る。薪は豊富。
三俣(まず右俣の流れ)
三俣(左俣と中俣)
三俣にて



二日目
5:55三俣発→7:20奥ノ三俣→8:46稜線着、9:12同発→10:18刈安峠、10:50醍醐沢下降開始
→12:10-12:23醍醐ノ滝上→13:15醍醐ノ滝下→14:50折付

醍醐沢の下降時間を4時間とみて早出する。直接”大笹の頭”に詰め上がる右沢の選択案もあったが、今回は三俣を真ん中の沢に
入る。
三俣から先は小滝が続く。4段10m滝は右岸を小さく巻いたが、ここにも幕営可能な場所がある。5mY字滝を超えると
右岸から一本枝沢が入り、さらに先の(1:1)の二俣は右に入る。左岸50m滝で落ちる枝沢を見送るとゴルジュになり悪い7m滝が掛る。
4段10m滝
5mY字滝
左岸枝沢50m滝
ゴルジュ内7m

この滝は直登出来ずに手前の左岸ルンゼから巻いた。ゴルジュ内はいくつか小滝が出てくるが、特に難しいところは無い。
ゴルジュ出口の6m滝は左壁を直登出来る。ゴルジュを終了すると、奥ノ三俣に到着。
ゴルジュ内の様相
ゴルジュ出口の6m滝
奥ノ三俣

右はザレており、進むなら中央か左。ただ、左には見事な20m滝が掛っていた。これを見逃す手は無いので左に入る。
20m滝は左から回り込むと直登可能。ガバが多いが滑りやすいのでバルボアさんにはザイルを出す。

この滝のすぐ上で(3:2)二俣。ここは水流の多い左を選択。ここから先は滝という滝は無く、水もやがて涸れる。
ガレっぽい様相を詰め上げ、樹林帯に入ると藪漕ぎも無く標高1540m付近で稜線登山道にでた。
20m滝(カーソル当てて)
(3:2)二俣
癒し系から最後の詰めへ


登山道は明瞭。ここから醍醐沢下降の基点となる刈安峠へ向かう。今年は雪が多かったせいか、笊ヶ岳の南面でも沢筋は
真っ白。2000mを超える山ではまだこの時期沢登りは早いかも。。。

稜線を歩く事1時間強で。刈安峠に到着。道標がしっかり立てられており、お地蔵さんもあるので通り過ぎる事は無いでしょう。

さて、醍醐沢の下降点を探るが、刈安峠直下で、丁度ガレが二分されている事が解る。十枚山側のガレは”大ガレ”となっており、
下降は困難だが、北側のガレは所々に灌木があり、ザイルの必要性を感じずに下降可能。これをバルボアさんに伝え、
廃道となっている折付への旧登山道を50mほど進んだ所からザレを下りていく事にした。
この下りは正解で、一気に高度を下げる。これを下りきると左岸側から水流が流れてくる。
刈安峠
ザレを下降する。
左のザレから降りてきました

水流が流れてからの様相は平凡で下降に問題は無い。両岸はザレた箇所が多い様だ。標高1130mくらいに位置する
右岸枝沢(1:3)が入ってくると、両岸のザレも少なくなってくる。滝らしい滝といえば12m2条滝くらいで、これも右岸から
簡単に巻いて下降できる。ここから少し下ると、沢床がスパッと切れ落ち、正面に富士山が現れた。
醍醐沢上流部の象徴的な様相
12m2条滝
醍醐絶景ポイントです(カーソル当てて)


「これが醍醐ノ滝かな?なんかデカそうな滝だな!?」

と覗いてみると、とんでもなくデカイ滝だった。これが、ハイライトの醍醐ノ滝・・・後で高度計で測ると高低差75mの2段の大滝だ。
50mザイル一本では、どー見ても降りれそうも無く、「どんだけ高巻けば、下に下りれるんだ?」って感じ。。。
落ち口で休憩がてら水の補給をし、大滝下降に入る。ルートは右岸。 落ち口脇から登り、極力小さく巻くルートで
探るのがポイント。”巻き道?” と思わせる所があり、ここを5m程クライムダウンしたところで1回目の懸垂下降(15m)を行う。
着地点はザレた外傾斜面で、ここをトラバースして子尾根に取り付き、この尾根を若干下って2回目の懸垂下降(7m)。
さらに隣の小尾を上がって適当な所から3回目の懸垂下降をすると歩いてガレを下れるところまで出る。
結局、この滝の下降は1時間かからなかった♪
懸垂下降1回目
2回目の懸垂着地点から
3回の懸垂を終了して滝下へ
醍醐ノ滝(クリックして)

圧巻の醍醐ノ滝下で休憩して下降を続ける。ここから先も概ね平凡。一か所ゴルジュが現れるが、簡単に右から巻けるので問題なし。

この少し先で、右岸から明日遡行する寒沢が入る。さらに、ここから数分で車の停めた所にあった大堰堤が現れた。
狙い通り、刈安峠から4時間で折付に到着♪

今日の宿は、車の駐車スペースでもOKだが、薪を拾うのが面倒なので、車で湯ノ沢まで移動。
今日も雨の心配は無し。バルボアさんが豪華なオカズを用意してくれた事に感謝!
唯一のゴルジュ後半は右岸高巻き
寒沢出合
ゴールの堰堤


P.S:三ツ沢は高巻きルートを慎重に選べば特に大きな問題は無いが、岩が脆いのと、滑りやすいのは注意。
   醍醐ノ滝であるが、2010年〜2013年の間に大崩壊があり、完全に形を変えてしまった様だ。
   醍醐沢もテン場適地は随所にあるが、醍醐ノ滝下は様相が大きく変わって居る様なのでこちらの記録を参照してください。

   ザイルは沢慣れした人なら30mでも何とかなると思いますが、40m以上あると安心です。


戸栗川概念図(クリックして) 三ツ沢・寒沢遡行図(クリックして)

翌日の寒沢の記録へGo!




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